虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

見たもの、見たいもの

2006年06月28日 | エンタテインメント
・見たもの
銀河ヒッチハイク・ガイド (2005年/アメリカ )
THE HITCHHIKER'S GUIDE TO THE GALAXY
を見ましたが、前にも書いたとおり、本を読んでみてからでないと落ち着かなくて感想まで書けません。
 映画は見ててけっこう面白かったし、こういうつくりも嫌いではありませんが、やっぱり落ち着かないのです。
 これは元がラジオドラマで、それが本になったというもの。そのためか、かなりむか~しに読んだのですがその時のスピード感というか、疾走感というか、その種の感覚がすごく楽しかった記憶があります。
 それに、切れのいい駄洒落(駄洒落=親父ギャグで捉えると形容矛盾のような気がするけど)深遠な思想を覗くようでいておちゃらかしをブレンドするあたり、いかにもイギリスっぽいじゃないか、なんて思ってました。映画でもそういえるのだけれど…なんか落ち着かない。
 で、本を発注しましたので読んでから改めて書きます。
 これで締めくくっていいのかな、と思うラストではありましたが、チープとゴージャスをうまく取り混ぜたクリーチャーとか映像は好きです。うう・・・でもマーヴィンはもっともっと性格が暗くないと・・・

・見たいもの
レインボーマン
 「アイアンキング」お薦めの先輩などに聞いたら、このレインボーマンの評判もなかなかのものでした。
「パワー充填がなんだと思う?座禅瞑想なんだぞ」
「え~、その最中に襲われたりしないんですか?」
「そこがレインボーマン!」
「どうなるのか教えてください~~~!」
「ビデオ探しなさい」
ほとんどナマゴロシ状態です。

arudenteな米様も
「エンディング曲は下手なデス系のロックやパンクより凶悪ですし」
と書いてらっしゃいますが、エンディングかどうかはわかりませんが「死ね死ね団の歌」というのを聴きました。すごかったです。日本人を「黄色い猿」とかはっきり言っちゃって「世界地図から消す」とか目が回りそうでした。
 それに「ヤマトタケシ(レインボーマン)の歌」というのもすごいです。スパイダーマンなんかメじゃないですね。最近のアニメ主人公の屈折よりストレートなだけに声もでません。

ヤマトタケシの歌
作詞:川内 康範、作曲:北原じゅん、歌:安永憲自

1.どうせ この世に 生まれたからにゃ
  お金も欲しいさ 名も欲しい
  自分の幸せ 守りたい
  僕だって 人間だ
  僕だって 若いんだ

  けれども その夢 捨てさせる
  この世の悪が 捨てさせる

2.肩に 背負った 十字架の
  使命の重さに 耐えかねて
  たまには 泣けるときもある
  僕だって人間だ
  僕だって 若いんだ

  恋もしたいさ 遊びたい
  わかって欲しい この気持ち

ザ・ベスト・オブ・ナイトライダー I

2006年06月26日 | エンタテインメント
KNIGHT RIDER
出演: デヴィッド・ハッセルホフ
    エドワード・マルヘア

 1982~1986年のアメリカのテレビシリーズ。撃たれて顔までつぶされた警官が蘇り、大財閥で開発された素晴らしい頭脳と性能を備えた車キットを相棒に凶悪な事件を解決する。

 高価なコンプリートボックスにはほとんどすべての回が収録されており、日本での放送分には当時の声優さん(デビット・ハッセルホフ=佐々木功、キット=野島昭夫)での吹き替え音声もばっちり入っているそうですが、このレンタル版DVDにはコンビ誕生部分の2話のみで、吹き替え音声は無し。ちょっと寂しいけど、買うほどの決心はつかない。
 キットはマイコン(マイクロプロセッサー)、とかいわれています。本当にコンピューターの癖して何でもできちゃうすごい奴で、判断力も人間様より的確だし、そのくせ人間をしっかりフォローしてくれるし、電子頭脳の(これもなんとなくレトロな響き)いつか人間を越えてしまうのではないか、という見方の良いほうの具現みたいですね。
 それにしても、キットがほんとに頼れる、ここまでやるかというほどいろいろさせられているのにはちょっと笑えます。クラッシュレースも自動操縦で無傷で切り抜け、居眠り運転で捕まった警官をごまかす方法まで教えてくれます。

 かっこいいけど、「怪傑ズバット」を見てしまった後だとインパクトは今ひとつ… だってズバットがあまりにも強烈だったので、こんなあたりまえにかっこいいヒーローでは太刀打ちできない。う~~、私の鑑賞の視点変わって来たかしら?

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 「キャシャーン」アニメ版の第1話を見ました。
 歌だけ聴いた時はけっこう勇壮で、子供向けのアクション路線かな?とも思いましたが、かなり暗いムードのハードなSFでした。暴力表現や世界の描写というのもかなりきついもので、子どもの時に見たら怖かっただろうと思います。それに、ロボットの集団行進などのイメージが最近の実写版映画のイメージとまともに重なる感じなのも驚きでした。

おみやげ

2006年06月25日 | 日記・雑記
アメリカ留学中の大学生が帰宅しました。
まず本人を見て

アメリカンサイズになってる~~~!

家中で笑ってしまいました。
アメリカのもの食べてたら、食べ過ぎた感じなくても7キロ太ったって!
「スーパーサイズ・ミー」でも見せたろかしらん。

そんなこんなで「ナイトライダー」「銀河ヒッチハイクガイド」は明日回しです。
「銀河~」については、ちょっと当惑しちゃいました。それで是非原作読み直したくなったのに、買えることは買えるけど、1~3週間待ちだって。
 図書館にあるかなあ。

ダイバダッタ

2006年06月24日 | エンタテインメント
 今週は「銀河ヒッチハイクガイド」「ナイトライダー」のDVDが届いて見てしまったので、感想も書いておきたいのだけれど、今日の昼に見たNHKのBS2の「アニメソング全集」みたいな番組のお話を。
 あんまり思いいれのあるアニメ番組がなくて、私って大人になってから見たアニメばっかりだなあ、アニメと共に育ってないなあ、と再認識することになったのですが
「レインボーマン」
「バロム1」
という番組の主題歌があまりにも面白かったので、そちらを先に。

・レインボーマン
「インドの山奥で修行して…」
という部分のみ知っていたレインボーマンの主題歌でしたが、その続きがあんなすごいとは思いませんでした。
「ダイバダッタの何とかを継ぎ…」
(すいません、聴いただけで調べてないのでうろ覚え)
ダイバダッタってお釈迦様に反逆した弟子の名前ですよね!
そのダイバダッタの何を継いだのか?
早速レンタルがないか調べてみなくては!!

・バロム1
これまた全く知らない番組。
でも主題歌の歌詞が
「ブロロ…」「ビュンビュン…」とか、
オノマトペがあまりにもどっさりでてくるのにびっくり~~~
思わず爆笑。
これも見てみたい。
歌と番組の内容とどっちが面白いのだろう。

SFアニメやヒーローものも、私は映画版やゲームのスパロボから知ったので、有名どころでビデオやDVDで見られるもの以外は本当に内容を知らない。

・キャシャーン
 アニメ版の主題歌を聴いたけど、けっこう勇壮で映画版とは全く雰囲気が違う。これもいつか見てみようかな?

ヴェニスの商人

2006年06月23日 | 
 本日は「ヴェニスの商人」。
 最近アル・パチーノのシャイロックで映画になったのが初の映画化だそうで、私はまだ見ていないのですが、ちょっと気になって読んでみました。
 友情に篤いアントーニオが、友のバッサーニオの結婚のためにユダヤ人の金貸しシャイロックから金を借りるが返せなくなる。借金のかたは胸の肉1ポンド。しかしバッサーニオの新妻ポーシャの機智により絶体絶命のピンチから逃れて、悪いユダヤ人は財産没収・改宗強制。場面変わってポーシャの知恵が讃えられバッサーニオ・ポーシャ、それぞれの従者の2組の夫婦が仲良く消えるところで大団円。

 ハッピーエンドの喜劇でも後味が悪い、というのが普通の感覚ではないでしょうか。そりゃあ、人死にがなくなったのは良かったけど、じゃあそれまでものすごく侮辱し馬鹿にしてる相手から金借りるなよ、とは誰しも思うでしょう。
 ユダヤ人というのは西欧社会で差別され、それがどういうものか、日本で暮らしているとぜんぜんピンと来ません。アメリカ映画「愚か者の船」でも、ユダヤ人の商人が手ひどい扱いを全く見ず知らずの人間から受け、それを抗議するでもなくやり過ごし、そしてラストで彼と世界の未来を暗示するが如きナチスの制服の威圧感に満ちた地へ船は入港します。
 もともとの戯曲(もちろん翻訳で)読んでも、どう考えてもシャイロックがあれだけひどい目にあうほど悪いとは思えません。もちろんシェイクスピアの生きたユダヤ人差別バリバリ時代に書かれたものです。しかし、今のように差別が糾弾される以前からシャイロックに同情する人はいました。名前は忘れたけどドイツの詩人が劇を見た後、シャイロックのために泣いたという話が残っています。
 私も子どもの時はともかく、大人になって読むと、ポーシャは素直に賞賛できないし、アントーニオ、バッサーニオの独善性、というかキリスト教の独善性に嫌気が差します。実際に劇を支えるのはシャイロックのそれまで抑えて来た怒りがとどめられなくなった一種の狂気と、彼が全てを失う…改宗までさせられアイデンティティのを失う悲劇性だと思います。
 私がこの劇中で一番まともに好感持てるのは、キリスト教徒と結婚してしまうシャイロックの娘。
 劇中にシャイロックのセリフで

「(娘に)夫を迎えるなら キリスト教徒なんかより、(キリストに代わって放免された盗賊)バラバの子孫のほうがまだましだ」

 というのがありますが、キリスト教徒がこんなに心の狭いものなら、私もキリスト教徒との結婚はやめておいた方が良いと思えてきます。何かあったら出自についてとんでもな言いがかりでいじめられそう。

 シェイクスピアの意図は今となってはわかりませんが、今の私には勧善懲悪のスッキリお芝居というより、「我のみ正しい」と信じるものたちの意識しない残忍さを突きつけるドラマに見えます。
 
 エルンスト・ルビッチ監督の映画「生きるべきか死ぬべきか」ではこの劇のセリフを実に効果的に使って、ユダヤ人、ひいてはすべての人間を差別することの不正と醜さを描いています。あれは素晴らしかった…

 というわけで、アル・パチーノに関しては、シャイクスピアの「リチャード3世」を巡る「リチャードを探して」もなかなかエキサイティングだったので、それなりに期待しちゃいます。

花よりもなほ (2006/日本)

2006年06月21日 | 映画感想は行
監督: 是枝裕和
出演: 岡田准一   青木宗左衛門
    宮沢りえ   おさえ
   古田新太   貞四郎
   浅野忠信   金沢十兵衛
   香川照之   平野次郎左衛門
   國村隼    伊勢勘

 元禄15年、徳川5代将軍綱吉の時代。泰平の世の巷では、赤穂浪士が切腹させられた主君・浅野内匠頭の仇を討つのかどうかが世間の話題。そんな中、父の仇を討つため、信州松本から江戸に出てきた若者、青木宗左衛門(宗左)は、貧乏長屋に住み、仇を捜して回るが、見つけられずはや2年。宗左は、藩の剣術師範剣のの息子だが、腕はからっきし弱い。

 是枝監督の「誰も知らない」はいまだに全部見ていません。ホラーより怖い映画でした。誰も知らない、というより見ないふり… 他の映画もけっこう怖い。

 これはコメディでもあるし、ちゃんと見ることができました。まともに娯楽時代劇していました。ただし剣戟なし。レーゾンデートルのお話でもありましたし、結局自分自身の生き方を見つける物語ですね。2時間ちょっとしっかりスクリーンに釘づけでした。
 岡田准一が思ったよりずっとよい主役してました。周囲が強烈にうまい人ばかりなので気おされ気味な感じはしたものの、青年の清潔さが好もしかった。宮沢りえは素敵。本当に薄幸の美女ができる女優さんです。ボロ長屋の面々の達者なことは言うまでもありません。香川照之はなんだってあんなに滑稽な空威張り男が似合うのでしょう。
 テンポが良くて説明のうまい映画でした。しっかり宗左の家におけるポジションもわからせてました。期待にはずれた跡取りだったのね。それに侍たちのそれぞれが選んだ道が、捨てるものなくして得られないというのもほろ苦かったです。
 ドカ~ンとは来なかったけれど、ジワリと効いてくる映画。

 逃げ足のスピード感は嵐寛寿郎や阪妻映画には負けます。不思議です。
 それに元禄といったら文化の中心は上方でしょうが、江戸でも派手派手時代だったのでそれも見られると嬉しかったな。
 しかし何が感心したといって、あの傾いて、しかも建具が動く長屋を作った人たちはすごい。

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23日 一部削除しました。某映画監督と私の本の世界の捉え方が違うということでいささかむちゃくちゃなこと書いちゃいました。体調悪いと気持ちがすさむみたいです。

奥様は魔女 (1942/アメリカ)

2006年06月19日 | 映画感想あ行
I MARRIED A WITCH
監督: ルネ・クレール
出演: フレデリック・マーチ 
   ヴェロニカ・レイク 
    ロバート・ベンチリー 
   スーザン・ヘイワード 

 17世紀のアメリカ、火刑にされ死んだ魔法使いの父娘が、木に封じ込められるが、自分達を捕らえた男の一族に呪いを掛ける。現代(製作年度1942年)になって、落雷で木が折れて開放された彼らは、丁度知事選に打って出ようというその子孫を破滅に追い込もうと企むが……

 ルネ・クレールといったら、ジェラール・フィリップ数々の名作をはじめ、「幽霊西へ行く」「巴里祭」「自由を我らに」…きゃあきゃあなのです。
 これは、アメリカでつくった映画で、役者がアメリカ人。「幽霊西へ行く」のほうがクレールタッチが面白いな、とは思いますが監督らしい軽やかで素敵なコメディ。特撮もほどほど。
 ヴェロニカ・レイクは他で見ているかどうかわからないが、モノクロ画面に金髪が輝く素晴らしい美しさ。
 魔女が根っから悪いことをしたがるのだけれど、それも畑を荒らす、火をつけるという発想しかしないレトロな悪。それに声がなんともかわいらしいので、いわゆる「小悪魔」的な感覚で、そんな邪悪には見えない。その父もしょうのない酔っ払いで、酔うと大事なことを忘れるおまぬけぶりがかわいい。
 振り回される役のフレドリック・マーチが他の映画に比べて今ひとつな感じ。彼にしてはちょっと物足りないかな、くらいのものですが。
 フレドリック・マーチの婚約者になる相性最悪の美女がスーザン・ヘイワードで、すごくきれいで性格がきつそうです。この人はほとんどおっとりした美女役を見たことがありません。いつも

 魔女ののろいで代々相性が最悪の女性と結婚するなんて…その家庭の子どもが結婚していて良かったですね。

28日後... (2002/イギリス、アメリカ、オランダ)

2006年06月18日 | 映画感想な行
28 DAYS LATER...
監督: ダニー・ボイル
出演: キリアン・マーフィ    ジム
    ナオミ・ハリス   セリーナ
    クリストファー・エクルストン    ヘンリー少佐
    ミーガン・バーンズ    ハンナ
    ブレンダン・グリーソン    フランク

 人間の人格をなくし凶暴なだけの存在にしてしまうウィルスに感染したチンパンジーたちが、動物愛護活動家たちによって放される。その活動家の一人がチンパンジーに噛まれて、仲間に襲い掛かる…。その28日後。交通事故で昏睡状態に陥っていたメッセンジャーのジムは、ロンドン市内の病院の集中治療室で意識を取り戻す。ベッドから起き廊下をさまようジムだったが、院内にはまったく人の気配がなかった。

 終末世界ものでした。
 それほど心胆寒からしめるものではなかったのですが、後半の武器を持って孤立し常軌を逸した小グループの存在はありきたりながら、納得できすぎて嫌になっちゃうほどでした。それに対抗して、気のいい主人公が結局暴力で対抗するしかなくなっていくなんて、それも納得なんですが、なんかなあ… 救いがないです。
 一番印象に残るのは、主人公が目ざめて無人の街をさまようところでした。あの街の描写は素晴らしい。音楽も効果的で世界が変わってしまったのだ、ということを次から次へと駄目押ししていくようでした。あと現場にあるものはにおいなのでしょうが、それがすこ~し希薄な感じ。部分的には忍び寄る腐臭などを感じさせるところもありました。

 少佐に「女性が未来」なんていわせてます。女性がいないと未来がない?? しかしどう見たって未来につなげようって扱いではないです。おそらく身体がすぐ壊れます。そこがよくわかりません。

 救いがないといえば、別バージョンエンディングはほんとに救いがありませんでしたが、あちらのほうがより「ありそう」で怖かったです。
 でも、あの極限状況で自己の安逸よりも他の尊重を固持する主人公のあり方がこのドラマに託された人類の希望なのかもしれません。

ボーン・スプレマシー (2004/アメリカ)

2006年06月17日 | 映画感想は行
THE BOURNE SUPREMACY
監督: ポール・グリーングラス
出演: マット・デイモン     ジェイソン・ボーン
    フランカ・ポテンテ    マリー
    ジョーン・アレン    パメラ・ランディ
    ブライアン・コックス     アボット
    ジュリア・スタイルズ    ニッキー
    カール・アーバン    キリル

 記憶喪失の元CIAのエージェント、ジェイソン・ボーンは2年前の壮絶なCIAからの逃走劇を生き延び、インドで恋人のマリーと隠れて暮らしていた。しかし、何者かに狙われ、マリーは死ぬ。ベルリンではCIAのパメラ・ランディが、捜査中襲撃され、二人が死に資料を奪われてしまう。そして現場からボーンの指紋が…

 公開中に後回しにして結局見逃してしまって心からマット・デイモンにすまないと思った。一作目が面白かったのに、なんとなく恋人が死んだりするって聞いたので心理劇とか回想シーンが多くなってたらどうしよう、なんてチラッと思いつい後にしようと思って、劇場で見る機会を逸してしまったのだ。
 面白かった。出し惜しみしない、実にうまいタイミングのアクション。それに「007」とは全く違い、いかにも頭使ってますのエージェントでとっぴな道具もなく、超人的な強さも目立たせずに「平凡そうな顔した苦悩するスーパーマン」をアクション娯楽映画で無理なく見せてくださってます。でもまあ、映画ですからいろいろ都合よすぎるところもあるし、超人的体力であることは確か。私だったら、怪我してから5分で失神してます。
 今度の二作目もヨーロッパあちらこちら移動し、冬のモスクワまで行っちゃいます。すべて現地ロケだそうです。モスクワの冬にさして分厚そうでもないコートで歩くシーンなど本当に役者も楽ではない、としみじみ思います。モスクワ市内カーチェイスはほんとにすっごい迫力。
 主役の一人だけで映画ができるわけでなく、これはスタッフ、共演の皆様ものってたしで出来のよい映画になったということでしょうが、映画といいますか、映画見るものの期待をわかってつくってる感じです。
 ジェイソン・ボーン役のデイモンはほんっとにカッコイイですねえ…

吹替え

2006年06月15日 | 映画の話題
 今週の月曜でしたか、夜のテレビ放送でジャッキー・チェンの「80デイズ」やっていました。これは劇場でもDVDでも未見だったので見ておりましたが、やはり映画は劇場で、大きな画面・良い音響・そして何よりCM中断なしで見たいなあと、つくづく思いました。
 映画自体はちょっと物足りなめで、ジャッキー・チェンがメインの映画にしてはカンフー少なめで、お話としては練り上げ不足(うう・・すいません、またしてもえらそう)な感じでしたが、面白いところもあったので、きっと劇場で見ても後悔はしなかったのではないでしょうか。

 でも、これ、吹替えがぜんぜん素人さんみたいでした。人気タレントがたくさん起用されていたようですが、出ずっぱりのフィリアス・フォッグの声がぜんぜん気が抜けたようですし、声がぜんぜん芝居してない人もいましたよ。日本の声優さんのレベルはかなり高いんじゃないかと思うのに、なぜこういうキャスティングするのかと驚いちゃいました。いつも山ちゃんや長島さんではつまらないと思う人もいるだろう。けど、あれがベストだとは思えないのです。映像は華やかだし家族向けみたいな感じの映画だったから、やっぱりうまい人だったらお話をもっと弾ませられたのではないだろうか。

インサイド・マン (2006/アメリカ)

2006年06月14日 | 映画感想あ行
INSIDE MAN
監督: スパイク・リー
出演: デンゼル・ワシントン     キース・フレイジャー
    クライヴ・オーウェン     ダルトン
    ジョディ・フォスター     マデリーン・ホワイト
    クリストファー・プラマー     アーサー・ケイス
    ウィレム・デフォー    ジョン・ダリウス
    キウェテル・イジョフォー     ビル・ミッチェル

 ダルトンと仲間のの銀行強盗グループが、白昼マンハッタン信託銀行を急襲、従業員と客を人質に取り立てこもる。事件発生の連絡を受け、NY市警のフレイジャーとミッチェルが交渉役として現場へ。一方、事件の発生を知ったマンハッタン信託銀行会長アーサー・ケイスは、凄腕の女性弁護士ホワイトに事件の渦中の銀行貸金庫の中に入っているものの秘密を守ることを依頼する。

 面白かった!!
 最近の私は、映画を見てのイチャモンとか愚痴とか文句が多くなったような気がして、もしかして性格が悪くなってひねくれた見方しかできなくなってるんじゃないか、と不安になってきたところでした。これは文句なしに面白かった。
 すっごく良いクライム・ムービー見ちゃった、わーい、という満足の一品。間然するところのない巧みな構成、ハイセンスな画面にユーモア、スパイク・リー監督「いい仕事してます」様々な人種の混在や警察・野次馬、市長までおそろいでニュー・ヨークという街を見せてもらった気分。役者の皆さんも本当に見事でした。クリストファー・プラマーがあんな役をやるのもなかなか皮肉で素敵。
 デンゼル・ワシントンとクライヴ・オーウェンががっぷり、って感じでもうカッコイイ、カッコイイ。
 クライヴ・オーウェンはこういうちょっと規範をはずれた人物がめちゃくちゃ光っていると思う。ちょっとむさいところも身震いするほど目が嬉しい。ジョディ・フォスターの喰えなさにも大喜びさせてもらった。
 そしてラストもイカシテいる。
 面白かった!!

グレン・グールド エクスタシス (1995年 / カナダ )

2006年06月13日 | 映画感想か行
GLENN GOULD: EXTASIS
監督: ジョスラン・バルナベ
出演: グレン・グールド 
    ウォルター・ホンバーガー
    ユーディ・メニューイン
    ブルーノ・モンサンジョン

 グレン・グールドと名がつくと手が出てしまいますが、これはグールドものの中でもちょっとはずれでした。いままで他のドキュメンタリーで既に聞いたことが多かったし、コメントがみんな断片的なのと、ピアノが少ししか聴けなかったのでがっかりだったのです。
 テーマごとにいろんな人のコメントの断片を集めるという、こういうスタイルは、最近グールドに出会ってこれから聴いていこうという人への紹介にはいいかもしれないけれど、私は欲求不満。ピアノ聴きたい、指が見たい、もっとじっくり話を聞きたい。
 他の記録映画では、彼自身相当語ってるもの。

 私は音楽は一義的に場の芸術で、演奏家と受け手とでその場で作っていくものだと思っているので、やはり演奏会しないグールドは特殊だと思う。でも素晴らしい。彼のCDを一年のうち半分の日数は聞いてる。ベートーベンの交響曲第5もおそらくオーケストラよりもグールドのピアノで聞いた回数のほうが多い。本来オルガン曲であるバッハ「フーガの技法」のピアノ演奏を聞いていつも唸る。同じものを聴いてもグールドの聴いていた音楽と私の聴いているものとは違うんじゃないかと思わざるを得ない。
 CDで一番好きなのはモスクワコンサート録音。それにしてもシェーンベルクを愛唱するなんて信じられない。

アルフィー (2004/アメリカ)

2006年06月12日 | 映画感想あ行
ALFIE
監督: チャールズ・シャイア
出演: ジュード・ロウ    アルフィー
    マリサ・トメイ    ジュリー
    オマー・エップス    マーロン
    ニア・ロング    ロネット
    ジェーン・クラコウスキー    ドリー
    スーザン・サランドン    リズ

 イギリスからニューヨークへやって来たプレイボーイ、アルフィー。彼はリムジンの運転手の一方で、様々な女性たちとアバンチュールを楽しんでいた。アルフィーは人妻ドリーと会った後、シングルマザー、ジュリーのもとへ押しかけ、親友マーロンの彼女ロネットにも手を出してしまう始末。ブロンド美女のニッキーとは同棲もはじめる。さらに超リッチな年上のビジネスウーマン、リズと知り合い、彼女こそ理想の女性かと思うが…

 マイケル・ケインの1966年のオリジナルは見たはずで、マイケル・ケインのモノローグだけはなぜか記憶にあるのだけれどそれ以外はすっかりアタマから消えている。本にしても、いわゆる世界の名作を「読まねばならぬ」とばかりに、その本を読みたくて読んだのではなくて、「読んだ」と言いたいだけの虚栄心で読んでいたのですが、それと同じように「映画なら見る」というような時期があって、ぜんぜん興味もてなくてもともかく見ていた時期に見たんじゃないでしょうか。今オリジナルの「アルフィー」を見たらきっと面白いだろう、と思ったリメイクでした。

 ともかく色男で女を見たらそれがどんな女性であろうと、たとえ隣のおばさんでもうれしがらせずにはおかないという天性の女たらし。だから悪意は全然ないのよね、ほんとに。かえって相手の生活に華を添えてるような気分。でもいつもその場だけの誠実で生きてるから、結果的にかかわった人にとんでもない傷を負わせることになる。
 そんなふわふわした「おもしろうてやがて悲しき」男を嫌悪感なしに、見るほうに納得させるには役者の底力が必要でしょうが、ジュード・ロウがその文句なしの美貌もあって、アルフィーになっているのに感心。
 それでオリジナルが猛然と見たくなってしまったのでした。
 音楽素敵でした。(映画のオープニングで一瞬「アルゼンチンよ泣かないで」に聞こえてしまった。)

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 私も歳をとったのでしょうか、映画を見てああ、こんな事態に遭遇しなくて良かったなあ…などと考えることが多くなりました。以前はそんなこと考えなかったのに。
 こういうプレイボーイも鑑賞するだけで周囲にいなくて助かるし(いや、プレイボーイも私のような偏った趣味だけで生きてる女には興味を示してくれないか)、一昨日BS2の放送で「HAZAN」という陶芸家の伝記映画を見ていたときも、家族内に芸術家がいなくてほんとに助かった…と心から思った。
 美しいものとか、独創を生み出すというのは並大抵のことではないのは理解できるが、そういった芸術家の苦悩とか貧乏も辞せずが私の生活にかかわってきたらどうしよう。是非遠慮したい。私は軟弱ものなのです。そんな生き方では最高の幸福感や高揚感を感じるとか、物事の深みを真に味わうことは出来ないかもしれない。でも平常の安定と引き換えにしても悔いない感情って、どんなものだろうか。

レジェンド・オブ・ヒーロー 中華英雄 (1999/香港)

2006年06月11日 | 映画感想ら行
A MAN CALLED HERO
監督: アンドリュー・ラウ
出演: イーキン・チェン   
    ニコラス・ツェー  
    クリスティ・ヨン 
    スー・チー 
    ジェリー・ラム  
    ユン・ピョウ 

 武術の才能に恵まれた華英雄はアヘン貿易を批判し殺された両親の仇を討ったために、恋人のジェイドを残し、アメリカに渡った。そこで人間として扱われない中国人の立場に怒り同胞を助けるために事件の起こし、そこでも追われる身となる。ジェイドは彼の子を身ごもっており、彼を追ってアメリカへやって来た。再会した二人は束の間の幸せな時間を過ごす。しかし彼の師からの奥義伝授を巡る日本人のライバルが、彼を狙う。

 キャストのニコラス・ツェー、ユン・ピョウの名前でワクワクして見たのですが。
 原作があるものらしいので、そちらのストーリーを追ったせいでしょうか、なんか展開が未整理な感じで、むりにあっちゃこっちゃ行くこたあないのになあ…日本行きは省いて他のとこで対決したって良かったんじゃないか?ヒーローは浮気しちゃだめ。などなど雑念入ってみてました。いろいろ盛りだくさんでアメリカにも気を使い、特に忍者の描写なんかは抱腹絶倒でした。
 大問題はアクションがいまいち弾まないこと。ワイヤーも景気良く跳んでるし、まさにマンガ!という炎が出たり水がはねたりの特殊効果も派手派手なんですが、私的に迫力不発。こっちでゲンコツ握っちゃうまでに至らない。それが残念。

 主人公とその息子、ライバルが今風イケメンなのと、兄弟子の怪人マスクで東映特撮シリーズっぽいのが、ユン・ピョウ様とそこはかとなき違和感をかもし出しています。日本の忍者が中国語で会話するのはまあいいけど、コードネームがあの時代にジュピターとかマーズとか、おまけに忍者なのに感情むき出しが笑っちゃう。忍者はとりあえず普段は何着てもいいけど、戦闘コスチュームがあれでは覆面した昔の郵便屋さんみたいでカッコよくない。スーチーさんの和服はもうちょっとびしっと着付けてね。だって「デキルくのいち」なんでしょう?
 ニコラス・ツェー、この当時は亀梨君みたい。今ほんとに彼に期待・注目してます。

父、帰る (2003/ロシア)

2006年06月09日 | 映画感想た行
VOZVRASHCHENIYE
THE RETURN
監督: アンドレイ・ズビャギンツェフ
出演: イワン・ドブロヌラヴォフ     弟イワン
    ウラジーミル・ガーリン    兄アンドレイ
    コンスタンチン・ラヴロネンコ     父

アンドレイとイワンの兄弟は母と暮らしていた。ある夏の日、12年前に家をでた父親が突然帰ってきて、兄弟を小旅行に連れ出す。写真でしか知らなかった父は、家を離れていたわけも帰郷のわけも何も語らない。そして当惑しながらも兄弟はそれぞれの反応を…

 作中の父も寡黙で情報量の少ない人でしたが、この映画自体もあからさまに語ることなく終わったことが多い映画です。スッキリさせてくれる親切な映画を見慣れた私の目には二人の兄弟といっしょに当惑したような感じです。こういうものだと受け取めるしかありません。
 解説にも「横暴な父」と形容されていましたが、私の見るところでは横暴とは思えません。要するに父親自身のの基準で接しているように見えます。ただ、男親というものを知らずに育った二人の兄弟には意味なく高圧的に思えるかもしれない。兄は父を慕う、というより、男の価値観というものに反応しているように思える。父への反感を募らせる弟はまだそれを受け入れる準備ができていない。それに不在・帰郷の理由を全く語らないことはきっと「大人の理由」なのだろうが、まだ世界を見る目が大人のほうまで開けていない弟には受け入れ不可能だろう。
 そしてあのラストである。初めて弟は「パパ」と我知らず、心の底から叫んでいる。
 (私も叫んじゃったんですけどね「何!?これ?」って)

 映像はきれい。北の夏の空の濃い青に白い雲。人物はというとなぜか沈んだような色彩を感じさせ、輪郭線がくっきりしたという印象。いかにも冷たそうな水の色。その色彩の中で私の感情が澱んで明確に言葉になりきらずにいる。