虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

人はなぜ「美しい」がわかるのか/橋本治著

2004年07月31日 | 
ちくま新書

315円DVDを求めて時間を費やしたので映画の数が減りました。
なんとなく本末転倒な感じはします。
おかげで電車移動中に読む本の数は増えたような気はする。

 橋本治のこの本は2度目になる。
 あるものを「美しい」と感じる感性も、すべて関係性で解説され、いわゆる豊かな感受性というものさえも、人との関係をいかに築いてゆけるかにかかるようだ。これって、昔「恋愛論」で同じようなことを感じたような気がする。

 まあ、それで思い出したのが「アンネの日記」狭い隠れ家の中で三家族が、安定剤を飲んで気分を抑えて暮らす極限状況で、彼女が偽物ではないかと疑われるまでの文章を残し、精神的成長を遂げたのは、日記を架空の相手への通信として、他者の目と存在を忘れないアンネ・フランクという少女の精神のありようと無関係ではないろう。
 そういうわけで今回はこの本で「自他」を考えてしまった。

クリック博士の訃報

2004年07月30日 | 日記・雑記
 昨日、ワトソン博士と共に二重螺旋の共同発見者であるクリック博士の訃報。
 ワトソン博士は有名な「二重らせん」をはじめ、書評欄でもよくみるがクリック博士の著書は読んでいない。
 「二重らせん」の中でも、ワトソンはクリックのことを「おしゃべりフランシス」とちょっと意地悪げに書いてるし、決して鉄の結束とばかりは言えない2人だったようだが、二重らせんの構造のヒントをつかんでから、DNAの三次元モデルを作る時の寝食を忘れて没頭する彼の姿はイメージどおりの科学者って感じ。エキサイティングな本だった。

 今日はもう一つ科学者関連の記事を見た。
 英字新聞の欄外コラム「ヒトコト」みたいなの。

"I'm sorry to disappoint science fiction fans."

 Stehren Hawking博士が彼のブラックホール通過理論を否定した後で。科学者が自分の理論を訂正するって、どんな気分のものなのでしょう?ニュースで聞く限りでは残念なことに病気は進行されているようだが、ユーモアは健在かな?「SFファンをがっかりさせてすまない」なんて。
 ところで、ホーキング博士が自説を撤回するという意味でwithdraw という単語が使ってありました。これは一番おなじみなのがwithdrawing room 居間? それに"Withdraw, my Lord"「我が君、退却を!」みたいな使い方。こんなふうに使うのか、と一人で納得。

仇討二十一話 /直木三十五著

2004年07月29日 | 
講談社文庫

まず仇討総論とも言うべき著者の総括・主なあだ討ちリストから始まって、「膨大な数の仇討作品群のなかから選び抜いた21編は、艱難辛苦の物語の陰の真実をも鮮やかに浮き彫りにする」(カバー解説)

 21話のはじめは鍵屋の辻。荒木又衛門。実録とか、山本周五郎的な人物裏話でもなく、検証するように、でも物語るように追って行く。ほとんどが講談・浄瑠璃・歌舞伎などでおなじみの話であり、それぞれの名場面を持っている。
 その話の人物でなく、受けるほうの願望でどのように変わって行ったかも注目するところながら、侍というものが生きていた時代の日本人の心性というものをはたして今理解できるのか?というような疑問はこの種の本を読むたびについてまわる。要するに自分の名を惜しむ、とか命をもって恥を雪ぐ、というような意識ですね。

 山本周五郎の「ひとごろし」でも、腕に覚えのある仇討されるほうは、遠くから「ひとごろし」と叫ぶ追っ手に対し、「卑怯未練」としか怒らない。ボキャブラリーの不足もあるだろうが、それだけの言葉があれば相手の武士としての非を責めるのに十分であったのだろうし、自身は卑怯未練なまねはしない、というタイプの侍なのだろう。明治以降の特に太平洋戦争後の意識変化は今とその時代への理解をかなり隔てているように思う。

国立歴史民俗博物館

2004年07月28日 | エンタテインメント
佐倉までお出かけしてきました。
見所いっぱいで、楽しかったです。
小中学生の夏休みの宿題は、ここで一日時間つぶせばばっちりです。ま、私どもはそういう心配はありませんので、「面白い~、かわいい~」と無責任に楽しんできました。

埴輪、土偶も全国のものが一堂に見られて、その造形の違いを楽しめますし、ジオラマもいっぱいで、特に洛中洛外図屏風のジオラマは張り付いて見ちゃった。網野善彦ファン、それに「千と千尋の神隠し」の元ネタのような造形いっぱいでジブリファンもとっても楽しめますでしょう!とはいえ地方の習慣や風俗、やはり稲作、藁使い多いですね。

秋田県の鹿島様という田の神様のような藁作りの巨大人形、見上げて思わず
「マグマ大使…」

それに、第5展示室で「ランチロメオ」「嵐寛寿郎の鞍馬天狗」の無声映画2本見られました。ふっふっ、とっても得した気分。

日本映画プロフェッショナル大賞

2004年07月27日 | 映画の話題
第13回日本映画プロフェッショナル大賞決定

公式ページ

「アカルイミライ」が第1位から作品賞・監督賞・主演男優賞独占でした。
主人公の社会生活不適応ぶりに「や~め~て~」と何度もつぶやきつつ見て、でも心にひっかかってしまう映画でしたが、この結果にはいささか驚きました。暗いし。

2ペンスの希望(1951/伊)

2004年07月27日 | 映画感想な行
DUE SOLDI DI SPERANZ
監督:レナート・カステラーニ
出演:ビンチェンツォ・ムゾリーノ マリア・フィオーレ フィラミーナ・ルッソ 

 アントニオは、兵役を終えて帰ってきたばかり。母や姉妹を養うため職を探すが、不景気で仕事がない。村の花火屋の娘カルメラは彼に夢中になるが、稼ぎは母にぜんぶ取られ、姉を嫁に出すための支度も稼がねばいけない彼はなかなかカルメラの思う通りにはならない。

 BSのなつかし映画劇場。
 おもしろかった。これも女の子の一途な恋を描いたもので、ついこの間「初恋の来た道」を見たのでどうしても比べてしまったが、こちらのほうがすごい陽性。村のオカミサンたちにからかわれ、死んじゃえ~とあっかんベーするヒロインなのだ。
 恋されるほうのアントニオもちょっとごつごつした、要領悪いお兄さんである。せっかく職を得ても思わぬヘマで失っちゃう。ともかく貧乏な男に娘はやれない、娘に対する親の目は厳しい。男のほうも、母のいいように使われてるみたい。でも、これって、少し前まで日本もそうだった筈よね。
 最後は、「俺達は愛だけでいいんだ、ほかに何がいる」ってことになり、村中で舞い上がっちゃう。おかしくて、幸せで涙が出ちゃう。いやあ、実はそれからが大変だったんでしょうけど。でも最後のモノクロ画面に思いっきりの青い空が見える感じ。

HERO 英雄(2002/中国)

2004年07月26日 | 映画感想は行
BS2の吹替えで見た。
映画自体については全然
公開時の感想
と変わりなし。
ラストについてのちょこっとの不満もそのまま。
公開の時にもワイヤーアクションわざとらしすぎ、なんて評もあったけど、それでこその映画だからそれでいいんだと思う。

これもまた吹替えはむずかし~と実感しました。
女性が特に。

ワンス・アポン・ア・タイムin チャイナ天地大乱 (1992/香港)

2004年07月25日 | 映画感想わ行
監督:ツイ・ハーク
出演:ジェット・リー ロザムンド・クワン ドニー・イェン


HERO外伝で物足りなかったら、どうしたってこれ!
ワンス・アポン・ア・タイムinチャイナ 2作目

 ジェット・リーの理想的にかわいくて最高にかっこいい英雄もノリにノってるし、アクションはクライマックス白蓮教教祖との空中戦から、どことなく童顔に化粧のドニー・イェンとの対決まで、本当に息もつかせないおもしろさ!
 孫文なんかも登場して、ドラマとしてもスケールアップしてるようですが、ともかくアクショ~ン!!

 マトリックスは映像のスタイリッシュなとこは勝ってるけど、アクションではもちろん負けてます。

HERO外伝

2004年07月25日 | 映画感想は行
BSでHEROを放送しますので
その前に外伝(メイキング)もやりました。
これは特に新しいことはありませんでした
とか生意気にも思いました。

武侠もの大好きなので
公開時も美しく武侠撮ってもらうとうれしいな、
なんて見てました。
美しいのは赤の女性対決。
それにトニー・レオンの持つ天性のような憂愁は好きで好きでたまらないんだけれど、あの映画のアクションの白眉は最初のドニー・イェンとジェット・リーでしょうね。
ドニーの出番が少なかったのよ!
チャン・ツィイーより、ドニーなの!

インファナル・アフェアのハリウッドリメイク

2004年07月24日 | 映画の話題
「インファナル・アフェア」のハリウッドリメイク。
マット・デイモンとレオナルド・ディカプリオ主演
マーチン・スコセッシ監督
ですって?!

う~ん
マット・デイモンとレオちゃんとどちらにあのトニーの哀愁が…?
それにスコセッシ節になるわけですか、あの映画が…
これまたドラゴンボールと同じく
楽しみなようなこわいような…

23日のテレビ

2004年07月24日 | エンタテインメント
テレビ視聴とは言っても、ほとんど映画ですが。

一番のショック
…「水曜どうでしょう」撮り逃しました。
2週続けて金曜深夜だったので、金曜朝テレビ欄にないのに驚き、木曜の新聞をみたら、なんと木曜深夜に!
なんてことでしょう。ますます気を抜けない番組です。
「となりのトトロ」
宮崎アニメの中ではわたし的に一番傑作だと思う。ほかのは良く出来ているし、見ずにはいられないけれど、やはりある種の主張が強すぎる。たとえば、主人公の姿勢。彼らはものを避ける時でも退く姿勢をとらない。悩みや葛藤を描いているようでも、彼らは基本的にものすごく強い。そのせいか私は見る時はどうしても距離をとってしまう。そこへ行くとトトロは何度見ても終わったあとのシアワセ感は素晴らしい。
「初恋の来た道」
これも5~6回見てるので気楽にみんなでワイワイ見てしまった。本当に美しい映像。チャン・ツィイーが一番美しいのもこの映画だろう。もともとカンフーの人でない様で、「グリーン・ディスティニー」でもいっちばんアクション下手だったが、この映画のどたどた走りはそれだけで切なくいじらしく、何度目でもぐっと来てしまう。今回も、先生のお茶目なヘアカットに十代少女の人気が集まった。

この週末のためには
「夫婦善哉」BS昼のなつかし劇場録画。森繁久弥です。森繁さんの若いころのこの独特の演技はただただ唸らされるものがあります。ただ私は蝶子にはなれないなあ、と思う。

脂肪吸引

2004年07月23日 | エンタテインメント
コスメとダイエット情報に目のない私ですが
(ダイエットしてないけど)
今度のメルマガのお薦めはすごい!
ついに美容整形の脂肪吸引です。
確かにね~、太ってはないけど
そのお肉のつき方の配分については
とてもとても悩んでいるのですが、
お値段見て、即あきらめました。
これなら、別のことにお金使ったほうが後悔なさそう。

値段表

モンテ・ウォルシュ(1970/米)

2004年07月23日 | 映画感想ま行
MONTE WALSH
監督:ウィリアム・A・フレイカー
出演:リー・マーヴィン ジャンヌ・モロー ジャック・パランス

 開拓時代も終わりに近いころ、西部のよき時代への愛着を断ち切れない老いたるカウボーイ主人公モンテ・ウォルシュをめぐって、西部の人々のそれぞれの人生を描く。

 初見。ジーンと来てしまった。
 イーストウッドの「許されざる者」でも、時代が変わってゆく中で西部の男たちが戸惑う姿を哀切に、でもしっかり見せ場も入れて描いていたが、これもまた同様。それに役者が思いっきりシブイ。
 明らかな老いと、西部の男の実力を共に見せるウォルシュ役リー・マーヴィン、飲んだくれだけどきりっとして優雅なジャンヌ・モロー。人生の路線変更を図って、でも昔の仲間に殺されてしまうジャック・パランス。一番老いたウォルシュだけが残り、みんな死んでいくのだ。
 撃ち合い、殴り合い、荒馬馴らし、西部劇らしい見せ場はぜんぶ整って、でも去っていく時代と取り残された人々への切なさが残る。

あばれ獅子(1953/日)

2004年07月23日 | 映画感想あ行
監督:大曽根辰夫
出演:阪東妻三郎 山田五十鈴 北上弥太郎 紙京子 月形龍之介

 これは原作が子母沢寛だから、読んだ本のどれか…「親子鷹」ってそうだっけ?勝海舟親子の物語。
 阪妻さんは相変わらずです。勝小吉らしいなあ、という魅力に溢れた小吉だと思います。海舟=麟太郎がすっごいインテリ風で、こんなものかなあ?というのは思いました。最後、小吉は後姿しか出てきません。「?」と思ったら遺作だったんですね。
 人妻はぜんぶ眉落とし鉄漿でしたが、それなりにきれいに見えました。今の女優さんでこれやったらホラーかもしれないですが。

稲妻草紙(1951/日)

2004年07月23日 | 映画感想あ行
監督:稲垣浩
出演:阪東妻三郎 田中絹代 木暮実千代 三國連太郎 進藤英太郎

 船来源三郎はやっと仕官した藩で、直情型性格のために横暴で陰険な家老を殴って脱藩する。上意討ちの命を受けた有馬又十郎は、彼に好意を抱く。そして有馬は船来の恋人をも好きになってしまう。

 ほとんどストーリーは「ニ都物語」みたい。恋する女性のためにその恋人の身代わりとなって死地に赴く。ただ、これは二都物語ほど悲しい結末ではなくて、あからさまではないけど、望みがもてるように終わります。
 阪妻さんは、やっぱりアクション控えめです。一番元気なときを知ってるとちょっと悲しい。とはいえ、顔千両な人で、アップが出るとなんかうれしくなっちゃうほど、素敵です。御歳のはずなのにね。三國連太郎、若くてしばらくは彼だとはわからなかった。突っ張り風な若者を好演してます。田中絹代さんも立派にマドンナやってますが、私は木暮実千代さん、なんてきれいなんだろう…とぽ~っとみてました。ほんとに美しいです!