虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

俺たちフィギュアスケーター(2007/アメリカ)

2008年09月30日 | 映画感想あ行
BLADES OF GLORY
監督: ウィル・スペック ジョシュ・ゴードン
製作: ベン・スティラー スチュアート・コーンフェルド ジョン・ジェイコブス
出演: ウィル・フェレル    チャズ・マイケル・マイケルズ
   ジョン・ヘダー    ジミー・マッケルロイ
    ウィル・アーネット    ストランツ・ヴァン・ウォルデンバーグ
    エイミー・ポーラー    フェアチャイルド・ヴァン・ウォルデンバーグ
    クレイグ・T・ネルソン    コーチ
    ジェナ・フィッシャー    ケイティ・ヴァン・ウォルデンバーグ

 アメリカ男子フィギュア・スケート界の2大スター、野性派チャズ・マイケル・マイケルズと正統アイドル系ジミー・マッケルロイH,同点一位となった世界選手権の表彰台で大乱闘の挙句、金メダル剥奪、永久追放。それから3年半後、みじめな日々を送るチャズとジミーは、ルールの盲点を突いてペア競技でスケート界に復帰しようとする…が。

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 そこそこおもしろかったです。
 ウィル・フェレルにしても、ジョン・ヘダーにしても、おとなしめだなあ、と思う映画でした。
 ジョン・ヘダーはこれまで見たのはわずかだし、フェレルも沢山は見ていないけど、突っ込んでく感じじゃない。「そこまでやるか」というところがない。
 必殺技映像なんかはあひゃひゃ、なところもありましたが、スケート界のスターも出てるし、それほど過激な線を狙った映画じゃないんでしょうね。
 スケートという競技自体の見方の、日本とアメリカでの違いも反映しているのかな、とも感じさせられる始末でした。

 この前に「ダージリン急行」(ウェス・アンダーソン監督)見た時は、ほんとにうひゃうひゃ笑ってたのに。自分の感覚が変わってきたのを実感してしまいます。


 明日、精密検査で、結果によっては手術になります。やりたくないです。

慟哭―小説・林郁夫裁判 /佐木 隆三著

2008年09月26日 | 
 光市母子殺人事件や、昨日の3人の男がネットで仲間になり、何のかかわりもない女性を殺した事件の報道などを見ておりまして、しきりに思い出されたのがこの本で読んだ裁判のこと。

 数年前に読みましたが、最近、講談社文庫から文庫版が出て、本屋に平積みになっておりました。オウム真理教事件の被告の一人、医者でもあった林郁夫の裁判を追ったもの。呼んでいると、被告・林郁夫が「何を考え、どう行動したか」がわかるような気にさせられました。サリン事件そのものを知るという意味でも意義の深いものだと思います。
 林郁夫という人はとても真面目で、責任も含めて物事を正面から受け止めようという姿勢を持った人で、それが希代のまやかし教祖に付け込まれる一因でもあったのかと、物事の皮肉な側面に暗澹ともしました。
 しかし、そういった人間であったからこそ、彼のやってしまった「取り返しのつかないこと」についての悔悟と自責は本物でした。
 そのことで、裁判が遺族の気持ちをさらに傷つけるものにならなかったのです。

 林被告の弁護は私選弁護人一人だけでした。著者の佐木隆三氏は「見事な弁護」と評価しています。光市の弁護団の展開した「真実」について、弁護として評価できるものであるのか、考えずにはいられませんでした。

 文庫版には書下ろし「その後のオウム裁判」も収録だそうです。また買わないといかんかなあ。

攻殻機動隊

2008年09月11日 | エンタテインメント
 7月から押井監督の新作情報を見ていたせいでしょうか、攻殻機動隊が時ならぬマイブームでした。今まで、テレビシリーズと「ゴースト・イン・ザ・シェル」「イノセンス」というアニメ化作品のみ見ておりましたが、このたび士郎正宗のコミックを買い込みまして3週間の他出の間に読むことにしました。
 
 攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL
 攻殻機動隊1.5 HUMAN-ERROR PROCESSER

 それに小説版
 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 虚夢回路

 もちろん、アニメのDVDも一緒です。
 コミック版のほうは、絵柄といい、枠外の細かい字の蘊蓄といい、なかなか手ごわいものでした。マンガは坂田靖子が日本一だと信じる余白の大きいのが大好きな私には、苦手な部類です。ちょっと非日常な時間の余裕ができたこんな機会でないと、なかなかまとめては読めなかったかもしれません。

 コミック・小説、それに劇場版とテレビシリーズのアニメの中で、やはり素直にすごい、と思うのは劇場版の質感と世界中にくまなく淀んでいるようにあふれる終末感(特に「イノセント」)。背中がすうっとするような変に寒々しい、でもみなぎっているような、本当に妙な感覚が体を這い上ってくるよう。病みつきになります。

 それで一番読み進むのに捗が行ってわかりやすいのは小説版でありました。でも、その妙な感覚があまりなくて。

日本海大海戦(1969/日本)

2008年09月08日 | 映画感想な行
BATTLE OF THE JAPAN SEA
監督: 丸山誠治
出演: 三船敏郎    東郷平八郎(連合艦隊司令長官)
   加山雄三    広瀬武雄少佐
   仲代達矢    明石大佐
   平田昭彦    津野田参謀
   土屋嘉男    秋山参謀
   佐原健二    信濃丸副長
   アンドリュウ・ヒューズ    ロジェストウェンスキー中将
                     (ロシア艦隊司令長官)
   ピーター・ウィリアムス    ネボガトフ司令官
   藤田進     上村中将

 日本連合艦隊とロシアのバルチック艦隊との海戦を描いた戦争スペクタクル。

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 基本に忠実に、細心な注意を行き届かせ、情報を正しく読み、なおかつ勝負に出るときは大胆に…というまことに、事に当たっては斯くありたい作戦です。

 6日土曜の夜BS放送の「7人の侍」見ずにこちらにしました。128分の映画でしたが、それよりもずっと長~く感じました。
 すごいオールスターキャストなんです。allcinemaのキャスト一覧でも、乃木大将の笠智衆も(ちょっと気の毒な役でもありますが)、辰巳柳太郎とか松本幸四郎とかもメインじゃない様な位置にあるほどです。
 東郷元帥、広瀬少佐などなど、昔の少年たちのヒーロー目白押しで、皆様きちっとその人物を造形しておられます。
 海戦シーンは素晴らしいです。

 でも… 学校で歴史の時間に教材ドラマ見ているような気分に誘われてしまったのでした。すいません。

ノーカントリー(2007/アメリカ)

2008年09月07日 | 映画感想な行
NO COUNTRY FOR OLD MEN
監督: ジョエル・コーエン
   イーサン・コーエン
出演: トミー・リー・ジョーンズ    エド・トム・ベル保安官
   ハビエル・バルデム    アントン・シガー
   ジョシュ・ブローリン    ルウェリン・モス
   ウディ・ハレルソン    カーソン・ウェルズ
   ケリー・マクドナルド    カーラ・ジーン

 ベトナム帰還兵モスは、複数の死体が横たわる麻薬の取引現場らしい場所の近くで、200万ドルの大金を発見した。危険と知りつつ持ち帰ってしまう。その後、組織と殺人者シガーに追われる身となってしまう。モスは、愛する若い妻カーラ・ジーンを守るため、死力を尽くしてシガーの追跡を躱していく。一方、老保安官エド・トム・ベルもまた、モスの行方を追い始める。

 例によってallcinema ONLINEの引用ですが、
 80年代、メキシコ国境沿いのテキサスを舞台に、麻薬取引がらみの大金を持ち逃げしたばかりに、理不尽なまでに容赦のない宿命を背負わされてしまう男の運命を、原作の持つ神話的スケールそのままに描き出す。

 映画を観終わって、これを読むまで、主人公がモスだとは思わなかったりして。
 誰が主人公?と聞かれると、モスかなあ…とは思いますが、なんかドラマの真ん中にいる気がしません。冷血で感情の感じられない殺し屋シガー役のハビエル・バルデムの印象は強烈ですが、やはり主人公とは言えません。
 この映画を牛耳っているのは、原題に最も端的に示される自分を取り巻く世界の崩壊…崩壊というよりも、世界が確かなものであることへの疑念かな。
 トミー・リー・ジョーンズのいかにも骨っぽい、老練な保安官の嘆息に、今まで堅固であると信じていた足もとが、砂状化して音もなく崩れて行くような感じがする。それを感じられるものは全部ではないけれど、運命というものは全ての者にひとしく気まぐれで不条理。気づいたが負け。ちょっと大げさかもしれないが、虚無の前にたたずむ恐ろしさというのはこんなものだろうか。

 恐ろしい映画だったが、一番恐ろしい殺し屋が妙に「納得の存在」であったのが不思議で、しかも面白い。忘れられなくなりそうな映画。

それでも生きる子供たちへ(2005/イタリア、フランス)

2008年09月04日 | 映画感想さ行
ALL THE INVISIBLE CHILDREN
監督: メディ・カレフ 「タンザ」
エミール・クストリッツァ 「ブルー・ジプシー」
スパイク・リー 「アメリカのイエスの子ら」
カティア・ルンド 「ビルーとジョアン」
ジョーダン・スコット、 リドリー・スコット 「ジョナサン」
ステファノ・ヴィネルッソ 「チロ」
ジョン・ウー 「桑桑(ソンソン)と小猫(シャオマオ)」

 “世界中の子供たちの窮状を救うため”というイタリアの女優マリア・グラツィア・クチノッタの呼びかけにユニセフと国連世界食糧計画が賛同し、7ヵ国から7組8人の映画監督が参加、それぞれの国の子供たちの過酷な現実を独自の視点で描き出したオムニバス・ドラマ。

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 アフリカの少年兵も、アメリカのエイズの少女も置かれている状況に差はあっても、どうしようもなく孤独。生まれる家を選べない少年が運命に対抗するために選んだ場所は少年院…
 それぞれに本来持つべき子供時代を奪われた子供たちが「それでも生きている」姿。
 見る前からわかってたことですが、批評とかそれ以前の話で、ここに描かれたものが実際に今現在どこかで起こっているとわかっていることが辛い。私自身「見ないようにしている」とわかっています。見れば、無力感に打ちのめされるし、今の安穏な日常に罪悪感を持つことが明白なので。
 とはいえ、救いは「それでも生きる」子供たち自身。祈るばかり。ともかく一度は見ましょう、としか言えません。

燃えよ!ピンポン(2007/アメリカ)

2008年09月03日 | 映画感想ま行
BALLS OF FURY
監督: ロバート・ベン・ガラント
出演: ダン・フォグラー
   クリストファー・ウォーケン
   ジョージ・ロペス
   マギー・Q
   ジェームズ・ホン

 弱冠12歳でオリンピックに出場しながら、ぶざまに負けたランディ。かつての天才もいまや見る影もなくぶよぶよ肥った場末の卓球芸人。ところがある日FBIがスカウト。FBIがマークする極悪人フェンが闇で開催する卓球デスマッチの世界大会に潜入し、フェンの尻尾を掴むこと。腕前がすっかり鈍りきっていた彼は盲目の卓球名人ワンとそのセクシーな姪マギーの下に弟子入りして、修行しなおす。

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 全米スマッシュ・ヒットのおバカコメディなんだそうです。ふうん…
 そこそこ楽しかったです。でも燃えよ、と言う割にはピンポンが、卓球シーンがあまり目覚ましくありません。周辺の細かい設定やお遊びが多くて、あの軽い球が火を噴くか、何かに穴でもぶち明けるか、どのようなCGの使い方を!などの期待はあっさりうっちゃられました。
 ワイヤー・アクションちょっととろいぞ、とか、展開にちょっと無理が、とかいろいろ考えます。もちろんあまり突っ込むような映画でもなし、ただ笑っていればいいのですが、目玉は敵ボス役クリストファー・ウォーケンの着せ替えのようです。なぜか似合ってるし。そこがいちばんおもしろかったし。ウォーケンの衣装代は制作費のうちどの程度占めているのでしょう。
 今をときめくマシオカさんがちらっと出演してますが、愛嬌あります。
 欧米から見た変な東洋趣味(日本も中国もごっちゃです)を楽しむのも一興という映画です。(あちらでは、まだまだこういうゲイシャ・スモウ・サムライのごった煮みたいなのが面白いんでしょうか?)

「ダメな俺を丸ごと受け止めてくれ症候群」

2008年09月02日 | 日記・雑記
 やっと帰ってきました。
 ネット接続は携帯のみという場所に3週間いました。やはり料金が恐ろしくてインターネットとお別れしていましたが、人間ネットなしでもちゃんと生きられます。

 ここでは身辺雑記は極力避けようと思っていますが、今年の夏、いささか頭に来たことをひとつ。後で後悔して削除するかもしれませんが。

 今朝、2chanで『はてな匿名ダイアリーに「ダメな俺を丸ごと受け止めてくれ症候群」というエントリーがある』というのを読みました。記事内容は以下のとおり。

 これは、オタク仲間の男性から告白された女性が書いた日記。彼の誘った食事の席で、
 彼は自分の魅力でなく、ダメさをアピールしてきた。「ダメな俺を丸ごと受け止めてくれ
 症候群」の彼を受け入れるという一方的な努力に嫌気がさして告白を断ったという話だ。

 これに「シロクマの屑籠(汎適所属)」というサイトが意見を寄せている。ダメさを押し出す
 アプローチには巧みな4つの心理ストラテジーがあるという。

 それは「自分の魅力よりダメさをアピールしてフラれる方が痛みが少ない」「ダメさを出して成功
 すれば女性が率先して自分の全てを受け入れてくれる」「自分は短所を女性に明かす誠意を
 持っていると自己正当化できる」「ダメな所を語って聞いてもらうことの快感」の4つだ。

 この症候群の人を恋人にするには、覚悟と懐の深さが必要と同サイトは述べている。


 最後のセンテンスに深~く頷きました。
 別に恋人になるような間柄でもなくても、なぜかもたれかかってくるような感覚もたせる人にお会いしまして、なんか付き合うのが苦痛でした。特別親しい関係はなく、アニメの知識が共通して知り合いになっただけなのに、やたら自分のダメさとその苦痛を訴える男性がいらっしゃいましたのです。
 どういう顔で聞いてほしいのか?どういう反応を期待しているのか?
 私が思ったのは、
「彼は、私に彼のダメさを否定して、素晴らしさを指摘してほしいのか?」
 でもそうすると余計にダメさをアピールするし。できなくて困るということに「こう対処してみたら?」と提案しても理由つけて却下するし。かといってダメに同意すると明らかに機嫌悪いし。
 私もおつきあいで気分が沈んでばかりではたまらないなので、彼に対してはダメアピールが出る前に彼の得意らしい分野について重箱の隅を細密ピンセットでほじくり返すような質問をしまくることでそちらへ話題を持っていこうとしました。ところがせっかくマニアックを追及しているのに、なぜか喜んでくれないのよね。
 この彼が「ダメな俺を丸ごと受け止めてくれ症候群」かどうかは、私の判断できるところではありませんが、私は「今のだめな俺」が「これからどういう自分になりたいか」を聞かせてくれたら、あんなに苦痛だったり居心地悪かったりしなかったのに、と思います。

 今年転地をしたのは、我が家のヘタレ男子…お医者さん2人とカウンセラー2人に抑うつ状態であると太鼓判押されているのに「自分を鬱と言いたがる人々」という本を読んで「自分は鬱を自分の怠けの言い訳にしているのではないか」とますます鬱になるヤツ…のためでしたが、ダメダメ自慢の彼のおかげでこのヘタレがまあ、ちょびっと愛しくなりましたね。
あくまでちょびっとですけど。
基本的にはどうしても

しゃきっとせんか!

と、どやしつけたいのよね。

 要するに、私、懐深くないし、癒し系でもない人間なんです。