虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

今年のベスト(2)

2006年12月31日 | 映画の話題
 考えさせられた、というか、見た後なんとなくまつわりつく感じのしたのが
「太陽」
「白バラの祈り-ゾフィー・ショル最後の日々」

 先のほうは、ロシア人監督でイッセー緒方が天皇を演じた。
 私はこの天皇は違う、と思った。
 そしてまた、人は誰でも自分の理解能力とか、自分の持ってる世界の枠内で人でも物事でも捉えるもので、しかもそれを忘れることも多い。天皇はとても特殊な人なのに、人は如何に自分自身でなく、他人のイメージの投影として存在を規定されているかを突きつけられた感があった。
 それにちょっとショックだったのは、今の日本映画で見るなんとなくこぎれいな戦後の風景よりも焼け跡の荒廃、虚脱したような日本を強く感じたことだった。
 まだまだまとわりついたままの映画なのであります。
 それと、天皇を植物出なく動物の学者にしたのは、あるセリフから考えて仕方ないのかな、と思ったけど、それだけでもかなりイメージが変わるのではないでしょうか。

 あとの方は、なぜこういう映画が日本でできなかったのかということがまとわりついてしまった。
 第1次大戦後のドイツが泥の中に落ちてしまったような惨めさを味わっていたこと、ナチスがドイツ人の誇りを訴え、見せ掛けでも光を示したことは知識として知っている。
 映画の中で、ゾフィーを尋問した尋問官が、誰を傷つけたわけでもなく、ただナチスに反対するビラをまいただけの彼女に対し、
「この行動は死刑になる反逆に規定されている。法があって人間が存在する。」と言い切る。
 それに対してゾフィーが
「良心に基づいて行動した。」
とやはり言い切る。
 私は法学は大学の一般教養で概論を、あとは商法とか特許法など少々教わっただけ。そして法学の最初の講義で「成文法と、不文律としての道徳が法である」ということを聞いた。それは自分の都合で覚えていたりいなかったりするんだろうな。
 そのことも、またユダヤ人弾圧に見るように自分の不満がかんたんに対象としての形を与えられてしまうのも、大義を差し出されてこれまた簡単に飛びついてしまうのも、なんだか背筋が寒くなるように理解できるのだった。
 周囲が熱狂していく時に、本当に冷静で良心に背かずにいられるか。ここまで考えさせてくれる映画は残念ながら、今年の邦画では出会えなかった。ま、もちろん私の感じ方が絶対ではありませんが。

今年のベスト

2006年12月27日 | 映画の話題
 本当は、「硫黄島からの手紙」を見てからのつもりだったのだけれど、イセエビの呪いで寝込んで、映画館に行く時間が取れなくなりそうなので今年の数少ない鑑賞作品の中で考えることにしました。

 いろいろ考える映画は多かったのだけれど、帰りにステップ踏んだりスキップしたり、つい電信柱で回りたくなったりするような映画が私にとってフェバリットな映画なのです。きちんと評価したい映画はもちろん賞賛したい。でも今年の映画で何がよかったかな~となったら、そういう映画をピックアップしたい!

 その種の映画は今年はすぐ思いつくのは3本
「プロデューサーズ」
 メル・ブルックスの素敵な悪趣味が健在でうれしい。
「トム・ヤム・クン」
 トニー・ジャーがいかにも彼らしく活躍して血が踊ったから
「インサイド・マン」
 食えない奴らが素敵っっ!!!!

 続きは考えちゃった映画を。

涙の年末(イセエビの呪い)

2006年12月25日 | 日記・雑記
年末のくそ忙しい時に、寝込んでおりました。
お腹に症状が来たので
すわ、ノロウィルスか?!と思ったのですが
さほどひどくならずに、でもやっぱり苦しかったです。

個人的にはイセエビの呪いじゃないかと思ってます。
当分は鮮魚売り場にも行きたくありません。

24日はやっとこ回復して
BSの「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」を
ベッドで見ておりました。
劇場鑑賞6回、DVDSEE版も持っていても
放送されるとやっぱり見ます。
クリストファー・リー、イアン・マッケラン以下の
おじさま、おじいさま方の声はやっぱりもともとの英語が素敵ですねえ。

白バラの祈り -ゾフィー・ショル最期の日々-

2006年12月21日 | 映画感想さ行
とりあえずすぐ書いておきたいと思った。

白バラについては、中学生くらいの時に記録文学全集か何かの中に収められていた「白バラは散らず」の抄訳を読んだことがあり、少しだけは知っていた。

緊迫感でまったく目が離せない映画だった。
ゾフィーもハンスも、自己の良心にもとづいた信念を貫いて生き、そして殺された。両親もまた、子どもの死刑を前にして彼らの信念を肯定することのできる人だった。
あんなに毅然と生き、死んでいったものたちの勇気にただ深く頭を下げたい。

そして、映画の中では、
ドイツの国民の
何かをしたもの
抵抗したもの
目をそむけたもの
流されたもの
が、たったあれだけの時間の中で描かれている。

ドイツと日本では戦争の傷跡のありようも描き方も斯くも違っていると思い知らされるようだ。
少なくとも、敗戦60年を経て、最近の映画については負けた、となんとなく思った。


怖い海老

2006年12月21日 | 日記・雑記
昨日は忘年会でした。
寿司屋で、刺身の大盛りがど~んと。
そして…

刺身のつまについているカイワレをとろうとするとなにやら抵抗感が…

きゃああああああ

生き作りのイセエビが肢を動かしながらしっかりとカイワレを抱え込んでいるではありませんかっ!!

食べられつつある皿の上のものと目が合ってしまいました。

もともと冷たい食べ物は苦手なので刺身も余り好物ではありませんが

…うなされそうです。

怖い蛸

2006年12月19日 | 日記・雑記
目が痛いので映画をちょっとお休みして
詩を読んでいます。

今年は「パイレーツ・オブ・カリビアン」で
大蛸のお化けが出てきましたが
怖かったですか?
東映特撮シリーズなどでも大蛸というのは定番の怪物としてちょくちょく登場しますが、定番になるだけあって新鮮味は薄いかもしれません。

私が一番怖いなと思う蛸は
萩原朔太郎の散文詩「死なない蛸」
水族館の忘れられた水槽で飢えた末に自分を食べ、消滅し-

それでも蛸は死ななかった。彼が消えてしまった後ですらも、尚且つ、永遠にそこに生きていた。古ぼけた、空っぽの、忘れられた水族館の槽の中で。永遠に-おそらくは幾世紀の間を通じて-ある物すごい不満をもった、人の目に見えない動物が生きて居た。

これが、その詩の結びですが、どうでしょう。
すごくナンセンスで怖くないですか?

涙の年末

2006年12月18日 | 日記・雑記
昨年の暮れも警察沙汰とかなかなか大変な状態でありましたが
今年は給湯器とエアコンと車が壊れました。(自宅のだけじゃないし)
ガスカランを増設しました。
車は今晩10時に購入申し込みしました。
なかなか本題に入らない営業さんで時間かかりました。
早く家に帰りたくないのかなあ。
最近また眼の使いすぎですぐ涙目になります。
涙ぽろぽろ流しながら交渉してると本当に情けない。

つ~か~れ~た~。

最近映画を素直に見てないような気がします。
やっぱり楽しまなければ損ではないか、
斜に構えて見るのはやめようと心がけているのに
眼が痛かったり、疲れてたりするので
辛い目評価になってしまう様にも思います。

でも「プロデューサーズ」は何時見ても楽しい!
これが私の今年のベストかな。

森のリトル・ギャング(2006/アメリカ)

2006年12月16日 | 映画感想ま行
OVER THE HEDGE

 恐ろしいことに、ほとんど笑いもせずに
「ああやっぱりね」
 など頷きながら最後まで見終わってしまった。

 CGやら、動物の毛並み、表情の表現はすごいの一語なのだが、ストーリーもキャラ設定も既視感だらけで、何を見ていたかといったら、声優とそれぞれのキャラの釣り合いみたいなもの。これはすごい。ただ、それを楽しめない子どもたちにとっては単純にストーリーを楽しむには、もうちょっとひねったほうが良いんじゃないか、とか思った。いや素直な子ならこれで十分なのかな。
 それにお菓子ばかり食べていてはいけません。クマさんはこのままでは生活習慣病になってしまいます。
 つい連想しちゃったのが「平成たぬき合戦」なんだけど、さて、孤立した自然に未来はあるのでしょうか。
 お話に入り込めなかったせいか、余計なことをどっさり考えましたがほんとに原語版・吹き替えとも声優はすごい面子です。

声優(原語版/日本語吹き替え版)
RJ    ブルース・ウィリス/ 役所広司
ヴァーン   ギャリー・シャンドリング / 武田鉄矢
ハミー    スティーヴ・カレル /石原良純
ステラ    ワンダ・サイクス 友近
ヘザー    アヴリル・ラヴィーン/ BoA
オジー    ウィリアム・シャトナー
ルー     ユージン・レヴィ
ペニー    キャサリン・オハラ
ヴィンセント ニック・ノルティ
ウェイン   トーマス・ヘイデン・チャーチ グラディス  アリソン・ジャネイ/夏木マリ

冒険王(1996/香港)

2006年12月13日 | 映画感想は行
監督: チン・シウトン
出演: リー・リンチェイ   ワイ博士
  金城武      パオ
   チャーリー・ヤン    シン
   ロザマンド・クワン   ユンフン

 1930年代の中国。考古学者の“冒険王”ワイ博士は、中国政府から伝説の聖典を探すよう依頼を受けた。その聖典を納めた箱を手に入れれば、世界を支配する力を持つと言われているのだ…… 

 ほんとに「インディ・ジョ-ンズ」そのまんまで、ギャグのセンスが方世玉っぽい映画。
 でも「ダニー・ザ・ドッグ」よりは私はこっちのほうが好きです。金城武は完全に三のセンで、きれいだけどコメディリリース専門。ちょこっとアクションするけど、リーのそばではどうしても負けます。やっぱり趣味好みの問題になってしまうけど、やたらスピーディーな香港スタイルアクションのリー・リンチェイは、やはりやはり!うっとり見惚れてしまいます…
 背景の時代考証は時々「?」なところもあるし、それに忍者やら、相撲取りとのバトルにいたっては、やってるほうは痛そうだけど、見てるほうでは大爆笑。もうおっかしくて!
 リーも金城武も女装シーンがありますが、リー・リンチェイはけっこう女装好きなのかも知れないと思ってしまうシナの作り方でおかしい。
 収め方はそれほどハッピーエンドというわけにもいかなかったけど、とても笑えた映画でした。

 ただ、別に突っ込みどころではないけど、なんで香港映画の日本人役の着物の着方ってずるずるしてるんでしょうか。男の人は思わず衿を直してやりたくなりまする。

キムタク、チキチキマシン、スペクトルマン、ジェット・リー

2006年12月12日 | エンタテインメント
・木村拓哉主演の「武士の一分」
 私が「ゲド戦記」を見てあれだけ腹が立ったのは、75パーセントは原作に対する思い入れのせいで、全く素の状態であったらああまで腹は立たなかったのではないかと思う。
 それと同じで、「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」と、藤沢周平の映画化にはだんだん違和感が大きくなる。「武士の一分」は主演が今までのテレビを見る限り「何をやってもキムタク」な役者みたいなのでどうも不安でたまらない。私の持っている海坂藩の剛毅でちょっと野暮で誠実な田舎侍のイメージから大いにずれそうで怖い。やっぱり見にいくのはやめようかな。

・チキチキマシン猛レース
 これは本当に面白い。
 アメリカンアニメシリーズで、11組のメンバーが一生懸命ズルをしたり、足引っ張り合ったり、ちょこっと助け合ったりしながらただただレースのためにレースをするだけなのに、ブラック魔王の必ず失敗する悪巧みや、相棒ケンケンの味方のような、ただのいじわる好きみたいなキャラ設定もけっこういい。
 吹き替えと、原語版と両方見たけど、私は、ケンケンがしゃべる日本語版が分かりやすいし楽しかった。

・スペクトルマン
 これもまたいつもヒーローシリーズの話をしている先輩から聞きました。
 名前からして、「レインボーマン」のもじりですか、と思ったら、なんと変身ヒーローと公害問題と「猿の惑星」を混ぜたようなものなんだそうです。聞くだけでもとってもすごそう。でもDVDのレンタルは無いし、見るのは困難みたいです。

・ジェット・リーの「ダニー・ザ・ドッグ」
 見終わって「ハテナ?」と首を傾げてしまう映画だった。
 もしかしたら、私の頭が固くなっていてステロタイプなパターンしか受け入れられなくなっている状態なのかもしれない。
 ああいう設定にするんだったら、もっと若くて荒々しく、稚さの脆さがミエミエという子を使うんじゃないか、いくら笑顔のかわいいジェット・リーでも、もう年齢的に無理があるんじゃないか、と思ってしまった。

お知らせなど

2006年12月11日 | 日記・雑記
 お知らせです。
 私もついにスパムTBに負けまして、トラックバックを保留・承認後に公開することにしました。WEBの片隅でなるべくひっそりと書きたい様に書いていこうと思っている私のようなもののところにまで"hardcore"なんてTBを送りつけるなんて…皆様も困っていらっしゃるのでしょうねえ。

 なんだか忙しい上に、書くより見たいので、感想書いていない映画はたまる一方です。でもぼちぼち苦にならないペースでやっていこうと思います。

 廉価版DVDで「チキチキマシン・猛レース2」を買いました。ヤマダ電機に2しかなかったのですが、いくつまで出ているのでしょうか?
 実はこれ、テレビの再放送みたいなのを見た覚えはあるんだけど、内容をはっきり覚えていませんでした。ちょっと見て笑っちゃいました。何のためのレースとか言うんじゃなくて、ほんとにレースのためのレースしてるんですね。勝つために一生懸命じゃないですか。癖になりそうです。
 それからハリウッド進出前のジェット・リーと日本進出前の金城武の競演という「冒険王」というのも買いました。ジャケットの坊主頭でないリーは今ひとつぴんときませんが、まずは見なくては。
 ジェット・リーといえば昨日「ダニー・ザ・ドッグ」を見ましたが。う~ん、モーガン・フリーマンまで引っ張り出してるんですが、なんかなあ、ちょっとずれてるような…

リバティーン(2004/イギリス)

2006年12月07日 | 映画感想ら行
THE LIBERTINE
監督: ローレンス・ダンモア
出演: ジョニー・デップ    ロチェスター
   サマンサ・モートン    エリザベス・バリー
   ジョン・マルコヴィッチ     チャールズ二世
   ロザムンド・パイク    エリザベス・マレット

 1660年代、王政復古のイギリス。第二代ロチェスター伯爵こと詩人のジョン・ウィルモットは才能を王にも周囲にも認められていたが放埓な生活を送っていた。ある日、ジョンは訪れた芝居小屋で観客のブーイングを浴びていた若い女優エリザベス・バリーに目を留め、彼女に演技指導を申し出る。

 ジョニー・デップがだんだんメジャーになってきて「ジョニーがもう変な(失礼)映画に出なくなったらどうしよう」と少し心配だったのですが、どうでしょう。この映画の製作も2004年ですが、彼はこれからもジョニーでなきゃ、という役を選び続けてくれるでしょうか?

 これも、なまじ才能と敏感な心を持ってしまったがために、幸福になりたいクセに、それから遠ざからずにいられないどうしようもない天邪鬼の映画でした。絶対に満たされない人間の心の飢えを嫌悪感無く、かっこよく見せるのは、役者のルックスと力量とが必要で、よくやってますよね。サマンサ・モートンとマルコヴィッチはそれぞれの役で、リバティーンの発散する愛と毒とを巧く受けていたと思います。
 全体に画面が暗い、なんだかまるで劇場みたいに顔とか白い部分が浮き上がるような、画面全体が滑らかでない感じで、不快感とは違うがちくちくした感触のある不思議な映像だった。

007/カジノ・ロワイヤル(2006/イギリス、アメリカ)

2006年12月06日 | 映画感想さ行
CASINO ROYALE
監督: マーティン・キャンベル
出演: ダニエル・クレイグ     ジェームズ・ボンド
   エヴァ・グリーン     ヴェスパー・リンド
   マッツ・ミケルセン     ル・シッフル
   ジュディ・デンチ      M
   ジェフリー・ライト     フェリックス・レイター
   ジャンカルロ・ジャンニーニ   マティス

 殺しのライセンス00(ダブルオー)を取得したばかりのエージェント、ジェームズ・ボンドは、テロリストの資金をテロによる株価の操作で増やす男、ル・シッフルの組織を追うことが任務。ボンドが航空機爆破の阻止したため、ル・シッフルはモンテネグロの“カジノ・ロワイヤル”で大勝負に出ることに。ボンドは財務省からお目付役として美女ヴェスパー・リンドと共に、カジノへ乗り込む。

 面白うございました。
 ほんとは正月前にこのザンバラになりつつある髪を何とかしなくちゃ、美容院へ行かなくちゃと思いつつも、本日は007の誘惑には勝てませんでした。見られて良かった。
 今までのスマートで女性の扱いは手馴れたものといったボンドとは印象違って、筋肉マッチョで発展途上のボンドでありました。この映画はボンドがいかにして非情のエージェントになったか、みたいな話ですし、これでよいのでしょう。でも、このボンドはやっぱり原作イメージとはすごく違うと思います。
 今まで一番絵になったのはショーン・コネリーのボンドだと私は思いますし、いくら映画が古くてもカッコいいものは断固としてカッコイイ。あの全身フェロモンの塊みたいなボンドは個人の好みはさておき、極めつけです。それで、ダニエル・クレイグのボンドは絵になり方がぜんぜん違いました。こちらは肉体派の派手ハデアクションが決まってます。しょっぱなから走る、撃つ、殴り合うシーンの連続でたっぷり昂奮させてくれます。女性には幾分不器用め。彼には似合っている感じでしたが、次作以降はどうなるのでしょう?
 悪役がいかにも悪人面なのも嬉しいですねえ。

 スパイガジェットもインビジブルカーみたいなのではなくて、現実にはちょっと無理だろうけどすごくお役立ちそうな物がさりげなく出てきてこれもGOODでした。

 というわけで、この映画はとても楽しめましたが、007映画なら、それなりに期待するものがキャラについても大いにあります。それについては新しいボンドの一種独特のブルーアイを見ながら、「そういえば、青い眼のボンドって今までいたかな?このちょこっと戸惑いに揺らぐような目が揺るがない非情の目になるんだろうか…」など、次回作から主人公がどうなるんだろうなあ…とは考えてしまいます。

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 昨夜は疲れてバタンキューで寝ましたが、今日帰ったら、メールが3桁になるほどたまっています。ほんとに郵便ダイレクトメールの数倍たまります。処分の手間はともあれ、メールもためると気が重いです。

スタンドアップ(2005/アメリカ)

2006年12月04日 | 映画感想さ行
NORTH COUNTRY
監督: ニキ・カーロ
出演: シャーリーズ・セロン    ジョージー・エイムズ
   フランシス・マクドーマンド   グローリー
   ショーン・ビーン      カイル
   リチャード・ジェンキンス   ハンク・エイムズ
   ジェレミー・レナー    ボビー・シャープ
   ミシェル・モナハン     シェリー

 暴力夫と別れ、2人の子どもを連れて故郷の北ミネソタの町に戻ってきたジョージー・エイムズ。彼女は若い時に私生児を生み、今度は離婚で、周囲は親さえも彼女に責めるような目を向ける。そんなジョージーが自分一人の手で子どもたちを養うために選んだ仕事は鉱山労働者。仕事もきびしかったがそれ以上に厳しかったのは、同僚のほとんどの男性たちからの露骨で悪質な嫌がらせの数々だった…。

 現代がノース・カントリー。でも、この邦題はなかなかよくつけたと思う。この映画の中でどこでも、特にラストのスタンドアップのシーンは感動的だった。
 差別というのは、えてしてその原因はどうにも理解しにくいものなのではないか。
 私は、キング牧師と黒人たちの非暴力のデモ行進に「Hate! Hate!」と罵声を浴びせる女性たちのゆがめた顔の有名な写真を見た時に感じたのは当惑だった。「この人たちは、彼らに何を奪われると思っているのだろうか?」
 この映画でも男性は女性たちに何を奪われると思ってあんな自分たちの品性を下げまくるような行為が実行できたのか???? 日本よりも男性のマッチョ幻想がはるかに強烈そうなアメリカの、それも鉱山という特に男くさそうな職場ではあるが、やはりハテナマークは消えない。ボビー・シャープの動機ならわかる。弱い自分を憎むことから逃げるには、その弱さと対面する原因になったものを痛めつけるしか考えられなかったというのは、よくあるパターン。
 それにしても、これが実話というのがアメリカの底力だと思う。私だったら、おそらく取引する道を探るんじゃないかと思うし、出るところへ出た女性たちの勇気には敬服するしかない。そして協力者はちゃんといた。

 シャーリーズ・セロンはちょっと粗野な女性労働者をきちんと演じてえらいけど、何をどうしてもやっぱり美人だ。

イン・ハー・シューズ(2005/アメリカ)

2006年12月01日 | 映画感想あ行
IN HER SHOES
監督: カーティス・ハンソン
出演: キャメロン・ディアス    マギー・フェラー
   トニ・コレット     ローズ・フェラー
   シャーリー・マクレーン    エラ・ハーシュ
   マーク・フォイアスタイン    サイモン・スタイン

  誰もが認めるナイス・ルッキングだが、難読症というハンディキャップを持ち、仕事も続かず困り者として扱われているマギー。姉のローズは弁護士として成功しているものの、寂しいキャリアウーマンそのものの生活で女としての自身が持てない。冷たい父の後妻に家を追い出されたマギーは、ローズの家に転がり込むが、喧嘩した挙句にローズの留守中に訪ねてきた彼女の恋人にちょっかいを出してしまう。行き場の無くなったマギーは、亡くなった母の方の祖母エラのもとを訪ねる。

 泣けました。後半、フロリダのところでは特に。私、年寄りには、とりわけ誇り高きお年寄りに弱いんです。
 キャメロン・ディアスのマギーは確かにきれいはきれいだけど、彼女を馬鹿にしている継母のいる家を離れられず、失敗を恐れてか易きに走り、自分の引け目に対する悲しさを暴発という手段でばかり表現している。姉ローズは確かに見た目は少し負けても、きちんと生活し、寄ってくる男だって(少ないかもしれんけど…ただ結局は男か…という1名が残念)妹に比べれば段違いのレベル。妹は姉を頼りにも、自慢にも、疎ましくもあり、姉は妹をかわいくもあり、心配でもあり、密かな喜びでもあり、疎ましくもあり…実際お互い様で、そして誰よりも遠慮のない、親しい友。
 これはきっと原作はもっと泣けるんじゃないか、「シューズ」をめぐる彼女たちの思いがタイトルからするともうちょっと重いような感じもするけど…など考えつつも、マギーが、姉が年長者として背負ってきたものを知り、二人が和解の抱擁するところや結婚式のシーンでは「DVD(家)でよかった」というほど涙ぽろぽろ。
 
 終わりにはすべてうまくいくので、ほんわかした気分になれるし、お疲れの時には栄養ドリンクより効くかも。(女性限定かもしれないけど)

 ただ、この映画に関しては、私はトニ・コレットって「美人でない」とは見えないのです。彼女は確かに妹に見てくれで負けていることを認めても(婚約後だんだん着るものが華やいではいくけど)ジタバタせず彼女なりのスタイルしかしない。それを開き直りととるか、努力不足とするか、自分自身のスタイルを守る頑固さととるかは見る人次第になるのでしょう。