虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

半期の終わり/ゲームはモンスター付きがいい

2007年09月30日 | 日記・雑記
 年度が半分終わる時期となり、アニメの最終回が続きました。
 BSの「守り人」は最後まで背景となる世界の風俗が、私が本を読んでイメージしていたものとの違和感が抜けず(特に旅館宴会場のような屋内のシーンとか、それにやっぱり主人公と彼女を支えるタンダという恋人にあと一息の男性の造形)悪くないアニメなのに、残念でした。
 でもやっぱりチャングムより、守り人バルサが守り抜く王子チャグムのほうが素敵です。皆様、是非原作シリーズを通しで読んでくださいませ。成長していくチャグムは、自分に課せられた宿命に挑んでいきます。
 NHK教育の「風の少女エミリー」は少女時代で終わってしまいました。私としてはその次が面白かったんですが。

 年度は半分終了ですが、帳簿は12月締めなので、これからが気を入れなければいけない時期です。外回りもあと10日くらいで終わらせなくては。
 今年がこんなわやくちゃに忙しくゴチャついた事態になるとは思わず、3月ごろに引き受けた赤十字のボランティアで、献血の案内というのをやってきました。人込みの中で「献血にご協力ください」というプラカード持って立っていて、尋ねられたら場所を案内、という役です。
 2時間立っていて
 ・献血について尋ねた人  3人
 ・道を尋ねた人  10人ほど
 ・政治情勢について熱く語った酔ったおじさん  1人
という状況でした。役に立ったのかしら。疲れたけど。

 ご近所の中学生が女性向けゲームという「金色のコルダ」という「ときめきメモリアル」の男女逆転版みたいなソフトを貸してくれました。かっこいい男の子がどっさりでてきて、お気に入りの一人と思いを確かめ合える関係になれるか、というようなゲームです。
 私はゲームにイケメンがいっぱいいるのはそれなりに嬉しいけど、音楽を酔ったように奏でているよりモンスターを倒してくれるともっと嬉しいわ。

 香港映画「かちこみ!ドラゴンタイガーゲート」来ました!ドニー・イェンとニコラス・ツェーのアクション・エンターテインメント。こういうの死ぬほど好きだわ。

「失われた時を求めて」が漫画化だそうで

2007年09月27日 | 
 私としては、この本は当時の風俗が良くわかる資料的に正確な映像化があればな~とか思っていたのですが、どうなるでしょうねえ。漫画では紙上の絵のみなのが残念。
 あの本のスノッブ風味の横溢はどうも実質第一な家庭環境で育成された私にはピンと来ないところがあって、読んでいてもどかしい感じが最後まで付きまとっちゃってました。コスチューム・プレイの映画も巧くあの小説とリンクするのが見つからない。絵だけでなく音があれば話し方なんかも、もちろんフランス語はわからないけど、聞けば昔のジャン・ギャバン、アラン・ドロンの映画と比べて感覚つかめるかな、と思ったのです。
 大英帝国時代の上流社会の感覚も今ひとつ腑に落ちないところがあって、クリスティの小説の描写とか、映画の「ゴスフォードパーク」漫画の「エマ」などで、その辺拾ってる処なんですが。
 ただ「資料的に正確な映像化」では面白くはないかもしれませんが、雰囲気のわかる漫画になっていると嬉しいなあ。 

 最近「カラマゾフの兄弟」の新訳が出て人気らしいです。本屋で少し読んできましたが、字も大きいし言葉が今風で読みやすそう。家に帰って昭和30年出版(誰が買ったんだろう)の3段組で字が小さく行間の狭い全1冊の「カラマゾフ」を15年ぶりくらいに読みなおし。昔読んだ文体には馴染があってそれなりに読みやすいけど、新訳買ってみようと思う。年取りますと、あの悪魔的にパワフルな親父から受ける印象がかなり変わっていました。

 スティーヴンソンの「自殺クラブ」だったかが再刊した時に読んで違和感バリバリだったのは、訳が古いためか、登場人物の高等遊民的な生活している男性が「~でげすな」などという話し方をしていたことです。話し言葉で人物の階層的なポジションや教養レベルなど表現されますが、それも世代で感覚が変わっていってしまいます。

墨攻(2006/中国、日本、香港、韓国)

2007年09月27日 | 映画感想は行
A BATTLE OF WITS
監督: ジェィコブ・チャン
出演: アンディ・ラウ   革離
   アン・ソンギ    巷淹中
   ワン・チーウェン    梁王
   ファン・ビンビン    逸悦
   ウー・チーロン    子団
    チェ・シウォン    梁適

 紀元前370年頃の戦国時代、大国・趙が送り込んだ猛将・巷淹中率いる10万の大軍に、全住民わずか4千人の梁城は落城寸前の危機に瀕していた。梁王は攻撃をせずに守り抜く“非攻”を信念とする集団・墨家に援軍を求めるが、やって来たのは粗末な身なりの革離ただ1人だった。

 正直余り期待していなかったのですが、その分お得に感じた映画でした。
 アンディ・ラウかっこよかったし。ちゃんとアクションも見せるし、城と周囲の位置関係掴むのは難しかったけど人もいっぱいでダイナミックな戦闘シーンが続いたし。逸悦が強そうよりも綺麗が重点なのがちょっと残念かも。
 原作(酒見賢一)読みます。まあ、酒見賢一ですから映画ほどのスペクタクルがあるかはわからないが、この設定は面白い。
 権謀術数の戦国時代に、見返りを受けずにただ平和を希求するがゆえに、戦を「守り抜く」ことに力を貸す。そのために戦のスペシャリストになるという、一見不思議な墨家。ぶっちゃけてしまうと、手を貸した相手が敵よりも卑劣で品性下劣であったので、ムカッとするラストを迎えねばならないのだ。
 理想が現実に負け、死んで欲しくない人間がバタバタ死に、主人公は結果的に敗北したと思わざるを得ない。
 とはいえ、後味は悪くない。人間の救いがたい様相も、そうあれかしという姿も、結局人は様々なのである。

 アンディ・ラウはひさびさしみじみい~な~、と思ったが、この映画でもアン・ソンギ素敵でした。やっぱり主人公の意思や行動を受ける側に重みがあるとよろしいです。同じ意味でワン・チーウェンも。

善き人のためのソナタ(2006/ドイツ)

2007年09月22日 | 映画感想や行
DAS LEBEN DER ANDEREN
THE LIVES OF OTHERS
監督: フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演: ウルリッヒ・ミューエ    ヴィースラー大尉
   マルティナ・ゲデック    クリスタ=マリア・ジーラント
   セバスチャン・コッホ    ゲオルク・ドライマン
   ウルリッヒ・トゥクール    ブルビッツ部長

 1984年、壁崩壊前の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)の局員ヴィースラー大尉は国家に忠誠を誓う真面目で優秀な男。ある日彼は、劇作家ドライマンとその恋人の舞台女優クリスタを監視し、反体制思想を持つ証拠を掴むよう命じられる。さっそくヴィースラーは徹底した監視を開始する。しかし、彼らの生活を見聞きするにつれ、ヴィースラーに変化が…

 当時の東ドイツが国家丸ごと盗聴・密告社会であるというのを見て、複雑な気持ちにならざるを得ません。
 とんでもなく息苦しい人間にとって生き難い社会であるのは誰が考えても当然と思われますが、社会秩序の維持とか、敵の存在とか、もっともらしくて反論許さない理由はいっぱい存在していて、しかもこれは冷戦時代の東側の過去の話というわけでもなく、今現在進行形の国がまあ、すぐ浮かんじゃうわけで。

 重苦しい話だが、久々に空気の入れ替えをしたような清涼感を味わった映画。

 ヴィースラーが監視している芸術家に心を添わせてしまうのはすごく自然に納得。
 この映画における諸悪の根源のような狒々爺の芸術大臣も、シュタージの部長もどちらも考えていることは己の我欲と保身で、共産主義も国家体制もその保持のための道具に過ぎない。
 対して気の毒なヴィースラーは共産主義と国家の秩序維持が重要で必要であると信じて、身を捧げている。ところが、もっと心に響くものを見つけてしまった。そしてその結果、シュタージを裏切り、それまでの優秀な反体制を追い詰める猟犬のエリートの地位を捨て、社会的な負け犬としての人生を選ぶ。まさに意思的に選んでいる。彼は保身のための細工をしていない。そして黙って不遇に生きる。そしてラストの清々しい表情はどうだろう。そこで私はこの映画全体に感じる冷気が一気に冷たく痛く、しかし清々しく吹き抜けるように感じてしまった。

 ドイツ語の元タイトルは英訳題が忠実なのですね。しかしヴィースラーの純粋さを思うと、巧い邦題だと思う。どぎつい欲望むき出し人間が目立ち、裸体を美しいよりなまなましく映しているようなこの映画のもつ品格は、この困ったような人間の純粋さに起因するものだろうか。

年年歳歳花相似 歳歳年年人不同‐近況

2007年09月11日 | 映画の話題
 記事タイトルは誰でも知ってる漢詩の一節ですが、この思いを切実に感じています。
 今年は私にとって節目の歳、という気がします。
 3月には、とても尊敬していた方が60歳という若さでなくなりました。7月ごろから私自身の体調も良くなかったのですが、仕事で契約関係事務を全部引き受けていただいていた担当者が同じ頃に体調を崩し「お互い秋までに治して、抱えている案件一緒に片付けましょう」と言っていたのに、先週亡くなられました。
 本当に有能な方で、何事にもきちんと対応してくださり、これからもいろいろと吸収させていただこうと思っていました。歳歳年年人不同…人の命の有限はたいがい不意打ちで思い知らされるものですが、これはまったくの青天の霹靂でした。
 大黒柱だったその方がいなくなったことでエージェント自体が閉鎖になることになって、仕事上でも大打撃です。
 予定を全部組みなおさなければなりませんし、何よりも、10年以上も頼っていた、結果的に他のエージェントとの付き合いがなくなってしまったのでただいま必死です。
 私の体調は良くなってきていますが、まったく余裕が持てなくなってますので、しばらくはせいぜい週一くらいの更新ペースになると思います。

 とはいっても、家では映画見ないわけではないです。こちらのほうでも、私の見方が変わってきたことに、我ながら気付きます。
「UDON」(監督:本広克行、出演:ユースケ・サンタマリア)という映画を見ました。感想書きたい映画ではなかったです。いつもどおり一応最後まで見たのですが「途中でやめちゃおうか」と思いました。
 いままで途中でやめたのは映画館鑑賞だけで、「誰も知らない」が効果音がきつすぎて、人に混じって見るのが耐えられなくなった(あとでDVDで見ました)のと、暴風警報でやむなく家に帰った映画だけ。家で見ていてくどく感じるので見るのやめようかと考えたことは、これまでまずありませんでした。気力が落ちてるんでしょうね。

「Gガンダム」も見続けていますが、う~ん後半の愛愛路線がつらい。ギャグだと思ってもヒロインのレインに「一体この男のどこが良くて追いかけているのか!?」と聞いてみたい。10巻でやっとお兄さんの覆面が取れました。国旗仕様デザインなので仕方ないこととはいえ、あのダサいマスクから開放されてよかったな~としみじみ思います。

月影兵庫今昔

2007年09月05日 | エンタテインメント
 昨日の夜、テレビ朝日の「月影兵庫」というテレビ時代劇を見ました。凄腕浪人と気のいい渡世人の勧善懲悪定番旅日記。
うちのビデオにそんなのあったな、と思ってビデオの山を掘り返していたら、2本ほどを収録したのを見つけました。もう30年ほども前のもので、BSでなつかしのテレビドラマを放送したときに録画しておいたものです。白黒ですがとてもとても面白かった。昨日のドラマよりも私には好みにあっております。

キャストは
旧版   近衛十四郎(月影兵庫)  品川隆二(焼津の半次)
新版   松方弘樹(月影兵庫)  小沢仁志(焼津の半次)

 兵庫役は親子で引き継がれていますので、さすがに似ています。
 私が古いほうが好いなあ、と思ったのはキャラクター。
 特に半次役の品川隆二。コミカルな役だけどすごい美男で、明るさと愛嬌に嫌味がまったくない。「竹を割ったような性格」というのを絵に描いたよう。
 近衛十四郎の剣戟はやはりスターで迫力満点だし、絵が決まるし、豪快な笑い声とものに捉われないおおらかさが素敵。
 この主演二人の掛け合いがすばらしい。まさにゴールデンコンビ。
 品川隆二は、今のシリーズのナレーションも担当していますね。

 時代の違いもあるので、今古いもののとおりに作るわけにもいかないでしょうが、こんな番組を毎週楽しみにしていたといういうのは贅沢な時代だったのかもしれない。

 余裕が出来たら、少し品川隆二を追いかけてみようかな。

ロード・オブ・ウォー(2005/アメリカ)

2007年09月04日 | 映画感想ら行
LORD OF WAR
監督: アンドリュー・ニコル
出演: ニコラス・ケイジ    ユーリー・オルロフ
   イーサン・ホーク    ジャック・バレンタイン
   ブリジット・モイナハン    エヴァ・フォンテーン
   ジャレッド・レトー    ヴィタリー・オルロフ
   イアン・ホルム    シメオン・ワイズ

 ソビエト連邦崩壊前のウクライナに生まれ、少年時代に家族とともにアメリカに渡ったユーリー・オルロフ。ニューヨークにレストランを開いた両親を手伝うユーリーは、ギャング同士の銃撃戦を目撃し、武器を売ることを思いつき、弟のヴィタリーと2人で武器売買の事業を始める。天性の才覚を発揮し、世界有数の武器商人へと成長していくユーリー。そんな彼をバレンタイン刑事が執拗に追う…。

 見終わると原題がとっても意味深に感じられます。LORD…ほんとうに支配するものって…なるほどねえ。
 自分が売った銃口の先のことは頭から締め出すことは、それほど誰にでも出来ることではありません。
 しかし、それが可能な主人公もフツーに恋をして、結婚して、子どもが出来て、家族に愛されたい、ちゃんと稼いで体裁の良い生活を整えたいとか、戦場とはなれた場所で思ってて、銃口の先のことを考えずにはいられずに麻薬におぼれる弟を困ったもんだと思っていてという、裏社会の活動と市民としての日常が恐ろしいようにあたりまえに連続して描かれます。
 音楽もまた軽快でそれがまたおもいきりシニカルです。

 ラストで、最大の武器商人たちがリストアップされるけれど、やはり本質は誰が悪いだけではなくて主人公ユーリーの弟の死で示されたと思う。
 あのシーンで二人の選択の違いがくっきりと描かれておりますからねえ。
 さすがにハリウッド資本では出来なかった映画らしいですが、ニコラス・ケイジがこういうのを製作主演するあたり、アメリカもすごい、と思います。

弱り目に「ロード・オブ・ウォー」

2007年09月03日 | 日記・雑記
 夏風邪をひくのはなんとやら、と申しますが今年の夏の気象で体力が傷んでしまったのか、身体が弱り気味のようで、8月末40度の熱を3日間出したら、熱が引いても一週間動けませんでした。
 暑さもどうやらおしまいのようなので、これで復活したいですねえ。

 で、久しぶりに見たDVDが「ロード・オブ・ウォー」(アンドリュー・ニコル監督 ニコラス・ケイジ主演)

 スローターハウスと平仄が合いすぎて滅入りました。そうきたか!というラストで、結論が半分で打ち切ってあります。もちろん続きは作中にあるんだけど。
 明日絶対書こうっと。

スローターハウス5/カート・ヴォネガット・ジュニア

2007年09月03日 | 
伊藤 典夫訳
ハヤカワ文庫 SF

 作者が今年の4月に亡くなった為か、書店平積みになっていたのでまたしても購入。今読むと前にも増して苦味が強く感じられた。
 ドレスデン空襲にドイツの捕虜になったアメリカ兵として「空襲される側」を体験した作者がそこここに顔を見せながら語る時空の行ったりきたり。
 作中で繰り返される"So it goes."(訳中では「そういうものだ」)は、人間のあるべきでない現実を見てしまったものの呻きのように聞こえてくる。

 15年前に読んだ時に皮肉だと思った文章が全然皮肉ではなかったですね。それこそ「そういうものだ」というため息の様に感じる。
 例えばキルゴア・トラウトの著作の中の「宇宙人の福音書」のくだり‐キリスト教徒が見せる残虐性は福音書の構成による物だとする宇宙人の考え方。リンチにかけた人物(キリスト)が重要人物(神)にコネを持った人物だった。このことは裏返しに次のような意味を持つ…リンチにかけるならコネのない人物…
 これほど残酷を感じる本だったんだなあ…

 映画のほうは、実はテレビ放送の吹き替え版しか見ていない。画面小さいし、音も貧弱な環境でしか見ていない。それに映画だから当然だけど、主人公が本の描写よりもきれい過ぎだし、なんともいえぬ悲劇の最期を遂げるエドガーという人物のイメージがどうにも違う。
 とはいえ、空襲のシーンは原作の押しつぶされるような圧迫感を十分に伝えるものではないのだろうが、天上の楽のようなバッハのゴルトベルグ変奏曲が流れる画面からは、「人間は何でもしてしまうんだ」という事実の圧迫感が迫ってくる。

(ちなみに日本は大空襲の責任者に戦後に勲章授与してますが、こういうのは戦後レジームの脱却したらどう評価します?)