GUILTY BY SUSPICION
監督: アーウィン・ウィンクラー
出演: ロバート・デ・ニーロ
アネット・ベニング
ジョージ・ウェント
パトリシア・ウェティグ
第2次大戦後のアメリカの、狂気のような赤狩りの時代に、その犠牲となって全てを失いつつも自己の信念を貫いた一人の監督の姿を描く。
エリア・カザンのオスカー受賞の時の波乱を見ても、赤狩りの傷跡はハリウッドでまだまだナマナマしいのだろう。私にしても、この映画を見て時代に翻弄され、良心を貫き迫害される人、友を売って安泰を得るもののドラマに没入するよりも、そこから思い出されることについて思いをめぐらさずにはいられなかった。
昔リリアン・ヘルマンにはまったことがあって、戯曲は手に入るものを読みあさり、自伝的な「ジュリア」「未完の女」それにもちろん「眠れない時代」も読んだ。赤狩り時代の権力の締め付けが、人間の生活をプライドを刻々削ぎとっていくのにぞっとした。
彼女は「私は時代の流行にあわせて良心をカットすることはできません」
(これは、本が出てこなかったので記憶で書いてます。こんな内容だったと思う)
という名文句を残して、主人公のメリルがしたように「自分のことについてなら証言するが、ほかの人についての証言は出来ない」で委員会での証言(強制された密告)を拒否した。
この映画では召還までを描いているが、それでも十分に追い詰められているのに、その後の政府の合法を装ったいじめ方は「眠れない時代」で描かれるように凄まじい。彼女とパートナーのダシェル・ハメットは全財産を失い、ハメットは投獄され、ヘルマンはデパートガールで糊口をしのぐ様だった。映画は委員会を出る主人公夫妻の後姿で終わっているものの、その後の年月のほうが長くひどいものであったのだ。
少なからぬ人がこれではいけないと思っているのに、なぜこんなことが起きてしまうのだろう。委員会の証言のシーンでは、委員会側の意に沿う証言以外はまったく受け入れられない恐るべき有様がリアルに恐ろしかった。
それにもっと憂鬱になるのは、少なからぬアメリカの言論人が今のアメリカ政府の政策・方向について警鐘を鳴らしているにもかかわらず、いっこうに「世界から批判されたってそれがどうした」という感じのアメリカ世論の風向きが変わったように見えないことだ。
こんな歴史をあまり繰り返してほしくない。(ついでに言うなら、私はこのままのアメリカ追随状態でいってネオコンがこけたら、その時の日本政府の背負う傷はかなり深いと思う。)
監督: アーウィン・ウィンクラー
出演: ロバート・デ・ニーロ
アネット・ベニング
ジョージ・ウェント
パトリシア・ウェティグ
第2次大戦後のアメリカの、狂気のような赤狩りの時代に、その犠牲となって全てを失いつつも自己の信念を貫いた一人の監督の姿を描く。
エリア・カザンのオスカー受賞の時の波乱を見ても、赤狩りの傷跡はハリウッドでまだまだナマナマしいのだろう。私にしても、この映画を見て時代に翻弄され、良心を貫き迫害される人、友を売って安泰を得るもののドラマに没入するよりも、そこから思い出されることについて思いをめぐらさずにはいられなかった。
昔リリアン・ヘルマンにはまったことがあって、戯曲は手に入るものを読みあさり、自伝的な「ジュリア」「未完の女」それにもちろん「眠れない時代」も読んだ。赤狩り時代の権力の締め付けが、人間の生活をプライドを刻々削ぎとっていくのにぞっとした。
彼女は「私は時代の流行にあわせて良心をカットすることはできません」
(これは、本が出てこなかったので記憶で書いてます。こんな内容だったと思う)
という名文句を残して、主人公のメリルがしたように「自分のことについてなら証言するが、ほかの人についての証言は出来ない」で委員会での証言(強制された密告)を拒否した。
この映画では召還までを描いているが、それでも十分に追い詰められているのに、その後の政府の合法を装ったいじめ方は「眠れない時代」で描かれるように凄まじい。彼女とパートナーのダシェル・ハメットは全財産を失い、ハメットは投獄され、ヘルマンはデパートガールで糊口をしのぐ様だった。映画は委員会を出る主人公夫妻の後姿で終わっているものの、その後の年月のほうが長くひどいものであったのだ。
少なからぬ人がこれではいけないと思っているのに、なぜこんなことが起きてしまうのだろう。委員会の証言のシーンでは、委員会側の意に沿う証言以外はまったく受け入れられない恐るべき有様がリアルに恐ろしかった。
それにもっと憂鬱になるのは、少なからぬアメリカの言論人が今のアメリカ政府の政策・方向について警鐘を鳴らしているにもかかわらず、いっこうに「世界から批判されたってそれがどうした」という感じのアメリカ世論の風向きが変わったように見えないことだ。
こんな歴史をあまり繰り返してほしくない。(ついでに言うなら、私はこのままのアメリカ追随状態でいってネオコンがこけたら、その時の日本政府の背負う傷はかなり深いと思う。)