虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

アイ,ロボット (2004/米)

2004年10月19日 | 映画感想あ行
I, ROBOT
監督: アレックス・プロヤス
出演: ウィル・スミス ブリジット・モイナハン ブルース・グリーンウッド

 アイザック・アシモフの短編集『われはロボット』をモチーフにしたSFサスペンス・アクション。 2035年、シカゴ。ロボットが労働力をカヴァーするものとして普及している。ロボット3原則で完全に人間にとって安全な存在と思われているロボットだが、刑事スプーナーは信頼できないでいる。世界一のロボット会社の中心的頭脳であった博士の謎の死をきっかけに、スプーナーは孤立無援で戦うことになる。

 近未来的映画を楽しむにはとても素敵な映画。満足感もあります。
 画面素晴らしいし、アクションも最高。ウィル・スミスの肉体美も完璧。私はあんまりムキムキは趣味でないけど、それでも感嘆しちゃいました。
 ロボットの動作も自然で、CGのすごさにも感嘆。
 ぶつぶつ言いつつも、ハリウッドはチケット分はしっかり楽しませてくださるなあ…としみじみ思わされた。

 ただ、イチャモンつけるとしたらアシモフの名前をことさらに出す必要はあったのかな?とは思った。現在ではロボット3原則はもうアシモフ世界を離れて、普遍的に確立した原則でしょう?3原則はアシモフから、だけのほうが納得しちゃう。
 (見ていて「我はロボット」忘れちゃってるなあ、とも思ったのであまり確信なく書いてるけど)アシモフはロボットそのものの暴走なんてテーマは書いてないと思う。アシモフの書いたのは人間のアンビバレンツな意思と3原則の相克に翻弄されるロボットとか、ロボットが縛られる論理を人間が理解しないということろで起きる摩擦だったと思う。ストーリーがありがちなのはしょうがないけど、アシモフの名前をこういうテーマにかぶせるのはどうなんだろう…?

スクール・オブ・ロック (2003/米)

2004年10月18日 | 映画感想さ行
THE SCHOOL OF ROCK
監督:リチャード・リンクレイター
出演:ジャック・ブラック  ジョーン・キューザック マイク・ホワイト

 熱いロック魂を持ったデューイだが、そのあまりの熱が仇となりバンドを追い出され、家賃を払えないために部屋まで追い出されそうになっている。困り果てた彼は同居している親友のネッドにかかってきた補助教員の就職口に、ネッドになりすまして、厳しい私立学校に出向く。
 そこは、しつけの行き届いたエリート校で、生徒たちもおとなしい。サボりまくって時間をやり過ごそうとしたデューイだったが、クラシックの音楽の基本が身についた生徒たちを見て、とんでもないことを思いつく。

 面白かった。
 主役のジャック・ブラック、声も良いし、太った身体でかなり身軽に良く動いてくれて、それに子どもたちがかわいくてずっと楽しかった。
 社会的には落ちこぼれのデューイが、規律と常識に漬かり切っている生徒たちに熱いロックの心を伝えちゃう、そして彼自身も自分自身であることの自覚に目覚める。ストーリーに山や谷はそれほどないし、子どもたちがギャングエイジにしてはみんな良い子で従順すぎるし、子どもたちの演奏に親たちが乗ってしまうシーンはうまく行き過ぎて拍子抜けするくらいなのは気になるけど、演奏のレベルがすっごいので合格!最後まで楽しめる映画だった。
 主役の顔から身体全体使った演技もエキサイティングだし、ジョーン・キューザックはやっぱりうまい。それにナツカシロックの名曲があふれんばかりで、その曲に特に思い入れがなくても熱気につい身体が動きそう。
 これも、見た後のすっきり感が嬉しい映画。

ここ一週間の映画

2004年10月17日 | 映画の話題
先週は忙しかった。映画も見たけど書きたい映画が少なかった。

「嵐を呼ぶ男」
つくづく思ったのは「私には石原裕次郎があわないなあ」
彼の魅力が全然ピンとこない。「夜霧よ今夜もありがとう」くらいはヒロインとの組み合わせでちょっといいかな、と思うけど歌が流れたとたんに駄目。
この映画も面白くなくて、画面に出てくるラジオを見て「あ、5球スーパー」とか、当時の風俗みて喜んでいるだけであった。

録画でみた「暗殺」
監督:篠田正浩 原作・司馬遼太郎 音楽・武満徹 
出演・丹波哲郎 岩下志麻 木村功
 幕末の志士清川八郎の誰の理解も超えた行動と、その死まで。
 これは良かったです。丹波哲郎も迫力があって、複雑な怪人物とでも言いたいような人間に見えたし、岩下志麻も凛として美しい。
 木村功の目の力ってすごいものだと思う。「七人の侍」勝四郎役でも輝かせていたが、ラストシーンでのそのぎらぎらした表現には総毛立つ思いだった。あのぶちきれたような終わり方もなかなかいいと思う。ただ時々実験映画みたいな映像が入ってくるのが好みじゃないのだ。篠田監督が好きか嫌いか、になっちゃうのかな。

これも録画「燃えよ剣」
 栗塚旭の土方歳三は、はまり役だと思います。声がいいです。近藤役もいかにも近藤に見えます。
 原作のムードは出てると思いますが、今回の注目はなんと言うか、役者の持つ「どっしり感」みたいなもの。今年の大河ドラマの若い役者さんに感じられなかった腰の据わった、という感覚。太ってる、やせてるの問題じゃなくて。どこがどう違うのか考えてしまった。

「栄光への脱出」
監督:ジョン・ヒューストン
出演:マイケル・ケイン シルベスタ・スタローン マックス・フォン・シドー ペレ
という豪華な顔ぶれなのに、それに良く出来てるとは思うものの、「ロンゲスト・ヤード」のほうが後の満足感が勝っちゃったのだ。

食玩ゲーム

2004年10月15日 | エンタテインメント
 1980年代ナムコのゲームCD-ROM(ウィンドウズ用)が付いた食玩「ゲーム伝説」(315円)が発売されるそうです。
 発売元はまたしても、関東以北では売る気があるのかな~?のカバヤ食品なので手に入るかどうか心配なのですが、ゲーム・デビューがプレステのポポロだった私は、それ以前の名作もちょっとやってみたいな、と思っているのです。315円DVDみたいに、明らかに子供向けというより、大人向けの商品だろうし、こっちでちゃんと売ってればいいんだけど。
 原作をピックアップしたオリジナル仕様。第一インストール不要というところもなかなか素敵だ!と思ってます。

for Gamer.net PC&オンラインゲーム情報サイト

聞くのも恐ろしいけれど

2004年10月14日 | 日記・雑記
パレスチナ少女にとどめの乱射 イスラエル兵が内部告発 (朝日新聞) - goo ニュース

 聞くのも知るのも恐ろしいことだが、内部告発というのがまだ一筋の光なんだろうか。
 パレスチナでは、子どもの誤射が「ありふれた事件」だという。2年前の9月11日のテロの背景には、ありふれた恐ろしい事件がいっぱいそれも長い間続いている。

 去年から時々見に行っているサイトに、イラク女性のWEB日記を日本語で読めるようにしてくれているところがある。

Baghdad Burning

 久しぶりに行ったら、マイケル・ムーアの「華氏911」を見た日の記述があった。
 本当に胸が痛かった。
 アメリカの人も見ている。反論のメールを送ったりしている。
 敵味方お互いに交流して、理解しようと努めあえば解決の道が見つかるかも、というのもむなしく響くような記事が続く。でも、遅々たる歩みでも、ほんとにわずかでも進めたい。人間が心安らかに生きる為に本当に必要なことが何か、についての認識へ。
 
 そのためにも、できるだけ知りたいと思う。

「バグダード・バーニング」は本にもなっています。
  定価:本体1500円+税 発行:(株)アートン

「ロンゲスト・ヤード」リメイク

2004年10月14日 | 映画の話題
 「ロンゲスト・ヤード」のリメイクの話が進んでいて、
 バート・レイノルズの役はアダム・サンドラー、エディ・アルバートがやった陰険な所長をゲイリー・オールドマンという配役だそうです。
 アダム・サンドラーって「ウェディング・シンガー」しか知らないです。あと、オンラインレンタルのリストの8番目くらいに「リトル・ニッキ-」があるのでもうすぐ見られるかな?マッチョでセックス・アピールむんむんタイプではなかったと思うけど、今度はどんな主役になるのかな。
 ゲイリー・オールドマンは、表面は穏やかそうで、でも内実は陰険でサディスティックなんて、くらくらしそうに楽しみ。
 
 今度の映画にも見た後の晴れ晴れした感じを期待しそう。
 元の作品は、ほんとにすっきりするから、やはりそのセンで行って欲しい。

ネタ元 レビュージャパン

ロンゲストヤード(1974/米)

2004年10月13日 | 映画感想ら行
監督:ロバート・アルドリッチ
出演:バート・レイノルズ エディ・アルバート エド・ローター

 八百長でプロの世界を追われたアメフトの元スタープレイヤーが、車の無断借用で入った刑務所の中で、囚人チームを率いて看守チームと対決する。

 さすがアルドリッチで、なんかツボにズバズバはまってしまい、ラストはすっきりさわやか~!に心晴れ晴れしてしまうのでした。バート・レイノルズは暑苦しいタイプでちょっと苦手だけれど、この映画に関してはひげもないし、男臭さがいいほうに作用してお見事です。

 刑務所内の力の歴然とした対立の構図から、チームの結成・試合への展開。主人公が試合中にとことん追い詰められて、泣かせるエピソードがはさまれ、男たちの激突に「やったれ~!」と思わず叫んでる。
 見せ場の長いストップモーション、そして最後の「闘った者たち」の意識の底の部分での交流と誇りがジ~ンと来るラストシーン。エド・ローターのいやみな演技はすべてこのシーンの為にあったのねっ!
 男の娯楽アクションの王道!

悪名(1961/日)

2004年10月12日 | 映画感想あ行
監督:田中徳三
出演:勝新太郎 田宮二郎 中村玉緒 水谷良重

 戦前の河内喧嘩が強くて、古風な任侠道遵守の朝吉と、見た目はドライだが実は熱血の貞が兄弟分となり、(いささか行き当たりばったりな感じに)弱きを助け、強きをくじき、おのれの生きる筋を通していく痛快映画。

 めっぽう強くて、弱いものいじめが嫌いで、女好きで酒に弱くて、どっかかわいい勝新太郎の朝吉と、かっこよくて強くて、でもなんだか調子よくて軽いモートルの貞の田宮二郎。このコンビ最高です。特に田宮二郎。後年は眉間に立てジワな演技ばっかになるようで、この、素晴らしいコメディセンスはもっともっと発揮しようがなかったのか?と惜しくてならない。松田優作も死のシーンでまず記憶に残ったというけれど、悪名2作目「続・悪名」の貞の死は邦画でもっとも鮮烈なシーンのひとつではないだろうか。このかっこよさは3作目から弟清次役になって、軽みを増してツボにビシビシ来ます。田宮二郎が光らないと、「悪名」の面白さは減ります!
 朝吉の喧嘩のシーンが、ともかく原始的で良いです。刀振り回さず、身体が武器でもカンフーのように超絶技巧的みたいでなく、ほんとの「ケンカ」 ゲンコツの世界。

 中村玉緒さんが、若くて身体の線がほんとに細くて、肩の線の華奢がかわいい!日本人はただでさえ身体小さいのに日本髪の大きさでバランス悪いなあ、と思うけど、この映画ではそれで乙女の線の細さが強調されてました。
 浪速千栄子さんの迫力はいつもながらすごいです。
 水谷良重の妙にしな~んとした薄幸ぶりもはまってました。

クリームパンとちゃっきり金太

2004年10月11日 | 日記・雑記
本日は地区の運動会で
町内会のお兄様お姉さまと一緒に働いてきました。

雨だったのでグラウンドが使えませんでしたが
中学校の体育館で無理やりやってきました。

働いたので帰りに

クリームパン2個 ジャムパン2個
目覚まし時計1個
ソフトまな板1枚
お菓子詰め合わせ袋(子どもの競技の景品のあまり)3袋
ボールペン1本

もらいました。

しかし帰りに気がついたのが
「『エノケンのちゃっきり金太』の録画予約忘れた!」

一昨年の旧作館の上映のときも見逃したし、
アタシは、どうして「ちゃっきり金太」に縁がないんだろう…

台風来ました

2004年10月10日 | 日記・雑記
朝からずっとテレビで台風情報流しているし
なんだか気分が上ずってしまいました。
みんな外に出ずに家にいたので
せっかくDVDの新しいのが届いたのに
暢気に見ていると非難の眼を浴びそうで自粛。
「三つ数えろ 特別版」(どこが特別なんだろう!ワクワク)
「悪名」(わーい!)
の2枚。

10月なのでさぼり気味だった各種伝票類の整理などしていました。
AMAZON の古書は買うときは便利だけど
伝票の書き方がみんなばらばらなのでメール確認しないと金額の突合せがきっちりいかないのがあったりする。ちょっとイライラして、気分転換に手仕事。またまたテープで大きめのかごを作りました。

 午後に入って本格的に風が出てきて、けっこう怖かった。夜7時ごろまでには風もおさまったけれど、電車はそこらじゅうで止まってるし、それでもバスが動いてたのはえらい。
 うちでも外の排水が能力オーバーであふれるし、ラズベリーはぽっきり折れちゃったし、自転車はひっくり返ってるし、後始末はなかなか大変そう。

TAXi(1997/仏)

2004年10月08日 | 映画感想た行
TAXI
監督: ジェラール・ピレス
出演: サミー・ナセリ フレデリック・ディフェンタール マリオン・コティヤール


 改造車“プジョー406”で爆走する、スピード狂のタクシー・ドライバー、ダニエル。ある日、運転免許試験に落ちた(ちょっと落ちこぼれ)刑事エミリアンにスピード違反で逮捕された彼は、違反の見逃しを交換条件に事件の捜査に協力させられる。

 最近しみじみとかじーんとする映画が続いたので、たまにはお気楽アクションだぞ、でリュック・ベッソン製作のプジョーばんざい?の映画。あまりバイオレンスでない車のぶっ飛ばしと、若くてちょっぴりおばかな男の子たちを見てうふうふ笑って、肩こりが取れた気分。

 2はふざけすぎかな、と思ったところもあるんだけど、これは主役の男の子のニカ、という笑い方もなかなか可愛いくてよいのだ。こう感じるのは歳のせいだろうか?
 あのエアロパーツ、普段はどこに入ってるんでしょうね? こんなことがあるかあ!と思っても楽しいからいいや。でも本物の暴走族はきらい。
 この映画も見る前は車がんがん飛ばしまくりシーンばっかりの映画だと思ってたんだけど、コメディの芝居部分が多い。女の子はなんだかんだ言ってもきれいでしおらしくていい子ばっかで、って男の夢ですか?(普通はあんなに待っててくれない。顔踏んづけてさよなら、だと思う)
 今回はビデオだったけど、本当はオープニングのギターとバイクシーンから大きい画面と身体に響く音響でドキドキしたい。どっかの映画館で三作一挙上映しないかな。酔いそうだけど。

SAMURAI 7

2004年10月07日 | エンタテインメント
「七人の侍」50年記念でいろいろありますが、
このアニメも、今BSハイビジョンで放送中だそうです。
宇宙バージョン。

情報サイト

勝四郎はほとんど女の子だし
私の愛する菊千代と久蔵さんはなんでこうなるのか!
と涙が出ました。

レンタルに回れば見ちゃうでしょうけれど…

おじさんでなきゃいや!
勘兵衛・久蔵は、いわば理想像なのに。
沈着冷静なリーダーとか、
実力を秘めた静かなたたずまいの男とか。
あんな三白眼にーちゃんにしてどうする!
菊千代がロボットだとお!!
と、とりあえずキャラクター一覧見て取り乱してしまった。

コールド マウンテン (2003/米)

2004年10月06日 | 映画感想か行
COLD MOUNTAIN
監督: アンソニー・ミンゲラ
出演: ジュード・ロウ ニコール・キッドマン レニー・ゼルウィガー

 牧師の父とともに都会から南部へやって来た美しいエイダ。寡黙なインマンはやがて彼女の心を捉えるが、南北戦争が始まり、インマンは戦場へ。そして父に死なれたエイダも生きるすべを持たず追い詰められていた。戦場で過ごした3年後、瀕死の重傷を負ったインマンはエイダの窮地を知り、脱走して彼女の元へ行こうとする。

 見終わって静かなため息が出るような映画だった。
 自然の描写はとても美しく、戦場の悲惨や、戦争の惨禍による人間の荒廃と対照を成すようだった。時間も行きつ戻りつ、長尺の物語を飽きさせないようにうまく作ってあったと思う。
 この映画の真の主役は戦争ですね。南北戦争によって引き起こされた悲劇を、インマンは道中で一つ一つ目撃します。エイダの方も、戦争に乗じてのさばる人間の醜さ、それに勝てない悲しさを否応なしに味わいます。最初のほうのシーンで、明らかに先住民らしき南軍兵と黒人が戦うところも意味深といえば言えるでしょう。先住民は青い軍服にずっと狩られているわけですし。
 
 レニー・ゼルウィガーはさすがにオスカーでした。あごの線まで緩んじゃって、たいしたものです。彼女に比べると、ニコール・キッドマンはきれいな役回りであるからしょうがないのかな、と思うように最後までただきれいでした。銃を構えた姿なんか、美しすぎて時代を間違えそうだったし。でもその美しさがインマンにとってこの世の善と美しいものへのたった一つのよすがだったとすれば、あれでよかったのでしょうか。ラブ・ストーリーであるからにはキッドマンとジュード・ロウの端正さが当たり前なのでしょう。
 大好きなアイリーン・アトキンスがでてきたときは嬉しかったし、彼女のセリフが重大な意味を最後まで響かせていました。
 彼は、エイダが「その後」を生きる為に帰ってきたのですね。

オーシャン・オブ・ファイヤー (2004/米)

2004年10月05日 | 映画感想あ行
監督: ジョー・ジョンストン
出演: ヴィゴ・モーテンセン オマー・シャリフ

 19世紀末。アラブの特別な馬のみが挑戦できる、アラビア砂漠の全長3000マイル(約4800km)にも及ぶ過酷なサバイバル・レースに参加した一人のカウボーイとその愛馬ヒダルゴの勝利までの壮絶な戦いを、実話を基に映画化。

 始まりがかの有名な「ウーンデッドニーの虐殺」からで、レース映画だと思っていたので「?」状態で見始めたのですが、アメリカの先住民問題や馬の血筋やら、ありのままの自分で生きられない社会やら、いっぱい詰め込んで、それで最後にあのラストになるのかぁ…と納得。ラストシーンを見たときは、ああ、劇場で見ればよかったなと心底思った。

 馬という動物には一種独特にとらわれてしまう美しさがあるけれど、この映画では主役の馬、ヒダルゴはまさに千両役者。時々声をかけたくなるくらいの役者ぶり。
 ほかの光るようなアラブの馬に比べて大きさでは見劣りするけれど、語っちゃうのだ。まさにパートナーなのである。
 ヴィゴ・モーテンセンもはっきりいってアラゴルンより納まった役だと思う。ちょっと汚い目の男っぷりが素敵だったらない。歌はこっちのほうがうまかった。オマー・シャリフも懐かしかった。

 首長の娘救出やイギリス女性の妨害など、どこまで実話なのかちょっとわからなくて、ほんとだとしたらあまりにも出来すぎのようで、首かしげるところはあるが、過酷なレースに勝ち抜いて彼が自分自身の誇りを取り戻していくのは納得できた。かざされる旗が星条旗でないのが良かった。