虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

グレン・グールド

2006年03月31日 | エンタテインメント
 これもレンタルDVD。ちょっとテレビシリーズ風。
 コンサート活動停止後10年の、デビュー時のバイロン風美青年から、頭のはげかかったごつい中年に差し掛かった頃のグールドの演奏とインタビュー映像。

 音楽というのは私には、イメージとして光や色が連想されるのだけれど、グールドの場合は数学的で幾何学的に抽象的な世界に遊んでいるような気がする。
 コンサートや録音についてかなり突っ込んだ発言と思えるようなことも言っていて
「コンサートは時代遅れ」
 そして、録音とはスタジオの音響も含めて、その音楽の世界を映画の場面を構成する様に作っていく、ということを言っている。
 作曲家それぞれについての意見も披露している。私のようにただ聞いているだけでなく、もっとディレッタントな聞き手にはものすごい薀蓄の宝庫でしょう。

 私はグールドは文句無く20世紀最高のピアニストの一人だと思う。
 景気つけたい時はしょっちゅう聞いている。
 でもやっぱり音楽はライブ、コンサートが好き。、たとえ多少下手でもコンサートのナマの雰囲気が好き。
 これが許されるのは、グ-ルドの天才あってこそでしょう。
 ピアノをまともに弾く大学生は指の動きをたっぷり見ていました。「顔はいい、手出せっ」とか。

気分はどんより気味

2006年03月29日 | 日記・雑記
 私のお仕事は暦年で〆るので、確定申告も終了する3月末からは整理のために保存年数で書類を分けてファイルし、PCの中も掃除していらないものを消し、処分するものをシュレッダーにかけて捨てます。
 今度はついでに模様替えもしています。
 別に今の季節に限ったことではありませんが、またまた作業着の日々です。
 でもお仕事用PCの中身を別のPCに一度全部移して(バックアップです)、それからクリーニング作業などしておりますと、ほかのことにまわす時間がなくなります。
 夜中の「コンバット」再放送が安らぎの時間でございます。
 今日も映画館に行く時間まではありませんでした。たまにはネットでなくまともに平積み本など見てこようと思って「本屋に行く」と言ったら、何時も私を「本ばかり買って家を狭くする」とか非難している連中が「じゃあ、『MD小論文』買ってきて」「俺は『最強の手筋』が欲しい」とか注文したりする。なんとなくむっとする。
 オークションで落札した品物の出品者から丸一日経っても連絡が無いのもむっとしている。
 この間転んで怪我した手のひらの絆創膏が取れましたが、一箇所中に砂利が入ったままで皮が閉じてしまいました。気をつけたつもりだったのに。これもなんかむっとする。

 オンラインDVDレンタルのDISCUSでarudenteな米様のお薦め「マカロニウエスタン 800発の銃弾」を予約した時に100パーセントレンタル可能マークがついていたので、すぐに見られそう!と喜んでいたのになんと今日は1ランク下がった可能性になっていて、しかも次回配送にはならなかった。これもいささかむっとした。
 でも「快傑ズバット4」と「グレン・グールド」が来るので、なんとなく気分持ち直しそう。

 今、ジェーン・オースティンの「自負と偏見」また読んでいますが、これは今読むと女性の立場がつらくてかなわない。いわゆる紳士階級の家の娘は、働いてはいけないし、自分の意思で人生を選び取れる場がほとんど夫選びしかない、というのが実にキツイ。その紳士階級も年収によって(それだけじゃないけど)格付けされちゃってるのがありあり。やっぱり今のほうが女は生きるのが楽そう。この有名な本についてはまともなことが書けそうだったら、今度きちんと感想を書きます。

ファンタスティック・フォー [超能力ユニット] (2005/アメリカ)

2006年03月27日 | 映画感想は行
FANTASTIC FOUR
監督: ティム・ストーリー
出演: ヨアン・グリフィズ    リード・リチャーズ/Mr.ファンタスティック
ジェシカ・アルバ    スー・ストーム/インビジブル・ウーマン
クリス・エヴァンス    ジョニー・ストーム/ヒューマン・トーチ
マイケル・チクリス   ベン・グリム/ザ・シング
ジュリアン・マクマホン    ビクター・バン・ドゥーム/Dr.ドゥーム

 科学者リードは元恋人で女性科学者のスー、彼女の弟でパイロットのジョニー、そしてリードの親友ベンと共に、スーの今の恋人でもある実業家ビクターの援助て宇宙実験を実施。だがその最中、5人は計算外に早くやってきた宇宙嵐の放射線に晒されてしまう。それは彼らのDNAに変化をもたらし、4人はそれぞれ独特の超能力を授かるのだった。

 これだけ「ファンタスティック」の特撮を面白く見せてくれれば十分OKですね。「Xメン」などの先行作品と比較されちゃうは仕方がないです。でも岩石人間にゴム手足ぐるぐる巻きみたいなシーン、個人的にすごく受けます。
 おまけに悪役はほとんどダース・ベイダーだし、(私でもわかるような)駄洒落は多いし、楽しい。
 超能力、身体の変化のための世間からのデメリットのほとんどを背負っちゃったようなベンが再び岩石人間になるのも泣かせるし、いささか安易な、でも惜しげの無い屋台崩し、大クラッシュも好き。
 ラストバトルも笑えるところもあって面白かった。
 ああ、劇場で見られなくて損したなあ!!

 リード役、ヨアン・グリフィズは「キング・アーサー」以外見ていないと思うけど、雰囲気変わりますね。リードもいい男には違いないけど、またランスロット役みたいな雄々しいムードの役を見てみたい。

クロウ ザ・リベンジ 完全版Ⅲ(1998/アメリカ)

2006年03月26日 | エンタテインメント
THE CROW: STAIRWAY TO HEAVEN
監督: トニー・ウェストマン スコット・ウィリアムズ アラン・シモンズ カリ・スコグランド
出演: マーク・ダカスコス
    マーク・ゴメス
    ケイティ・ スチュアート
    サビーネ・カルセンティ

 アメコミ原作のテレビシリーズ。恋人と共に惨殺されたミュージシャン・エリックが暗黒の力によって蘇る。カラスによって導かれ、不死の「クロウ」として彼は恋人の仇を討ち、善悪のバランスを取り戻すために孤独な戦いを続ける。

 ブレンダン・リーの「クロウ」から始まったシリーズ。
 ダカスコスのダークなムードと、けっこう凄いことも何気なくしちゃうかなりレベル高いアクションではじめに期待したよりずっと面白かったのです。あのメイクは凄みがあると思えるときと笑っちゃうときと両方あります。
 秘密の協力者になる警官とか、死せる恋人以外メインがほとんどカラードみたいなのもちょっと驚きでした。
 テレビシリーズですから、エリックのシェリーへの愛と、一話完結で生者と死者の世界との交じり合いに関するエピソードが続き… この完全版Ⅲで一応一つの決まりがつけられるのか、と思ったらなんか放り出されたようなラストで「?」状態。

 ネット情報によると、こちらで見られるものは順序が違ったり、抜けていたりするらしい。
 このシリーズは他の主演者で続編があるのだが、さて、どういう順番で見たら辻褄があってスッキリするのでしょう?

年度末・週末

2006年03月25日 | 日記・雑記
「県庁の星」書き足しました。
舌足らずなところは相変わらずですが、私があの映画で何を見たのかは前のよりはっきりすると思います。

 昨日はもちろんBSで「山猫」見てました!
 ランカスター様、素敵っ!アラン・ドロンよりずっと素敵っ!ちょっと老けすぎ!
 それはさておき、最近デジタル・リマスター版再上映があったそうですが、きっと昨日の放送は前のですね。それともうちのテレビの性能が悪いのか?あの舞踏会のシーンが前より豪壮華麗に見えないっ!
 お出かけしようかと思ったけど、明日は選挙だし、選挙公報でも探して誰に投票するか決めなくては。現市長にはちょっといいたいこともあるし、でも誰に投票した以下といわれると困る顔ぶれなんだもんね…

県庁の星 (2006/日本)

2006年03月23日 | 映画感想か行
監督: 西谷弘
出演: 織田裕二   野村聡
    柴咲コウ   二宮あき
    佐々木蔵之介
    井川比佐志
    酒井和歌子
    石坂浩二

 県庁のエリート役人が官民交流で出向いた先はつぶれかけのスーパー。出世へのワンステップとして何とか経歴に傷をつけずに過ごそうとする野村は、客商売にまったく役立たずで、指導役でついた女性パート店員二宮とことごとく対立…

 フツーに楽しめました。堅実でスタンダードなドラマでした。
 今日は女子中学生のお付き合いというか、付き添う名目でついていったんだけどその子にはとっても受けてました。私はちょっと展開のスピードがテレビっぽいような気がして、この大画面使うんだからもうちょっと派手にならんかなあ、とか少しシリアス方面に流れすぎてないかとか思ってしまったのだが、役者さんたちも手堅い感じで、特に類型的悪役は楽しんでました。

 しかしこれくらい楽しませてもらうと、「ああ下妻は…」とかどうしても思ってしまいます。もうちょっと鋭く出来るんじゃないかとか…いかん、ここは批判の場所ではないのでこの先はちょっと考えてから書き足します。

25日 補足します。
 何が一番物足りなかったのか、考えて思い当たるのは、ヤングアダルト向けの読後感みたいなものかな、と。
 最近の子供向けの小説はシビアな世界で大人への段階を踏んでいかなければならない子どもたちの挫折とか家庭崩壊も子供向けの範囲でちゃんと描いています。この物語もどちらかというと挫折知らずの男の子(織田裕二はちょっと老けてるけど主人公のムードは明らかに天狗になった子どもだし)
 それが一度地に落ちて、己の限界と可能性を掴みなおし、非力でも自分自身の信ずるところへ踏み出してみよう、という行ってしまえば「よくある」というか、児童文学では常道です。それで、きっとそういう本で描かれる自分自身の力で歯を食いしばって成長しようとする主人公に感じる「清々しさ」がもっとほしくなったのかも、と思います。
 主役の二人は役に合ってることは合ってるのだけれど、どちらも「何を演じても織田裕二、柴咲コウ」というタイプの役者なので(これはワルクチではなく、石原裕次郎なんかもそういうタイプだと思うのですが)私の感覚で、そういった清々しさとの違和感を持ったのではないかと考えました。

チャンピオン太(ふとし)

2006年03月22日 | エンタテインメント
 この季節になると頭が重くて失敗やらかすんだけれど、昨日は朝ゴミを出しに行って転び、受身がまずくて両手のひらに砂利をいっぱい突き刺してしまいました。洗う時に痛かったの何の!!!腰に打ち身、膝にも切り傷と転んだだけにしてはえらく派手な満身創痍。
 せっかくの休日を、家でゲームして、野球見て、手が痛いのでPCもいじらずに過ごしました。WBCすごかったですね。

 それでこの1962年に制作されたテレビ番組をはじめて見ました。「こんなのがあった」と友達がけが見舞いにオンラインサービスで見られるのを教えてくれたもの。
 すごく昔のものらしく、力道山が主人公の人生の師みたいな役回りで出演。
 お話は(一回分しか見ていないのでそれを見た限りの印象で)力道山を師と仰ぎプロレスラーを目指す、母子二人だけの家庭の少年の成長物語らしい。孤児院で育ったらしい少女があこがれのマドンナらしい。「らしい」ばっかりですいません。

 はじめは「ちゃんぴおんた」と読んでしまいました。マンガが原作ということで、当然「少年チャンピオン」連載だと思ったけど、「少年マガジン」連載でした。この時代はまだチャンピオン創刊されてなかったのね。この映画の中の力道山は、私の持ってるプロレスラーイメージ「格闘技エンターテイナー」とはぜ~んぜん違うもので、昔の剣豪もの小説の主人公のようです。
 結局、プロレスも「プロレス道」みたいな、人間を磨くためのものという捉え方だったのでしょうか?この時期のプロレスブームを、歴史の本の中で戦後の復興の一つの側面として読んでいたけれど、実際の雰囲気というものは私が理解していたものとはかなり違う様な気もしてきました。
 とはいえ、梶原一騎原作ですから「巨人の星」みたいな少しずれた熱血ワールドであった可能性もあるかもしれない、とは思います。

 まあその、主人公の少年が「こんな身体も出来ていないような小さな子にプロレスなんかさせちゃいけない」と思ってしまうような幼さなのと、その中学やっと入ったような子に向かって、憧れの君らしいるり子さんが、助けてもらったのに「悪人をやっつけたのは練習の苦しさからの八つ当たり」なんていうシーンで口アングリでした。
 
 セットがベカベカで、悪役「死神酋長」がいかにも強くて頭悪そうにデフォルメされてるのがおかしいですが、ちょっと調べたらなんとアントニオ猪木さんが演じていたんだそうです。まったく気付きませんでした。
 太の必殺技の特撮がちゃちいのが牧歌的でなごめます。
 ただ、女の子のファッションがすごい。同時期の映画はそれほど安っぽいとか変!とか感じないのに、るり子さんの着てるものには「この時代はホントにこういうの着てたの????!!!」と思ってしまいました。

涙目、ディープ・ブルー

2006年03月20日 | 日記・雑記
 昨日は洗車した途端に空から砂が降ってきて、凄く空しい気分になりましたが、本日は涙がとまりません。
 本格的に花粉でしょうか。症状がひどくなるときの予兆、頭痛と涙が今年も襲ってまいりました。
 アレルギーお持ちの皆様、本日はいかがでしたか。

 そんな状態なので、今日は「ディープ・ブルー」を見て大いなる海に癒されようとか思いましたが、なぜか見ているうちに身体が痒くなってしまいました。
 時期を変えてまた見たいと思います。
 ああ、ナサケナイ。

イーオン・フラックス (2005/アメリカ)

2006年03月19日 | 映画感想あ行
AEON FLUX
監督: カリン・クサマ
出演: シャーリーズ・セロン    イーオン・フラックス
    マートン・ソーカス    トレバー・グッドチャイルド
    ジョニー・リー・ミラー     オーレン・グッドチャイルド
    アメリア・ワーナー    ユーナ・フラックス
    ソフィー・オコネドー    シサンドラ
    フランシス・マクドーマンド     ハンドラー

 2011年、人類は新種のウィルスによりほとんどが死滅、科学者トレバー・グッドチャイルドが開発したワクチンで生き残った500万人は外界から隔てられた都市ブレーニャに籠もって種を存え400年が経った。グッドチャイルドの独裁下の一見安全かつ平和な生活のなかでも、不自然な人間消失が起こっている。イーオン・フラックスは反政府組織“モニカン”の最強戦士であり、ついにグッドチャイルド暗殺を命じられる。

 全編シャーリーズ・セロン鑑賞映画でございました。やっぱり美しい。「ミニミニ大作戦」とか「サイダーハウスルール」の頃に比べればさすがに歳はとってるけど、長い四肢、完璧なプロポーションでアップが、全身が映されるたびに美しさを見せ付けられるみたい。ぶっちゃけ、他の出演者皆様方、すべて引き立て役って言っても良いかも、と思うくらい。

 それでお話のほうはというと、元がアメコミだそうですが、設定とかすべてにおいて喰い足りない感じ。
 ここから先はネタバレですが、

・ クローンが元の人間の記憶を引き継ぐというのは使い古された設定だけど、せっかく壁の中だけの社会なんだから、何もかもすべてがフルリサイクル、なんと人間も使いまわしだった!くらいに見せてくれないかな、とか。

・ シサンドラの手足みたいなのも、けっこう当たり前なのよん、とばかりにもっとああいうの沢山画面で見せてくれないとかえって不自然ではないでしょうか。武器なんかももっといかにも近未来特殊社会らしい工夫の仕様があるように思う。

・ モニカンが何に対して異議申し立てしているのかよくわからんとか、400年後のオーレンの反乱の動機が説得力弱いじゃんと思った人いません?

 これに始まって、管理社会の方法とか、政府幹部の組織とかもすべて後一歩二歩踏み込んでくれればなあ、と思うことが積みあがっていってしまった。あのラストなら、もっと外部環境への恐怖とか煽ってもよかったね。

 なんか和風な社会でしたね。桜の花びら舞ってるし。

疲労時に効くDVD

2006年03月18日 | エンタテインメント
 見込み違いって、すっごく疲れます。
 昨日はお出かけして、ある式典出席してきました。で、一応紋付着たのです。
 薄めの鶸色の一つ紋の色無地に、去年買った金とベージュの袋帯、それに金茶の帯揚げ。格調は高かったけど思いっきり地味でした。出先でそれしか持っていないので、替えるわけにもいかず、そのまま出席してきました。
 着物だけであわせたときは、とってもいいコーディネートだと思ったんですが、自分の顔と相談しなきゃいけませんでした。見込みが狂うと疲労感がどっと増します。

 今日なんとなくがっくりして家に帰ってきたら、「快傑ズバットVol.3」が届いておりました。ナイスなタイミングです。見始めたら、家中いそいそ集まって楽しく、突っ込みいれまくりで鑑賞しました。
 このシリーズはVol.6まであるので、まだ半分なのに、敵キャラの特殊技能の用心棒が凄いことになっております。虚無僧、バーテンダー、大工、独楽芸人と、どう見てもあんまり強そうではない技能ばかりで、実際独楽はさっぱり強くないです。尺八ボウガンは面白かったですが、音を出すのは無理な気もします。
 それでも、ズバット=早川健の多芸ぶりの見せ方と、必ず落ちる絶体絶命窮地のすごさのグレードアップ、それに敵やその回のエピソードの書き込み方がますます尽きぬけていくようで、見ている私たちのツッコミにも思わず熱が入ります。

 30年近く前とはいえ、その時期でもこのヒーローは他にぬきんでて目立っていたに違いない! この番組は主役ヒーローと悪役連のコスチュームの色使いがどちらも黒・白・赤の3色が基本でそんなに違わないので闘っていても区別しにくい。一応ダークなヒーローだったのか。毎回のヒロインがだんだんふっくらと素朴な女の子になるようで先が楽しみ。
 「ズバット」は私の疲れにはけっこう利きました。

許されざる者(1992/アメリカ) 

2006年03月16日 | 映画感想や行
UNFORGIVEN
監督:クリント・イーストウッド
出演: クリント・イーストウッド     ウィリアム・マニー
    ジーン・ハックマン    リトル・ビル・ダゲット
    モーガン・フリーマン     ネッド・ローガン
    リチャード・ハリス     イングリッシュ・ボブ

 元賞金稼ぎのマニーは、結婚してすっかり暴力と縁を切った。かつての凄腕の面影も無く今は妻を亡くし男やもめとして子どもたちを育てているマニーの元に若い男が現れ、娼婦の顔を切り刻んだ男をおって賞金を稼ごうという話を持ちかける。
 元相棒のネッドと追跡に加わるマニー。しかし事件の街では保安官が恐怖政治のように支配していて、賞金稼ぎは叩きのめされ追い出されている…

 これは西部劇が単純明快さを失った後にその栄光の光を宿した名作だと思う。いろいろ重い問題、割り切れない正義や生命のはかなさ、人間の心の根本を支配するものを提示し、それぞれの人間が選ぶ「生き方」「人生」を描く。しかし過去の西部劇の残照のようなクライマックスシーンでは、イーストウッドの拍車の音に思わず「かっこいいシーン」への期待に心が弾んでしまう。過去の西部劇の栄光の一部はもちろんイーストウッド自身の担ったものでもあり、かつての名場面がその画面の向うに立ち現れるようだ。
 そして、はじめのよろよろ状態のマニーが、その対決シーンでかつての凄腕に立ち返る、そこまでの運びが、ビシビシとツボにはまりまくる。監督として、役者としてのイーストウッドにただただ唸らされてしまった。何度見てもそう思う。

トルコのターキッシュ・ディライト

2006年03月15日 | 日記・雑記
 すいません、しつこいですがまたターキッシュ・ディライトねたです。トルコのキリムと雑貨の店ガラタバザ~ルに注文したターキッシュ・ディライトが届きました。



 こんな感じで、いかにもトルコなカードがついていました。一緒にチャイとフレーバーティーも買いました。
早速開けたらこんなお菓子でした。



私も含めて、家族の感想は

「…グミキャンディーのコーンスターチまぶし…」

いや、なんか違う!
まだまだ追求せねば!

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 昨日の夜は、ちゃんと「グローリー」を見て泣きました。ズウィック監督は「ラスト・サムライ」よりこっちがずっと良いと思います。それは、私が日本人であの侍社会に突っ込み入れてるからということもあるでしょうが、奴隷として扱われ、自由と言ってもまだまともに人間として扱われない黒人たちが、個人として己の尊厳を見出していく姿に感動せずにはいられない。それにみんな役にはまっています。マシュー・ブロデリックには、いかにも若い清潔感と組織とか人間より上のものに対する使命感が漲り、この人の映画では一番好き。デンゼル・ワシントンやモーガン・フリーマンは言うまでも無く、みなみな素晴らしく見えます。要するに好きなんですね、私。
 で、今日はもちろん「許されざる者」です。イーストウッドはすごい。憎たらしいほどツボを心得ています。

ドッジボール (2004/アメリカ)

2006年03月14日 | 映画感想た行
DODGEBALL: A TRUE UNDERDOG STORY
監督: ローソン・マーシャル・サーバー
出演: ヴィンス・ヴォーン     ピーター・ラ・フルール
    ベン・スティラー    ホワイト・グッドマン
    クリスティーン・テイラー     ケート
    リップ・トーン     パッチーズ・オフーリハン

 零細スポーツジム“アベレージ・ジョー”は、道路を挟んだ向かい側のピカピカで最新設備の“グロボ・ジム”に借金を抑えられ、クロボの駐車場にされかかる。その借金5万ドルを調達するためにアベレージジョーをよりどころにする常連客が選んだのはラスヴェガスで開催されるドッジボール大会の優勝賞金5万ドル。かつての名選手、今は車椅子のオフーリハンが押しかけ指導者として現れ、彼らは優勝目指して特訓を開始する…

 これも、また面白かった。
 下ネタと痛いギャグ満載で、その種の映画であるという認識を持って見ないとついていけないけど、まさに「その種の映画」に徹していて面白い。予測できるステロタイプがその通りになるところ(日本イメージも含めて)、それでいてちょこっとはずしているのが快感。かなり強烈なこともしれっと片付けてチャカチャカ進んでしまう。コーチの死なんか最たるもの。
 この映画は主役が引いている映画で、最後は王道で主役のめでたしめでたしに持っていくのだけれど、主役ヴィンス・ヴォーンが台風の目のように静かで、周りがはじけている。盛り上げ役の筆頭が仇役で、ベン・スティラーの下劣そうな演技は最高。だから負け犬たちの負け犬っぷりがさほど印象強くなくても、スティラーのおかげで落差が大きく見えます。
 ランス・アームストロングは別格として、チャック・ノリス、デヴィッド・ハッセルホフの登場の仕方はもう笑えて笑えて。うまいやり方だと思います~~

セルラー (2004/アメリカ)

2006年03月13日 | 映画感想さ行
CELLULAR
監督: デヴィッド・R・エリス
出演: キム・ベイシンガー    ジェシカ・マーティン
    クリス・エヴァンス    ライアン
    ウィリアム・H・メイシー    ボブ・ムーニー巡査部長
    ジェイソン・ステイサム    イーサン

 高校教師ジェシカがいつもと同じように子どもを送り出した朝、突然家に侵入してきた数人の男たちに誘拐された。監禁されるジェシカは、叩き壊された携帯電話のコードを接触させ、どこか、への連絡を試みる。それは、ライアンという青年のケータイに繋がる…

 派手ではないけど、いかにもよく出来たプログラム・ピクチャーという感じで手堅く面白かった。話が展開してゆく鍵もほとんど携帯で動いてゆくし、最後の最後まで携帯にこだわったつくりに唸らされた。「期待してなかったけど、儲けた」と思えるくらいに満足。
 キム・ベイジンガーは、「ゲッタウェイ」「LAコンフィデンシャル」ではすっごく妖艶なムードがあった。この映画では高校理科教師、一時の母、誘拐中で、髪振り乱しメイクも不完全だけど、やっぱりどっか艶やか。でも生活観を前面という役作りのようでした。
 ライアン役クリス・エヴァンスのいかにもその辺のにーちゃんな見てくれもGOODでした。ちょっと頼りない好青年が、必死になってだんだん鍛えられていくのが自然な感じで良かった!
 救いの天使になるW・H・メイシーのナサケナ顔も含めて、笑いの要素が多い。これは好き好きで、私はもうちょっとサスペンスに重心がかかっても良かったと思う。それほど緊張を逃してくれなくても、もうちょっと高まっても良いと思うんだが。
 ジェシカ・ビールが最近の映画なのに軽い役で出ていたのが驚き。

ターキッシュ・デライトとからし入りアップルパイ

2006年03月12日 | 
 ナルニア国物語「ライオンと魔女」でエドマンドが魔女に釣られるターキッシュ・デライトと、からし入りアップルパイは、小学校以来の私の謎の食べ物なのだった。
 もちろん私も訳本でそのお菓子を長いことプリンだと思っていました。ペーパーバックで読めるようになって「あらまあ、ターキッシュデライトで章立てされてるじゃないの」と、それがプリンでなく、「トルコ人の(トルコの)愉しみ」なんて不思議な名前のものであると知って驚いたのであります。
 それから、何とか本物食べてみようと思ったのだけれど、ま、それほど必死に努力したわけではないので今までチャンスには恵まれませんでした。イギリス人の友人に「どういうもの?」と聞いたり、フォートナム・メイスンに注文しようとしたら海外発送不可だったりで「あま~いピンク色の御菓子」以上のことはわからずじまいでした。
 昨日・今日とまたターキッシュ・デライト探索に乗り出し、楽天経由でトルコ物産店に”ターキッシュディライト/トルコの甘い御菓子ロクム フルーツミックス”を発注し、ネットでレシピを探して作ってみて、それにまたもう一度「ライオンと魔女」を見に行って来ました。
 自作のものはなんか、和菓子のゼリーとぎゅうひのあいのこみたいな食感のべチャッとして歯に沁みるほど甘いものでした。友達の「きな粉もち」発言もこれなら当たっているかも。
 自作にしろ果たしてこれでいいのかわからないし、発注した先がイギリスでなくトルコの物産店なので、さて、本に出ているものと同じなのかどうかは不明です。

 からし入りアップルパイとは、アーサー・ランサム全集の「スカラブ号の夏休み」に出てくる。このシリーズの中のディック・カラムこそが私の初恋の人なのである。少女ペギーがディックとドロシアのきょうだいに「ばあやがアップルパイにからしを塗りたくっている」と言うところがあり、私はイギリスはいろんな辛子があるから、お菓子に使うのもあるのか…どんなもんであろう、と思っていたのである。
 で、これもペーパーバックで英文を読めるようになってたまげたんです。「そうだったのか!」と叫ばずにいられないものを発見したのです。思わず岩波書店に手紙を出そうと思いましたがやめました。こんな面白いことは黙っていなくてはいけない…きっとみんなそう思っているのでしょう。いまだに辛子入りアップルパイは本文にあります。

 で、「ライオンと魔女」ばかりでなく「セルラー」も見ました。けっこう面白かったですが、感想はまた明日。