虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

ゾディアック(2006/アメリカ)

2008年08月13日 | 映画感想さ行
ZODIAC
監督: デヴィッド・フィンチャー
出演: ジェイク・ギレンホール    ロバート・グレイスミス
   マーク・ラファロ    デイブ・トースキー刑事
   ロバート・ダウニー・Jr    ポール・エイブリー
   アンソニー・エドワーズ     ウィリアム・アームストロング刑事
   ブライアン・コックス     ベルビン・ベリー

 1969年、全米を震撼させた実在のシリアル・キラー“ゾディアック”事件にかかわった男たちの、それぞれの運命を描く。

 マスコミや警察を翻弄するように、暗号や挑戦状を送り続けた「ゾディアック」事件を追い続けた一人の刑事は振り回され、一人の記者は殺人の標的にされて表舞台からの退場を選択し、一人の漫画家は20年をかけて追い続けた。
 結局、誰が真犯人かの真相は断定せずに終わり、あわやこの事件に取りつかれて人生を狂わせそうになった漫画家は一定の結論をもって彼自身のかかわりを終結させたようだ。

 描写は淡々としていて、音楽なんかも目立って怖さとか盛り上げてはいません。怖いことがまさに予想なしで突然眼前に現れるみたいなうすら寒い感じはソクソクと伝わってきます。でも、一番感じたのは私自身この2年ほどこだわり屋さんと向き合い続けているためか「こだわりにつかまってしまった人間と、こだわりをつかみ続けた人間」の違いでした。

フリーダム・ライターズ(2007/アメリカ)

2008年08月11日 | 映画感想は行
FREEDOM WRITERS
監督: リチャード・ラグラヴェネーズ
出演: ヒラリー・スワンク    エリン・グルーウェル
    パトリック・デンプシー    スコット
   スコット・グレン    スティーブ
   イメルダ・スタウントン    マーガレット・キャンベル教科主任

 1994年、ロサンジェルス郊外のウィルソン公立高校に赴任してきた若い国語教師エリン・グルーウェルが、暴動後の人種対立や暴力の中で教師にも見放された底辺クラスの生徒たちを、誇りを持って生きることに目覚めさせた実話を描く。製作にダニー・デヴィート、ヒラリー・スワンクなど。

 いい話なんです。あきらめない、理想に向かって突き進む主人公には頭下がりっぱなしです。
 でもまあ、手放しで称賛とか感動まではいきませんでした。
 
 そして自らなすべきと信じたことに、素晴らしい情熱と行動力で、「生活環境・学力・素行すべて処置なし」と思われていた底辺クラスの生徒たちの文科省でいうところの「生きる力・学ぶ意欲・仲間との結束」を引き出し、人生を自分で切り開いていこうというファイターへと変えていきます。
 でもそのために代償も払っています。夫を失いました。
 主人公は24時間教師なんです。私生活と職業生活の線引きなんてないです。教材費のためにバイトしてます。生徒の教育のための費用をなぜ雇用された教師が自己負担するのか、それでいいのか?と立ち止まったりしません。
 私は困難に当たると自分の力の及ぶ範囲をある程度は設定してしまうほうですから、もし教師で、このようなパワフルな同僚がいたらなんか落ち着き悪いだろうなあ、別れたハズバンドの気持ちも理解できるなどと、そっちのほうを考えてしまってならなかったのです。彼女に立ちはだかる敵役の同僚教師としてはごく少数がクローズアップされてましたが、残りの方たちも当たらず障らず、とか、当惑気味の方も多かったんじゃないかな~~、とか。
 とはいえ、そんな教師ばかりでは、生徒たちの人生は閉ざされたままだったわけです。

 臆病で事なかれな私、を確認させられたみたいな気持ちになってしまいました。
 人間一人ひとりが持つ可能性への信頼を感じるはずの映画だ、とは思うんですが…今、私の感覚がずれてるのかもしれません。