虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

Vフォー・ヴェンデッタ (2005/イギリス、ドイツ)

2006年05月30日 | 映画感想は行
V FOR VENDETTA
監督: ジェームズ・マクティーグ
脚本: アンディ・ウォシャウスキー  
    ラリー・ウォシャウスキー
出演: ナタリー・ポートマン     イヴィー
    ヒューゴ・ウィーヴィング    V
    スティーヴン・レイ   フィンチ警視
    スティーヴン・フライ     ゴードン・ディートリッヒ
    ジョン・ハート     アダム・サトラー議長

 80年代に発表されたコミックをベースに、「マトリックス」シリーズのウォシャウスキー兄弟が脚本化したサスペンス・アクション。
 第3次世界大戦後の独裁国家と化した未来のイギリス。テレビ局で働くイヴィーは外出禁止の夜の時間に道で自警団に暴行されそうになったところを、16世紀イギリス議会を爆破しようとしたガイ・フォークスの仮面をかぶったVと名乗る男に救われる。そしてそれ以後彼女はVの反政府活動に巻き込まれていく。

 今日、映画館に行って時間的にちょうど見られたのが「雪にねがうこと」「明日の記憶」とこれ。どうしたって、これ見ますでしょう?!だってせっかく映画だから非現実をみたいじゃないですか。

 それで、う~ん。なんか今日的メッセージバリバリであんまり非現実に見えなくて困っちゃったな。おととい見た映画のタイトルじゃないけど「今そこにある危機」って感じですものね。独裁とかファシズムって気がつくと「こんなはずじゃなかったのに」そうなっていた、というものだと思います。それに愛国を掲げるのも常套手段。行き着く先は「なんか変、でも面倒はいやだから黙っていよう」な世界。
 映画としては「V」というキャラクターの見てくれとか、シェークスピアその他引用どっちゃりの大げさな登場の仕方などはコミックっぽくてなかなかいい線行ってたのですが、その後は「1984年」(ジョージ・オーウェル)とか「侍女の物語」(マーガレット・アトウッド)がちらつきます。
 アクションも渋めで派手じゃないし。最後まで仮面のままというのは個人的にすごく良かった。

 で、私は嫌いじゃないけど、「良かった?」かと聞かれると考え込んでしまう映画。
 音楽は、私がわかっただけでも「1812年」(チャイコフスキー)をはじめとして意味深ですが、全部そうなのでしょうか?

本当に厄年かもしれない

2006年05月29日 | 日記・雑記
 先週は、体調が良くなったかな、と思ったのに風呂上りに足先のお手入れをしていたらいきなり右薬指の爪が半分はがれて…で、まだ半分はくっついていて…我ながら怖い状態。
 今年の夏はどうしよう。サンダル、下駄など素足のものはかなり悲しい事態になりそう。でも、なんで?何でいきなり爪がはがれるか??

 昨日は家の古モニター一掃ということでCRTの21インチ、17インチ、15インチディスプレイ各一、それに古いA2対応のプリンターを引き取り業者まで持っていった。引き取り費〆て5250円。これくらいで済んでよかったかな。21インチなんか壮絶にでかいですからねえ。奥行きなんか1メートル近くあったもの。
 そして今日。我が家に残った19インチトリニトロンのCRTモニターがいきなり故障。なんて卑怯なモニターであろうか。昨日までに壊れたなら、一緒に処分できたのに!まあ、デュアルモニターで使用中のだから実害はないけど。(ちなみに、私は2台のPCを1台のモニターにつないで切り替え機で切り替えて使用している)

 今年は体調最悪だし、見たくても見られない映画は多いし、何もしないのに爪まではがれ、なんだかついてないことおびただしい。今年は本当に厄年かもしれない。お祓いにでも行ったほうがいいだろうか。

 それやこれやで落ち込んでいるので、DISCASから届いた「チキン・リトル」の感想はまた明日に。

われらが英雄スクラッフィ / ポール・ギャリコ

2006年05月27日 | 
山田 蘭訳/創元推理文庫

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』のジブラルタルの項にも

岩山の猿

アフリカから連れてこられた猿達が岩山に棲息している、この猿達がジブラルタルからいなくなったら英国がジブラルタルから撤退するとの伝説があるという。この猿達の世話は英国陸軍砲兵隊の管轄だそうである。また第二次世界大戦中に物資不足から猿の個体数が減少したがチャーチル首相が直々に猿の保護を命じたという逸話が残っている。


という記載があります。
 実際にチャーチルが猿の個体数維持の命令をしたは事実で、イギリス人と猿に関する伝説があるのも本当のことですが、「その他は、すべて私の想像が勝手に生み出した物語である」と冒頭にギャリコの言葉があります。

 個性豊かな動物たちに、わが道を行く素敵な変人たちなど、ギャリコの小説に登場する魅力的なキャラクターの総動員といった感のある巻を置くあたわずな小説。
 タイトルの「スクラッフィ」というのはサル山の猿の中でも飛び切り大きくて醜くて乱暴で、エサをくれる人間には必ず噛み付き、嫌がらせと破壊が何より好き、という手のつけられない猿。
 そして猿担当にされてしまったお人よしの陸軍大尉ティム・ベイリー。しかし彼は猿たちに、特にスクラッフィの誰にも馴れない孤高の姿に魅入られてしまう。そして20年も猿の世話をしてきたラブジョイ砲兵とともに真剣に猿のために働いてしまう。
 ところがその努力はうるさがられるだけで報われぬまま、ある事件が原因でベイリーは猿担当もはずされ、それ以下の最低の冷や飯喰いの地位に追いやられる。
 そして第二次世界大戦に突入、スペインがドイツにつくかどうかという危ういところ。なんと放って置かれた猿とイギリス人の伝説がスペインの去就を決定しようかという事態に!!!

 大戦中の話であり、背景にドカンドカンと大砲の音は鳴り響くがとりあえずは猿の命が先決問題な小説。

 そしてスクラッフィに鬘をとられて恥をかかされ、真剣に反イギリス工作をしてしまうラミレス氏。
 猿仕官ベイリーに恋をするぽっちゃり少女から最高の美女となる海軍提督の娘フェリシティ。
 緻密で高度な作戦を猿のために展開する情報部の頭脳クライド少佐
など、今風の言葉でいえば「キャラの立った」登場人物。
 しかし何よりも、人間様が自分たちの都合で猿相手に右往左往する中で、そんなことには超然とあくまで気難しく乱暴で頑固で孤高の猿であるスクラッフィがやはり英雄なのです。大団円にほっとしてギャリコのほかの小説のように爽やかな気持ちで本を閉じることができます。そして岩山の上に大きな醜い猿の哀愁に満ちた姿が浮かび上がるような気がします。

バラとゆびわ

2006年05月26日 | 
サッカレー 岩波少年文庫
 
 岩波少年文庫でも、堅い表紙の復刻版。
 サッカレーが読みたくなったのに、なんと大人向けは図書館に「バニティ・フェア」も全部揃っておらず、古いこの本がえらいきれいな状態で児童書コーナーにありました。

 これはグリムなどのおとぎ話のその後の世界というか、おとぎ話をちょっと皮肉ったようなもの。
 魔法使いは「魔法は世のためならず」というわけで魔法をやめてしまい、王子様とお姫様とは生まれたときに不幸をプレゼントされる。「それが本人のため」だから、というわけで。
 叔父に地位を奪われた王子様と、謀反で両親の死亡後、一人残されてボロを着てさすらっていたお姫様が、愛し合い最後には結ばれるのだが、その途中の困難や波風はけっこう笑える。
 お姫様、とか王子様はとりあえず地位が安定していればみんなからちやほやされ、誉めそやされ、自分でも何でもできる気になってしまう、とか。ま、こういううぬぼれも王様として必要な素質かもしれません。
 魔法使いも重要なポジションだけど、なんだかもったいないばあさんみたいに正しくて、人が聞きたくないことを言う役回り。持っていれば誰からも愛されるバラやゆびわといった魔法の品も登場し、でもそれがさして本人たちのためにはなっていない。
 お姫様の復権に味方しようと集まったのが爺さんばかりで、役に立つようなことは何もせず、姫が王位に返り咲いたらこいつをやっつけて、こいつを処刑して、とそんな取らぬたぬきの皮算用のリストつくりしかせずに、いざとなったらぜ~んぜん役立たずというのが楽しい。
 王子様が自分を捕らえに来た軍隊に対して3日3晩の演説の末、自分の指揮下に置くところは(おかしくて)涙なくしては読めない。いやあ、これ以上聞かされるのはたまらなかったんでしょうなあ。
 「不幸に負けず学び、力をつけて幸せになった」なんて教訓つきの解説がついてるけど、どう考えても、おとぎ話の予定調和の中にサッカレー節を盛り込んだというところでしょう。

 最近の良い子の皆さん、名木田恵子とかもいいけど、こういうのも読みましょうね。私は小学校の時にアーサー・ランサムさんに教えてもらいました。
「すべての学説はいずれ論破される運命にある」
児童書といえども古典は面白いのよね。

エリザベスタウン (2005/アメリカ)

2006年05月26日 | 映画感想あ行
ELIZABETHTOWN
監督: キャメロン・クロウ
出演: オーランド・ブルーム    ドリュー
    キルステン・ダンスト     クレア
    スーザン・サランドン     ホリー
    アレック・ボールドウィン    フィル

 シューズデザイナー、ドリューは、彼の開発したシューズが10億ドルもの大損害を招き、会社をクビになってしまう。恋人にも捨てられ自殺を決意する。そんな彼に、故郷を訪れていた父親が心臓発作で亡くなったという報せが届き、父の葬儀のためにケンタッキーの小さな街、エリザベスタウンへと向かう。彼は飛行機の中で、陽気なフライト・アテンダント、クレアと出会う。

 あまりピンと来る映画ではありませんでした。自分の世界が崩壊した後どうやって生きていくのか、そのきっかけを与えてくれたのは溌剌した女性だった、みたいなとこはすんなりはいってくるけど、「この映画の中に詰まってること、絶対わかりきらないとこ多いだろうなあ」という意識がまとわりついてはなれない。
 この、白人しか見えない、まるでアメリカ大統領選挙前のテレビ番組で「保守の基盤・中部アメリカの典型的な町」と紹介されそうな、住人オール知り合いのような小さな町のパーティーみたいなお葬式にもびっくりです。そこでスーザン・サランドンがこの役をやったのを納得。
 なんたってアメリカだから「成功」するか「失敗」かの圧迫はすごいんだろうが、そこが今ひとつ実感として伝わってこなかった。日本人の、しかも日々のぬるま湯にどっぷりつかってる私にはだめかも。
「あの頃ペニー・レインと」「バニラ・スカイ」よりも「シングルズ」に近い感じ。この雰囲気は嫌いではないが、小骨が引っ掛かった後のようにスッキリしないものが残ってしまった。
 オーランド・ブルームはトニー・カーティスのような自分の美貌をカリカチュアライズするキャラができるかなあ、と期待しているんだけどどうでしょうか?
 キルステン・ダンストうまいですね。

RENT/レント (2005/アメリカ)

2006年05月24日 | 映画感想ら行
RENT
監督: クリス・コロンバス 
出演: ロザリオ・ドーソン    ミミ
    テイ・ディグス    ベニー
    ジェシー・L・マーティン    コリンズ
    イディナ・メンゼル    モーリーン
    アダム・パスカル    ロジャー
    アンソニー・ラップ    マーク
    ウィルソン・ジェレマイン・ヘレディア     エンジェル
    トレイシー・トムズ     ジョアンヌ
    サラ・シルヴァーマン     アレクシ

 1989年のクリスマス・イブ。若くて貧乏で夢しかない若者たちの暮らすアパートに暮らすルームメイトのロジャーとマーク。元の仲間で今は金持ちと結婚したベニーは、再開発のために家賃滞納で彼らを追い出しにかかっている。マークの元恋人モーリーンはそれに抵抗のためのライブを計画。そしてモーリーンの今の恋人はジョアンヌ。恋人をエイズで亡くしたロジャーは階下のダンサー、ミミに心惹かれる。ロジャーたちの親友トムドラッグ・クイーンのエンジェルと恋に落ちる。そしてそれから1年…

 今年は映画館へ行くたびに予告編でさんざん

 525600ミニッツ!

 の歌声を聴かされて、名曲ですから是非見たかったのです。数年前のトニー賞の時からみたいなあ、と思いましたし。今回もご近所の劇場の公開が明後日でおしまいなので夜の回に一人で行ってきました(もう夜しかやってない)。
 曲と、ブロードウェイのオリジナルキャストの歌は素晴らしい。しみじみ見てよかった…と嬉しくなった。

 ただ~、映像に関しては「舞台が見たい」と思うところが、特に見せ場と思えるところで多かった。
 特にラストシーンでは、右手手前にミミとロジャー、左後方に仲間たち。またミミとロジャーのアップが交互もそれでいいのだが、ラストにあの奇跡が来るのであれば、絶対に舞台のほうがそれを納得させる説得力があったと思う。実は、ラストではちょっと気抜けしてしまった。

 一番どかっと来たのはエンジェルの葬儀。…私はたった一人、私の特別な人が死んだ時に自分を悼んでくれれば後はどうでもいいや。

=========
 雷です。TB、メールなどはすいません、明日に。 

フリスコ・キッド(1979/アメリカ)

2006年05月23日 | 映画感想は行
THE FRISCO KID
監督: ロバート・アルドリッチ
出演: ハリソン・フォード   トミー
    ジーン・ワイルダー   アブラム

 1850年、ゴールド・ラッシュに沸くアメリカへ、ポーランドから来たユダヤ人ラビのアブラム。追いはぎに遭って一文無しになり、英語もわからず、荒野の真ん中で途方に暮れていた時、強盗稼業のフリスコ・キッドことトミーと出会う。そして二人はアブラムの目指すサンフランシスコまで向かうことになる。

 アルドリッチ未見作品ですから、今回のBS2放送をなんとしても見逃すわけにはいきませんで、ベッドの上で正座して見ました。
 やはり、晩年の作といっていいせいでしょうか、それまでの「男だぜ(ジ~ン)!」的な雰囲気よりも、「カリフォルニア・ドールズ」に近いペーソスを感じました。でもドールズの方が深~~~く好きだな。
 律法大事、神様が助けてくださる精神のカタマリで抜けているのに頑固なアブラムに、強盗のくせにお人よしのフリスコキッドがつけこまれて、見捨てられずについつい一緒に道中してしまう。ありがちな展開ではあるが、ハリソン・フォードのそれほどマッチョを感じさせない若造っぽさ、ワイルダーの突き抜けたような楽天性と信念の人ぶり・ひげ髪もじゃもじゃスタイルが好一対です。この映画はワイルダーの顔のアップが頭に残ります。
 これもまた終わりの気持ちのいい映画で、生きることや人間への肯定というか、そんな暖かさを感じる映画。

夜遊び

2006年05月21日 | 日記・雑記
 少し体調が良くなったと思ったとたん、前々からの約束で2日連続で夜遊びしてきました。
 特に昨日から今朝にかけてはカラオケ、ショーパブのはしごで午前様。
 ショーパブなんてところは初めてで、それも外見が男女逆転のお店で、もう目が点になったまま最後まで戻らずに帰宅しました。。おまけに私が怯えてたみたいに見えたらしく、無理やり作り物の胸に触らせられてしまいました。感触も本物みたいだし、私よりずっと大きくてカッコイイ。あんまりだわ。
 それに一緒に行ったみんなが「人様のプライバシーを根掘り葉掘り聞くなんてはしたない」なんてことは忘れたというような発言ばっかりして。ああいうお店では、初めての人はそういうことを聞くものなのでしょうし、あちらも慣れていて答えも用意されてるのだろうと思うけれど、やっぱりなんかうろたえちゃう。
 それにしても、みんなきれい。しかも背が高い。オカマの皆さんはほとんど170センチ以上、最高が182センチ。あの身長と足の長さでドレスアップで決められたら155cmの私に勝負なんて出来ない。化粧うまい。女であるってことだけに安住して手を抜いてはいかん!と反省。レディースコミックに登場する美人そのもの。
 生まれが女性で男の格好をしている人も、ひげまで生やして見た目は小柄な男性にしか見えず、もうすごかった。いや、心配り細やかで酒飲めない私は助かりました。
 「プリシラ」とか思い出しちゃいましたけどね~。でも
「やおい幻論〔やおい〕から見えたもの(榊原史保美著/夏目書房)」
で書いた様に「自分の兄弟がそうなったらほんとにショックだろうなあ。それを受け入れるのにむちゃくちゃ時間とたくさんの葛藤を経過しないと無理」だろうなあ、とやはり思う。

 カラオケのリストに「アイアン・キング」「地獄のズバット」「ポポロクロイス物語(ゲーム版)エンディングテーマ」発見!今度家族で行ってちゃんと「アスカー!」と合いの手を入れて歌ってこよう!

ヴィタール (2004/日本)

2006年05月21日 | 映画感想は行
VITAL
監督: 塚本晋也
出演: 浅野忠信   高木博史
    柄本奈美   涼子
    KIKI   吉本郁美

 交通事故で恋人の涼子を亡くし、自分は記憶に障害が残った高木博史。医学書にだけは興味を示し、大学の医学部に入学する。解剖実習で博史の班には若い女性の遺体が割り当てられ、没頭していくうち、彼は現実とは別の場所で、涼子と再会し、記憶を取り戻しつつ現実を超えたリアリティを体験する。

 私の周囲でも塚本監督の「鉄男」なかなか評判でしたが、まだ見ておりませんで、これを見ました。
 浅野忠信のロングヘアーがちょっとうるさかったのと、死せる恋人に対しての生きている彼女のあの行動が本当に必要だったのかな?という点以外は、幻想と現実の隙間みたいな、なんとなく頭の中をこすられるような感じを起こさせる映像でした。
 実は途中で「牡丹灯篭」になるのだろうか、とつい思ったのだが、ぜんぜん方向性違いますね。
 
 幻想と現実だけでなく、「死と生」が繰り返し出てくるのに、今ひとつ迫ってこないのがもどかしかった。これは、実際に見るものの受け取り方で違いが大きいのだろう。主人公以外の、一般的な医学生たちの、それまでは縁のなかった他者の死体への態度など、読みきれないところが多かった。

私と貧血

2006年05月18日 | 日記・雑記
 しょうもないタイトルですが一応私も日夜闘ってますので。
 やっと体調が上向きになった感じです。

 小学校1年から腎臓悪くしてタンパク質を制限した生活してたせいでしょうか、ずっと貧血です。爪も薄くておかげさまで鋭いので引っかくととても痛いです。
 マンガの「鬼面組」で形勢が悪くなると
 
「秘技 貧血!」

と倒れる女の子がいましたが
くらっときてしゃがみこむだけならまだいいのですが、倒れる時はいきなり目の前が暗くなって、棒のように倒れます。たいがい怪我が伴います。自転車に乗ってるときだと命にかかわります。
 加えて、ひどい貧血の時は晩御飯を食べる元気が出ません。食べても受け付けないし。「ダイエットに白いんげん」のメールはどっさり来ますが、多少太っても食べられる時が華、と思います。

==========
 ポール・ギャリコの
「我らが英雄スクラッツィ」
読みました。これはキャラクターも文章も、ユーモアと諧謔味にあふれた楽しい快作です。
 明日にも感想を!

トム・ヤム・クン! (2005/タイ)

2006年05月16日 | 映画感想た行
TOM YUM GOONG
監督: プラッチャヤー・ピンゲーオ 
アクション監督: パンナー・リットグライ
出演: トニー・ジャー     カーム
    ペットターイ・ウォンカムラオ     マーク巡査
    ボンコット・コンマライ    プラ
    チン・シン    マダム・ローズ
    ジョニー・グエン    ジョニー

 タイの小さな村。王の乗る象を守る戦士の末裔カームはが、父親と象とともに暮らしていた。父の夢は大事な象を王に献上すること。しかしある日、彼らの大事な象の親子が密輸組織に連れ去られ、父親も撃たれる。大切な象と兄弟同様の小象を探して、カームは、単身オーストラリアへと向かう…。

 行ける範囲の映画館では19日でおしまい。行って来ました。ただし何時もの様に一人じゃなくて、ひっくり返った時のための付き添い付きで。今日付き合ってくれたのは映画の間は黙って見ている人なのですが、帰りに「ジョニーは、あれで気が済んじゃったのかい?」と聞いてました。
 トニー・ジャーの前作「マッハ!!!!!!!!」よりはお金かかっていて、「今のシーンをもう一度」なしで、でもスローモーションは使ってあったけど、テンポが良くなった感じ。私の連れが感じたようなちょっと消化不良なキャラやエピソードも多かったですが、もうもう、やっぱりアクションにほくほくして見ておりました。
 格闘シーンになると自然に顔がほころんじゃいます。「マッハ!!!!!!!!」のほうがストレートな迫力は強烈だったかなとは思うものの、今回も跳ぶ・蹴る・手や肘が急所にまともに入る・骨はボキボキ・関節すっぱり、ああたまりませんねえ~~~!!
 私、自分が敏捷性とか体力ダメダメなせいか、こういう卓越した身体技にはまったく弱いのです。
 トニー・ジャーは「怒る」悲しむ」以外にはあまり感情表現とかないのだが、あれだけ動けばもう何もいいませんわ。それにその素朴で直情径行な怒りがあの超絶アクションにはあってます。拍手です。
 しっかし、最後のやられ役の皆様、関節がはずせる人たちだったのでしょうか。手や足がかなりあり得ない角度に曲がっているようでしたが…

それにしても空いた劇場内でした。横浜近辺の皆様!19日までです!新高島の109シネマズです。あの音響で見られないと惜しい映画です!

ウィスキー (2004/ウルグアイ)

2006年05月15日 | 映画感想あ行
WHISKY
監督: フアン・パブロ・レベージャ
    パブロ・ストール 
出演: アンドレス・パソス    ハコボ
    ミレージャ・パスクアル     マルタ
    ホルヘ・ボラーニ     エルマン

 父親から譲り受けた靴下工場をそっくりそのまま経営する初老のハコボと、その片腕として長年働いてきたマルタ。何時も判で押したように変わらない二人の生活。だが、母の墓を立てるときにハコボの弟エルマンがブラジルから帰郷することになり、その間マルタに妻のフリをしてほしいとハコボが頼んだ…

 これ、見たかったのですが行けなくて、BS放送で見られて喜んだのです。でも、これ、ぜひ大画面の派手な映画ではないですが、大きい画面で見たい映画でした。カメラは据え置き、めざましい視覚効果もないけれど画面を漂うビミョーな間と「輝く」ということを排したような光の加減が面白かった。それに同じ絵が何度も出てくるのも効果的。
 「ウィスキー」とは写真を撮るときに笑顔を作る言葉。
 不器用な人間どうしの表現能力の無さの競い合いみたいなのが切ない。
 如才ないエルマンへのハコボの競争意識が思わずでちゃうところとか、マルタの女性としての欲求みたいなものがあらわになっていくところとか、それでも自分の殻から飛び出したわけでもないのが、痒いところが見つからない時のようなイライラ気分。
 ラストがほんとに見る側に投げ出されています。最後までハコボは自分の虚勢と甘えを捨ててません。馬鹿ですねえ。

 佳品だと思います。ウルグアイは映画制作のすごく少ない国だそうですが、そこからこういう映画が生まれるんですね。

スモーク・シグナルズ (1998/アメリカ)

2006年05月13日 | 映画感想さ行
SMOKE SIGNALS
監督: クリス・エアー
出演: アダム・ビーチ
    エヴァン・アダムス
    アイリーン・ベダード 

 赤ん坊の時の火事を生き延びたヴィクターとトーマス。しかしその火事でトーマスの両親は亡くなり、ヴィクターの父は喪に服し続ける。12歳の時に母と自分を捨てて家を出たヴィクターの父の死の知らせがあり、ヴィクターはトーマスとともにアイダホの居留地からフェニックスへと旅立つ。

 NHKBS2のサンダンス映画祭特集はとっても嬉しい。見るチャンスのなかった映画が勢ぞろいです。「Mr.Pのダンシングスシバー」なんか、DISCASのレンタルリストでもう少しのところだったけど、削除しちゃった。「ウィスキー」も、「羊の啼きごえ」もほんとに待ってました!

 で、私はアダム・ビーチを美しいと思うのです。彼をはじめてみたのは「ウィンド・トーカーズ」でしたが、映画の出来よりもともかくアダム・ビーチが美しいと思ったのです。
 この映画でも美しいと思いました。彼が演じていたのは鬱屈を溜め込んだまま何も成さず、いささか鼻持ちならないプライドの持ち主の青年ですが、彼の美しさで存在が説得力を持ちます。若い力も、もしかしたらあるかもしれない能力も、彼の見てくれのもつ力さえも発揮しようがさしてない環境です。さらっとユーモアを交えて描写してますが、やっぱり、絶対的に貧しい世界。
 居留地なんてものの存在がまず「まだこうなのか」の驚き。全財産の額の驚き。見渡して「これだけですか」という居留地社会の狭さ、小ささの驚き。自分たちを「インディアン」と呼んでるのもびっくり。「ネイティブ・アメリカン」になったんじゃないの?最近の古い映画の字幕は「インディアン」が「先住民」になってるのに。しかし、その小さい貧しい社会で彼らの伝統にのっとった生き方を守っている。他の土地でインディアンに出会い、それとない連帯感を認めたりする。主な出演者がインディアンで、彼らの環境も実にリアルに感じるが、ストーリーはオーソドックスで、特にインディアンだからこうなるのだ、ということはない。どこでもあるような青年の心の成長を描き、爽やかなラストに気分のよくなる映画。
 トーマス役が良いです。打たれ強いいじられキャラ風で、痛々しくもあるけれど骨はありそう。彼とおばあちゃんが揃ったシーンはいつも笑えました。この映画のユーモア感覚は好きです。

バニシングストリート (1991/ドイツ)

2006年05月11日 | 映画感想は行
MANTA, MANTA
監督: ヴォルフガング・ビュルト
出演: ティル・シュヴァイガー
    ティナ・ルーランド
    ステファン・ゲベルホフ
    ザビーネ・バーグ

 DISCASの紹介文にいわく

 『キング・アーサー』の出演など、活躍が目覚ましいティル・シュヴァイガー主演のカーアクション。スピードに魅せられたワイルドな主人公が、対抗するグループと勝負に挑む決意をする。そんな中、彼の恋人が彼の子供を身ごもっていることがわかり…。

 とあったので、フランスのカーアクション「TAXI」の向うを張るか!とか思って予約しちゃったのでしょうね、私。リストのすっごい下にあったのが来ましたが、見てびっくり。タイトルのオペルマンタを飛ばすカーアクションもあるにはあるけど、そもそもがクルマ命の若いにーちゃんたちと、その彼女たちのあれやこれやが多くていささかかったるいコメディ。それに感心するほど出演者みんながみんなかっこよくない。時代なんでしょうかね。女の子までさほどきれいに見えないの。でもみんな軽薄じゃないのが不思議。
 主演のティル・シュヴァイガーって、「キング・アーサー」で敵役やってた人ですよね。あれ、かっこよかったのに。駆け出し時代とはこんなものかなっ、としみじみと見てました。
 ストリートレースシーンもエキサイティングというよりは、妙に行儀がいいのが面白かったりします。この映画のタイトルになんで「バニシング」「ストリート」がついたのが、それが最大の謎。

それにしても、ハーディー・クリューガーにオスカー・ウェルナーとか(ちょっと古すぎるけど)あの手のいい男はいないのか?

北京ヴァイオリン(2002/中国)

2006年05月10日 | 映画感想は行
監督:チェン・カイコー
出演:タン・ユン
   リウ・ペイチー

 中国北部の田舎で暮らす父・リウと13歳の息子・チュン。チュンは母親の形見のヴァイオリンを弾き、その腕は評判だった。ある日2人は、コンクールへ出場するため北京へ出ていく。

 ラストは泣いちゃったのですが、やはり泣かされた、という気がしました。ちょっとラストは無理やりだったような気もします。だってねえ、あの子はお父さんにとって、天から与えられたプレゼント、たからものなんだものねえ。かわいい上に才能まである。これ以上のものはありませんね。それがまたほんとに天才で、音楽的葛藤も表現とか解釈だけでテクニックには問題ない。まあ、演奏家になろうという子はローティーンでテクニック如きは卒業してるけど。それがあの駅での演奏だけで少年の望みとか、お父さん自身の気持ちとか、すとんと納得しちゃったのかなあ。
 冒頭の出産協力お礼のお金のやり取りは、はじめてみたときは「?」なところで、いまだにうまく表現できないんだけど、あのシーンでなにか親子の間の違いと関係を言い尽くしてるようにも思う。あのお父さんのドゥ・イット・ユアセルフな生きかた(あの手編みセーターは感動)も、あの子とリリのコートのいきさつも象徴的。
 金が万能になる中国の首都の世の中と、ヨーロッパの西洋音楽と、親子の愛情と、この取り合わせの画面が面白かった。ヴァイオリン演奏はスピードがあって、いつも聴いてるのとタイプが違うのでさほど感動はできなかったのです。ちなみに私は情緒纏綿なヴァイオリンが好きなのです。
 お金とか、物質主義というのがめちゃストレートに出てきている映画で、この映画の中ではまだまだ愛情が物質主義に勝ってますが、これからどうなるのでしょう。結局ラストは(社会的には恵まれないとしても)少年が真に幸福な環境を選び、そこでこそ彼の音楽が発揮されるらしい・・・が。う~~~~ん。いえ、二度目ですが、私がまだ納得できてないかな。
 ラストのチアン先生は清潔そうでハンサムでした。