虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

玄鳥 (藤沢周平著/文春文庫)

2004年10月28日 | 
藤沢周平の時代小説のうちでも、北陸 海坂藩を舞台に武士を描いた短編集。

藤沢周平の世界は風が吹いている。
読んだあとなんとなく清しい風に吹かれたような気分になる。
登場するのは、癖もあれば欠点もあり、変なところにこだわったりする身近な人間像だが、やはり「武士」であり、死に対する姿勢が現代人とは明らかに違う。

女性のあり方もまた然りで、自制心に富み、表面は穏やかで、その奥の揺れ動く心が何かの折にふと表面にこぼれでる。たとえば、「三月の鮠」のヒロインは、密かに恋している男が、自分の家族の仇を討って無事で帰ってきた姿を認めて、それでも夢中で飛びついたりせず、身じろぎもせず立っている。巫女姿白い小袖と緋の袴でりりしく。
そして男が近づくと、
「その目に盛り上がる涙が見えた。」

わ~、たまりません。
私とは別人種だな、とは思っても、文章からして実に端整でしびれます。

藤沢周平はクールです。
今度の「隠し剣 鬼の爪」映画化でも、「たそがれ静兵衛」みたいに山田監督調にウェットで重くなってないかとちょっと心配。

2004年悪役大賞

2004年10月28日 | 映画の話題
allcinema ONLINE のニュースから

>イギリスの Total Film 誌の読者およそ1万人の投票によって行なわれた2004年ムービー悪役賞の結果が明らかとなり、「スパイダーマン2」のドック・オクや「テキサス・チェーンソー」のレザーフェイス、さらには「キル・ビル」シリーズのエル・ドライバーら錚々たる候補が並ぶ中、みごと「華氏911」のジョージ・W・ブッシュ大統領がその栄冠に輝いた。

なかなかきついですね。
Total Film という雑誌はゴシップもバリバリのイギリスの映画雑誌らしいですけど、その読者層とかよくわからないのが残念。

それと、全米興行成績で
1位 THE JUON/呪怨(清水崇監督、サム・ライミほか製作)
2位 シャーク・テイル
3位 Shall We Dance?(原題)
日本映画もリメイク揃いとはいえ、がんばってるじゃないですか!

日本ではさすがジョニー・デップ「シークレット・ウィンドウ」がトップ「2046」「アイロボット」と続きます。「2046」は、トニー・レオンを見るために行ってもいいかな。

ところで、みんながこぞって酷評してる「デビルマン」も興行成績7位です。原作者がハリウッドのオファーを断り続けたのはわからないではないです。デビルマンのハリウッド正義風アレンジなんていったら眼も当てられないでしょう。私は見ていないのでどうこう言う立場にありませんが、(漫画は読んでます)「ロード・オブ・ザ・リング」では、自分の考えていたのと少し違っても、目の前に差し出された映像の息を呑むような見事さにまず感動しちゃいました。やっぱり今もまだ少しだけ「デビルマン」に期待してます。ほんとにどうしよう…