虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

禅 ZEN(2008/日本)

2009年06月30日 | 映画感想さ行
監督: 高橋伴明
出演: 中村勘太郎   道元
    内田有紀    おりん
藤原竜也    北条時頼
   テイ龍進    寂円・源公暁

 日本曹洞宗の開祖、道元の伝記ドラマ。

 大学の一時期、仏教に凝ったときがあリました。わが国ではありがたいことに基本仏典が岩波文庫で揃ってたり、参考文献豊富なので読み漁っておりました。読むには読みましたが、お釈迦様の言行録的なものはともかく、仏教書は基本的に哲学書、みんな歯ごたえありすぎ。特に道元禅師の「正法眼蔵」(もちろん解説付き)はむずかしくて理解度5パーセントと言うもおこがましいありさまでした。
 でも、解説などなどのおかげで
・仏性は個々人の中にあり
・ひたすら座る、また日々の修行の中から言葉で表わされるものを越えた「悟り」を得る
・女性を見て心に起る悪心は、女性は存在が悪いからではない。(でも女人往生は難しい)

…と言うような(半端な)理解をしておったのです。

 そういう生半可な予備知識でこの映画見ますと、おりん(内田由紀)があまりにも現代的に美しく、最後に出家をして収まるところがなんか違和感払いきれませんで、もっと勉強しなきゃなあ、とか思うのでした。それに道元を越後に導く波多野さんの登場がちょっと唐突に感じます。
 見た後に教材的な映画を見た以上の満足感はあります。

 田村高広が鑑真和上役だった「天平の甍」はたまたま大画面で見たせいか、中国やら南アジア方面の景色が素晴らしく、また命がけで持ち帰ろうとした仏典・仏像が帰途の嵐でむなしく海に沈むシーンなど、面白いつまらないを越えて絵が印象に残る映画でしたが、これは「絵」でなく、なんだか熱意みたいなものが印象に残る映画でした。
 それにしても昔の日本のお釈迦様映画でも、キアヌ・リーヴスの映画でも、これでも、どうも十分でしかもやりすぎないとみんなが納得できる「悟り」の表現は難しいものだろうなあと思わざるを得ません。