虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

悪名(1961/日)

2004年10月12日 | 映画感想あ行
監督:田中徳三
出演:勝新太郎 田宮二郎 中村玉緒 水谷良重

 戦前の河内喧嘩が強くて、古風な任侠道遵守の朝吉と、見た目はドライだが実は熱血の貞が兄弟分となり、(いささか行き当たりばったりな感じに)弱きを助け、強きをくじき、おのれの生きる筋を通していく痛快映画。

 めっぽう強くて、弱いものいじめが嫌いで、女好きで酒に弱くて、どっかかわいい勝新太郎の朝吉と、かっこよくて強くて、でもなんだか調子よくて軽いモートルの貞の田宮二郎。このコンビ最高です。特に田宮二郎。後年は眉間に立てジワな演技ばっかになるようで、この、素晴らしいコメディセンスはもっともっと発揮しようがなかったのか?と惜しくてならない。松田優作も死のシーンでまず記憶に残ったというけれど、悪名2作目「続・悪名」の貞の死は邦画でもっとも鮮烈なシーンのひとつではないだろうか。このかっこよさは3作目から弟清次役になって、軽みを増してツボにビシビシ来ます。田宮二郎が光らないと、「悪名」の面白さは減ります!
 朝吉の喧嘩のシーンが、ともかく原始的で良いです。刀振り回さず、身体が武器でもカンフーのように超絶技巧的みたいでなく、ほんとの「ケンカ」 ゲンコツの世界。

 中村玉緒さんが、若くて身体の線がほんとに細くて、肩の線の華奢がかわいい!日本人はただでさえ身体小さいのに日本髪の大きさでバランス悪いなあ、と思うけど、この映画ではそれで乙女の線の細さが強調されてました。
 浪速千栄子さんの迫力はいつもながらすごいです。
 水谷良重の妙にしな~んとした薄幸ぶりもはまってました。