虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

コールド マウンテン (2003/米)

2004年10月06日 | 映画感想か行
COLD MOUNTAIN
監督: アンソニー・ミンゲラ
出演: ジュード・ロウ ニコール・キッドマン レニー・ゼルウィガー

 牧師の父とともに都会から南部へやって来た美しいエイダ。寡黙なインマンはやがて彼女の心を捉えるが、南北戦争が始まり、インマンは戦場へ。そして父に死なれたエイダも生きるすべを持たず追い詰められていた。戦場で過ごした3年後、瀕死の重傷を負ったインマンはエイダの窮地を知り、脱走して彼女の元へ行こうとする。

 見終わって静かなため息が出るような映画だった。
 自然の描写はとても美しく、戦場の悲惨や、戦争の惨禍による人間の荒廃と対照を成すようだった。時間も行きつ戻りつ、長尺の物語を飽きさせないようにうまく作ってあったと思う。
 この映画の真の主役は戦争ですね。南北戦争によって引き起こされた悲劇を、インマンは道中で一つ一つ目撃します。エイダの方も、戦争に乗じてのさばる人間の醜さ、それに勝てない悲しさを否応なしに味わいます。最初のほうのシーンで、明らかに先住民らしき南軍兵と黒人が戦うところも意味深といえば言えるでしょう。先住民は青い軍服にずっと狩られているわけですし。
 
 レニー・ゼルウィガーはさすがにオスカーでした。あごの線まで緩んじゃって、たいしたものです。彼女に比べると、ニコール・キッドマンはきれいな役回りであるからしょうがないのかな、と思うように最後までただきれいでした。銃を構えた姿なんか、美しすぎて時代を間違えそうだったし。でもその美しさがインマンにとってこの世の善と美しいものへのたった一つのよすがだったとすれば、あれでよかったのでしょうか。ラブ・ストーリーであるからにはキッドマンとジュード・ロウの端正さが当たり前なのでしょう。
 大好きなアイリーン・アトキンスがでてきたときは嬉しかったし、彼女のセリフが重大な意味を最後まで響かせていました。
 彼は、エイダが「その後」を生きる為に帰ってきたのですね。