虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

スーパーマン リターンズ(2006/アメリカ)

2006年08月30日 | 映画感想さ行
SUPERMAN RETURNS
監督: ブライアン・シンガー
出演: ブランドン・ラウス   カル=エル/クラーク・ケント/スーパーマン
   ケヴィン・スペイシー   レックス・ルーサー
   ケイト・ボスワース   ロイス・レイン
   ジェームズ・マースデン    リチャード・ホワイト
   フランク・ランジェラ   ペリー・ホワイト
   サム・ハンティントン    ジミー・オルセン
   エヴァ・マリー・セイント    マーサ・ケント

 クリストファー・リーヴ版二作目の5年後。
 クリプトン星の痕跡を求めて宇宙へ行き、5年後に地球に帰ってきたスーパーマン。しかし、その間に恋するロイスは別のパートナーと子どもと新しい生活を築いており、宿敵ルーサーは刑務所を出所していた。

 一番の感慨は「ほんっとによくこれだけスーパーマンな主人公を見つけ出したものだ!」
 今度の主役は時々人形っぽく見えるくらいの典型的なコミック美男に見えました。リーヴを引き継ぐのに違和感全然なし。もちろんメイクの効果にも大いに貢献しているのでしょう。ちょこっと細長めだけど体つきもいかにもスーパーマンだし。あのどんな時でも額にかかるクルリンも素敵だ。
 ほとんど昔の番組紹介しか見ていないテレビシリーズでは、クラーク・ケントとしてのデイリープラネットでの地位はすごく有能な記者とか、かなり偉い人だったらしい。これはクリストファー・リーヴのスーパーマンの続きで、普段は人のいい手足もてあましてる大男のフリ。あの眼鏡がかわいくて好き。
 初めの導入部というか還ってきてもとのポジションに納まるまでの説明部分を過ぎると、いきなり飛行機救出の大きな見せ場で、そこから先は次から次へと「これぞスーパーマン」シーン続々で見ていて嬉しい。
 レックス・ルーサーのケヴィン・スペイシーも前回と違和感なかったけれど、前のほうがコメディ調が勝ってるようにも思う。悪役の見せ方は定番の楽しさがありました。

 今度のスーパーマンは正直なところ「うわあ、こういうのアリですか?」と思うところはあります。
 意識なく病院で裸にされて調べられたりするのも(これは献辞を捧げた人への含みがあるのかしら?とも思った)スーパーマンがこれで良いのかな、とか。ロイス・レインの私生活も「そうなの!?」です。この辺は続編でどうするんだろう、とドキドキします。

 時間の長いことにもぜんぜん気付かず、ヒーローの原典のような活躍をたっぷり堪能できてほんとに楽しかった。ぜひ出来のいい続編を見たい!

アンダーワールド2 エボリューション(2005年/アメリカ)

2006年08月27日 | 映画感想あ行
監督: レン・ワイズマン
出演: ケイト・ベッキンセイル    セリーン
    スコット・スピードマン    マイケル
   トニー・カラン    マーカス
    ビル・ナイ     ビクター
   シェーン・ブローリー    クレイヴン

 ライカンとヴァンパイアの数百年の抗争が続いていた。ヴァンパイアのセリーンはライカンが家族を殺したと思い復讐のためにライカン処刑を続けていたが、ヴァンパイアのリーダー、ビクターが家族を虐殺していた真実を知り、ビクターを殺す。同族からも追われる身となったセリーンは、ヴァンパイアとライカンの混血種マイケルと逃げる。2人は追っ手から逃れながらも、やがて両種族の誕生の秘密に迫っていく。

 前作からの青と黒の色調の画面に浮かび上がるベッキンセイルの蒼白な顔と青い眼という映像は大好きです。
 主人公の細腕でモンスターぶっ飛ばすのに多少無理があっても、彼女も画面もきれいだから何でも許せます。
 はじめの30分ほどは、後半をスピードアップして進めるためか、説明的なシーンが多いのですが、そこを過ぎると次から次へとアクションシーンが続きます。
 前作でわけも分からずライカンになってしまった気の毒なマイケルですが、葛藤は少しであっという間に変化に馴染んでセリーンと組んで大暴れ。ライカンへの変身自在で、しかも部分使用も可、というのが最強です。「戦場のピアニスト」で缶詰が開けられなかったシュピルマンさんに爪一本貸してあげたい、など思ってしまいました。(不謹慎ですいません)
 前作からのビル・ナイ、デレク・ジャコビ、こういう方々が嬉々として(そう見えます)やっているので何だか豪華に見えます。

 マイケルも、セリーンもそれぞれ最強の新タイプライカンとヴァンパイアに変身したので、きっと続きがあるのでしょう。

 女性が主人公のヒロイックアクションというのは、お相手の男の人は、たとえどんな能力を有していても性格が良さそうに見えないといけないのでしょうか?別に恋愛してもいいのですが、この映画に関する限りではラブシーンは取ってつけたみたいでした。全編闘いまくっても良かったのになあ。

超劇場版 ケロロ軍曹(2006/日本)

2006年08月26日 | 映画感想た行
監督: 近藤信宏
の出演: 渡辺久美子    ケロロ軍曹
    小桜エツ子   タママ二等兵
    中田譲治   ギロロ伍長
     川上とも子   日向冬樹
     斎藤千和    日向夏美
     池澤春菜    西澤桃華
     能登麻美子    アンゴル・モア
     子安武人    クルル曹長

地球侵略にやってきたくせに日向家の居候にすっかり馴染んで、お手伝いとガンプラ作りの毎日のケロン星人のケロロ軍曹。今日も冬樹とガンプラをを買った帰り道、不思議な空間に入り込みそこで壷を割ってしまう。すると…

 今回は奇跡に近いというか、DISCASから新リリースのDVDが2本まとめて届きました。こんなのは初めてで運を使っちゃったかも、という一抹の不安があったりしますが、何はともかく嬉しい。
 劇場では2本立て公開用60分のあっさりした公開版ですが、テンポがよくて、怪獣ものや変身・特撮・ヒーローアニメのお約束パロディばっちりで適度にオタクして、でも何も知らなくてもちゃんとほどほど笑って、ちょっぴりジ~ンとして楽しめます、というお子様・御家族向け娯楽映画の王道を行っています。
 声優の皆さんも聞きやすい発音で、きちんとキャラクターに添った声を出していて安心してみていられます。
 こういう安心感のあるアニメは、ほっとします。

 私はアニメシリーズは時々見るだけなのですが、コミックのほうは貸してもらって「逃げちゃいけない」とか、ちらりとお目見えのサンダーバードとか、「3倍早い」とか一生懸命探してます。
 返す前に5、6回見ていろいろ探してみよう!

反省文

2006年08月24日 | 日記・雑記
 ジブリの興行収入に貢献してきてしまいました。
 やめようと思ったのに、「興行成績トップ」につい、良い意味で裏切られるんではないかと期待してしまいました。
 いつも訪問させていただいております、正直なご意見を書いていらしたブログ主の皆様、ご意見を活かせずごめんなさい。
 この映画は、「ゲド戦記」のタイトルをはずして、原案の一つとして並んだというだけになりましたら普通に平静な気持ちで見られると思います。

 私、ゲド戦記は特に1・2巻が好きです。
 泣きたいです。

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後刻
 先ほど、「ゲド戦記」映画に原作者からクレームというニュースがgooトップページに出ておりました。
 これが1日半ほどはやく報道されましたら、スーパーマン見てきましたのに。昨日なんか、ショックで家に帰ってからPC立ち上げる気も起きず、風呂も入らずに泣きながら寝ましたわ…
 せめても1800円でなく、レディース・デイで1000円しか払ってないというのが慰め。

もはや古い情報ですが

2006年08月22日 | 日記・雑記
 甲子園の決勝の引き分けになった試合を録画しておいたのを見ていました。試合の途中で出かけなければならなかったので、延長戦に入ってからの分を見ていなかったのです。
 両校ともよくあの場面であのプレイができました。
 私は結果がわかっているにもかかわらず、胃が痛くなりました。
 当日9回まで見て、既にぐったりした気分でしたが、試合全部を見て寝込んだ方もいるのではないでしょうか。

 17歳や18歳であの緊張感の連続に耐えられたのに心底感服します。
 必ずや彼らの人生における糧になるでしょう。

 双方に力がなければあれだけの試合ができませんでした。
 本当に素晴らしい試合でした。
 今年は野球の当たり年(?)かもしれません。

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 テレビドラマ「沖縄従軍少女看護隊-最後のナイチンゲール」も少し見ましたが
 戦争は本当に遠くなったんだなあ、とため息混じりに思います。

プライドと偏見(2005/イギリス)

2006年08月21日 | 映画感想は行
PRIDE & PREJUDICE
監督: ジョー・ライト
出演: キーラ・ナイトレイ   エリザベス・ベネット
    マシュー・マクファディン    Mr.ダーシー
    ドナルド・サザーランド    Mr.ベネット
    ブレンダ・ブレシン   ベネット夫人
    ロザムンド・パイク   ジェーン・ベネット
    ジュディ・デンチ   キャサリン夫人

 ジェーン・オースティンの高名な小説の映画化。
 女には相続権のない19世紀イギリスで、女ばかりの5人姉妹のベネット家。近所の屋敷に適齢期の金持ちの男性が越してきて大騒ぎになる。

 本のほうの感想は
 ここ と、ここ
 にございます。

 はじめは自分のイメージと演じる俳優の落差に違和感いっぱいで見ていましたが、そのうち「これはこれ」として楽しんでいました。
 エリザベスが知性的な魅力を湛え、その姉のジェーンは誰が見てもまず感嘆する美貌というのが二人の組み合わせです。しかしキーラ・ナイトレイが主役だからしょうがないのでしょうか、どうしてもナイトレイ演じるエリザベスのほうが光っちゃうのが最後まで気になるところではありました。
 それに映画で見るとますます少女向けマンガあるいは小説的に感じます。映画という時間に収めるために駆け足にならざるを得ず、ダーシーがエリザベスに夢中になるのが小説以上に唐突に感じられます。それにウィッカム、リディアなども脇に追いやられて、「自負と偏見」の持つ意味が薄れてしまったと思います。

 それでも映画では当時のジェントリーという階級の上(ダーシー、キャサリン夫人)と下(ベネット家)の差が屋敷、生活、調度、使用人に至るまで眼に見えるのがとても興味深く納得できるところでした。
 私がイメージしていたダーシーはもっと鋭角的な美男でしたが、この映画ではちょっともさっとした正直すぎの不器用君になっていたのがとても面白うございました。

ミイラ再生(1932/アメリカ)

2006年08月20日 | 映画感想ま行
THE MUMMY
監督: カール・フロイント
出演: ボリス・カーロフ
     ジタ・ヨハン
    デヴィッド・マナーズ
    アーサー・バイロン

 英国の考古学者がエジプトで発見したミイラは生きながらミイラにされたものだった。一緒に発見された古文書を若い助手が読み上げるとなんと復活し、立ち去る。それから10年後、その学者の息子がやはりエジプトで不思議な人物の情報で王女の墓を発見する。

 プロットは全く「ハムナプトラ」 もちろんこちらが元祖ですが。この映画に思いっきり派手なVFXを足してアクションアドベンチャーにしたのが「ハムナプトラ」です。
 どちらも突っ込み無用ですが、さすがにこちらはボリス・カーロフ。存在が死の世界のまがまがしさを振りまきます。いかにもミイラという包帯ぐるぐる巻き姿で暴れたりいたしませんで、かさかさした質感のメイクで、魔力を持った乾燥型リビング・デッドを演じております。
 本編よりも、メイキングなど特典映像のほうをじっくり見てしまった。この映画はツタンカーメン発見から10年、その呪いの噂で持ちきりだった時期の作品だそうで、見るほうではもうすっかり”エジプトの墓~のろい~超能力”の連想受け入れる気満々で見ていたのでしょう。
 それにしても、古典ホラーの役者って彫りの深い顔立ちが整い、憂いがあり、背が高くスマートでなければダメ、という何拍子も揃った人でないと出来ませんね。
 この映画のイギリスのリメイク、むっか~し見たきりのクリストファー・リーとピーター・カッシング共演のミイラものはリーのミイラ最強で大暴れ、古代回想シーンはカッコイイ、となかなか優れものだったという記憶がある。これもまた探しに行こう!

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 本日は少し元気出そうと思って、片道220円もかけておいしいという寿司屋へ出かけた。昼日中の暑さの中を歩いていったのに、いや却ってそれが悪かったのかほとんど食べられなかった。悔しい。やっぱり「スーパ-マン・リターンズ」を見にいったほうがきっと元気になったわ!

雷とか、傷とか、映画のテレビ放送とか

2006年08月19日 | 日記・雑記
 一昨日の雷は横浜でもすごいものでした。
 家でPC立ち上げるのはやめちゃったほどです。
 落語でも、稲光がぴかっと来て雷の大音響で雨宿りの男女が「きゃあ」なんて抱きついて抱きつかれて、何とかなってしまう、なんてシチュエーションが出てきます。となると別に雷は昔からドンガラ派手に轟いていたはずですが、子どもの頃に雷で怖かった記憶がないのです。
 子どもの頃は、私は雷が怖くなかったのでしょうか?
 今はPCの心配したり、屋外の電気設備が壊れたらやだな、とか雷で心配することがおへそ以外にも子ども時代に比べてたくさんあるのですが。

 先日来足がぷちっと膨らんで虫さされかな、と思ったのがぜんぜん治らず病院へ行ったら、皮膚科、整形、外科と3科回った挙句に切開手術~~。帰りに片足歩き状態でよろよろとバスに乗ったら、私よりず~~っと年配のご婦人に席を譲っていただきました。
 ありがたかったけれど複雑な心境でございます。
 最近微熱が続いていたのはこの傷の為だったのだろうか、それとも体力落ちたから腫瘍ができたりするのだろうか?
 ともかく熱が下がったら「スーパーマン」「トランスアメリカ」行くんだい。

 民放のテレビ放送の映画は、あきらめてはいるけど、もう少し考えてカットしてくれないだろうか。「妖怪大戦争」もひどかったけど金曜の日本テレビ系の「ロック・ユー」はエンディングの"We are the champions"がばっさり。あるとないでは大違いではないですか。何を切って何を残すか、もっと考えてくれないだろうか。

 DVDレンタルのDISUCASに「白バラの祈り」リクエスト。「大和」よりそちらを見たい。

 いまBLOGを書くということについて考えております。最近、BLOGに関連記事を書くことによって報酬ゲットというシステムができて、このgooブログにも宣伝出ています。
 こういうのは私の性分にあわないからしませんが、こうなるとブログというスタイルも考え物だなあ、と思ってます。私は小心者なので何かについての意見を申し述べるについては、報酬があると、どうしても正直になりきれないような気がします。 
 でもこういうのが定着すると、ネット上にある「一般人の本音」を見分けるのが難しくなるようでちょっと憂鬱になっています。これからどうしよう、ほんとに。
 ちなみに私はHPにアフィリを貼っているものの(今はリンクページ工事中なのでお休み中)は自分で買うときに安くなるので使っていて、ぜんぜん稼いでいません。でも、アフィリはリンクをたどって商品を見にいこうという気を起こさせる魅力がないとダメなので記事を書くほうの力も試されているんですから、報酬あってもいいかな、と思ってます。
 

8月は

2006年08月16日 | 
 世の中が戦争があることを思い出す月になっているようで、新聞雑誌の特集とかTVの特番だので日本が負けたことを確認してくださいます。
 
 15日は総理の靖国参拝で騒がしい1日でした。
 私は私個人のことと、知っていることしか申し上げられませんが、戦没者遺族と言っても、あたりまえのことながら一様ではありません。

 一人息子を南方で亡くした曾祖母は絶対に靖国へは行きませんでした。千鳥が淵へ行っていました。
 大叔父は日本兵の大多数(7割)の死因と同じ餓死です。現地調達の仕様もない農耕とて不可能なサンゴ礁の島へ補給も無しに置き去りにされてじりじりと弱って死んでいったのでしょう。
 私も靖国へはごくたまに行きますが、無念や悲しさに心が乱れるばかりです。

 やっと危ういとはいえレバノン停戦が眼に見えるようになりました。
 このところエドワード・サイードの「ペンと剣」をずっと読んでいました。ちくまで文庫化されておりますので多くの方に読んでいただきたい本です。
 これは10年にもわたるラジオ・インタビューを集めたものなので、サイードがずっとアピールし続けた「パレスチナ人の存在」とそこにある悲劇、その間のパレスチナとイスラエルの問題の移り変わりをも学習できます。
 絶望的な状況の中でも、なおも理性による世界への希望を持ち続け、訴え続ける素晴らしい思想家の姿を知ることができます。

 こころ、とかどうにも取れるような一言で片付けてはいけないことがあると思います。卑屈にならず言葉を尽くして、しかしあくまでもひるまず訴えることが肝要ではないですか。

SPIRIT(2006/香港、アメリカ )

2006年08月13日 | 映画感想さ行
FEARLESS
霍元甲
監督: ロニー・ユー
アクション監督: ユエン・ウーピン
出演: ジェット・リー    フォ・ユァンジア
    中村獅童     田中安野
    スン・リー    ユエツー
    原田眞人    ミスター三田
    ドン・ヨン    ノン・ジンスン
    コリン・チョウ    フォ・ユァンジアの父
    ネイサン・ジョーンズ    ヘラクレス・オブライアン

 実在した伝説の武闘家、1910年に上海で開催された史上初の異種格闘技戦の勝者・霍元甲(フォ・ユァンジア)を描くマーシャル・アーツ・エンタテインメント。
 
 これは、つくりはあくまで娯楽映画で、武術映画で、それのなかにジェット・リーの武術への愛みたいなものをひしひしと感じさせる映画でした。それに武術映画はこれで引退、と言明してるけどアクション映画は引退しないでしょう。
 映画のアクションにもいろいろなスタイルがある。私はジェット・リーは「リーサル・ウェポン4」が初めてだった。でもハリウッドの映画より、リー・リンチェイ名の初期の映画のアクションに眼を奪われる思いがした。ともかく動きが美しい。
 この映画でも、絵的にすごい!よりも、きちんと鍛錬されたものの動きを堪能させてくれるシーンが嬉しかった。対戦相手は中村獅童以外は各闘技の達人ばかり。中村獅童の役は芝居のほうがメインだったせいかな。
 
・強さを求めて闘い続け、挙句に最も大切なものを失う。
・傷心でさすらい、自然のなか、人の優しさで生まれ変わる
・己に打ち勝つという、「何のための武術か」の原点に立ちかえり、それと共に真の強さを身につけ、武道の真の道を示す。
・異種武術試合で世界の強者に勝利し、当時列強に圧迫されていた中国のプライドを回復するが、姦計のために死去

という、とてもわかりやすいストーリーで、武術シーンはたっぷり、それでいて死者は最小限。
 メッセージのクリアーさはこれ以上ないというほどで、日本人が悪役なのはやっぱりしょうがないかな、と思うけど、日本人の武術家を己の名誉を重んじる人間として描いているのも武術への愛のせいでしょうか。

 でも、今日的メッセージとしても復讐についてはけっこう痛く身に沁みました。
 911以降、テレビ画面などでアメリカの人の「やり返す権利」という発言をけっこうよく聴きました。それであのテロで身内を亡くした人が「この暴力の復讐の連鎖を裁ちたい」とか言ったら非国民呼ばわりされたりして。

Who was Sacagawea?

2006年08月11日 | 
 本屋に行って彷徨っていたらこの本を見つけました。
 Sacagaweaってチラッと聴いたことはあるけど本当にどういう人?
 正確な発音は?

 子供向けの偉人伝シリーズみたいなものの一冊で、易しい英文です。高校入試程度で楽勝な感じです。他にアインシュタインとか、アメリア・イヤハート、ハリエット・タブマン、ベンジャミン・フランクリン、ヘレン・ケラー、モーツァルト、ルーズベルトの納得のメンバーのほかに、アニー・オークリー、ハリー・フーディニ、なんとロナルド・レーガンなんて入ってる!
 表紙の絵柄は全部こういう雰囲気なのですけど、赤ちゃん背負ってるし、名前に惹かれて手にとって拾い読みしていたら面白いので買ってきました。

 前頁挿絵付きです。インディアン住居内部とか、なかなか興味深い図解も入っています。

 サカガウェア、またはサカガウィアと読むのでしょう。アメリカ北西部を探検したルイス・クラーク探検隊に同行したアメリカインディアンの(2002年発行のこの本にはアメリカ・インディアンと書いてあり、ネイティヴ・アメリカンは使っていない)ショショーネ族の少女で他部族にさらわれ、そこからまた毛皮商人のインディアン妻の一人として売られる。
 この男が探検隊に雇われ、そして16歳のサカガウィアが同行し、探検隊の知恵袋・ガイド・通訳として最も頼りになる存在となるが、その間に子どもも生んで、その子を背負って探検したのである。アメリカの3つの州に彼女の名前にちなんだ名のついた山がある。
 ルイス、クラークの残した記録などからは如何に彼女が(夫なんか問題じゃなく)その能力を認められていたかがわかるそうだ。でも彼女は給与は一切無かったし、探検成功後は夫の毛皮商売に同行し、二人目の子どもを出産後ちょっとした病気で25歳の若さで亡くなってしまう。
 ポカホンタス以外ではもっとも有名なインディアン女性らしいけれど、二人とも若死にって、なんてことでしょう。
 昔、「卵と私」のシリーズを読んでいたときに、白人女性である作者が居留地のインディアンたちを「だらしが無い、みっともない、怠け者、ポカホンタスの面影も無い」とものすごく失望し見下した調子で書いていて、「ソルジャー・ブルー」以後にアメリカ史を齧ったものとしては、インディアンから生活手段も何もかも奪っておいていい気なもんだなあ、と思ったことがある。
 この本も子供向けではあるし、サカガウィアや探検隊の経緯や業績についてがほとんど。 探検行は何年にも及ぶものだし、未知の土地への決死行、行く先々食料も必需品もほぼ自給生活だったわけでその部分は普通に探検ものとして面白かったり、簡略描写ながらも冒険にはちょっとワクワクする。
 その後のことは彼女の子どもの消息がちょっと書いてあるだけ。その書いていない部分はどうしても考えてしまう。特に子どもを背負っていたサカガウィアを攻撃してくるインディアン部族が皆無だったことは、その後のインディアンの歴史-ほとんど白人による圧迫と滅亡の歴史を考えると、どっちが野蛮人でありましょうかとため息を禁じえない。
 今はなんとしてもこういう視点を抜きには読めないが、子どもの時に読んでいたらどういう感想を持ったのだろうか。

 2000年にアメリカの彼女のドル・コインができ、ノースダコタやワシントンDCにも銅像があるそうです。チャンスがあったら見たいものです。どっかの映画に出てこないかな。 

シルバーホーク(2004/香港)

2006年08月09日 | 映画感想さ行
SILVER HAWK
監督: ジングル・マ
出演: ミシェル・ヨー   ルル・ウォン/シルバーホーク
    リッチー・レン   リッチマン警視
    ルーク・ゴス    アレグサンダー・ウルフ
    マイケル・ジェイ・ホワイト     モリス
    リー・ビンビン    ジェーン
    ブランドン・チャン    キット
    岩城滉一    シライシ社長

 近未来の世界で、メタリックスーツと仮面をまとった謎の女性シルバーホークが活躍していた。しかしもちろん警察はそのことをよく思っていない。
 シルバーホークの正体はポラリスシティのセレブ美女ルルであり、シルバーホークを追うリッチマン警視の幼馴染でもあった。

 アクションは良かったのです。新味はなかったけど、なんといってもミシェル・ヨーは「できる人」なので決まるのです。さすがに以前に比べるとちょっと老けちゃったかな、ですが、まだきれいで身体の切れも抜群です。
 でもほかがなんかチープに見えて。
 一番気が抜けたのは敵の秘密基地の外観なんだけど。
 地下のボスのいるところなんかは結構それらしいのだけれど、それもまたなんかテレビのヒーローシリーズで見たおなじみのシーンみたいに感じるのが困ったところです。
 この「おなじみ感」がこの映画を楽しむための邪魔者だったかも。
 おなじみだなあ、と思ったのは
 ・有能警視のオトボケのコメディ調
 ・近未来都市のロケがお台場などで、結構目に慣れてる(海外の観客にはこれでいいのかも)
 ・ストーリー、人物設定がL文学してる(L文学…少女とその延長線上の読者向けのコバルトなどの小説群…「スカーレット・ウィザード」なんて名作も)
 惜しかったなあ、と思います。

デンジャラス・ビューティー2(2005/アメリカ)

2006年08月08日 | 映画感想た行
MISS CONGENIALITY 2: ARMED AND FABULOUS
監督: ジョン・パスキン
出演: サンドラ・ブロック    グレイシー・ハート
   レジーナ・キング   サム・フラー
    ウィリアム・シャトナー   スタン・フィールズ
   ヘザー・バーンズ   シェリル
   アーニー・ハドソン   マクドナルド
   ディードリック・ベーダー    ジョエル
   エンリケ・ムルシアーノ   ジェフ・フォアマン
   トリート・ウィリアムズ    コリンズ

 ミス・アメリカ・コンテストの潜入捜査ですっかり顔が売れてしまったグレイシーは捜査に支障をきたすようになり、捜査活動が出来なくなる。その上、彼にまでふられてしまう。仕方なくFBIの顔として本を出版し、美容お手入れスタッフ引き連れPR活動に従事している。ところが親友のミスアメリカがさらわれ、グレイシーには相性のとてつもなく悪いフラーが護衛につけられる。

 サンドラ・ブロックといったら私には典型的アメリカ中流家庭筋金入りリベラルインテリ育ちに見えるのです。『スピード』や、この映画の一作目はそれが役にドンピシャでよかったのです。
 その彼女で、「女はもちろんきれいにもなれるけど、やっぱ生きたいように生きてもいいのよ」、それに「彼もいいけど、まずフレンドシップが最高!」みたいなところに話を持ってかれますと、ああ、疲れたキャリアウーマン向けの癒しドラマなのかな、と思ってしまうのです。
 まあ、楽しめるので良いんですが。
 でもねえ、カーク船長があのざまって…悲しい。(個人的感傷)

 新しいパートナーの名前がサム・フラーですから、「赤い矢」「裸のキッス」連想しないわけにはいかなかったんだけどあんまり関係なかったみたい。見落としたかな。

がっくりしたこと

2006年08月07日 | 日記・雑記
今日がっくりしたこと。

50円玉が必要になって、スイカを使わず券売機で150円の切符を買ったら、10円玉でおつりがでてきた。

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・スーパーマン・リターンズ

アメリカの若い俳優のストックというのは底知れない。
よくまあ、あれだけコミックから抜け出したような整いすぎたような若い子を見つけ出してきたものだ。
彼を見るためだけに行っても良いと思っている。

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・ヘルボーイ 続編

ギレルモ・デル・トロ監督にロン・パールマン、セルマ・ブレアは続投とのことでまずは重畳。
今度はみそっかす役に誰が回るか、けっこう楽しみ。

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・プロデューサーズ

10月4日発売とのDVDリリース情報。
これも待ってるけれど、ジーン・ワイルダー出演のミュージカル版じゃないのがレンタルに出てこないかなあ。

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・ヒュー・ジャックマン

ミュージカルの古典「回転木馬」をジャックマン主演で再映画化するそう。トニー賞ではジャックマンの歌を毎年見ているし、ミュージカル俳優だというのは知れ渡っているのに、実際のミュージカルが見られなかったので楽しみ。

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・The Departed

「インファナル・アフェア」のスコセッシリメイク版のタイトル。予告編見ちゃいました。
レオちゃん=トニー・レオン マット・デイモン=アンディ・ラウなんですね。
まず風土が違うし、全く別物になっているほうが望ましいけど、見たところでは陰影がそがれた感じはする。ギプスは使ってありました。

さすらいのガンマン(1966/イタリア、スペイン )

2006年08月06日 | 映画感想さ行
NAVAJO JOE
監督: セルジオ・コルブッチ
音楽: エンニオ・モリコーネ
出演: バート・レイノルズ    ナバホ・ジョー
     アルド・サンブレル    ダンカン
    フェルナンド・レイ    ラティガン神父
    ニコレッタ・マキャヴェリ   エステラ
    タニヤ・ロパート   マリア

 強盗集団に部族を襲われ、全滅させられたインディアンの生き残りが、たった一人で復讐する。

 オープニングからショッキングな惨殺シーンです。はじめて見たのですが音楽がなんだか耳馴染みのあるような感じでなんだかはじめての気がしません。でもこのアンちゃん風のバート・レイノルズは初めてです。バート・レイノルズという人も浮き沈みの多い人ですが、テレビで売り出して映画スターとしても大人気だったのは1970年代だったので、こういう時代のレイノルズは初見。
 妻と部族の復讐に、大金強奪が絡んで悪役は極めつけの悪役だし、田舎の町民はほとんど役に立たないし、少しは頼りになるのは流れ者の芸人と先住民の混血と、型どおりのマカロニ・ウェスタンです。音楽が素晴らしいです。惜しむらくは孤独な復讐者の主人公が今ひとつ影が足りない、濃くないのが残念。悪役の残酷さもけっこうほどほどに感じてしまいます。でもこれはイーストウッドとかリー・ヴァン・クリーフなんかの厳しさと比べてしまうからで、若いレイノルズにはちょっと不公平な見方です。
 終わり方は素敵。

 見終わって思わず「夕陽のガンマン」見てしまいました。