虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

ソード オブ・ザ ファンタジー 勇者と聖なる剣 (2002/オーストラリア、アメリカ)

2005年11月29日 | 映画感想さ行
WARRIOR ANGELS
監督: バイロン・W・トンプソン
出演: ジョアンナ・パクラ 
    ルトガー・ハウアー
    ジョン・ヴァーノン
    アーノルド・ヴォスルー 

 十字軍に参加した女兵士エリザベスが故郷に帰ってみると、荒らされ、息子は誘拐されていた。戦う気力もない村人たちだが、彼女はたった一人、息子を取り返しに力を持つ豪族グレコーのもとへ向かう。

 arudenteな米様からの宿題「男女のヒーローへの同化の仕方の違い」など考えている為か、こういう闘う女性映画をつい選んでしまうようなんですが。いや~、これはけっこうおとぼけな映画でした。
 主人公が子持ちで歴戦の女戦士ですから、年増なのはあたりまえなんですが、それにしても魅力がいまいちなのが難点。この映画、一番素敵なのが敵役、ルトガー・ハウアー様なのです。これがまた、悪いこともするけど、主人公の子どもはかわいがってるし、奴隷でも見所のあるものはちゃんと認めたり、主人公よりずっと度量の大きいように見えちゃうんです。正義の味方のメンバーが束になっても悪役の魅力に勝てないもんですから、ラストが一応主人公が目的を達してめでたしめでたしなんですが、ハウアー様がやっつけられてちっとも嬉しくない。困ったものです。
 あらすじの続きはといえば、途中で弓の名手とか、物知りとか、敵の内情をよく知る色っぽい女性を仲間にして、ついに…という、なんか書いてるとゲームのあらすじみたいですが、そんなものです。
 私的には、もうただただルトガー・ハウアー様鑑賞が目玉な映画。悲しい運命のイヴという色っぽい娼婦上がりみたいな女性はなかなか良かったですが、後はさほど。アクションもそこそこで、胸躍るかっこいいシーンとか無くて。「キング・アーサー」なんかは、映画自体はさほど感心しなくても、いざ戦いに挑もうとする男たちなんてところには、ほんとにしびれたのになあ。女性の殺陣の目覚しく良い映画って、クンフーなんかではたまにあるけど、どうも考えつかない。思わずまねしたくなるようなかっこよさを持った女主人公っていませんかねえ。

 明日の予定は「チャーリーズ・エンジェル・フルスロットル」です。これも真似したくはならないなあ。

グラン・プリ(1966/アメリカ)

2005年11月28日 | 映画感想か行
GRAND PRIX
監督:ジョン・フランケンハイマー 
出演: ジェームズ・ガーナー
    イヴ・モンタン
    三船敏郎 
    エヴァ・マリー・セイント

 F1レーサーたちの姿を描いたアクション。ジェームズ・ガーナーが主演のアメリカ人レーサーを演じ、イヴ・モンタンなどのライヴァルと競い合う。そして皆が私生活でもそれぞれの問題を抱えている。
 三船敏郎はガーナーの乗る車で参戦するヤムラ自動車社長を演じている。

 さすがはフランケンハイマー監督。車は古い。でも迫力はすごい。今のオンボードカメラ中継より、わかってる人間が撮った映像のほうが迫力が勝ってしまうのである。最初のモナコの公道レースの音と振動は血管をかき回しそう!22インチモニターじゃいや!百倍大きい画面で見たい!もっといい音響設備で聞きたい!と、いきなり血が沸騰してしまう。
 リアルなモナコについで、あるレースはファンタジックに、ある時は記録映像風に、とレースの撮り方を全部変えている。配役がいい。今のレーサーに比べるとオジさん多いかなとは思っちゃうけど、イヴ・モンタン渋い。素敵。イタリア・フランス・英語・スペイン語こなしてます(ここのところは私のコンプレックス)。
 ストーリーは地味です。死と隣り合わせに生きるってことを(実は人間みんなそうでも)意識せざるをえない職業だし、結婚生活はみんなガタガタ。その愛憎のドラマなので、極めつけメロドラマ。最後はうまくまとめてるけど、どうしてもドラマよりクルマに昂奮してしまう映画。
 ミシン作ってたヤムラ自動車って、やっぱりモデルはトヨタですかねえ?それともホンダ?三船敏郎の日本人も、いかにも外国人の考える日本人みたいだけれど、どっしりして威厳がある。
 ピット・シーンが入ってこないんだけど、当時のレギュレーションって給油なしだったのかな?メキシコグランプリってあったの知らなかった。

ハリー・ポッターと炎のゴブレット (2005/アメリカ)

2005年11月27日 | 映画感想は行
HARRY POTTER AND THE GOBLET OF FIRE
監督: マイク・ニューウェル
出演: ダニエル・ラドクリフ   ハリー・ポッター
    ルパート・グリント    ロン・ウィーズリー
    エマ・ワトソン    ハーマイオニー・グレンジャー
    レイフ・ファインズ    ヴォルデモート卿
    マイケル・ガンボン     アルバス・ダンブルドア校長

 ホグワーツ魔法学校の4年生に進級したハリーたち3人。そしてこの年“三大魔法学校対抗試合”がホグワーツで復活した。世界の三大魔法学校の生徒が一堂に会し、各校1名の代表選手3名が魔法の力を競い合う。その代表は立候補した生徒の中から“炎のゴブレット”が選び出す。各校の代表3名が選ばれた直後、炎のゴブレットは、立候補もしていなければ17歳という年齢制限にも満たない14歳のハリーをなぜか4人目の選手として選び出す。ハリーは3つの危険な試合に挑むハメになる。

 やっぱり私は根本的にミーハーなもので、早速行ってしまいました。
 これもシリーズものとして、今までの映画無しでは、あるいは原作読んでいなければ意味がわからないところはいっぱいあります。映画を単発で楽しむというのは、巻を重ねるごとにますます難しくなりますね。
 それに、一作目、二作目は小学生の、それも低学年・中学年からどうぞ、なんて映画だったけど、三作目あたりから雰囲気がどんどんダークに傾き、見るほうも成長していかないとダメなのよという感じがします。今回はついに学校の生徒に死者が出たりしてますし、思春期真っ盛りの3人組の葛藤があったり、見るほうはティーンエージャーくらいにはなってないと辛いだろうか。
 でも、映画としてはこのダークさがハリー・ポッターという主人公の「運命を背負った少年」らしさが良くあらわれていると思う。
 ヴォルデモード卿のルックスですが、復活間もないとはいえ、もうちょっと威圧感にあふれたのを想像してたんだけど…

 CGは思ったより以上によい出来だった。予告編で見たドラゴン登場シーンは見慣れたゲーム画面を見るようで、ちょっと不安があったが、実際の映画の中では保留なしに素直に楽しめた。

 ただ本当に、みんな育ちましたね。先日テレビで一作目見ちゃったし、あのふっくらほっぺの男の子がまあ、でっかくなっちゃって… それにエマ・ワトソンきれいになったけど、ミステリアスなムードは前作までのほうが上のように思いますがどうでしょう?

短期入院でした

2005年11月26日 | 日記・雑記
 貧血がかなり困った状態で、点滴と検査のためちょこっと病院にお泊りしてました。まあ、お仕事やら雑用から開放される時間ではあったのですが、各ベッドについてるテレビがBS放送ないのが一番つらかった!毎晩の「ローハイド」と「コンバット」が一晩でも抜けると辛い!

 その「ローハイド」と「コンバット」、今回放送終わってしまいましたが、しみじみ、つくづくものすごい良質ドラマですね。
 昨晩のコンバットはアルトマン演出でしたが、映像も素晴らしいし、見た後に心に食い込んでくるような悲しさ。戦争の空しさ、誰が実際に戦争の悲惨を一番味わわなくてはならないのかを、ラストに少年のセリフ無しの表情と、感情を一部封印しなくては生きていけない兵隊たちのセリフでの表現。見事でした。
 どの回も実際に戦っているのは誰か、敵兵といえどもそれぞれに家族や生活を持った人間であり、戦場という場に置かれて否応なく兵隊としてふるまう。もちろん主人公たちは一種スーパーマンですが、実に人間として好感の持てるあらまほしい人物で、これが高い支持を受けたのも当然だと実感しました。
 舞台がヨーロッパ戦線なのも、放送当時の日本で抵抗が少しは少なかったでしょうか。

 終わってしまって悲しい!
 これを見たくて、映画館からはちょっと遠ざかったけど、ほんとに幸せな期間でした。こういう良質なドラマ、もっと発掘して紹介してほしいです。

モスラ対ゴジラ (1964/日本)

2005年11月22日 | 映画感想ま行
監督: 本多猪四郎
出演: 宝田明   酒井市郎(毎朝新聞記者)
    星由里子   中西純子(毎朝新聞記者)
    小泉博   三浦(生物学博士)
    ザ・ピーナッツ   小美人

 嵐の翌朝、巨大な卵が日本に漂着した。それはモスラの卵だった。卵は見せ物にする興行師に買われ、インファント島から卵を取り返しにやってきた小美人たちは空しく帰っていった。その頃、ゴジラが復活し名古屋を壊滅状態に陥れる。そしてゴジラに対する最後の策はモスラに助けを求めることだった。

 スタッフから役者まで、特撮の黄金期のメンバーがずらり。
 逃げ惑う人々、パニックの街など、「グジラ」に比べると、なんてよく出来てるんでしょう。比べるほうがマチガイですが~
 それにこれは、怪獣の戦いというものを長時間、堪能するまで見せてくれるということでは出色の出来だと思っている怪獣映画。なんたって、映画の後半3分の1は、ゴジラに対するモスラと、その幼虫、人間が結束しての死闘を描いている。ほんとに見事だと思う。怪獣特撮アクションの白眉ではないだろうか、なんて思うのである。
 そりゃあモスラの造形というのは、リアルというにはつらいものがあるけれど、それでもこの死闘部分の動きには素直に賛辞を送りたい。

 それにしても、ゴジラの顔が凶悪犯みたいに、性格が現れるような風になっているのがおかしい。わけのわからない不気味さよりは、邪悪に見えるようになっている。
 その後は善玉方面に性格変化してしまうゴジラですが、やっぱりゴジラは悪役がお似合い!

 私、元気つけたい時はどうも特撮もの見てますね。

グジラ 大怪獣襲来(1998/アメリカ)

2005年11月20日 | 映画感想か行
監督: アーロン・オズボーン
    マイケル・ディーク
出演: R・J・マクマレー
    ロバート・ガルシア
    アリソン・ローマン 

 地球侵略をたくらんだロード・ドゥームが、怪獣グジラを地球に送り込む。そして銀河警察の基地に先制攻撃、基地は十分な機能を失う。そこで銀河警察は、ヒト型でない宇宙人を地球に差し向ける。

 あまりのチープさに声もありませんでした。「スター・トレック」と怪獣映画と「E.T.」をごたまぜにして、大学生の自主制作風味をまぶしたような… しかし、自主制作ものだってもうちょっと辻褄あわせには気を使うような気もします。
 ラストなんか、良い宇宙人とかかわったおにいちゃんが、世界を救うために8時間で製作した武器の接触不良を直すために、道具箱を抱えて走り回り、政府のエージェントはその辺のお姉ちゃんと互角に戦ってるし、怪獣は体制が整うまで待っててくれるし、もう「腹いて~」と呻きながら笑ってました。そして地球の危機が去り、ロード・ドゥームを捕まえにいった銀河警察は、予算の関係でしょうか、素手で闘うんですね。
 怪獣が叩き壊すビル群は発泡スチロールのように壊れるし、あまりに旧式なテレビとかすべてがペナペナ感にあふれているので、数十年前の映画と思ったくらい。

 報道途中で中断するジャーナリストは、初代ゴジラの「さようなら~」シーンを思わせるし、エメリッヒ監督「ゴジラ」の看板を壊すシーンなんか、明らかにゴジラ意識していると思います。

 まあ、それなのに、この映画で「マッチスティック・メン」と「ビッグ・フィッシュ」のアリソン・ローマンを見るとはねえ!役者の皆さんも駆け出し時代はいろんなものに出ているんですね。

007/カジノ・ロワイヤル (1967/イギリス)

2005年11月19日 | 映画感想さ行
CASINO ROYALE
監督: ジョン・ヒューストン ケン・ヒューズ ロバート・パリッシュ ジョセフ・マクグラス ヴァル・ゲスト
出演: ピーター・セラーズ    イヴリン・トレンブル(ジェームズ・ボンド007)
    デヴィッド・ニーヴン    ジェームズ・ボンド卿
    デボラ・カー    ミミ
    ウィリアム・ホールデン    ランサム(CIA)
    ウディ・アレン     ジミー・ボンド(ドクター・ノア)
    ウルスラ・アンドレス    ヴェスパー・リンド(007)
    
 秘密組織スメルシュによって各国の諜報部員が次々と抹殺されて行く。英情報部は、007のコードネームを後輩に譲り今では隠居生活を営む元祖ジェームズ・ボンドにスメルシュ打倒を依頼する。

 以前に「普通の」007だと思って見て、のけぞった映画。
 娯楽アクションを見るつもりが「モンティ・パイソン」見ちゃった感じ。あれより穏やかで「オースティン・パワーズ」よりはギャグがお下劣でなく、口あんぐりの程度もそれほど強烈ではなかったのですが。
 監督が、ヒューストンをはじめとして、5人も並んでるし、と言っても最初の二人しかわからないけど、それに豪華スターがずらりと並んだキャスト!でもなぜかたるい展開のコメディ版ジェームズ・ボンド。
 これ、ショーン・コネリー以下の正統派ボンドがあってこその映画。
 とはいえ、きれいな女性はいっぱい、変な新兵器もいっぱい、悪役もちゃんと大物がやってるし(やり方に多少の違和感はあっても)危機一髪を難なくクリアするボンド様も健在。

 オンラインレンタルのめぐりあわせで今やってきた映画なので、特に選んでみたわけではないけれど、私のような人間には精神の疲れているときにほけっと見ているにはいい映画だった。やっぱりこれだけスターぞろいとなると無条件にゴージャスだし、ラストの大乱闘はやたらと楽しい。それに音楽最高。

 なんたって、端正な美貌のデボラ・カー様の壊れ方を見ているだけでも楽しい。
 でも、特典映像少ない、ないに等しい!がっかり!やっぱりネタがないのかなあ、それともレンタルでなくセル版ならついてるのかなあ。

バットマン、007、ゴジラ

2005年11月18日 | 日記・雑記
 昨日は、このPCにまったく寄り付くことが出来ませんでした。
 先日の警察沙汰の第2弾でした。家族が傷害事件の被害者になったのですが、なぜ被害を届けたほうが「警察に届けるなんて乱暴な」と言われるのかワケがわかりません。無抵抗なものに暴行を加えて、事故って、そりゃないでしょう。うちはことを大きくするのは嫌いません。でるところへでなきゃしょうがないかも。

 めげた気持ちでつい見ちゃったのが「バットマン・フォーエバー」
 役者はいいんですけどねえ。トミー・リー・ジョーンズにジム・キャリーなのに。ヒロインも美しいんですけどねえ。何でこうなるんでしょうねえ。どうものれません。「コンバット」のほうがずっと面白いですね。
 それにオンラインレンタルからは「007カジノ・ロワイヤル」が来ます。役者が豪華で女優さんたちが美しくて、なのにピンと来ない映画ということでは「バットマン」と共通点があるかしら。でも、音楽だけでも、デビット・ニーヴン見てるだけでもなごみそう。一緒に来るのが「モスラ対ゴジラ」予約したことさえ忘れてました。元気が出るだろうか。

 本日午後まではまったく余裕のない生活ですので、お返事その他、今晩いたします。皆様申し訳ないです。

ピーウィーの大冒険(1985)

2005年11月16日 | 映画感想は行
PEE-WEE'S BIG ADVENTURE
監督: ティム・バートン
出演: ピーウィー・ハーマン
    エリザベス・デイリー
    マーク・ホルトン

 ぴっちぴちグレン・チェックのスーツに赤い蝶ネクタイがトレードマークのピーウィー。大切な赤い自転車を盗まれてしまう。何とか取り返そうと、占い師の“アラモの果て”にあるというご託宣を信じてアラモへと旅立つ。途中で出会うのが脱獄囚だったり幽霊だったり、満たされないウェイトレスだったり…

 ピーウィー・ハーマン初主演作及びT・バートンの長編初監督作。音楽ダニー・エルフマン。
 バートン監督にしては画面の色彩が明るい。他のとちょっと色目が違う。それにインテリアなど、セット全体がポップな感じ。とはいえ、主人公が悪ガキ風なノリで意地悪されたり小突かれたりするセンスは、それらしいところも。ピーウィーらしさなのかもしれないけれど、何しろピーウィー・ハーマンはバートン監督の映画でしか知らないので、そこの判断は出来ない。

 ピーウィーの女装がなんと美しいのにびっくりしたり、細かい笑いどころはたくさん。大笑いする映画ではなかったけれど、にたっと出来るシーンがたくさん。前半よりは、後半のアクション系クライマックスが断然楽しかった。ゴジラ出演にはなごんだ。

コンバットの日々

2005年11月15日 | 日記・雑記
 指の怪我もよくなりました。ようやく包帯・カットバン類が取れました。ご心配くださった皆様、誠にありがとうございました。
 爪の中に白くくっきりはがれが白く食い込んで浮き上がるのでとっても妙です。見ていて落ち着かない気持ちになります。やっと針がもてるようになり、たんすの要修理物件の処理も、再開出来ます。素人の手に負えないものもいっぱいですが、自分で出来ることはして節約しませんと。

 あれやこれや忙しく、それに夜は「ローハイド」と「コンバット」を見なくてはなりませんので映画館にはご無沙汰になってます。「ブラザーズ・グリム」と、「イン・ハー・シューズ」だけはなんとしても見て来たいのですが。
 CM無しで、映りのいい画面で連続して見ると「ローハイド」もいいけど、「コンバット」ってつくづく面白い!今まで、レンタルのビデオはカラーになったのが多かったし、ほかは近県地方局の、ひどい画像の放送を無理やり見ていたので、初期のものからこれだけまとめてみるのは初めてです。いかにもアメリカのいい時代のドラマだけど、合衆国礼賛の匂いも少ないし、凄く良質のドラマだったんですね。「録画して見よう」でなくて、放送時間が待ち遠しいドラマです。ゲストスターも豪華です。

ドラムライン (2002/アメリカ)

2005年11月14日 | 映画感想た行
DRUMLINE
監督: チャールズ・ストーン三世 
出演: ニック・キャノン   デヴォン
    ゾーイ・サルダナ    レイラ
    オーランド・ジョーンズ    リー監督
    レナード・ロバーツ    ショーン

 ニューヨークのハーレム育ちの青年デヴォンは、天才的なドラム・テクニックでアトランタのA&T大学に奨学金を得て入学、名門マーチング・バンドにはいるが、そこで自らの才能を恃みにした傲慢な態度に、周囲から浮き上がっていってしまう。

 なんだか信じられないくらいオーソドックスな、スポ根ドラマ・マーチングバンド編。勉強なんかしなくったって、天性のセンスとテクニックがあるさ、という主人公がチームワークと、自分を磨く謙虚さに目ざめて成長していくというストーリー。それでもちろんクライマックスでマーチングバンドの見せ場がたっぷりで、ちゃんと手ごわいライバルに勝ちます。申し訳ないけど、ドラマとしては「マイティ・ダック」なんかのほうが出来がいいかも。
 主人公がもう一つ魅力があればいいんだけどなあ、と思っちゃう。才能を鼻にかけた傲慢な役だから仕方ないけど、見ていて「こら、ちゃんとしなきゃ、周りも見なきゃダメじゃん」と言ってやりたくなるようなカワイゲがない。だいたい、音楽やるのに、それも勉強する環境があるのに楽譜読めないって、ほんとになんで?まあ、それはともかくそのひきつける力が足りないから、主人公が友達をなくさないのもちょっと出来すぎ、怖い先輩に助けられたりするのが唐突に見えたりします。

 でもそういう不満をぶっ飛ばすのが、後半のマーチングバンドの演奏が延々からエンド・タイトルまで。次から次の演奏で思わず血が沸く。それで、ラストで「ああ、けっこうよかった」などと言いつつチャプター・リストから演奏シーンを選んで繰り返して見たりしちゃうのだ。

 しかし、コンテストのシーン、全体俯瞰より、一部を映すシーンが多いのはなぜだろう。もっと全体の構成も見たかった。 
 それに「白いカラス」を見た後だから余計感じるのかもしれないけど、アメリカだというのにアフリカ系の学生しかいない大学なんですか!そりゃ、バンドをやりたいばっかりに入ってきた白人学生も一人いたけど、あくまで変り種に見えます。こういうのは改めて認識した驚きでした。

白いカラス (2003/アメリカ)

2005年11月13日 | 映画感想さ行
THE HUMAN STAIN
監督: ロバート・ベントン
出演: アンソニー・ホプキンス  コールマン・シルク教授
    ニコール・キッドマン  フォーニア・ファーリー
    エド・ハリス    レスター・ファーリー
    ゲイリー・シニーズ    ネイサン・ザッカーマン

 名門大学の学部長コールマンは、講義中に欠席した学生に対して発した“スプーク”という言葉が黒人学生への差別発言とされ、辞職に追い込まれる。更にこれにショックを受けた妻が亡くなってしまう。失意の日を送るコールマンは、スランプ中の作家ネイサンとの友情になごまされる。そんな彼がある時、フォーニアという若い掃除婦と出会い、恋に落ちる。

 アメリカ社会に根深く残る人種差別とよじれあった感情、主にプライドの悲しみの物語。見ていていい映画だと思うものの、沈んでくるような映画。
 登場人物が皆、深い傷を持って生きている。言いがかりで職も地位も妻の命までも失ったインテリ老人と、虐待の過去を持ち、暴力的な夫から逃げる子どもを不倫中の火事で失った社会の底辺で生きる30過ぎ女性。この二人の惹かれあいは、お互いの持つ傷の大きさが引き合ったように感じる。
 人種が交じり合わず以前の「人種の坩堝」から「人種のモザイク」と表現されるようになったアメリカだが、抜きがたい人種間の上下感覚…それに対する逆ねじのような馬鹿げた告発、過去からの復讐のような弾劾、誰かに愛情を期待することを恐れるような女性と、原作は未読なのだが、理解を求める心が、その相手が自分と同じような傷の大きさを持ってこそ癒されるという感じはわかるような気がする。

 ニコール・キッドマンはすさんでくすんだ美貌がよく表現されていて、うまいと思った。ホプキンスはいうまでもなく、エド・ハリスと、ゲイリー・シニーズも心のどこかが固まったままのような人間像が、それぞれの過去を思わせて、さすがでした。

百年の物欲

2005年11月11日 | 日記・雑記
 今週は怪我の後始末で、手が利かない間にたまったお仕事を片付けるのがオオゴトでした。過去形でなく、今も私の前に積んであります。
 しかし働かねばならない!
 和服は、あるもので我慢しようと思っていたのに、昔のごつい袋帯に比べて、今の帯のしなやかさに驚き、つい買っちゃいましたよ。新作袋帯。

 廉価版でない通常の映画DVDが100枚買えるお値段です…

 こういうものは即金主義なので、有り金はたきました。「ああ、やっちゃった…」と思う反面、凄く嬉しかったりしてます。「良い物ですから百年使えます」そうですけど、アタシが百年間締められるわけじゃないのよね。
 さあ、働かなくちゃ。
 おばあちゃんの着てた大島泥染め並みの上質のつむぎも憧れ。洋服はちっとも欲しくないのに着物は別なのはどうして?マドンナの「マテリアル・ガール」じゃないけど、でっかい財布を持った王子さまが登場したら嬉しいかなあ。いや、やっぱ自分で買うのがいいな。

 今週のBS特集で「ローハイド」「コンバット」を見ています。
 予定調和的と思いながらも、面白いです。「ローハイド」の主題歌は名曲。初めてちゃんと聞いたのは「ブルース・ブラザーズ」でしたが、ご本家の迫力はさすがです。この曲を歌っているフランキー・レインは「OK牧場の決闘」でストーリーをリードするように入っていた歌を歌っていましたよね。ブルーグラスのジャンルに入る歌手なのでしょうか?でも、掛け声のところ何をいってるかはよくわかりません。rolling...? moving?
 クリント・イーストウッドがでていると、なんかゴージャス感がしてしまうけど、若いイーストウッドがまだまださすがに青二才っぽいを見ると、私は「用心棒」「ダーティー・ハリー」からがイーストウッドの本領だな、と思う。
 脚本・演出については、「コンバット」は短いながら、ほんとに中身の濃い、という感じです。今回放送されているのはロバート・アルトマン演出の初期のもので、それを知ると見る眼も変わって、つい真剣になったりする。今まで貸しビデオで英語音声でみるほうが多かったので、吹き替えは久しぶりで新鮮。画面の人物と声が実にぴったりです。

妖星ゴラス (1962/日本)

2005年11月10日 | 映画感想や行
GORATH
監督: 本多猪四郎
製作: 田中友幸
音楽: 石井歓
特技・合成: 向山宏
特技・撮影: 有川貞昌  富岡素敬
特技・美術: 渡辺明
特技監督: 円谷英二 
出演: 池部良  上原謙 志村喬  白川由美 水野久美 佐々木孝丸 小沢栄太郎 西村晃 田崎潤 平田昭彦 佐原健二 天本英世

 地球の6千倍もの質量を持つ星が発見された。その星・ゴラスの軌道は地球を目指していることを発見した土星探査船・隼はその引力から脱出できずにゴラスに呑みこまれた。国連は、ゴラスを破壊できないことを知り、地球自体をロケットに変え、公転軌道上からの離脱を決意する。

 この間深夜に見てしまった「月のひつじ」なんかはもっと穏やかに地球がたった一つの星であることをささやきかけるような映画だったが、これはもっとそれをヒロイックに謳いあげてます。
 地球が巨大な星に破壊されようとする時に、全世界が一つになり、人知を結集して危機を救う。ラストは一難去り、また新たなる困難に立ち向かうという、なかなか感動的なもの。人間の善と科学に対する素朴なまでの信頼に胸を打たれます。
 短い映画だが、セットと特撮の気合の入りようもまた素晴らしい。南極基地建設シーンや、ゴラスの去った後の水没した町の映像など、実に見事。それに、その短い時間内に、複数の恋愛模様やら怪獣(ちょっとしょぼいぞ)まで出現させ、それでもまとめきっているのもお見事。
 キャストがまた豪華で、主な特撮映画常連のほかにも、ちゃんと重量感のある政府の首脳とか、カメオ出演かなというので死神博士にも会えました。

 とはいえ、この映画について不幸な過去を持つ家族がいるので、家では見るときを選ばないといけません。我が家のパパは小学生でアンプを自作し、風呂場に作った洗濯流しに自分の実験室を持っていた国大付属中学の科学部部長でした。それが少年時代にこの映画を見てしまい、テーマはともかく「やっていいことと悪いことがある」と怒り心頭だったそう。引っかかることだらけで、怒りでストーリーを楽しむどころではなかったらしい。ちなみにゴジラは楽しめる人なのだが。だからこっそり見ないといけない。私もこんなに景気良く燃やして酸素は大丈夫じゃろかい、とか南極に作った推進装置で軌道を脱して、北極で同じことをすれば軌道上に戻るっていうのも、もうちょっと色をつけないと理科ファン、天文ファンには親切じゃないかも…とは思う。

 音楽が、はじめのほうが伊福部さんかと思うような感じだが、「我ら宇宙のパイロット」あたりから毛色が変わってくるようです。
 中学生の男の子の感想は「歌が下手だ」それしか覚えてないらしい。

人差し指

2005年11月07日 | 日記・雑記
 右手の人差し指の先がざっくり切れてます。
 爪の中にまで傷が食い込んでいますが、不思議なことに何時怪我したのかまったくわかりません。きっと空き缶を収集用に詰めなおしている時かな、と思いますが、記憶にないというのもめちゃめちゃだな、と思います。
 指先が何かに当たるたびに飛び上がっている始末で、タイピングも満足に出来ません。

 週末はアキバに行き、増殖中のメイドさんに突き当たりながら歩いてきました。
 楽しみにしていた「ガントレット」(やっぱり問答無用におもしろいですねえ)、それに「妖星ゴラス」を見ました。元祖怪獣博士振りを発揮する志村喬などなかなか趣がありますが、理科的に見て「あんまりな…」と思うことも多い映画です。それにしても、その後、どうやって地球を戻したんでしょうか? あのままフラフラどっか行ったら困るじゃないですか。何はともあれ、この後は指がもうちょっと痛くなくなってから続けます。