日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

イタリア映画「奇妙なこと(La stranezza)」を観ました(2023年6月)@イタリア映画祭オンライン

2023年07月01日 | イタリア映画・映画

イタリア映画「奇妙なこと(La stranezza)」を観ました(2023年6月)@イタリア映画祭オンライン

 

イタリア映画祭オンラインが始まり まず最初に トニ・セルヴィッロがルイジ・ビランデッロを演じる『奇妙なこと(La stranezza)』を観ました🎥

トニ・セルヴィッロ朗読劇 ダンテの声 “Le voci di Dante」に行き 初めて生でトニ・セルヴィッロを見たので とにかくまずはこの作品をと😊

シチリア訛りがたっぷり聞けて 20年代のシチリアのゆったりした流れの映画を楽しみました 

 

あらすじ:

芸術性と娯楽性を兼ね備えるR・アンドー監督(『修道士は沈黙する』)の新作は、ノーベル文学賞受賞作家ルイージ・ピランデッロ(戯曲『作者を探す六人の登場人物』など)が主人公の喜劇。

主演に再び名優トニ・セルヴィッロを迎えた本作はヒットした。

1920年、創作の危機に陥っていたピランデッロは  彼の師である有名な小説家(Giovanni Verga)の誕生日のために シチリアに帰郷する。

そこで昼は墓堀人で、夜はアマチュア劇団を率いる二人の男との出会いが、大きな驚きをもたらすことになる。

 

以下はネタバレあり:

墓堀人(becchini) 兼アマチュア劇団(teatro amatoriale)主催者の2人(NofrioBastiano)が ピランデッロが誰かを全く知らずに自分たちの劇に招いてしまい... 一方でピランデッロ自身は 自分のシナリオがうまく進まずスランプに陥っていたこともあり お忍びで観に行くのですが...

いろいろなハプニングがあって 実に面白かったのが ようやく迎えたアマチュア劇団"Compagnia Filodrammatica Siciliana Principato e Vella"の初日に 街の人々が総出で観に来るのはよいのですが 墓地の管理を取り仕切る職員(実は裏金をせしめて都合をつけてやったり...)が 自分そっくりの役を見て 自分がモデルだと思いこんで客席からブーイング!

それをきっかけに 次々と明るみに出てくる街の人々のスキャンダルに 客も役者も入り乱れて 劇がすっかり台無しになってしまい...😲

そのシーンを観ていたピランデッロは 真実と演劇の融合(fusione di realtà e teatro)に 観客たちがいかにポジティブに反応するかに気づき 突然インスピレーションを得て...

 

そして数か月後 ひそかに駆け落ちを企てていたSantina(Bastianoの妹)とNofrio(Bastianoの元相棒)の2人が   カターニャの駅でローマ行きの電車を待っている 

彼女はすでにお腹が大きくて...👶 そしてNofrioが汽車に乗り込むとそこには あの喧嘩別れをした相棒Bastianoがじっと彼を睨みつけながら座っていて...  そう ピランデッロが自分の劇のローマのTeatro Valleでの初演に この2人を招待したのでした😊

この「作者を待つ6人の役者たち(Sei personaggi in cerca d'autore)」の初演(1921年5月)は不評でした (ちょっと難しいかもしれませんね...)

ですがのちにピランデッロはノーベル文学賞を受賞(1934年)し この作品は代表作となるのですね 初演は不評でもあとから評価されるものですよね (モーツァルトの「魔的」もそうですよね)

20年代のシチリア とりわけ ピランデッロの故郷アグリジェント(シチリア語でGirgenti)が舞台の 古き良き時代のイタリアを堪能いたしました

ちなみにこのアマチュア劇団が実在したかどうかは不明だそうです 

   *     *     *

そして次に この映画のラストに出てきた演劇作者を探す六人の登場人物について調べてみました:

 

『ピランデッロの戯曲が演劇史上重要な意味を与えられるのは、それが近代以後の演劇、つまり現代の前衛演劇や実験演劇に通ずる部分を持っているからである。

例えば、最大の傑作とされる『作者を探す六人の登場人物』という作品は、ピランデッロの別の芝居の稽古をしている最中に、「登場人物」と称する家族が現れるという奇想天外な幕開けで始まる。

彼らは全員喪服を着け、演出家に対して自分たちの物語を劇にしてくれと頼む。

そこで、彼らの話をもとに俳優たちが物語を再現しようとするのだが、「登場人物」たちが生きた「真実」と 俳優が演じる芝居つまり「虚構」とのズレが明らかになるという筋書きである。

この作品が初演された1920年代には、リアリズム演劇の枠を越えた奇抜な設定が注目を集め、前衛演劇の先駆として各国で上演された。(後略)』 

  出典:  『イタリアの味わい方』(田之倉稔著/総合法令)  第7章 演劇より 「演劇の近代化へ向けて ー ゴルドーニとピランデッロ」 

 

映画奇妙なこと(La stranezza)は こちら

次は「乾いたローマ(Siccità)」を観ようと思います🎥

 

イタリア映画祭は こちら 

(オンライン上映 第1部6.15[木]~7.17[月・祝] 第2部7.20[木]~8.20[日)

 

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