かつて梶原一騎原作で一世を風靡した漫画『巨人の星』というものがあった。
それは野球道に挫折した星一徹が息子の飛雄馬を巨人軍のエースに鍛え上げる物語である。
一徹は飛雄馬とともに夜空を見上げて「お前は一際でっかく輝く巨人の星になれ」と檄を飛ばす。
三島由紀夫という作家がいた。
ノーベル賞の候補にも挙がった世界的作家である。
彼は日本文学史上ほぼ最高の天才作家であり、世界レベルでもトップクラスである。
彼の天才が狂気を帯びていたことは有名で、最後は市ヶ谷の自衛隊駐屯地で割腹自殺した。
彼ほど「天才と狂人は紙一重」という言葉がふさわしい人は人類史上いない。
彼は歴史上の多数の天才たちの中でも際立った狂気を帯びており、天才中の天才である。
彼は歴史上の狂気の天才の中でも一際でっかく輝く「狂人の星」なのである。
猟奇作家・澁澤瀧彦は「絶対を垣間見んとして果敢に死んだ日本の天才作家・三島由紀夫の魂魄よ、安んじて眠れかし」と絶対的賛辞を贈っている。
なお、三島の自決の背後に谷崎潤一郎の初期の作品で三島が偏愛していた『金色の死』(konjikinoshi)という作品があることはあまり知られていない。
来年、出版予定の自著『心の臨床哲学の可能性』の中の「作家の病跡を参照する」という章ではそのことを論じています。