どこ吹く風

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お祖父さん

2005年09月24日 06時40分13秒 | 旅-台湾
 私はお祖父さんの記憶が無い、母方のお祖父さんは私が生まれる前に死んだようだ。父方のお祖父さんは台湾で一緒に生活していたと思うが、あまりにも幼かったのでまるっきり覚えていない。

 オジイサンは風来坊的な性格があって家を出たり入ったりしていたようだ。母や伯父が話すには、短気者で手先が器用で生活力はあったらしい。金儲けが上手いという意味では無く食いっぱぐれが無いだろう、という意味です。

 たいへん優しく特に台湾人に良くしてあげていたようだ。そのオジイサンは困っている人がおれば自分は食うや食わずだのに面倒を見てあげる人だったとのこと。ある日オヤジの一張羅を貧乏人にあげてしまい大喧嘩したらしい、オジイサンはそのような人だった、また気に食わない事があると卓袱台をひっくり返して暴れたらしい。

 困った人のようだ。私もその血を引いている、ただし一部分だけ、他人の世話を焼く癖があるのと、短気なところ。ジイサンの良い面はあまり受け継いでいないのが残念だ。

伯父によると、ジイサンは共産党だという。困っている人には自分や家族を差し置いて何かしてあげる性格、台湾人つまり下層階級に優しい、それだけでなく実際に行動する、こういう面を共産党と表現しているのだろう。
 
 そのジイサンがある日いつものようにかどうか知らないが、オヤジと喧嘩をした。その日伯父さんの家に寄り、「これから南の方へ行く」と言い残して出て行き、それっきり行方が分からなくなった。

 引き上げの際にも姿を見せなかった。父や伯父は引き揚げの人の世話役をしたようで、引き上げも終わりの方だったのでジイサンの情報をあれこれ聞きまわったが手がかりは無かった。

 あのような性格で器用だったので飢え死にすることは無いだろうとは皆の意見だ。あのような性格とは外面が良いし、実際世話を見たということです。
前に伯父と母が台湾に観光で出かけたときに、母はたぶん縁の地であろう処の石を拾ってきた。お墓の骨壷にはその石が入っている。

 ジイサンは私から見ると面白そうな人だ、家から飛び出すなんて考えただけでもゾクゾクする、ロマンだ。そして最後まで姿を見せない、望郷の念はあっただろうが押し殺して彼の地の土になった、できれば私もそうしたい。

 そのようなジイサンの話を聞いているので、台湾へ行った時にはお寺とか堂など先祖供養をするような場所ではジイサンの冥福を祈る事にしている。
オヤジからジイサンの話を聞いたことは無い。
オヤジは実際に台湾の地を踏む勇気は無かったのではなかろうか・・・

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