沖縄を考える

ブログを使用しての種々の論考

詩315 その10

2011年04月29日 21時12分51秒 | 政治論
 当初この国の戦後政治のていたらくは近代化錯誤がその因源かと思われたが、その見方にも若干疑念がある。鎖国において貧すれば鈍すこともなく独特の日本文化を育んだ事実からすれば黒船来航開国強制の文化的衝撃が示した「国際社会の中の一国家」という状況下での周章狼狽はその後のこの国の歩みが持つ不健全さ人為的拙劣さ偏頗性が蓋し合理性で測れない運命的な特徴を顕示している「かのように」も思われる。我々の脳髄の中に江戸文化は翳んでいる。代わって欧米の無批判な受容により浸潤した異国カルチャーが「心臓」とは別に蠢いている。「様々なる意匠」を凝らした本来性のないイデオロギー、思潮、が脈絡もなく渦巻いている。そういう実感は結局近代化という世界史的概念が大潮流として襲来して以来絶えずアジアにはあっただろうと想像するが、個人にしろ国家にしろ漱石が神経衰弱と胃痛に苛まれるほどに苦闘したこの煮え切らない「異物感」をなんとも易々と飲み下したものだと感心する。(中断)