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知性の磨きかた

2008年09月20日 | レビュー
知性の磨きかた」 林望 著

だいぶ前にブックオフで偶然見つけて買って、そのまま寝かせておりましたが、昨日から読み始め、おもしろくて今日読み終わってしまいました。『よい教育者は手取り足取り教えたりしない』というところに深く共感。今の大学は面倒見のよいところがもてはやされるが、細かく教えては弟子が大きく育たない。教育者は遠くから見るだけにし、弟子に好きに勉強させ、しかし大きく道をそれないようにだけ気をつけてやるのがよい。そうでなければ弟子が師を越えることはない。というような話です。私も、これまで周囲から自由に育ててもらったと思います。こまこま教えられたら、教えられたことしかできなくなっちゃいますし、応用も利かない。やっぱり自由に考え、自由に計画する中でしか見えないことがあると思うんですね。しかしそうはいっても、まったくはずれた道を歩いて「自分なりにがんばってる」と満足されても困ります。ですから、遠くから大きく指導することで弟子を育てるということに、非常に共感しました。

それから、この本の冒頭に学問をきちんと修めるということは方法論を身につけることで、それさえ身につけば、対象が変わっても対応できるということが書いてあります。これは本当にぜひ学生の皆さんに知ってほしいことです。答えをひとつずつ覚えるような応用の利かないやり方(筆者はこれをカルチャーセンター的と書いており、まさにその通りと思いました)をいくら積んでもだめです。対象へのアプローチの仕方を身につけてほしいのです。そして、どこまでやれば身についたといえるような知識となるのか、それを学生のうちに体感してほしいです。このくらいやったらいいかな?これで十分かな?と中途半端なところで満足せず、これ以上できません、というところまでやってみる体験が大事だと思います。

そういえば、昨日紹介した「切羽へ」という本の、切羽という言葉は、「これ以上進めない」という地点を表す言葉です。そこまで行く。それがとても大事だと思います。

これまでに読んだリンボウ先生の本の中では一番おもしろかったです。
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