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大学生の文章力の低下

2017年12月02日 | 仕事・研究
大学生の文章力が低下しているということで、どのように指導していったらいいかということを考えるシンポジウムがあった。
結論は、残念ながらない。
しかし、子ども達の育ちの過程で、おおよそ以下のようなことが必要だろうと考えられた。(シンポジウムで話された内容を踏まえた、わたしの考え)

【幼少期】
1、多様な経験をさせる。
大人が準備して導いて経験させるというのではなくて、子ども自身の興味のままに行動できる環境が重要。
経験の裏付けなしに表現などできない。
社会で生きていくうえで感情のコントロールは大事だが、感情そのものを失わせてはいけない。

2、紙媒体の文字を読む。
デジタルに行く前に、紙を体験する。文字情報は紙の質感とともに頭に入る。
記憶のメカニズムを考えても、単なる記号は覚えられないが、感情を伴う情報は力強くインプットされる。

3、想像の楽しさを知る。
見えそうで見えない方が興味をそそるもの。
全部説明されてはつまらない。自分で考える、の基本は「どうなんだろう?」という気持ちから。
成長の過程で、自分で考える能力に合わせた「見えない」があるとよい。

【学齢期】
1、大量に読む。
2、大量に書く。
3、指導する側は子ども達に読ませて書かせるための覚悟と準備が必要。

【大学生】
1、書いたものを批評してもらい、何度も書き直す。
2、ヒトの書いたものを批判的に読む。
3、指導する側は書かせっぱなしではいけない。ちゃんと読んで、書いた学生とちゃんと話す。どこがよくないのか、本人が気づくことが大事。

文章を書く意義は、たいていの場合、「読んだ相手に何かを伝える。その結果、なにか変化が生じる。」ということだろうと思う。
読んだ相手が「そうか」と納得し、それに基づいて「行動する」のが目的ではないか。
楽しみに読む小説のようなものでも、「楽しかった。また、読もう。」とか、「おもしろかった。友達にすすめよう。」とか、次の行動が起こってくるのである。
依頼の文章なら、「そうか。」、「ではこうしてあげよう。」となるのが目的。
取説なら「そうか。」、「じゃあここをこう動かせばいいんだな。」となる。

もちろん自分のための文章もある。
その場合は、自分が、書いたことで気持ちが整理できたり、新しいことを見つけたりできる。

文章は、一方的なものじゃない。
言葉を選び、表現を選ぶ。
学生が一朝一夕にその能力を身につけることはできない。
子どもが育ってくる間に、大人がやるべきことはいろいろある。
それぞれの人がそれぞれの場面で果たすことがあって、責任がある。

「こんなに文章力が低下!」というデータを目の前にしてあきらめないで、目の前の子ども、目の前の学生に対して責任を果たしていきたいと、私は思う。



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