つぎに、カバー率50%流量ではない、任意のピーク流量の確率についてである。
辰巳ダム計画の基本高水ピーク流量について、どのような確率表現するか、当時の結論はつぎのようである。
辰巳ダム計画で年超過確率1/100の雨が発生したときに、ピーク流量の平均値959立方メートル毎秒が生起する超過確率は1/2、あるいは0.5、もしくは50%となるということになり、959立方メートル毎秒に等しいか、これを超えないピーク流量が生起する確率となる。別の言い方をすれば、「100年確率の雨が降ったときに959立方メートル毎秒が出現する超過確率は50%である。」、また「547立方メートル毎秒が出現する超過確率は92%である。」、同様に、「100年確率の雨が降ったときに1741立方メートル毎秒が出現する超過確率は0.3%である。」(別紙「辰巳ダム計画の基準点ピーク流量の超過確率」を参照)。
この表現に2つの問題点がある。一つは、表現がわかりにくいということ、一つは、ピーク流量群の分布が正規分布していないので正確ではないということである。
後者については、辰巳ダムの例ばかりではなく、他の事例でも正規分布しない、一様に分布することが多いという指摘があった。辰巳ダムの場合、24個のピーク流量は、最小の「547」から2番目に大きい「1312」まで一様に分布している。最大の「1741」だけは外れ値で特に大きくなっている。「正規分布」は、中央値付近で頻度が大きくなるので中央で高い山となり、左右対称で中央から離れるにしたがい、なだらかなに低くなる形の曲線となるが、辰巳ダムのピーク流量群ではそのような形をしていない。
前回、正規分布として計算した超過確率は正しくないということになる。
ここでは一様に分布するという前提で簡易的につぎのように考えることにした。24個のうちの最大ピーク流量「1741」については、
超過確率は、1-{(24-1)/24}= 4/100
であり、
流量確率は、
雨量確率1/100 × 4/100 ×2※= 8/10000≒ 1/1000
となる。
24個のうちの2番目の「1312」は
超過確率は、1-{(24-2)/24}= 8/100
であり、
流量確率は、
雨量確率1/100 × 8/100 ×2= 16/10000≒ 1/600
となる。
カバー率50%値「938」あるいは近似的に平均値「959」の流量確率は、1/100である。2番目の「1312」の流量確率は、1/600程度あるいは600年確率程度とする。辰巳ダム計画の基本高水ピーク流量「1741」の流量確率は、1/1000あるいは千年確率であるが、外れ値で著しく大きくなっているので、数千年確率規模(有史以来発生したことのない流量)とする。
付言すると、確率はひとつのものさしであり、少ないデータによる精度の問題もある。100年確率水文量について、宝 京大教授は「統計的にある程度の正確さを持って確率分布関数を定めるためには30~40年程度のデータ数が必要であることが国内外の水文統計学の研究によって知られています。」としている。少ないデータでこれを大幅に超える著しく大きい確率年の議論をすることに意義はあまりないと思う。
ただし、※印の2倍の意味は、意味は以下のとおり。
「確率雨量から計算した、ピーク流量群の平均値の流量確率は雨量確率の1/2になりますが、計画雨量以下の雨量からもピーク流量の平均値は発生し、その流量確率は雨量確率の1/2になるので、ピーク流量群の平均値の流量確率は1/100になる。したがってピーク流量群の平均値に限らず、任意のピーク流量の流量確率も(雨量確率 x そのピーク流量の超過確率)で得られた値を2倍して流量確率にすることになる。」(山好人さんの説明より)
平成25年4月6日、中 登史紀
辰巳ダム計画の基本高水ピーク流量について、どのような確率表現するか、当時の結論はつぎのようである。
辰巳ダム計画で年超過確率1/100の雨が発生したときに、ピーク流量の平均値959立方メートル毎秒が生起する超過確率は1/2、あるいは0.5、もしくは50%となるということになり、959立方メートル毎秒に等しいか、これを超えないピーク流量が生起する確率となる。別の言い方をすれば、「100年確率の雨が降ったときに959立方メートル毎秒が出現する超過確率は50%である。」、また「547立方メートル毎秒が出現する超過確率は92%である。」、同様に、「100年確率の雨が降ったときに1741立方メートル毎秒が出現する超過確率は0.3%である。」(別紙「辰巳ダム計画の基準点ピーク流量の超過確率」を参照)。
この表現に2つの問題点がある。一つは、表現がわかりにくいということ、一つは、ピーク流量群の分布が正規分布していないので正確ではないということである。
後者については、辰巳ダムの例ばかりではなく、他の事例でも正規分布しない、一様に分布することが多いという指摘があった。辰巳ダムの場合、24個のピーク流量は、最小の「547」から2番目に大きい「1312」まで一様に分布している。最大の「1741」だけは外れ値で特に大きくなっている。「正規分布」は、中央値付近で頻度が大きくなるので中央で高い山となり、左右対称で中央から離れるにしたがい、なだらかなに低くなる形の曲線となるが、辰巳ダムのピーク流量群ではそのような形をしていない。
前回、正規分布として計算した超過確率は正しくないということになる。
ここでは一様に分布するという前提で簡易的につぎのように考えることにした。24個のうちの最大ピーク流量「1741」については、
超過確率は、1-{(24-1)/24}= 4/100
であり、
流量確率は、
雨量確率1/100 × 4/100 ×2※= 8/10000≒ 1/1000
となる。
24個のうちの2番目の「1312」は
超過確率は、1-{(24-2)/24}= 8/100
であり、
流量確率は、
雨量確率1/100 × 8/100 ×2= 16/10000≒ 1/600
となる。
カバー率50%値「938」あるいは近似的に平均値「959」の流量確率は、1/100である。2番目の「1312」の流量確率は、1/600程度あるいは600年確率程度とする。辰巳ダム計画の基本高水ピーク流量「1741」の流量確率は、1/1000あるいは千年確率であるが、外れ値で著しく大きくなっているので、数千年確率規模(有史以来発生したことのない流量)とする。
付言すると、確率はひとつのものさしであり、少ないデータによる精度の問題もある。100年確率水文量について、宝 京大教授は「統計的にある程度の正確さを持って確率分布関数を定めるためには30~40年程度のデータ数が必要であることが国内外の水文統計学の研究によって知られています。」としている。少ないデータでこれを大幅に超える著しく大きい確率年の議論をすることに意義はあまりないと思う。
ただし、※印の2倍の意味は、意味は以下のとおり。
「確率雨量から計算した、ピーク流量群の平均値の流量確率は雨量確率の1/2になりますが、計画雨量以下の雨量からもピーク流量の平均値は発生し、その流量確率は雨量確率の1/2になるので、ピーク流量群の平均値の流量確率は1/100になる。したがってピーク流量群の平均値に限らず、任意のピーク流量の流量確率も(雨量確率 x そのピーク流量の超過確率)で得られた値を2倍して流量確率にすることになる。」(山好人さんの説明より)
平成25年4月6日、中 登史紀
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