読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

デニス・ルヘインの『ザ・ドロップ』

2017年06月30日 | 読書

◇『ザ・ドロップ』(原題:THE DROP)
         著者:デニス・ルヘイン(Dennis Lehane )
         訳者:加賀山 卓朗   2015.3早川書房(ハヤカワ・ミステリー)

  

 『ミスティック・リバー』・『シャッターアイランド』などで知られたデニス・ルヘインの最新作。
 アイルランド系移民の集まるボストンの下町と思われる一角に生きる男たちの、日常的な怖いアン
 ダーグラウンドの世界が淡々とつづられる。

  従兄のマーヴとバーテンダーとして働くボブ。いい歳なのだが孤独で、内気な負け犬。心優しい
 ところがあるのだが気おくれがあって彼女もできない。。 働いているバーの名は「カズン・マー
 ヴ」なのだが、もう何年お前にチチェン人のギャングに乗っ取られてしまった。今は裏社会の儲け
 金を一夜だけ預かる中継点を担って手間賃を稼いでいる。またマーヴは町で一・二を争う故買屋で
 スポーツ賭けの胴元もやっている。
  
  ある夜ボブは店の近のゴミ収集ボックスで瀕死の状態の子犬を拾う。茶色の目を開いてボブを見
 つめる子犬。
  途方に暮れるボブは、近くに住む娘ナディアの勧めで子犬の面倒を見ることにする。ロッコと名
 付けた子犬を通じてボブとナディアは親しくなる。

  そんな中、深夜の2時半、この店に強盗が入り中継の金を奪われた。5000ドルとつり銭。当然
 マーヴとボブはギャングから「犯人を見つけて金を取り戻せ」と脅される。

  エリック・ディーズというボブの幼なじみ刑務所帰りのチンピラがいる。ナディアを「おれの女」
 扱いをしてボブを苦しめる。またロッコは俺の犬だから返せ、返さないのなら1万ドル払えと迫る。
      しかしロッコを得たことでボブは変わった。自己主張をするようになり、ナディアにも思いを婉
 曲ながら伝えることができるようになった。ボブはひそかにエリック報復を考える。1万ドルは用
 意したものの、場合によっては…。

  その先は内緒である。しかし格別活劇があるわけではないものの、淡々とした日常の中で殺しが
 横行する大都市の下町の姿が興味深い。

                                   (以上この項終わり)

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