読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

再びロバート・ゴダードを読む

2013年01月24日 | 読書

◇ 「さよならは言わないで(上/下)」(原題=TAKE NO FAREWELL)
                   著者: ロバート・ゴダード Robert Goddard
                   訳者: 奥村 章子
                   1994.10 扶桑社 刊

   

 久しぶりのゴダード。
  1994年といささか古い作品であるし、時代設定も20世紀初頭という国際電話もなかなか通じない
 ころの話であるものの、法廷でのやりとりは現代でも十分通用し新鮮さを失っていない。ただ英国
 の場合、我が国や米国などと違って公訴権が国にある(検察官が告訴)わけではなく、国王対被告
 人という形をとり、民間人訴追の原則を維持していることで、法廷でのやり取りなど若干勝手が違う。

  主人公のジェフリーは少壮建築家。ロンドン近郊の町で有力者である農園所有者ヴィクターの邸宅
 建築を請け負う。そこでブラジルから嫁いだヴィクターの新妻コンスエラを識り恋におちる。
 仕事を請け負った立場にあるジェフリーは依頼主の妻との不倫にジレンマに陥るが、ついに二人は
 外国に向けて駆け落ちを図る。そんな折り大規模なホテルの設計・建築の話が飛び込んできて、建
 築家としての飛躍と名声を夢みるジェフリーは英国での仕事をとるか、コンスエラとの駆け落ちをと
 るか、究極の選択を迫られる。そして、彼は駆け落ちの時間に落ち合う場所に現れなかった。「君と
 一緒になることはできない」という手紙をメイドのリジー託して。

  それから12年。ジェフリーは結婚し男児をもうけたものの流感で亡くしてしまう。妻との間もぎくしゃ
 くしてきて・・・。そんなある日新聞で驚がく的な記事を見いだす。コンスエロが夫ヴィクターの毒殺を
 企み、間違って義兄の娘ローズマリーを殺害した廉で逮捕され予審裁判に掛けられるたというのだ。
  コンスエロに罪の意識を持つジェフリーは、なんとか彼女を苦境から救い出そうと駆けまわるが、こ
 とごとく障害にあって、コンスエロ不利な状態を解消できない。性格的に岐路に当たって果断に行動
 に踏み出せず常に躊躇逡巡するジェフリー。・・・

  稀代のストーリーテラーゴダートのこと、息もつかせないテンポで事態が展開するのでなかなか本を
 手放すことが出来ない。
  最後のシーンがまたよかった。
  次は『封印された系譜』を読む予定。

  (以上この項終わり)

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