不動産屋おやじのつぶやき

私は、安心・安全そして親切をモットーに不動産屋を営業しています。日々の業務の中で感じたことを、皆さんに伝えます。

集団食中毒の焼き肉チェーン店

2011-05-06 17:01:38 | 日記
 焼き肉チェーン店で、集団食中毒が発生し、死者まで出ています。

 こういったチェーン店の出店は、土地を借地して事業展開を図っていきます。

 その方式は、事業用定期借地権の設定契約といい、敷地を10年~50年の期間借りる賃貸契約です。

 この事業用定期借地権は、従来の普通借地のように、期間満了に際し、賃借人が希望すれば更新させる借地権と異なり、当初定

 められた契約期間で借地関係が終了し、その後の更新はありません。

 ただ、契約当初、中途解約の条項を入れていない場合、事業縮小の必要等を理由に中途解約を求めることはできません。

 法的には、定期借地権は「期間を定めた契約」(民法第618条)ですので、契約期間内における中途解約権の留保(いわゆる

 「期間内解約条項」「中途解約条項」)が規定されていない限り、解約権は認められておりません。

 したがって、法的には、賃貸人の同意を得ずに一方的に中途解約することは認められておらず、賃貸人から解約についての同意

 を得た上での合意による合意解約しかすることができません。

 一方的な中途解約権の行使はできませんが、合意解約の申込をすることは可能です(賃貸人がこれに応じてくれるか否かは別問

 題ですが)。

 解約申入期間については、民法上は土地の賃貸借は1年とされています(民法第617条)。

 中途解約のペナルティとして最も問題となるのが、違約金の問題です。

 ただし、もともと中途解約権がないのですから、賃貸人側が1年程度の違約金であれば解約は認めないと言えば、解約ができな

 いだけに終わってしまいます。

 そこで、今回のように食中毒を起こし、企業として存続できなくなった場合、このチェーン店の敷地の事業用定期借地設定契約

 はどうなってしまうのだろうか。

 借地契約を中途解約すれば、莫大な違約金が発生するが・・・・・

 また、こういった物件を仲介した不動産屋の責任や役割は、どうなのか。

 今後の動向を、見極めたい。