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キャッツDVDのマンカストラップ、アメリカの舞台俳優、Michael君のことや、ブロードウェイニュースをお伝えします。

St. PaulのMichael君 Grey Gardens 観劇記 その3

2009-05-27 01:38:25 | Michael 09 Grey Gardens
観劇記 その3です~! (写真は、劇場のロビーに置いてあったキャストの書かれたボードです。)

休憩の後、2幕目が始まりました。1973年の荒れ果てたグレイ・ガーデンズが舞台となっているこの2幕目は、1975年のドキュメンタリー映画「Grey Gardens」をそのままステージに再現したような内容です。

イーディの奇妙な身なりも、半裸に近い状態でいるイーディスも、ドキュメンタリーの中の本物の2人とそっくりだし、しゃべり方やしぐさもとてもよく似ています。特にイーディは、小さなアメリカの国旗を手にマーチに合わせて踊ったり、体重を量るのに、メモリがよく見えないため、双眼鏡を使ってメモリを読んだりと、話を面白くするために創作されたフィクションとしか思えないようなことをしますが、それも全て、実際にドキュメンタリーの中で、本物のイーディがやっていたことなんです!

本物の2人は、ドキュメンタリーが撮られた頃にはだいぶ太ってしまっており、イーディが、スカートを上下逆さに履くという奇抜なファッションをしているのやイーディスが時折半裸に近い状態でいるのも、おそらく昔の服が小さくて着られないからではないかと思われるのですが、ドキュメンタリーを見たことがないと、実際の2人とどれだけ似てるのかがわからないので、面白さが半減してしまうように感じました。特に、今回、2人を演じている女優さんは、どちらもとてもスマートな方だったので、イーディスとイーディの奇妙な服装の意味が、余計にわかりづらいように思いました。

ステージには、56歳になったイーディが登場しました。1幕目では、イーディスを演じていたChristinaさんが演じています。母親のイーディスと娘のイーディは、違うアクセントで話すので、Christinaさんも、1幕目とは違ったアクセントで話していました。髪をずきんのようなものでヘアネットでもかぶるかのようにすっぽりと包んでしまっており、スカートは上下逆さにして、裾をウェストのところで安全ピンを使って留め、サイドの部分も太腿のあたりで安全ピンで留めてあるという奇抜な服装です。イーディが、しきりに客席に向かって話しかけるのですが、おそらくドキュメンタリー映画の中で本物のイーディが、カメラに向かって話しかけていたので、それを意識しての演出ではないかと思います。
そして、自分の妙なファッションを説明するかのような「The Revolutionary Costume for Today」というコミカルで風変わりなナンバーを歌いました。歌っている間も、イーディスが彼女を呼ぶ声が聞こえてくるのですが、イーディは返事はするものの、母のところに行こうとはせず歌い続けます。

そこに通りかかったのは、1940年代に執事を務めていたブルックスの息子のジュニアです。客席の通路から現れました。ブルックスを演じていたのと同じ俳優さんが演じています。「庭先に畑を作りたい」とブルックス・ジュニアに声をかけるイーディ。ジュニアが立ち去った後、イーディは、しつこく呼び続ける母の声に、「今、行くってば!」と叫び返して屋敷に入るのでした。

ステージにはカーテンが引かれ、カーテンの前がグレイ・ガーデンズのテラスという設定で、イーディスとイーディが日光浴をしています。イーディスは小切手を切り、水着を着たイーディはデッキチェアに横になっています。イーディは、「自分は、NYで楽しく暮らし、チャンスもつかみかけていたのに、こんなところで、死にかけている母親の面倒を見ながら暮らさなくてはならない」とグチを言い、イーディスはイーディスで、「NYにいた頃だって、お前には何もいいことなんかなかったし、自分が食べ物を差し入れてやらなかったら、飢え死にするところだった。だいたい面倒を見てくれと頼んだ覚えはない」と言い返します。 この辺の2人の会話も、ドキュメンタリー映画と本当にそっくりなんです。
「自分は、何も手に入れられなかった。結婚も出来なかった」と言うイーディに、「自分は、完璧な結婚をして、全てを手に入れた」と言うイーディス。母の結婚が失敗に終わったことを知っているイーディは、「そんなはずはない、お母様は、ケーキを手に入れることも出来なかったし、それを食べることも出来なかった」と言い放ちますが、イーディスは、「素晴らしい息子達と猫と優れた伴奏者に恵まれて、確かに自分は、自分のケーキを食べた (The Cake I Had)」と歌うのでした。グチをこぼし合い、言い合いを続けた揚げ句、イーディは、猫にえさをやるために、テラスを後にしました。

暗転の間にカーテンの前の椅子は片づけられ、今度は屋根裏という設定で、イーディが猫のえさを撒いています。うっすらと明かりのともったステージのセットに、グールドが現れ、「生い茂った生け垣で外界から遮られ、昼なのか夜なのかもわからない。ネコ缶を『パテ』と呼ぶ、ここはグレイ・ガーデンズ」と、ちょっとミステリアスなナンバー「Entering Grey Gardens」を歌います。
かつてここが華やかだった時代に暮らしていた他の人物、若かった頃のイーディやブーヴィエ氏、ジョーや幼いジャッキーとリー、執事のブルックスも、遠い日々の亡霊として登場し、歌に加わりました。亡霊であると同時に、彼らは、館に住みついた猫の化身でもあって、「猫の目から見たグレイ・ガーデンズ」と歌いながら、代わる代わる「ミャ~オゥ!」と鳴きます。なかなか幻想的で、素敵なシーンでしたよ♪ Michael君の歌声も、素晴らしかったし♪

亡霊達の歌の間も、イーディスは「パテが食べたいけど、自分ではしたくが出来ない」と、大声でイーディを呼び、イーディは「猫にえさをやっているのよ~!」と叫び返します。ようやく母の元に戻ってきたイーディ、「お母様のパテを見つけたわ。でも、ラベルがはげちゃってる。これ、パテかしら?それともネコ缶・・・?」 と、缶を手に思案中です。結局、そのパテ(もしくはネコ缶・・・)を母に食べさせるイーディでした。(笑)

場面は変わり、カーテンの前に椅子が置かれ、イーディが虫眼鏡を使いながら本を読んでいます。このあたりの描写も、ドキュメンタリー映画そのものです。そこに、ジェリーという青年がやってきます。ブルックス・ジュニア同様、客席通路からの登場です。近くに住んでいた彼は、イーディスのお気に入りで、彼女は、ジェリーを屋敷に泊まらせてやっており、ジェリーは、彼女達のために雑貨を運んできたり、雑用をしたりしていました。このジェリーも実在の人物で、ドキュメンタリーの中に登場しています。演じているのは、1幕目でジョー・ケネディ・ジュニアを演じていた俳優さんです。

ネコがたくさん住みついているせいか、グレイ・ガーデンズにはノミが多いので、足首にノミ取り首輪をはめているというジェリーに、イーディが、「ノミがあんまりひどいから、ホテルに移ろうかと思うくらい」とこぼすと、「ノミ対策に、いろいろ持ってきたよ」とジェリーが包みをイーディに渡しました。
「NYに戻って、ショービジネスの世界に入るべきだと思う?」とイーディに尋ねられたジェリーが、「歌やダンスが出来るの?」と聞き返します。「出来るに決まってるじゃないの!? ちょっと待ってなさい!」 あわてて止めようとするジェリーをその場に残して、イーディは家の中へと消えてしまいました。

再び現れたイーディは、赤いワンピースに身を包み、髪にも赤い布を巻き、手には小さなアメリカの国旗を持っています。ワンピースの胸元がずり落ちそうになるのを気にしながら、「ダンダダダーン!」と、レコードに合わせて、高らかにマーチを歌い、踊り始めました。(The House We Live In) ステージには、軍服に身を包んだMichael君や他の俳優さん達が登場し、レコードの歌手として歌いながら、イーディといっしょに踊ります。軍服姿のMichael君、とてもスマートでダンディでした~♪ そして、レコードの終了と共に、Michael君達はステージから退場しました。2幕目は、グールドとしては、あまり出番のない彼も、こんな風にいくつかの役を演じるので、衣装を着替えたりとけっこう忙しそうです!
お気に入りのジェリーがなかなか上がってこないのに待ちくたびれたイーディスが大声でジェリーを呼び始めたので、仕方なく、イーディは、ジェリーを母の部屋へ行かせるのでした。

ベッドルームには、母娘のベッドが並んで置かれ、その横には、冷蔵庫からガス台まで置かれていて、半裸に近い格好でベッドに入っているイーディスは、ガス台に鍋をかけてトウモロコシをゆでていました。これも、実際の彼女達のベッドルームと同じです。お気に入りのジェリーにトウモロコシを進めながら、「ジェリーは、私のゆでるコーンが大好き!」と歌うイーディスでした。(Jerry Likes My Corn)
昔、歌った歌のレコードがどこかにあるはず・・・と、ジェリーに探しに行ってもらおうとするイーディスに、イーディは、自分が探しに行くと言いますが、イーディスは、ジェリーがいいと言って聞きません。まるで実の息子のようにジェリーを信頼してかわいがる母の様子を気に入らないイーディは、「ジェリーには盗みぐせがある」とか「自分の肉体を目当てにしている」等と母に吹き込みますが、イーディスは気にも留めませんでした。

屋根裏部屋に1人閉じこもったイーディは、「母の家に縛り付けられて、面倒を見てやっているのは自分なのに、自分が嫌いな者ばかりを、母は屋敷に住まわせる!」とグチをこぼします。 そして、今の自分が失ってしまった思い出の数々を懐かしむのでした。(Around the World)

一方、ベッドルームでは、ジェリーが見つけだしてきた「Will You?」のレコードを、イーディスが聞いていました。そろそろ立ち去ろうと、ジェリーが挨拶をしているのにも気づかず、自分がこの曲をレコーディングした頃の思い出を話し続けるイーディスでした。
ジェリーが立ち去った後、イーディが部屋に入ってきて、母と一緒にレコードに合わせて歌い始めましたが、イーディスは、娘の歌い方が気に入りません。「変な歌い方は耳障りだからやめろ」という母に逆らうように歌い続けるイーディ。「耳直しに、ちゃんとした歌を聴きたいからラジオを取ってくれ」という母の言葉を無視して、イーディは歌い続けました。とうとういがみ合いが始まり、「自分が結婚出来なかったのは、母がじゃまをしたからだ」と言うイーディに、「別れた夫とよりを戻したかったのに、娘が反対したせいで出来なかった」と言い返すイーディス。
激しい罵り合いの揚げ句、イーディは、ようやくラジオを母に渡して、部屋を出ていきました。

ラジオからは、「ドクター・ノーマン・ビンセント・ピールの『前向きな祈りの時間』」という宗教番組が流れて来ました。壁の穴からステージに現れたドクターを演じているのは、1幕目でブーヴィエ氏を演じていた俳優さんです。またいっしょに登場した聖歌隊は、Michael君達、出演者で、ちょっと前までジェリーを演じていた俳優さんも混じっています。そして、全員で「厳しい冬がやってきて、高速道路に穴が空き、ミルクがこぼれてしまっても、もう半分も空だと思うか、まだ半分残っていると思うかは自分次第。幸せになることを選ぼう」と「Choose to Be Happy」を歌うのでした。

ラジオの音が消え、聖歌隊がステージからいなくなると、毛皮のコートを着て鞄を下げたイーディが、階段を下りてきました。肌寒い夕暮れの風の中、表の庭に立ちつくしながら、「Around the World」を口ずさむイーディ。ついに母の元を去る決心をしたものの、まだ本当には心を決めかねているのでした。
通りかかったブルックス・ジュニアが、駅まで送るか、あるいはタクシーを呼ぼうかと声をかけてくれましたが、「大丈夫。自分でちゃんと出来るから」とイーディは断ってしまいました。
「休暇を過ごした人々も、避暑地を去り、またこの町に冬がやってくる。ビーチは人っ子一人なく、プールはカバーで覆われ、テラスのパラソルもたたまれた・・・」と「Another Winter in a Summer Town」を歌うイーディ。途中から、屋敷の中にいるイーディスも加わって、とても美しいハーモニーの素晴らしいナンバーでした。

ここからが最後のクライマックス! イーディは、本当に出ていってしまうのか・・・。わがままいっぱいにふるまっていても、身体が不自由で娘の助け無しには暮らしていけないイーディスは、どうなってしまうのか・・・。
まだ見たことのない方のために、いつも通り、結末は明かさないでおきますね~。心にぐっと来る素敵なラストなので、機会があったら、ぜひご覧になってみてください~!

カーテンコールには、Michael君はグールドの衣装で、その他の2幕目では別の役を演じていたキャストも1幕目の役の衣装で登場しました。観客から暖かい拍手が送られ、ナズは、もちろんいつもの通り、叫びましたとも~♪

劇場を出て楽屋口に急いだナズ、しばらく待っていると、Michael君が出てきてくれました。夕方会った時は普段着だったナズがちゃんとドレスアップしているのを見て、微笑みながら、

「おや、きれいなお嬢さんが待っているぞ♪」

と言いながらハグしてくれました~♪ (笑) そして、ナズが、「あなたの歌うナンバー、とっても素晴らしかった!ピアノも上手だったし。ドキュメンタリー映画を見たり、Broadway版のアルバムを聴いたり、脚本を読んだりして下準備をしてきたので、ストーリーもよくわかったし、特に2幕目は、本物の2人とすごくそっくりで、とても面白かった。ただ私は、ドキュメンタリーを見たから、彼女達の衣装やしぐさ、話し方が本人とそっくりなのがわかったけど、知らないで見た人には、その面白さがうまく伝わらないかも・・・」と、今見たばかりのショーの感想を伝えると、Michael君は、真剣な表情で頷いていました。

「確かにそうかも知れないね。でも、ナズが気に入ってくれて、よかった! 嬉しいよ! 明日も見てくれるんだよね?」

「そうよ。明日、もう1回、Grey Gardensを見て、明後日の月曜日も1泊して、火曜日に帰るの。」

「それじゃ、また明日、ショーの後で会おうね!」


Broadway版と比べると、規模も小さいし、セットもこぢんまりとしているんですが、それでも演出に工夫を凝らし、キャストのがんばりもあって、とっても楽しいショーでした。Michael君ともたくさんおしゃべりできて、とても嬉しかったです。劇場の向かい側にあるホテルに戻って、TVを見ながら寝仕度を済ませて、ベッドに入りました。

またすっごく長くなってしまいまして、ごめんなさい! その4に続きます~!






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