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St. PaulのMichael君 Grey Gardens 観劇記 その2

2009-05-16 21:25:05 | Michael 09 Grey Gardens
Grey Gardens 観劇記、 その2です。 (写真は、Ordway Centerです。)

このGrey Gardens、 ステージのカーテンは、とても薄い生地で出来ており、ステージを暗くして、普通のカーテンのように奥が見えないようにして、幕の前で別のシーンを演じたり、ステージを明るくして、カーテンを通してうっすらと奥が見えるようにして、幻想的な感じにしたりと、演出が工夫されていました。

開演時間になり、薄いカーテンに実際の新聞の記事の写真が映し出され、「大統領夫人だったジャクリーン・ケネディ・オナシスの実の伯母と従姉妹が住むグレイ・ガーデンズが、今ではすっかり荒れ果て、そのあまりの惨状に衛生局は『人が住むに適さない』と表現した。オナシス夫人は、『身内のプライベートなことだ』とコメントしている」と、ニュースキャスター風のナレーションが流れました。

カーテンの前には、年老いたビッグ・イーディ(イーディス 演じているのはWendy Lehrさん)が椅子に座っています。「お母さんの昔のレコードを見つけたわ!」と叫ぶ娘のリトル・イーディ(中年のイーディ 演じているのはChristina Baldwinさん)の声が聞こえ、古めかしい、優しい曲調のレコードの歌声が流れてきました。その歌声に合わせて、イーディスが歌を口ずさみます。(The Girl Who Has Everything)
「この歌をレコーディングしたのは、1941年だった」と言いながら、イーディスはポーチに出ようと歩きはじめますが、「近所の目がうるさいから外に出るな」とイーディが叫びます。このシーン、1973年の50代のイーディを演じるChristinaさんは、すぐあとの1943年のシーンでは母親のイーディスを演じるため、衣装換えなどの関係上、声だけの出演でした。

ひとしきり母と娘の会話が続き、幕の向こうのステージが明るくなると、そこには1943年の華やかな屋敷の居間が浮かび上がります。明るい色の部屋着に身を包んだ中年のイーディスが、居間の中央で、「The Girl Who Has Everything」を歌っており、年老いたイーディスの歌声とシンクロします。幕が引かれ、歩き出した老齢のイーディスがそのまま居間を通り抜けて奥に消え、舞台は、完全に1943年へと移りました。

ここから1幕目が始まります。1幕目の時代設定は1943年で、グレイ・ガーデンズで、イーディの婚約発表が行われる7月下旬のある1日の出来事が描かれているのですが、この1幕目は、ミュージカルのために作られたお話です。エピソードの1つ1つは、イーディスやイーディのインタビュー等をもとに、実際に起きたことに基づいていますが、それぞれの出来事がとある1日にいっぺんに起きたわけではありません。

プロではないけれど歌手で、自宅でのパーティやちょっとした集まり等で歌を披露しているイーディスは、屋敷に同居している彼女の伴奏者のジョージ・グールド・ストロング(Michael君〔マイケル・グルーバー〕の役です。)が娘のために作曲してくれた「The Girl Who Has Everything」を、娘(若い頃のリトル・イーディを演じるのはZoe Pappasさん)に披露していたのでした。

ステージで本当にピアノを演奏しているのは、グールド役のMichael君です~♪ イーディスの仕事上のパートナーとして、また会話の端々からおそらくプライベートでも恋人なのだろうとうかがわれるグールドは、グレイ・ガーデンズに住みついて、衣食住の全てをビッグ・イーディにまかなってもらっているヒモ状態・・・。 1日中酒浸りで、のんべんだらりと暮らしています。でも、アスコットタイを締めてなかなかダンディで素敵です♪ ジョークを飛ばしたりとコミカルな役回りも務めつつ、母娘の口論に心を痛める優しい人柄でもあります。 またタバコを吸う役なので、Michael君は、実際にステージでタバコを吸います。

1幕目のビッグ・イーディが歌うシーン等、ほとんどの曲の伴奏を、実際にMichael君が演奏していました。 Michael君の話では、「ピアノの演奏をしながら歌も歌わなきゃいけないだろ。けっこう難しいんだよね。もうだいぶ慣れたけどね・・・」とのことでした。この「Grey Gardens」は、ドラマの部分に重きを置いたミュージカルで、ダンスナンバーと呼べるようなダンスの素晴らしい曲はありません。また主役は、イーディスやイーディを演じる女優さん達なので、グールドには歌のほうでも、「White Christmas」や「Singin' in the Rain」のようなビッグナンバーがないので、今回、Michael君が一番活躍したのは、ピアノの演奏と言えるかも知れないですね~(笑)

母の歌を誉めながらも、イーディが心配しているのは、自分の婚約発表パーティで母が歌を披露する気でいるのではないかということでした。執事のブルックス(Reggie Phoenixさん)に「お父様が許さないでしょう」と言われて安心したイーディは、すでにグレイ・ガーデンズに宿泊している婚約者のジョー・ケネディ・ジュニア(Joshua James Campbellさん)と朝の散歩に出かけていきました。

イーディと入れ違いにグールドとイーディスが部屋に戻ってきます。パーティ用の花の心配をしているイーディスに、ブルックスが「旦那様は、パーティに出席されるのか」と確認すると、イーディスは、「実の娘の婚約パーティなんだから、来るに決まっているわ。5時15分には来るはずよ (The Five-Fifteen)」と答えました。
迎えの車の手配のためにブルックスが立ち去ると、グールドがイーディスに1枚の紙を手渡しました。何と、パーティでイーディスが行う予定のリサイタルのプログラムでした! イーディが恐れていた通り、イーディスはリサイタルを計画しており、それも9曲も歌うつもりでいたのです。別に娘から主役を奪うつもりはなく、娘の晴れ舞台に歌をプレゼントして喜ばせてやりたい一心のイーディスでした。
そこに駆け込んできたのは、姪のジャッキー(Adelaide 'Addie' Johansonちゃん)とリー(Kacie Riddleちゃん)でした。子役の女の子達が演じていました。このジャッキーが、後のケネディ大統領夫人になるわけです。2人にせがまれて、リサイタルの曲目から「Ittey-Bitty Geisha」を披露するイーディス。西洋人から見た日本の芸者さんのことを歌った、ちょっとエキゾチックな曲調のコミカルなナンバーです。
ケータリングサービスが来たと告げるブルックスに、イーディスが指示を与え、この後の手順を、グールドや姪達といっしょに歌います。(The Five-Fifteen) 明るくて、コミカルで楽しいナンバーでした。

そこに、イーディとフィアンセのジョーがやってきます。パーティを開いてもらうことを感謝するジョーに、自分のパートナーのグールドを紹介するイーディスですが、パーティに呼ばれたただの伴奏者と思われたグールドは、「残念ながら、この屋敷の備え付けなんだよ」と皮肉ります。
ふとピアノの方に目を向けたイーディが、そこに置いてあったリサイタルのプログラムを発見してしまいました。イーディは、「お母様の歌は素晴らしいけど、今日は私のためのパーティよ。ちょっとした歌を1曲歌うだけにしてちょうだい、9曲じゃなくて!(Mother Darling)」と訴えます。イーディスも「私やグールドが、あなたを喜ばせようと一生懸命準備してきたのがわからないの? 」と言い返します。母と娘の口論が白熱してきたので、グールドが割って入り、とうとう根負けしたイーディが、「1曲減らして、8曲にする」という母の言い分を飲む形で妥協するのでした。

どこからか「ファー!」という叫びが聞こえてきました。イーディスの父のブーヴィエ氏(Richard Oomsさん)です。孫娘の大切な婚約パーティを前に、まだ着替えもせずにゴルフの練習をしているのでした。 ブルックスに、父を着替えさせるよう言いつけたイーディスは2階に消え、グールドも出ていきます。ジョーとイーディは、気持ちを落ち着けるために、ビーチへ出かけました。

居間のセットの前に、薄い幕が引かれ、その前にベンチが置かれて、そこがビーチという設定です。自分達の将来のことを語り合う2人。ダンスの得意なイーディは、Broadwayデビューやスクリーンデビューを夢見ていますが、ジョーは政治家になるつもりで、「ワシントン D.C.には行きたくないの?」と、自分の将来設計を野心的に歌います。(Goin’ Places) 希望に満ちた将来を夢見ながら、2人は熱いキスを交わすのでした。

一方、屋敷では、ブーヴィエ氏がまだゴルフの練習をしていました。家柄を何よりも重んじる氏は、良家の子女にあるまじき行いばかりをする自分の娘、イーディスにあきれ果てており、孫娘達に期待をかけ、3人の孫娘といっしょに「いい結婚をしなさい」(Marry Well)と歌います。
孫娘達を引き連れたブーヴィエ氏が居間に入ってくると、そこでは、イーディスが、「Hominy Grits」というコミカルな歌を歌っているところでした。ジャッキーやリーまで加わって、その騒々しさに氏もたじたじです。業を煮やした氏は、演奏中のピアノのふたを乱暴に閉めてしまいます。びっくりして「ウォゥッ!」と叫ぶグールド。
「客が来ているというのに、この騒ぎは何だ!」と聞きただす氏に、イーディが「お母様は、このリサイタルのリハーサルをしているのよ」と、プログラムを見せてしまいました。氏は、カンカンです!
怒り狂ったブーヴィエ氏に、夫との別居のことからパートナーのグールドのこと、自分の歌のこと、全てを手ひどくなじられた上、プログラムを破り捨てられたイーディスは、氏が立ち去った後、とうとう泣き崩れてしまいました。
母の姿を見て立ちつくすイーディに、グールドが「これで満足かい?」と冷たく声をかけました。何とか母を慰めようしますが、うまくいきません。ふとピアノの上の楽譜に目をとめるイーディ。「まあ、グールド!これ、私のお気に入りの曲じゃない!? これもプログラムに入っているの?」 イーディに協力しようと、ピアノを弾き始めるグールド。イーディからいっしょに歌おうと誘われるものの初めは気乗りがしないイーディスですが、グールドからも進められ、とうとう娘と2人で歌い始めます。(Two Peas in a Pod) 次第にイーディスの顔に笑みが浮かび、楽しげにダンスまで始めました。
すっかり娘と仲直りしたイーディスは、「自分が思慮に欠けていた。イーディのためのパーティだから、今日は1曲も歌わない」と娘に約束します。母の申し出に、「花嫁には、リクエストの権利があるわよね?」と聞き返すイーディに、母は「どうしてもというのなら」と答えます。着替えてくると言い残して、イーディは、2階へと姿を消しました。

「娘が嫁いでしまったら、この屋敷も寂しくなる」とつぶやくイーディスに、「少なくとも、今は、僕がいるだろう」と答えるグールド。どういう意味かと問いただすイーディスに、「ブーヴィエ氏の言葉に傷ついたし、イーディの婚約者も自分のことを快く思ってないようだから、この屋敷を去って自力で生きていこうと思っている」とグールドが答えます。「あなたがいなくなってしまったら、私は誰と話せばいいの?」と言うイーディスに、「自分自身と話すか、さもなかったら猫と話すんだね」と答えるグールド。そして、「1人ぼっちになると、きらめきも喜びも波間にさまよい消えてしまう・・・」と、「Drift Away」という寂しげで優しい歌を歌います。作中、もっともメランコリックでロマンチックな曲です。Michael君の澄んだ美しいテナーがきれいに響いて、本当に素晴らしかったです~♪

グールドも着替えに行ってしまい、イーディスが1人残っているところに、ブルックスがイーディ宛ての電報を持ってきます。「渡しておくわ」と受け取ったイーディスは、その電報を開けてしまいます。それは、もうじき屋敷に帰ってくるはずの彼女の夫からの電報でした。中身を読んだイーディスの顔が、ショックのあまり強張ります。
そこに、礼服に身を包んだジョーが現れ、彼女に話しかけますが、まだショックが治まらないイーディスは、半ば上の空といった感じです。

この電報がきっかけとなって、今後のイーディスやイーディの人生を大きく変えてしまうハプニングが起きていくわけなのですが、詳しく話してしまうとネタばらしになってしまうので、前半のストーリーはここまでにしておきますね。
前半には、この後、イーディの歌う「Daddy's Girl」、 父からの電報をイーディが読み上げる形で歌う「The Telegram」、 パーティの出席者に向けてイーディスが歌う「Will You?」の3曲があります。

この後、幕間の休憩が入り、2幕目が始まるわけです。すっごく長くなってしまってすみませんでした~! 2幕目については、その3でお伝えいたしますね~!


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