最初のクラフト勉強会で
1枚のプリントをいただきました。
そこに「治療者の禁句集」というのが書かれていて
「本人を連れてこなければ、治療はできません」
「酒を切ってから、受診してください」
「底つきを待つしかないですね」
「本人が止める気がなければどうしようもない」
「家族会に行ってください」
「家族も病気です」
私が、ダンナはギャンブル依存症だと分かって
本やネットでギャンブル依存症を治すにはどうすればいいかを
調べ始めた8年前は、上のようなアドバイスがほとんどでした。
当時ギャンブル依存症を治療してくれる施設はほとんどなく
ダンナはGAにはまったく関心を示さず
「借金の肩代わりはだめです」「尻ぬぐいはだめです」と言われ
あげくの果ては「尻ぬぐいをした家族は共依存という病気です」と
まさに踏んだり蹴ったりでした。
今クラフトの講師をされている先生は
長年アルコール依存症のケースワーカーをされている先生ですが
「わらにもすがるような思いでたどりついたご家族に
どうしようもないというようなことしか言えなかったことは
本当に辛かったです」と話されていました。
そこから、多くの方の努力によって
依存症治療の考え方が変化し
「禁句集」に見られるような形になってきているのだと思います。
実は今「物質使用障害治療プログラム SMARPP-24」の
テキストを2月に購入して、クラフトと並行してそちらも勉強しています。
これは国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦先生のチームが
主に薬物依存症の患者さんを治療されている
臨床経験をもとに、幾度も改訂を加えて作られた
患者さん自身が、自分で読みながら質問の答を書き込むという
自分でやることができる治療プログラムのワークブックです。
ちょっと驚いたのは、このテキストは
小学校の高学年くらいでも理解できるくらいに
読みやすく分りやすい文章で書かれていて
しかもほとんどすべての漢字に振り仮名がつけてありました。
この本の前書きには、共著者の今村扶美先生が
次のように書かれています。
「SMARPPの中では、依存症は病気であり、治療が必要であり
たとえすぐに使用が止まらなかったとしても、何らかの支援
につながり続けていれば、ほんのわずかでもよい方向に近づ
いていくはず、というメッセージを繰り返し送っています」
とても穏やかな表現ですか、この柔らかな文章の中に
依存症という病気の本質と、もっとも新しい依存症治療の
方向性がまとめられていると思います。
特徴的なのは「たとえすぐに使用が止まらなかったとしても」
というところです。
以前は「止めなければ治らない」「たとえ10年止めていたと
しても一度でもやったら振り出しに戻る」という感じでした。
けれど「依存症は自分の意思ではどうにもならない病気」であり
覚悟とか決意とか、いわゆる「強い意志」と言われるようなもので
克服しようとしても、うまくいかないことが多いのです。
ですから、すぐには完全に止めることができないとか
一度は止めたのだけど、やってしまった(スリップ)ということがあっても
治療や支援をあきらめずに継続していくことが大切だということです。
私がギャンブル依存症を知り、この病気について勉強する過程で
何となく違和感を感じ続けた、依存症に対する考え方が
やっと納得のいくものになってきているように思います。
以前の説明では、あまりにもハードルが高く厳格だった部分は
ずっと受け入れやすくなりました。
それと共に、家族に対しても
以前は「あれはだめ、これはだめ」とやってはいけないことが
強調されていたので、家族は、自分に責任があると考えたり
何をすればよいのかわからなくなって
ただ沈黙してしまうという感じだったのが
クラフトのように、何をどうすればよいかを学ぶという考え方が出てきて
依存症の本人も、家族も、未来にいくばくかの希望を持つことができる
そういう方向性に変わってきているのだと思います。
けれど、裏を返せば、これは依存症からの回復は
アルコールやドラッグ、あるいはギャンブル漬けの人生よりも
それらを使用しない生活のほうが実りが多いと思える生き方ができるように
ゼロから少しづつ進んでいくという、時間もエネルギーも必要とされる
とても地道な作業なのだということです。
松本先生も繰り返し、日本の、依存症治療ができる医療機関、回復施設の不足や
人的な資源(専門的なカウンセラーなどの援助者)の少なさに言及されています。
このSMARPPを発行された目的のひとつも、援助者に高い専門性がなくても
患者と一緒にワークブックの読み合わせをするだけでも
それなりにグループセッションのファシリテーター(中立的な議事進行役)が
できるということのようです。
それでも、未だに国がギャンブル依存症を正式に病気とは認めていないために
対象になっているのがアルコールと薬物にとどまっているのは
とても残念なことではあります。
しかし、クラフトにしろSMARPP(スマープ)にしろ
同じ依存症ですから、ギャンブルでもネットでも
他の依存症でも参考にできるところはたくさんあります。
スマープの中でも、ドラッグと関連して
精神科の治療で用いられる睡眠薬や抗不安薬の依存性については
少しですが言及されています。
ぜひ早い時期に、ギャンブル依存症に対応できる
スマーププログラムの本を発行していただきたいと思います。
今のように社会がどんどん変化していく時代ですから
本当に人生何があるかわかりません。
知識や情報は決して邪魔になるものではありませんから
依存症についての様々なことを知って、お互いに情報を共有して
実生活に応用できることは応用していただけたらと願って止みません。
1枚のプリントをいただきました。
そこに「治療者の禁句集」というのが書かれていて
「本人を連れてこなければ、治療はできません」
「酒を切ってから、受診してください」
「底つきを待つしかないですね」
「本人が止める気がなければどうしようもない」
「家族会に行ってください」
「家族も病気です」
私が、ダンナはギャンブル依存症だと分かって
本やネットでギャンブル依存症を治すにはどうすればいいかを
調べ始めた8年前は、上のようなアドバイスがほとんどでした。
当時ギャンブル依存症を治療してくれる施設はほとんどなく
ダンナはGAにはまったく関心を示さず
「借金の肩代わりはだめです」「尻ぬぐいはだめです」と言われ
あげくの果ては「尻ぬぐいをした家族は共依存という病気です」と
まさに踏んだり蹴ったりでした。
今クラフトの講師をされている先生は
長年アルコール依存症のケースワーカーをされている先生ですが
「わらにもすがるような思いでたどりついたご家族に
どうしようもないというようなことしか言えなかったことは
本当に辛かったです」と話されていました。
そこから、多くの方の努力によって
依存症治療の考え方が変化し
「禁句集」に見られるような形になってきているのだと思います。
実は今「物質使用障害治療プログラム SMARPP-24」の
テキストを2月に購入して、クラフトと並行してそちらも勉強しています。
これは国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦先生のチームが
主に薬物依存症の患者さんを治療されている
臨床経験をもとに、幾度も改訂を加えて作られた
患者さん自身が、自分で読みながら質問の答を書き込むという
自分でやることができる治療プログラムのワークブックです。
ちょっと驚いたのは、このテキストは
小学校の高学年くらいでも理解できるくらいに
読みやすく分りやすい文章で書かれていて
しかもほとんどすべての漢字に振り仮名がつけてありました。
この本の前書きには、共著者の今村扶美先生が
次のように書かれています。
「SMARPPの中では、依存症は病気であり、治療が必要であり
たとえすぐに使用が止まらなかったとしても、何らかの支援
につながり続けていれば、ほんのわずかでもよい方向に近づ
いていくはず、というメッセージを繰り返し送っています」
とても穏やかな表現ですか、この柔らかな文章の中に
依存症という病気の本質と、もっとも新しい依存症治療の
方向性がまとめられていると思います。
特徴的なのは「たとえすぐに使用が止まらなかったとしても」
というところです。
以前は「止めなければ治らない」「たとえ10年止めていたと
しても一度でもやったら振り出しに戻る」という感じでした。
けれど「依存症は自分の意思ではどうにもならない病気」であり
覚悟とか決意とか、いわゆる「強い意志」と言われるようなもので
克服しようとしても、うまくいかないことが多いのです。
ですから、すぐには完全に止めることができないとか
一度は止めたのだけど、やってしまった(スリップ)ということがあっても
治療や支援をあきらめずに継続していくことが大切だということです。
私がギャンブル依存症を知り、この病気について勉強する過程で
何となく違和感を感じ続けた、依存症に対する考え方が
やっと納得のいくものになってきているように思います。
以前の説明では、あまりにもハードルが高く厳格だった部分は
ずっと受け入れやすくなりました。
それと共に、家族に対しても
以前は「あれはだめ、これはだめ」とやってはいけないことが
強調されていたので、家族は、自分に責任があると考えたり
何をすればよいのかわからなくなって
ただ沈黙してしまうという感じだったのが
クラフトのように、何をどうすればよいかを学ぶという考え方が出てきて
依存症の本人も、家族も、未来にいくばくかの希望を持つことができる
そういう方向性に変わってきているのだと思います。
けれど、裏を返せば、これは依存症からの回復は
アルコールやドラッグ、あるいはギャンブル漬けの人生よりも
それらを使用しない生活のほうが実りが多いと思える生き方ができるように
ゼロから少しづつ進んでいくという、時間もエネルギーも必要とされる
とても地道な作業なのだということです。
松本先生も繰り返し、日本の、依存症治療ができる医療機関、回復施設の不足や
人的な資源(専門的なカウンセラーなどの援助者)の少なさに言及されています。
このSMARPPを発行された目的のひとつも、援助者に高い専門性がなくても
患者と一緒にワークブックの読み合わせをするだけでも
それなりにグループセッションのファシリテーター(中立的な議事進行役)が
できるということのようです。
それでも、未だに国がギャンブル依存症を正式に病気とは認めていないために
対象になっているのがアルコールと薬物にとどまっているのは
とても残念なことではあります。
しかし、クラフトにしろSMARPP(スマープ)にしろ
同じ依存症ですから、ギャンブルでもネットでも
他の依存症でも参考にできるところはたくさんあります。
スマープの中でも、ドラッグと関連して
精神科の治療で用いられる睡眠薬や抗不安薬の依存性については
少しですが言及されています。
ぜひ早い時期に、ギャンブル依存症に対応できる
スマーププログラムの本を発行していただきたいと思います。
今のように社会がどんどん変化していく時代ですから
本当に人生何があるかわかりません。
知識や情報は決して邪魔になるものではありませんから
依存症についての様々なことを知って、お互いに情報を共有して
実生活に応用できることは応用していただけたらと願って止みません。
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