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命がある限り希望を持つということ

CRAFT(クラフト)勉強会 コミュニケーションを変える

2016-03-03 16:44:50 | クラフト
2回目のクラフト勉強会は
2月8日(月)でした。

2回目のテーマは「コミュニケーションを変える」の前半です。

まず最初に「今日は早く帰ってきてね」から始まって
「なんで早く帰ってこれんの?」(不信感)になって
「いいから早く家に帰っておいで!」(怒り)になって
「最後の空欄に、あなたはどんな言葉を入れますか」で
皆さんが答えを書き込み、一人の方が発表。

「もう、帰ってこんでいい!」(絶望}

はい、私の書いた答えもまったく同じで
たぶん他の方もだったのでしょう。大きな笑いが起こりました。
でも考えられる答えはこれしかない(笑)

で、この思考回路と言いかたを変えるには?

最初の練習は「「わたし」を主語にする」です。

例えば「またパチンコしてきたんやろう」
「もう、勉強せんでゲームばっかりしてだめじゃない」
「お酒ばっかり飲んで、私の話なんかちゃんと聞いてくれないよね」
こういう言い方の主語は<あなたは>なわけです。

普通日本語では、話をする時に主語を省略します。
だから、私たちは、こういう言い方や考え方に慣れてしまっています。
ところがこの言い方だと自分でも気づかないうちに
会話が、相手に対する指示とか、命令とか、非難とかになってしまうわけです。

だから「私」はどう思っているか、「私」はどうしたいか
という言い方に変える練習をします。
最初の「もう帰ってこんでいい」だったら
「晩ごはんくらいは一緒に食べようよ」という具合です。

模範解答では「(私は)一緒にご飯が食べられたらうれしいな」になりますが
実際それを口にすることを想像したら、なにやら背中がかゆくなります。
それはさておき、こんな風に
「パチンコをするにしても、休みの日とかに決めててほしいな」
「ゲームもいいけど、睡眠はちゃんと取ってほしいな」
「お酒を飲んでない時に、これからの、子どもたちの話とかしたいな」
と、あくまでも「私」の思い、「私」の願い
という言い回しができるようになるように練習をするわけです。

テキストには「意識的に言い換える練習をすることは
自分の感情や望みに気づくことにもなるのです」と書かれています。

次の練習は「肯定的な言い方をする」です。

たとえば、子どもがゲームをする時間を決めていたのに守らないというような場合

否定的な言い方だと
「約束したのに、いつも約束を破って。もうあなたの言うことなんか
全然信用できない」という感じになります。

これを肯定的な言い方にするとしたら
「(お母さんは)あなたの言葉を信じたいと思ってる。
でも、約束どおりにできないのはどうしてだと思う?」という感じでしょうか。

要点はとてもシンプルなのですが
これを日々の家族関係の中で、ずっと続けていくためには
やはり意識的な練習や訓練が必要なのだと実感しています。

「日本人はコミュニケーションが苦手」というのは
テキストの著者である吉田先生も言われています。
日本人には「男は黙って○○○」とか「あうんの呼吸」とか
「以心伝心」とか、あるいは「子どもは甘やかしたらいけない。厳しく」とか
いろいろな、伝統的な「言わなくてもわかる」的な価値観もあって
「たくさんの言葉を使って、ていねいにコミュニケーションを取る」ことに
あまり慣れていないわけです。

けれど、これは「動機づけ」のお話のほうで出てきたことですが
配偶者にしろ、子どもにしろ
片方が正論で相手を従わせて「私の言うとおりにすればいいのよ」的な
対応を続けると、本人は、自分の行動に責任を取らなくなり
自分が思い通りにいかないと「怒る」とか「暴れる」あるいは
「お酒とか薬物、ギャンブル、ゲームなどに逃避する」という
まるで、幼いだだっ子のような思考回路に陥ります。

ですからクラフトでは、対立や衝突をしない対応の仕方を学んで

「本人が落ち着いて考える」
「どうすればよいのかを自分で考える」
環境を作るということなのだと思います。

青少年の場合は、反抗期もからんで
怒られたり、命令されたりすると
頭に血が上って逆上したり、内向的なタイプでは
ほとんどしゃべらなくなったりします。
これでは、状況をいいほうへ変えていくことはできませんから
親御さんが、コミュニケーションを取るための
専門知識を学んで活用して、子どもさんの自主性を引き出すわけで
甘やかしていることとは違います。


クラフトの目的の一つは
「本人を治療につなげる」ことですが
何度も書いているように、ネットやスマホで起きてくる問題は
治療どころか、相談できるところすら、ほとんどないのが現状です。
ですからできる限り、予防をする必要があり
深刻な状況にならないように
なるべく早い時期での、適切な対応もとても大切になってきます。

「顔さえ合わせたら、親子でスマホやゲームのことで喧嘩」という状態のご家族にも
このクラフトの考え方や方法は役に立つことがあるかもしれません。
今ご紹介している内容を読んで納得していただけるなら
ご家庭でも試してみられてはいかがでしょうか。


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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大阪でCRAFT (ちっぷ)
2016-03-04 18:40:41
薬物依存の家族勉強会に参加しています
ネット依存でもいいですかと問い合わせましたら受けてくださいました。言いっぱなし聞きっぱなしと違い講師の方や回復施設の方のコメントも聞けます
私は続けようと思いますが、息子のことを何とかとか親が変わらねばとか私自身があれこれと首を突っ込み辛んどくなりかけ?
一昨日の産経新聞にギャンブル依存の記事がありましたがギャンブルは外から見て判らないとネットもそうです。まして家でできてお金が掛からないのも本人に辞めないとという意識が出にくいのではと思うようになりました
薬物家族勉強会で教えていただき明日はCRAFTの講習会に行きます1日ではありますが吉田先生が講師です
取り留めなくだらだらとになりましたが自分が学んでとカンカンにならづ、、主治医の助言で(ゆるく、型にはめないで)を頭においてやっていきます
これもりょうさんのブログからの繋がりです
今日もうんうんそうと読ませていただきました
返信する
ゆっくり進んでくださいね! (りょう)
2016-03-05 14:51:38
ちっぷさん、コメントありがとうございます!

ネット依存でも受け入れていただける家族会で
よかったですね!
薬物の問題を抱えるご家族とでは、違うところも
あり、共通するところもありだと思いますが
あまり違いにこだわらずに、参考にできる部分を
受け入れる感じでよいのではないかと思います。

CRAFTも、これをやる目的のひとつは
家族が楽に生きることができるようになることで
記事を書いていて
「こんな生ぬるい話で依存症が治るわけが
ない」と感じられる方も多いだろうなと思いますが
家族がのめりこまない、上手に距離を
取ることができるようになるという意味では
まさに家族のためのプログラムだと感じています。

成功の秘訣にあった
「正しいことを言っても相手は変わらないと
悟りましょう」を読んだ時は
「悟るんかい!」と愕然としましたが(笑)
「いや、これはもしかしたら
相手に正しいことを正しいと思わせずに
正しいことを言うという超高度なテクニックを
身につけるということか」などと
相変わらずお馬鹿なことも想像しましたよ。

依存症の治療も
「まずは家族が、自分らしい生き方を
取り戻す」ために、従来の自助グループに加えて
CRAFTのプログラムが登場し
ほんのわずかですが、前進していると思います。

いつも同じことを言っていますが
どうか無理をされず、ちっぷさんのペースで
ゆっくり進んでくださいね。

吉田先生が福岡でお話されることがあれば
私もぜひ行きたいです!
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