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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

依存の不思議

2018-02-28 07:20:08 | 依存症
最初にタバコを吸ったのは16才、高校2年生の時だった。
それから46年、一日もタバコを吸わなかった日がない。
十代、二十代の頃は、依存とかいう意識はなく
タバコとコーヒーでワンセット、趣味という感じだった。

最初に、喫煙の害を意識したのは、言うまでもなく
妊娠がわかった時で、この時初めて
「止めようとするのに止められない」感じというのを味わった。

結局、何かと罪悪感を覚えながらも
二度の妊娠中、完全に禁煙できたということはなく
申し訳程度に本数を減らしたり、「軽い」タバコに替えたりで
ごまかし続けた。

この間 ずいぶん「依存症」のことを勉強して
自分は明らかにニコチン依存症だと確信していた。
特にガンを告知されてからは「今度こそやめなきゃなぁ」「いまさら止めれる気がしない」
「ダンナと違って、お酒を飲むわけでもないし、これでタバコを止めたら
楽しみがなくなる」「いや、なんだかんだ言いながら、読書とか映画鑑賞とか
実は楽しみはいっぱいあるじゃないか」と
ああでもない、こうでもないと悩みながら
結局 告知から3年 禁煙できずに終わっていた。

この間 一番悩んでいたのは 入院になった時のことで
近年病院は、喫煙に関しては 建物内はもちろんのこと
病院の敷地内や、おそらく駐車場なんかまで絶対禁煙で 喫煙できる場所がない。
もしも入院になったら と「絶対絶命感」がすごかった。

しかし 今回入院になった最大の理由の肺炎&呼吸困難。
その原因は「喫煙」で そして「今度吸ったら死ぬぞ」というフレーズが
誰に言われたわけでもないのに、ものすごい強力な神さまのお告げみたいに
私の脳のど真ん中にどかんと居座った。
それからものの見事に、一本も吸ってはおらず
吸いたいという気持ちも完全になくなった。

喫煙は、薬物やアルコールと同様に
依存症の分類では、ニコチンに依存する物質依存にあたる。
最近CMでも見かけるが、ニコチン依存から回復するには
お医者さんの力も借りて
体内の依存物質を徐々に減らしていく方法が推奨されているのだが。

私の、ニコチン依存が、まさに一瞬にして消え失せたわけは?
「死への恐怖」なのかな?
やっぱり依存症は難しい。そして、こんなこと言ったら怒られそうだけど
まさか自分自身で、依存症の人体実験をする日がくるとは。

病院生活が長かったので
すごく朝早く目が覚めることがある。
いや、もしかしたら「年寄りは朝が早い」が始まったのか。

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日本のギャンブル依存症の現状について

2016-12-14 17:16:14 | 依存症
ここ数日IR法案成立に関連して
「ギャンブル依存症」の問題がたびたびテレビでも取り上げられていましたが
ニュースの中で報道されるのはごくごく限られた
それも、何かと差支えがあるところには絶対に触れないように配慮された
断片的な報道ばかりで、これでは全体像がまったく分かりません。

コメンテーターの女性も「なんだか自分たちと縁遠い話のようで」
とコメントされていましたが
家族のギャンブル依存症の問題を経験されていない方にとっては
それが正直な感想なのだろうと思います。

そこで、現在の日本のギャンブル依存症の現状を理解できる
信頼のおける資料はないかと探していたら
北海道立精神保健福祉センター所長で「ギャンブル依存症(2002)」の著者でもある
田辺等先生による「ギャンブル依存症の現状」という報告書がネットにあがっていました。

その中に「諸外国におけるギャンブル依存症の有病率」という項目があって
調査数にばらつきはあるのですが、大体次のような結果です。

アメリカ 1.4% イギリス 0.8% スペイン 1.7%
スイス  0.8% スウェーデン 1.2% オーストラリア 2.1%

これに対して日本は2008年度の厚生労働省の調査で
男性 9.6% 女性 1.6% 推計値 536万人 という結果が出ています。

そして「なぜ日本にギャンブル依存症が多いのか」つまり成立要因として
 
 ・我が国のギャンブルの射幸性の上昇
 ・資金獲得(借金)のしやすさと、市街・郊外に遊技場が普及したことで
  日常的にいける
 ・娯楽・ストレス解消にギャンブルを使う人の増加  の3点があげられ

「わが国のギャンブル依存の現状と課題」は

 ・海外と桁違いのギャンブル依存症の有病率
  (市民社会の日常に根付いたギャンブル)
 ・ギャンブル依存症への理解不足
  (本人・社会・専門家の否認)
 ・治療対応できる機関の人材の圧倒的不足
 ・当事者グループ(GA)や家族会(ギヤマノン)支援のマンパワー不足

というようにまとめられています。

またこの報告書では「ギャンブル行動も、脳の病的な機能は、薬物依存と同じ
であり、薬物依存症と同様の症状を有している」ということ、さらに
脳画像研究の分野でも薬物依存患者との共通点があることが指摘されていて
これはかなり画期的な見解のように思います。

日本の依存症への認識や理解や対応が、欧米に比べて半世紀以上遅れていることは
このブログでも何回も何回も書いてきました。
アルコール・薬物・ギャンブルに加えて、この数年はネット依存の問題も
急速に増加し、深刻になりつつあります。

ネット依存の中でも、オンラインゲーム依存は、課金の問題が加わるので
ギャンブル依存症との類似が指摘されていますし
市民生活の日常に根付いているという点では、ネットは、ギャンブルよりも
さらに幅広い年齢の人々の、さらに身近にあり
娯楽・ストレス解消がネットというところも似ています。
しかもネットの依存については、相談にのってもらえる機関や家族会といったものもなく
精神保健福祉センターでも「国の診断基準がないので」と言われるような現状で
私が、ダンナのパチンコ依存の原因も対処の方法もさっぱり分からず
まさに途方に暮れていた10年前とほとんど同じような状況なのだと思います。

薬物にしても、松本先生などが、欧米ではとっくの昔に主流となっている
「処罰よりも治療を」という考え方をなんとか普及させたいと腐心されていますが
そもそも依存症というものへの認知や理解がまったく進んでいないために
相変わらず「薬物使用者は重大な犯罪者」的な風潮は変わりません。

専門家の方でも、アルコール・薬物・ギャンブルあるいはネットの依存は
厳密に言えばそれぞれ違うというような見解はあるのでしょう。
けれど学問的な定義よりも、今現在とてもたくさんの国民が依存の問題に苦しみ
失業や学業放棄、離婚や家庭崩壊や貧困、さらには借金や自殺や犯罪といった
数々の悲劇に見舞われている現状と
それによって将来国が抱えることになる膨大なリスクを考えれば
たとえ身動きできないほどのしがらみや利権利得があるのだとしても
今回のIR法案成立を契機に、純粋に医療という観点から
厚労省が管轄する精神医療の現場だけでよいので
依存症全般に対応するプロジェクトチームを作って
あらゆる依存症に対応できる体制を
(特にマンパワーの不足は、松本先生なども繰り返し提言されているところで
必要な人材の育成は、一朝一夕にはできません)
一日も早く作ってもらえたらと願わずにはいられません。
ジャパンマックなどのNPOや自助グループだけが受け皿になるには
資金面なども含めて多くの限界があり
昨今の多様化する依存症の現実からしても、すでに限界を超えているように思えるのです。

まさか、まさか「パチンコやスロットは遊戯であってギャンブルではないので
国のギャンブル依存症対策には含みません」なんていうトンデモな結末にはならないだろうという
かすかな希望的観測をしていますが、今までが今までですから何とも言えません。
あ~あ、厚労省に白鳥さんみたいな人(海堂尊さんのバチスタシリーズ)
が10人くらいいてくれたらなあ。ちょっとは何とかなるかもしれないのにと
最後はお決まりの妄想に浸るしかありません。


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ジャパンマック福岡3周年記念セミナー行きました

2016-11-18 13:22:08 | 依存症
ずいぶんご無沙汰をしたので
この前の日曜日に「ジャパンマック開設3周年記念セミナー」に行ってきました。
ただしあまりハードスケジュールを強行するのはさすがに不安なので
お昼休みをはさんでの午後の部のお話を聞いてきました。

受付に「クラフト学習会」の講師をされた先生がおられて
「お久しぶりです」と声をかけてくださり
クラフトでご一緒した方ともお話しできました。

午後の部の最初は「ゆうきあきな心のクリニック」の結城先生のお話。
依存症だけに限定するのではなく
最近あらゆる年代に共通し、さまざまな心の問題を引き起こす原因となる
「生き辛さ」とどう向き合うか
どうすれば生きていきやすくなるかということを
医療者の視点から、わかりやすくお話していただきました。

その後現在マックを利用している方の家族のお話や
東京のみのわマックの職員さん(ご自身がアルコール依存症からの回復者)のお話があり
最後に利用者さん全員によるコーラス。
選曲はブルーハーツの「終わらない歌」とボウイの「only you」
最初の曲はたぶんGReeeenだと思うんですけど
私の管轄外なので分かりませんでした(笑)

施設長さんも言われてましたが、利用者さんがかなり増えて
現在50名近い方がプログラムによる回復に取り組んでおられるということで
全員が前に出てのコーラスは壮観でした。
それでも、福岡市の人口だけを考えても
潜在的に何らかの依存の問題を抱えている人や、その家族の数は
おそらくその何十倍というか、下手をすれば何百倍にもなるはずで
その中のたとえお一人でもいいから
「相談できる場所がある」という情報にたどり着いていただきたいと願っています。
セミナーでも「何かご相談がある方は遠慮なく
スタッフに声をかけてください」と呼びかけられていました。

もう一つ、私の長い間の懸案だったのが「ビッグブック」
これは、AAの創始者ビル・Wとドクター・ボブによって書かれた
「アルコホーリクス・アノニマス」の略称というか愛称で
どうすれば回復できるのかが克明に書かれている本です。

12ステップによって依存症から回復しようと努力されている方にとっては
「回復のバイブル」とも言えるような本で
「読んだほうがいいんだろうな」と思いながら、今まで未読でした。

それでセミナーが終わったあとで、会場の書籍販売のコーナーで
「あの~、ビッグブックのことを分かりやすく書かれた本はありませんか」と聞いて
「プログラムフォーユー」という本を買ってきました。
が、が、が、序文に「ビッグブックを入手し、240ページまで
注意深く読むことが必要不可欠である」と書かれていて
いきなり「ズルは駄目です!」と怒られた気分でした。
「そもそも興味本位でダイジェスト版で済ませるというその根性が」と
天国のビルさんとボブさんに、小一時間説教をされそうです。

けれど「依存症」とひと口に言っても
AAやGA,NA,あるいは家族のためのギヤマノンや抗酒会のような自助グループ
精神科や心療内科、セラピーやカウンセリングのような医療と
様々なアプローチがある中で
そこで用いられている用語のひとつひとつにしても説明も
簡単には理解できないことのほうが圧倒的に多いのです。
結城先生のお話の中にも、最近耳にする「マインドフルネス」という言葉が出て
来ましたが、ぱっと聞いただけではやはりよく分かりません。

日本は依存症治療では、欧米よりは半世紀以上遅れていて
まだ鎖国していた江戸時代くらいと、ほとんど変わりありません。
おまけに未だにこの鎖国のような状態が続いています。
ですから依存症について勉強し始めて、かれこれ8年近くなりますが
まだまだ知らないことが山のようにあって、まったく手探りの状態なのです。

なので、たとえダイジェストにしろ、さわりだけにしろ
「知らないよりは知っていたほうがいい」という
広く浅く的なな私のやり方について
ビルさんとボブさんには、あまり怒らず
温かく見守っていただきたいなと思っています。


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「H.A.L.T」依存の原因となるもの

2016-10-30 15:56:44 | 依存症
クラフトについては、ジャパンマック福岡の勉強会に
参加をさせていただいて、概要をつかむことができました。
それでは習ったことができているかというと
頭で理解するのと、日常生活で実践するのは別物で
こちらからアクションを起こさない限り、石のようにしゃべらないダンナを相手に
たまにブチ切れそうになることもありますが、日々精進しています(笑)

もう一つのSMARPP(スマープ・物質使用障害プログラム)のほうは
私自身が参加するわけにもいきませんので
少しづつテキストを読んで自習しています。
このテキストの中に「H.A.L.T」という言葉が出てきました。
これは何かというと、薬物やアルコールに手を出しやすい状況を示す略語だそうで
実は前に書いた「アル中探偵マット・スカダー」の本にもありました。

(1)H = HUNGRY(空腹)/HAPPY(幸福)

 お腹がすいているとイライラして依存物質を使いたくなる

 一方とても良いことがあってウキウキしている場合にもそういう気持ちになる

(2)A = ANGRY(怒り)

 イライラして、腹を立てると依存物質を使いたくなる
 薬物やアルコールで怒りを鎮めるのが習慣になる

(3)L = LONELY(孤独)

 誰とも心を通わせることができない孤独感や孤立を依存することで埋めようとする

(4)T = TIRED(疲労)

 ヘトヘトになったり、エネルギーが不足していると依存物質を使いたくなる

この本は、薬物やアルコールの依存症者が、自分の状況を客観的に認識したり
分析したりできるようになる訓練を助けるために書かれているので
薬物とアルコールのことが中心になっていますが
この分析は、他の依存の原因を考える時にも役に立ちそうです。

この章は「あなたのなかにある引き金について」についての話で
「気持ちのリスト」の中から、どんな気持ちの時に依存物質を使いたくなるかを
自分でチェックするもので、次のような項目があげられています。

不安・怒り・自信をなくす・退屈感・あせり・無力感・うつ・悲しい
緊張・ねたましい・疲れ・イライラ・敗北感
自分が邪魔者に思えたり、いないほうがいいかなと思う気持ち
プレッシャー・人から見捨てられた感じ

また一見これらとは正反対の
高揚した気分や、気合・やる気・幸福やリラックスという項目もあります。

これらの中から、どういう気分の時に依存物質を使いたくなるかを集約して
より危険な状況と思われるものを、シンプルに表現したものが
「H.A.L.T」で、それによって依存に傾いていくのを止めるためには
つまり空腹になり過ぎない、腹を立てない、孤独にならない、疲れ過ぎない
ということです。

空腹ということはちょっと置いておいて
例えば子どもさんがスマホばかりやってる場合に
「勉強したくないからスマホばかりしてる」という親目線の解釈だけではなく
上に書いたような「気持ちのリスト」のどれかに該当するような
精神状態にあるのではないかと、考えてみることも必要なのではないかと思います。

もちろん何かに腹を立てたり、苛立ったり、自分がひとりぼっちだと感じたり
学校や仕事や家事で疲れすぎているなんてことを全く感じずに生きていければ
こんなにいいことはないでしょうが、現実はなかなかそういうわけにはいかず
むしろ真逆なことのほうが多いからこそ
何かに依存せずにはいられない人が増え続けているのが現実なのだと思います。

けれども依存症という病気の領域に足を踏み込んでしまったら
自分だけでなく、周囲の人までも巻き込んで
回復を続けていくには、それまでよりも何倍もの努力やエネルギーが必要になります。

そうならないために「H.A.L.T」な状況を避けること
すべての項目をクリアしなくてもよいから
せめて、空腹になり過ぎない、腹を立てない、孤独にならない、疲れ過ぎないの四つのうち
二つくらいは実現できるように、自分でも、また周りの人たちも心がけることは
これまた急がば回れで、依存症の予防にも役立つように思えます。

余談ですが、先日ツタヤに行った時に
珍しくダンナが「落語のDVDとかないかな」と言いました。
あいにくレンタルではCDはあるがDVDはないとのこと。
それならばと、ケーブルの番組表をリサーチして落語の番組を録画しました。
プロ野球が終わり、私は民放のバラエティ番組が完全にNGなので
ダンナはダンナなりに自分の気分転換になりそうなものをと
頭をひねったのだと思います。

私も以前は古典落語の本を持っていて楽しんで読んでいましたから
落語は嫌いではありません。
私が個人的にたんまり録画して
ストレス解消に繰り返し観ている、スウェーデンの刑事ミステリーなんかは
これまた健康な人が病気になりそうな極鬱系ですから
とてもダンナに勧められるような代物ではありません。

何もしなかったら、コミュニケーションのとりようがない私たち夫婦は
こうしてお互いそれなりに落としどころを探りながら
細々とした接点を見つけて、毎日生きている感じではあります。


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ジャパンマック福岡のセミナーのお知らせなど

2016-10-21 15:19:16 | 依存症
このところ依存症関係の記事を書いていませんでしたが
今日は、いくつかお知らせがあります。

最初は、ジャパンマック福岡の移転のお知らせ
ジャパンマック福岡は、9月に下記住所に移転されました。

 福岡市博多区堅粕3丁目 19-19 TEL 092-292-0182

そして「ジャパンマック福岡開設3周年 記念セミナー」が開催されます。

 日時 11月13日(日)10:00~16:30
 会場 福岡市市民福祉プラザ(ふくふくプラザ)
     福岡市中央区荒戸3丁目3-39
    参加無料 申し込み不要 依存症に関心のある方であれば誰でも

 内容は、依存症からの回復体験講演会 と
    立石健一郎氏(倉光病院 精神保健福祉士)
    結城麻奈氏(ゆうきあさな こころのクリニック院長)の
    お二人のゲストスピーカーのお話です。


クラフトの勉強会が終わってから、猛暑だったこともあって
新しいジャパンマック福岡にはまだ行っていません。
開設から3年が経ち、ミーティングへの参加者がずいぶん増えて
部屋がいっぱいになっていたらしく、新施設への移転になったようです。
職員さんのお話では、やはりギャンブル依存の問題を抱えた方が
だんぜん多いというお話でした。

次に、こちらは、福岡市の市政だよりで告知されたものですが
福岡市の精神保健福祉センターの催しで

 「CRAFT(クラフト)によるひきこもり家族支援の実際」 
 日時 11月19日(土) 14:00~16:30
 会場 あいれふ 中央区舞鶴2丁目
 定員 100人 参加費無料 要申し込み

 「福岡アディクション・フォーラム」
  (依存症などの自助グループ紹介、モデルミーティングなど)

 日時 11月27日(日) 10:00~14:15
 会場 あいれふ 中央区舞鶴2丁目
 定員 なし 参加費500円 申し込み不要

詳細は、福岡市精神保健福祉センターまで(TEL092-737-8825)

依存症の種類は、最近ずいぶん増えてきました。
ジャパンマック福岡からいただいたプリントにあるものだけでも

 薬物依存(覚せい剤、危険ドラッグ、抗精神薬などの処方薬)
 アルコール依存
 ギャンブル依存(パチンコ・スロット・競馬・競輪・競艇・株取引・FXなど)
 携帯などIT機器依存(スマホ、ネット、オンラインゲーム、SNSなど)
 買い物依存
 仕事依存
 性依存(性犯罪、ストーカー、盗撮など)
 他にも万引きなどの窃盗症、共依存、過食拒食などの摂食障害など

何かに過度に依存することで、日常生活(仕事、学校、家族関係)に
問題が生じている場合でも
本人に一定の自覚があり、現状を変えたいという意識がある場合には
本人が相談機関に相談をしたり、治療のできる医療機関を受診したり
自助グループに参加をすることで、依存を改善できることもあります。

けれど本人にまったく自覚がなく
家族や周辺の人たちの話を聞かないというような場合は
家族や周辺の人たちだけで問題を解決することは難しいので
依存症にどう対応すればいいいかという知識や情報を持っている
相談機関や自助グループに相談をして
依存症とはどういうものなのか、どのように対応すればいいかを
なるべく早い段階から学んでいただきたいと思います。

自分一人だけで、あるいは家族の中だけで
悩んだり苦しんだりしていても、事態が良くなることは望めません。
依存症に関するセミナーでも、CRAFT(クラフト)のような家族支援プログラムでも
あるいは各種の自助グループでも
とにかく何でもよいから最初の一歩を踏み出して
支援をしてくれる知識やノウハウを持った人たちにつながっていただきたいと願っています。
 

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依存せずに生きることのできる人生

2016-04-03 17:09:56 | 依存症
前回から書いている「SMARPP24」(以後スマープと書きます)
の第7回に「依存症ってどんな病気?」という章があります。

そこでは「依存症の7つの特徴」が次のようにまとめられています。
スマープの内容は、アルコールと薬物の依存症が対象ではありますが
ギャンブル依存症にもかなりの部分が当てはまります。

① 一次性の病気です

② 慢性の病気です

③ 進行性の病気です

④ 死亡率の高い病気です

⑤ 性格が変化します

⑥ 依存対象が容易に他のものへと移行します

⑦ 人を巻き込む病気です

それぞれの説明まで書くと、またまた長くなりますので省略しますが
①の「アルコール・薬物依存症の原因は、アルコールや薬物を使った
ことにあるのであって、意志や性格ではありません。またトラウマや
ストレスがあっても、アルコールや薬物を使わなければ、アルコール・
薬物依存症にはなりません。これが「一次性」という言葉の意味です」
という項目は、これまで、あまり見かけなかった見解です。

そこで、今勉強しているクラフトと、このスマープで
どういう部分が、これまでの依存症治療から変化しているかというと
依存症の治療、あるいは支援の継続性

家族の回復
というところにより重点が置かれるようになっています。

これまではとにかく「止める」ことが重要とされていました。
もちろん「止める」ことは、基本中の基本ではあるのですが
そこだけが強調されると、特に依存症者の思考に陥った人は
「止めなければならない」という強いプレッシャーや
強いストレスに陥り、スリップすると「もうだめだ」と絶望します。

また「どうすれば止められるか」という止め方に
思考が捉われますから、止めたいという気持ちはあっても
とにかくギャンブルならギャンブルのことが常に頭から離れません。
「ギャンブルを止めるための○○」「ギャンブルをやる代わりの○○」
というように、実は常にギャンブルを中心とする考え方になっています。
ここが自分ひとりで止めようとする時の一番の難しさであり
だからこそ依存症からの回復を助ける仲間や援助者が必要なのです。

クラフトやスマープは、依存症の治療にあたる人たちの
臨床経験などをベースにした、新しい考え方が盛り込まれていますが
これは従来からある、依存症から回復するためのノウハウと歴史を持った
自助グループでのミーティングや
その基礎になる12ステップの考え方を否定するものでは、もちろんありません。
ですから、自助グループか、スマープか、あるいはクラフトか
といった二者択一でとらえるものではないと思います。

スマープの中では、アルコール依存症から回復するための
三本柱というのが紹介されています。

三本柱とは「抗酒剤」「通院」「自助グループ」です。

また回復するために必要なものとして
「信頼」「正直さ」「仲間」が挙げられています。
「薬物やアルコールを使いたい」あるいは「悪いと分かっているのに
使ってしまった」ことを正直に打ち明けられる
あるいは「自分の抱えている問題」を相談できる仲間や
援助者がいるのが、自助グループや
マックのような、依存症の相談機関です。

依存症は「止める」ことだけが重要なのではなく
「止め続ける」ことが、とても大切です。
社会の中で、あるいは日常生活の中で
ずっと薬物や、アルコールや、ギャンブルをやらず
そういう依存対象のことを考えずに
平穏で、しかも充実した一日を送れるようになれるかどうか。
依存せずに生きることのできる人生を送るためには
「治療と回復の継続」が一番大切なことなのです。

スマープや、家族であればクラフトのような
自分でできるセルフワークのプログラムにしろ
自助グループでのミーティングの参加にしろ
専門的な医療機関での治療にしろ
まずは「これはできそうだ」と思えるものに取り組んでみる。
一人でやってうまくいかなければ幾つかを組み合わせてみる。
依存症のことをよく知っている人に助けてもらう。

もとより結果がすぐに出るというものではありません。
やはり時間はかかります。

それでも、回復しよう、回復したいという気持ちを持ち続け
何らかの、回復するための努力を続けていけば
そこから回復の可能性は見えてくるものなのではないかと思えます。

 


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変わり始めた依存症治療

2016-03-26 15:19:17 | 依存症
最初のクラフト勉強会で
1枚のプリントをいただきました。

そこに「治療者の禁句集」というのが書かれていて

「本人を連れてこなければ、治療はできません」
「酒を切ってから、受診してください」
「底つきを待つしかないですね」
「本人が止める気がなければどうしようもない」
「家族会に行ってください」
「家族も病気です」

私が、ダンナはギャンブル依存症だと分かって
本やネットでギャンブル依存症を治すにはどうすればいいかを
調べ始めた8年前は、上のようなアドバイスがほとんどでした。

当時ギャンブル依存症を治療してくれる施設はほとんどなく
ダンナはGAにはまったく関心を示さず
「借金の肩代わりはだめです」「尻ぬぐいはだめです」と言われ
あげくの果ては「尻ぬぐいをした家族は共依存という病気です」と
まさに踏んだり蹴ったりでした。

今クラフトの講師をされている先生は
長年アルコール依存症のケースワーカーをされている先生ですが
「わらにもすがるような思いでたどりついたご家族に
どうしようもないというようなことしか言えなかったことは
本当に辛かったです」と話されていました。

そこから、多くの方の努力によって
依存症治療の考え方が変化し
「禁句集」に見られるような形になってきているのだと思います。

実は今「物質使用障害治療プログラム SMARPP-24」の
テキストを2月に購入して、クラフトと並行してそちらも勉強しています。

これは国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦先生のチームが
主に薬物依存症の患者さんを治療されている
臨床経験をもとに、幾度も改訂を加えて作られた
患者さん自身が、自分で読みながら質問の答を書き込むという
自分でやることができる治療プログラムのワークブックです。

ちょっと驚いたのは、このテキストは
小学校の高学年くらいでも理解できるくらいに
読みやすく分りやすい文章で書かれていて
しかもほとんどすべての漢字に振り仮名がつけてありました。

この本の前書きには、共著者の今村扶美先生が
次のように書かれています。

「SMARPPの中では、依存症は病気であり、治療が必要であり
たとえすぐに使用が止まらなかったとしても、何らかの支援
につながり続けていれば、ほんのわずかでもよい方向に近づ
いていくはず、というメッセージを繰り返し送っています」

とても穏やかな表現ですか、この柔らかな文章の中に
依存症という病気の本質と、もっとも新しい依存症治療の
方向性がまとめられていると思います。
特徴的なのは「たとえすぐに使用が止まらなかったとしても」
というところです。

以前は「止めなければ治らない」「たとえ10年止めていたと
しても一度でもやったら振り出しに戻る」という感じでした。

けれど「依存症は自分の意思ではどうにもならない病気」であり
覚悟とか決意とか、いわゆる「強い意志」と言われるようなもので
克服しようとしても、うまくいかないことが多いのです。

ですから、すぐには完全に止めることができないとか
一度は止めたのだけど、やってしまった(スリップ)ということがあっても
治療や支援をあきらめずに継続していくことが大切だということです。

私がギャンブル依存症を知り、この病気について勉強する過程で
何となく違和感を感じ続けた、依存症に対する考え方が
やっと納得のいくものになってきているように思います。

以前の説明では、あまりにもハードルが高く厳格だった部分は
ずっと受け入れやすくなりました。
それと共に、家族に対しても
以前は「あれはだめ、これはだめ」とやってはいけないことが
強調されていたので、家族は、自分に責任があると考えたり
何をすればよいのかわからなくなって
ただ沈黙してしまうという感じだったのが
クラフトのように、何をどうすればよいかを学ぶという考え方が出てきて
依存症の本人も、家族も、未来にいくばくかの希望を持つことができる
そういう方向性に変わってきているのだと思います。

けれど、裏を返せば、これは依存症からの回復は
アルコールやドラッグ、あるいはギャンブル漬けの人生よりも
それらを使用しない生活のほうが実りが多いと思える生き方ができるように
ゼロから少しづつ進んでいくという、時間もエネルギーも必要とされる
とても地道な作業なのだということです。

松本先生も繰り返し、日本の、依存症治療ができる医療機関、回復施設の不足や
人的な資源(専門的なカウンセラーなどの援助者)の少なさに言及されています。

このSMARPPを発行された目的のひとつも、援助者に高い専門性がなくても
患者と一緒にワークブックの読み合わせをするだけでも
それなりにグループセッションのファシリテーター(中立的な議事進行役)が
できるということのようです。

それでも、未だに国がギャンブル依存症を正式に病気とは認めていないために
対象になっているのがアルコールと薬物にとどまっているのは
とても残念なことではあります。
しかし、クラフトにしろSMARPP(スマープ)にしろ
同じ依存症ですから、ギャンブルでもネットでも
他の依存症でも参考にできるところはたくさんあります。


スマープの中でも、ドラッグと関連して
精神科の治療で用いられる睡眠薬や抗不安薬の依存性については
少しですが言及されています。
ぜひ早い時期に、ギャンブル依存症に対応できる
スマーププログラムの本を発行していただきたいと思います。

今のように社会がどんどん変化していく時代ですから
本当に人生何があるかわかりません。
知識や情報は決して邪魔になるものではありませんから
依存症についての様々なことを知って、お互いに情報を共有して
実生活に応用できることは応用していただけたらと願って止みません。





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どういう対応が有効なのか

2016-02-03 11:06:31 | 依存症
前回家族が依存をやめさせようとして
おちいる悪循環(小言、叱責、嘆願など)がやればやるほど
失敗に終わる、その原因を書きました。

それでは、失敗の原因となる傾向を改善し
効果が期待できる方法とはどんなものか
こちらも、ジャパンマック福岡の資料から転記します。

<成功の秘訣>

1 先々口出ししないで、何事も後出しにしましょう
2 相手よりも言葉数を少なくしましょう
3 人は正しいことを言われても変わらないと悟りましょう
4 答えを出すのはいつも相手だと心得ましょう
5 相手のアラ(粗)は見えてもいいが、指摘は慎重にしましょう
6 先回りして考えすぎないようにしましょう
7 「相手は感情的、こちらは理性的」と自分に言い聞かせましょう
8 事が起きてから動くようにしましょう
9 相手に分かるように事実を見せるようにしましょう

クラフトのプログラムの目標は
家族がそれまでの、硬直した考え方や行動を変えることで
最終的には依存症の本人を治療につなげることです。

親子や夫婦の関係も、すべてが均一ではありません。
例えば、そこまでどちらかが一方的に命令や指示を与えるという
関係性を続けてきて、そのパターンが定着している場合には
一度にこういう正反対の対応ができるわけではありません。

資料にはこんな風に書かれています。
「パターンがわかり、すべきこともはっきりしたとしても
実行するのはまた別の問題です。水泳と同じで、泳ぐ理屈は
分かっても、実際に泳げるようになるには練習が必要です」

なるほどと思いました。<成功の秘訣>を文字で読んで
頭では「ああ、分かった」と思いますが
実際にダンナとのやり取りの、どういう場面で
どういう言い方をするのが良いのかについては
具体的にやり方を勉強する必要があります。
本を読んで「ああ、分かった」と思っていても
人間はなかなか自分の思考の方法や行動を変えることはできないものですから。

そして、クラフトのテキストを読んでいて
これは次回の「コミュニケーションのやり方」で習うところですが
以前に聞いた、依存症の支援者(医療関係者やカウンセラーなど)向けの
「動機づけ面接」の手法と共通点が多いことも知りました。

このプログラムは、一部の医療機関では
「引きこもり」の人の家族支援にも応用されているようです。
ただ、がんの治療でも感じますが
最先端の治療を導入、実施できる病院や施設というのはほんのわずかです。
私は、このプログラムは
各種の依存症だけではなく、不登校や引きこもりなど
色々な精神的な問題を抱える人の家族の支援に
有効だと思いますが、今のところ実施している機関は
ごくごく限られていて
しかも対象が、薬物とかアルコールの依存症に限られていたりします。

なので、まずは今家族の依存の問題を抱え、悩まれている方や
こういう問題に、高い問題意識を持たれている方に
知っていただき、一人でも二人でも、それをシェアしていただけたらと思います。

実は私は、中学3年の秋から2年ほど
子どもの不登校の問題を抱えました。
ただ、私は自分が高圧的な言い方や叱責が大嫌いです。
どういう問題についても、ああでもないこうでもないと
山のように色々なことを考えてしまい
何かを断言するということができません。

そんな性格ですから、ダンナに対しても子どもに対しても
命令とか指示といった言いかたをしたことはほとんどなく
ただただ見守るしかありませんでした。
ダンナについては、もういい年をした大人なんだから
自分のことくらい自分で考えてくれと思っていました。

しかも親が思ってもいないのに
安易に気休めみたいなことを言うと
思春期の子どもというものは、そういう親の偽善みたいなのには
妙に敏感ですから、腫れものに触るような対応にキレられて
本当に「どうすりゃいいのよ」と途方に暮れたこともあります。

ですから私のように、何も言えなくなるケースの場合は
どうすればよいのかということも
しっかり勉強したいと思います。
子どもたちには常々「どんな知識でも、経験でも、生きていくのに
役に立たないことはないと思う」と伝えていて
末期ガンの私が、こういうことを続けていることについては
苦笑いをしながらも、理解は示してくれているように思います。




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家族が180度考え方を変える

2016-01-27 15:57:40 | 依存症
次回のCRAFT勉強会は
2月8日(月) 18:30から
ジャパンマック福岡で開催されます。

テキストの2は「緊急度を確かめる」になっています。
これは、依存症と暴力の関係と、暴力への対策です。
前回の時に、講師の方が「暴力の問題を抱えておられる方はいますか」と
たずねられて、該当する人がいなかったので
「それでは、暴力への対応は後にまわして
次回は3のコミュニケーションを変えるを先にやりましょう」と言われました。

改めて、テキストを読んでみると
「CRAFTのプログラムは、緊急度の高い暴力が日常化しているケースや
嫉妬妄想による暴力は、想定していない」と書かれていて
そういう暴力を伴うようなケースは、本人への対応については
まずは家族が、自助グループや相談機関に相談をして
話を聞いてもらったり、アドバイスを受けるのが最優先だと思います。

そして、この場合の暴力というのは
「殴る蹴る」といった身体的なものだけではなく
家族が声をかけると、怒って大声で怒鳴るとか、物を投げたり家具を殴りつけるなど
暴力的な言葉でおどしたり、怒りを激しくぶつけるような場合も含まれます。

一回目のDVDの中で、松本先生が「段階に応じて」と言われていました。
実は私は、ずっと依存症について勉強してきて
この依存症の段階とかレベルという考え方を
もう少しみんなに分かるように明確にしていただきたいと心から思います。

ガンにステージがあるように、依存症も
例えば、学生のネット依存なら

1 普通に生活して、家族とも会話しているが、ネットをやっている時間が長い

2 夜中までネットをやって、勉強などはほとんどできず、遅刻や欠席もある

3 学校にはほとんど行かず、一日中ネットをやっている

4 注意をすると、激しく怒って物を投げたり、怒鳴ったりする
  あるいは、部屋に引きこもったり、家を飛び出したりして
  家族との会話がまったく成立しない

というふうに、おおまかでいいから、進行の度合いを分類して
この1とか2の段階だったら、CRAFTの1や3の
「現在の状況を客観的に認識して、家族が対応の仕方を変えることで
依存症の進行を止めて、状況を改善させることができる」という方法が
より有効であるように思われるので
こうした家族の対処法をもっともっと広めていただきたいです。

ギャンブル依存症だったら
1 ヒマな時間は、ほとんどギャンブルをやっている
2 嘘をついて(仕事だと言って)ギャンブルをしに行く、持っているお金を全部
  ギャンブルに使ってしまう

あたりまでが病気未満というところで
<借金してギャンブルをする>になれば、金額には関係なくもう依存症の領域だと思います。
これはあくまでも私がだいたいこうじゃないかと思ったことですけれども。

依存症は、アルコールでも薬物でも、ギャンブルでもネットでも
その他の依存症もですが、やりたいという衝動や渇望を抑えられなくなる
脳のコントロール障害です。思考が、依存の対象から離れられなくなって
冷静な正常な思考ができなくなり(前頭葉が機能停止?頭こわれちゃった状態?)
しかも、どの依存症でも、病気の領域に入ると
自分では、その状態についての、正常な自覚はできなくなります。

一方家族は、なんとかそれを止めてほしい、やめさせたいと
小言や叱責、懇願を繰り返すうちに
今度は家族のほうが、依存の問題がひと時も頭を離れなくなって
こちらも、依存症と同じような思考の状態になります。
これがCRAFTのような、家族の回復プログラムが有効とされる理由だと思います。

CRAFTでは「家族が悪いわけではありません」ということが明言されています。
小言や叱責も、懇願も、はたまたギャンブル依存症での
借金の尻拭いも、そういう病気だということを知らなければ
まさか、相手が頭こわれちゃってるとは思いませんから
そういう行動をするのは、当たり前のことだと思います。

ただ、そういう病気なのだということが理解できたら、考え方を180度変える。
まだ依存症という段階まで進んでいなくても
本人VS家族という悪循環を続ければ、進行する可能性が高いので
少なくとも、家族の脳が依存症の領域に踏み込まないように、思考を切り替える。
それが、とても大切なのだと思います。

ジャパンマック福岡で作っていただいた資料には
それではどうすればよいのかということがとても分かりやすく書かれています。

「効果のないことを止め、効果のあることだけをする」

そして対応の仕方で、失敗する原因は次のようなものです。

1 先に言いすぎる
2 言葉が多すぎる
3 正しいことを言いすぎる
4 答えを出しすぎる
5 相手のあらが見えすぎる
6 先回りして考えすぎる
7 感情的になりすぎる
8 起きていないことを恐れすぎる(予期不安)
9 事実を相手にきちんと見せていない


「まさに」という感じです。「ごめんなさい」というしかありません。
当てはまらないのは7の「感情的~」くらいです。
つまり私の人生は失敗の連続でした(笑)

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知らなかった~!

2016-01-19 11:01:44 | 依存症
クラフト勉強会の日は、ダンナは夜勤明け。
勉強会は夕方からで、ダンナはお昼を食べたら寝るので
起きてから晩ごはんを食べれるようにスタンバイをして、出かけました。

家に帰ったのは10時少し前。
ダンナは、昼間に録画してあった高校サッカーの決勝戦など観ながら
晩酌を楽しみつつごはん食べたようで、いい感じにできあがってました。

私の顔を見ると「どうやった?」と聞くので
「うん、面白かったよ」と答えましたが
帰ってそうそうクラフトの話をするのもアレなので
「サッカーどうやった?」「うん、東福岡が5-0で勝った」
「へえ、良かったねえ」

その後自分もご飯を食べたり
片づけものしたりした後にひと休み。
時間も遅かったので、本当はその日勉強会の話をするつもりはなかったのですが。

実は、勉強会の最初の質問、「なぜギャンブルを始めたのか」というのを見た時に
はたと「そう言えばダンナはなんでパチンコするようになったんやろう?」と思ったのです。
借金をして、その返済に追われるようになってからは
絶え間ないお金の心配とか、最後は家庭内離婚みたいな状態でしたから
家に帰っても居心地が悪いとかで、仕事が終わると、パチンコ屋に行ってたというのは分かります。
でもよく考えてみたら、なんでパチンコするようになったのかは知りません。

「あのさ。今日勉強会で、あなたがパチンコをした理由っていうのがあってね。
仕事のストレスとか、家族の問題とか、忙しすぎてとかいろいろ書いてあって
理由はなんですかっていう質問なんやけど、自分のことやないから
人の気持ちって、聞かれても分からんよね」
と言うと、ダンナが笑いながら
「最初は、大学の時よ。仕送りが少なかったから、パチンコでこづかい稼ごうと思って」

そうだったんだぁ~!!知らなかった~!!

「でもさ。それが病気になったのって
あのビギナーズラックって言われてる、十何万とか勝つっていう
大当たりが出るようになったけんやろう。そういう機種がいっぱい出てきて」
「いや、それはもっと後の話」
「ふ~ん」
「仕事終わって、ちょっと気分転換とか気晴らしとかって、そんな感じやった」

なるほど!と思いました。
まだバブルが弾ける前で、ダンナたちの世代は「企業戦士」であり
とにかく朝から夜まで働き詰め
中小零細企業の労働者はサービス残業当たり前世代でした。
もともと日本人は「真面目に働く」「真面目に勉強する」「とにかく頑張る」ことが
最大の美徳とされて、自分の趣味や楽しみを持っている人は少ないです。

人と関わることが苦にならないタイプは
仕事が終われば「ちょいと一杯」になります。
気の合う同僚と、飲み屋で仕事のグチや上司の悪口言って発散。
まあ、それも度が過ぎればアルコール依存症になりますが。

けれど、うちのダンナのように、本来人と関わるのが苦手。
自尊心は強いのに、自己主張はせず、絶対人と争わない。
常に相手に合わせていけるようなタイプは
仕事が終わってまで、人と一緒にはいたくない。
(私は、八百屋で気に食わないお客さんの帰り際に
塩まいてるとこを、そのお客さんに見つかってひと悶着とか
キレたら、すごく低レベルのいざこざを起こすタイプ。
ダンナに、つねづね「介護の仕事は絶対無理」と言われてます)

そういう内向的な人にとっては、パチンコとかスロットとかは
特別な知識や技術がなくても、ほんのちょっとの時間でもできて
相手は機械だから、ただ座ってハンドル握って、話なんかしなくていいし
勝てばそれなりに楽しいし
その上お金にもなるという、ある意味うってつけの娯楽だったわけです。
そして、そのちょっと気軽にやれるとばく場が、街じゅう至るところにあったことが
六百万人弱のギャンブル依存症者を生み出す最大の要因になったのだと思います。

ともあれ、学習会の夜は、ダンナがごきげんだったことで
思いがけずパチンコについて、今まで一度もしたことのない話ができました。
「なんでパチンコするかなんて、単純だよ。そんな難しい話じゃない」
そう言ったダンナの言葉は、私はウソではないと思います。

「ただ、そこにあったからやった。ヒマだったし
他に特にやりたいこともなかった。でも、やったら楽しかった。
病気になるなんて思ってなかった。借金も大丈夫だと思ってた」
ダンナと話していて、実はこういう人って結構多いんじゃないかと思いました。
そして今、スマホやネットの依存が問題になっている子どもたちも
案外おんなじような感じなんじゃないかと思います。

だからこそ、依存症という病気のことを知ってもらう
そしてなるべく早い段階で、本人にしろ、家族にしろ
「これは依存ではないか」と気づくことが大切なわけです。
がんなどでは、とても熱心に言われる早期発見と早期治療です。
お前にだけは言われたくないと怒られそうですが
私にしてみたら、がんとなるとあんなに熱心なのに
なんで依存症はスルーされるわけ?というところです。

もしかして依存症治療にも、一回の薬代がウン十万円とかいう
画期的な効果のある治療薬とかが出てきたら
一躍脚光を浴びるかもしれませんが。

「なるべく早い時期に、家族が依存症という病気について理解して
それ以上に状況が悪くならないように、家族がまず対応の仕方を習得する」
これが、現在の依存症の治療について
最新の、そして一定の実績をあげている方法で、クラフトもその一つなのです。
ただこうした新しい治療の方法は、先進的な考え方の、一部の医療機関や先生方が
やっとギャンブル依存症にまで適用範囲を広げてくださっているというのが現状です。

できることなら、エビデンスなんて後回しでよいので
今なら早期介入できる可能性が大きい、青少年のスマホ依存やネット依存向けに
保護者のための、ネット依存対応用のクラフト手引書を作成して配布してほしいです。
全員に理解してもらうことや、受け入れてもらうことは無理でも
たとえ一万人のうちの1%(100人)でも理解が広がれば
今よりはずっとましな状況になるのではないかと思えるのです。

アルコールやギャンブルの例でもわかるように
「規制」という方向にいくことは、全く期待できません。
ギャンブルにいたっては、すでに30年以上が経過して
患者数がふくれあがっているにもかかわらず
病気だということさえ、多くの人には分かってもらえていません。

ですから広がりつつあるスマホの依存や
これからもっと拡大する可能性がある薬物の問題に立ち向かうには
私たちひとりひとりが、いろんな知識と情報を手に入れて
より早い段階で有効な対処法を知ることが
家族を依存症から守るために、とても大切なのだと思います。

そしてダンナいわく「いや、スマホ依存症はホントに大変だと思うよ」
あなたがそれ言う?とは思いましたが
普段私がやってることや話していることを、少しづつ理解してくれているのだろうと
ここは好意的に受け止めることにしました。




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ジャパンマック福岡のCRAFT勉強会

2016-01-01 12:52:05 | 依存症
明けましておめでとうございます。
無事に新年を迎えることができたことが、素直にうれしいです。
昨年このブログを訪れてくださった皆様には心からお礼を申し上げます。
今年もよろしくお願いいたします。

告知を受けてからは、将来の予定を3か月単位くらいで考えるようになりました。
半年後とか一年後のイベントを安請け合いすると
いろいろ迷惑をかけたらいけないので
ほんのちょっとづつ、未来の景色が見えているという毎日を過ごしています。

今年のお正月は、ダンナが大晦日も元日も夜中まで仕事なので
我が家にお正月がくるのは明日になります。
というわけで、のんびりした元旦を迎えています。

秋口に録画のできるTVが来て以来、映画廃人になり果てていましたが
そろそろ社会復帰しなければと
1月11日(月)から、ジャパンマック福岡で始まる
依存症の人の家族を支援するプログラム「CRAFT」の勉強会に参加しようと思います。

依存症(今は薬物、アルコール、ギャンブルが中心ですが)の問題では
家族の対応の仕方が重視されています。
「CRAFT」は、アメリカで開発された家族のための回復プログラムで
私がこの言葉を始めて聞いたのは
2014年にNHKの「ハートネットTV」でした。
その時のことは、2014年11月25日のブログにも書いています。

番組の中では、このブログラムを実施されている治療期間として
徳島県の藍里病院が紹介されていました。
ネット上でも、その藍里病院の吉田精次先生が書かれた
「CRAFT」についての資料を読むことができます。

ネット依存の問題で「親子の信頼関係が大切」とか「コミュニケーションが大事」と
安易に書いてきましたが、それでは具体的にどうすればよいのか
悩まれている親御さんは、相当多いのではないかと思います。
「命令や指示、叱責は意味がない」「それをすることが依存を強める結果に」と
言葉で言われて、たとえ頭ではそれを理解できても
例えば、受験まであとわずかというような今の時期に
子どもがスマホばかりやっているという状況では
つい口やかましく注意してしまう、あるいは口出ししなくても
心の中は、心配や不安でいっぱいで、それが表情にも出てしまう。

ネットだけでなく、薬物でも、アルコールでも、ギャンブルでも
はたまた他の依存でも、問題を抱えた家族がいると
始終怒ったり文句を言ったり、泣きごとを言うか
以前の私がそうだったように
ないもののように無視をして、見て見ぬふりをするか
たいていはどちらかだと思います。

アルコール依存症についての記述ですが
吉田先生の資料を一部引用します。

「「依存行動のコントロール不能に陥っている患者」と
「その患者の依存行動を止めさせようとしてコントロール不能に陥っている家族」という
二重のコントロール不能の構造が、アルコール問題のもたらす患者、家族の構造である」

このように言語化されると、よく分かります。
自分自身が家族の依存の問題から、思考を解放しなければなりません。
私の場合は、ダンナのギャンブル依存症が本人だけの問題ではなく
社会と深く関わり合って起こったことなのだという認識は最初からありました。
こういう仕組みを作り、助長させてきた何物か。
それは、今社会や、世界のあらゆる場所で起きている
不都合で理不尽な事柄の全てに共通して言えると思います。

ただ問題の本質が分かっているからといって
それで自分がダンナの将来に感じている不安がなくなるわけではありません。
というわけで勉強していかなければならないことはたくさんあります。

この、ジャパンマック福岡の「CRAFT」の勉強会は、電話でおたずねしたところ
1月から2期目が始まり、毎月第二月曜日 18:30~ 2時間程度
5回で終了という予定だそうです。
途中から参加することも可能で、参加できなかった分は
また次の3期目で受講することも可能だと思います
費用はテキスト代1500円。

もしも福岡市にお住まいで、こどもさんのネット依存などを契機に
依存症を治療するための家族のプログラムに関心を持たれた方は
お話を聞いて見られるのもよいかと思います。
ただジャパンマック福岡の案内にも書いてありますが
こちらは勉強会ですので、家族の依存のことで
個人的に相談があるという方は
相談窓口のほうを利用してくださいとのことです。

相変わらずお正月らしからぬ話になりましたが
少しはちゃんとした目標を持たないと
回りが何かと甘やかすこともあって
病気を口実のダメ人間生活になりそうですので
当面この5ヶ月間の「CRAFT」勉強会をクリアできるのが年頭の目標です。



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性依存症

2015-12-28 16:44:41 | 依存症
先日ダンナが遅番だったので、一人でご飯を食べながら
アメリカドラマの「クリミナルマインド」を観ていました。
「クリミナルマインド」は、犯人の心理を分析しながら
凶悪事件を解決していく、プロファイラー系の犯罪ドラマ。

その中で、捜査を監督する女性上司に
部下が「あんた、酒の匂いがするぜ。捜査をぶち壊す気か」
と怒るシーンがあり、ラストシーンでは
プロファイラーチームのボスが彼女に
「(アルコール依存症であることは公にはしないので)
すぐに入院して治療を受けてください」と申し渡します。

少し前に放送されていた「スコーピオン」というドラマでは
ハーバード大を出た天才心理学者がギャンブル依存症という
ものすごい設定があって「えっ、これって心理学でギャンブル依存症は
治せないっていう皮肉なのかな」と愕然としましたが。
彼は仕事でカジノなんかに行くと、賭けたいという衝動を抑えられないので
心拍数を察知して警報を出すアプリをスマホにダウンロードして
ストップをかけていました。(そんなアプリあるのか?)

アメリカのドラマで、依存症は、こんな風に
日常会話にいくらでも出てきます。
犯罪者だけでなく、捜査をする刑事や捜査官が依存症という
ケースも多くて「えっ、この人も!」とびっくりすることもあります。

これはドラマの話ですが、ラグビーの日本代表が南アフリカ戦に勝利した
直後に、全日本のヘッドコーチをされていた
エディー・ジョーンズさんが出演された「プロフェッショナル」が
NHKで再放送されていました。

その時にエディーさんが
「以前に指導した選手で、どうしても集中力が続かない選手がいて
個人的に事情を聞いてみたら、父親がギャンブル依存症で借金もあった。
それで父親には治療施設を紹介し、ラグビーに集中できるようにした」
と話されたのが、試合の結果より、五郎丸ポーズより何より
ものすごく印象に残りました。

社会で生活していく上で守らなければならないルールを守れない。
違法薬物の使用や飲酒運転などの
明らかな違法行為はもちろんですが
仕事中に飲酒をするとか、パチンコに行くとかの行動があれば
「これは依存症だ」と周囲の人が即判断できる
それが「依存症」という病気が、社会に広く理解されているということです。
さらに欧米では、そういう依存症者の受け皿になる
相談機関、治療施設が、ある程度整備されているのです。

だからエディーさんのように第三者が相談を受けた場合でも
どう対応すればいいかが分かっていて、治療につなげる手段もある
これが「依存症に対応できるシステムができている」ということだと思います。
日本の現状がどれほど遅れているかがよく分かります。

飲酒運転で事故を起こしている人間に対して「依存症の可能性があるので
受診をするように勧める」なんていうピンポケ対応の
お役所のニュースなんか聞くと「だめだ。こりゃ」と絶望的な気分になります。

そんな現状で話を広げると何が何やらわからなくなりそうなので
今まであまり触れませんでしたが
ギャンブル依存症を考える会の田中紀子さんが
人気コメディアンの逮捕を受けて、性依存症の問題に言及されています。

性依存症は、性行為そのものに依存する場合もありますが
のぞきや痴漢、窃盗、盗撮など、性にまつわる行動がコントロールできなくなる依存症です。
薬物、アルコール、ギャンブルはもちろん
ネットやゲーム、性、買い物や浪費、男女や親子などの人間関係と
ある物質なり、行為なりに異常に執着し、やり続けて止めることができない
それは依存症の大きな特質です。

私がこれまであまり話を広げなかったのは
「何でもかんでも依存症にする」と反発する方がおられるのでは
ないかと考えたからです。
けれど、かなり昔のブログで書いたことがあるのですが
私は、人間は依存するものだと思っています。

仕事でも、ペットでも、宗教でも
趣味といわれるものもたいてい一種の依存です。
けれどそれが、法律を破ったり、周囲に甚大な迷惑をかけたり
正常な社会生活ができなくなったら病気の領域になり、依存症になります。
だから、ありとあらゆる依存症が存在するのは当然のことです。

ある特定のものや行為に過度に依存し
実生活で色々な不具合が起きているにもかかわらず
自分では止めることができない、脳がコントロールする機能を失っていれば
そこからが依存症という病気です。
そのボーダーラインを超えないためには
他の病気と同じで、早期発見と早期の治療が必要です。
依存症は決して特別な異常な病気でもなんでもありません。
今の社会では、一億総依存症といってもいいくらい
ポピュラーな病気だと思います。

政治はもちろんのこと、医療機関の認知も、医療体制の整備も
依存症についての情報の共有も
何もかもが全然追いついていません。
以前に大物ミュージシャンの薬物事件のおりに
ダルクという薬物依存症の回復施設についてや
「今後は医療機関で治療を受ける」ということが
とても特別なことのように報道されていましたが
実はそれが正しい方法で、当たり前のことになるべきなわけです。

そういう状態で、青少年のスマホ依存が広がっていますから
今わたしたちができることは
ひとりひとりが依存症についての色々な知識を集め、共有して
できれば病気の領域に入る前の段階で
コントロールを取り戻せるような方法を知ることや
もしも進行しているのならば
進行や悪化をどうすれば止められるのかを理解することだと思います。

本当なら、そこに医療の専門家や、相談機関や自助グループの経験者
セラピスト、カウンセラーといった、依存症という病気の知識を持つ人たちに
介入してもらって、客観的に冷静に説明してもらえば
依存症者本人も、少なくとも自分が病気なのだと受け入れることが
もっとできやすくなる気がしますが
どうすればそれができるのか、どこならそれができるのかといった情報も含めて
すべてが不足しているので、そこはどうしようもありません。
というわけで、取りあえずは自分たちで、できることから何とかするしかない。
それが日本の現状です。



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精神保健福祉センターの取り組み(SMARPP)について

2015-12-20 06:53:36 | 依存症
前のブログにも書きましたが
先日送っていただいたジャパンマック福岡の会報には
今回私は参加できなかったのですが
11月29日に行なわれた開設二周年記念セミナーの概要が載っていました。

セミナーでは施設長さんの挨拶と、回復されている方の体験談
それに支援機関の方のお話があったようです。
お一人は、福岡市精神保健福祉センターの所長河野さんです。
その内容を一部要約しつつ転載します。

「福岡市精神保健福祉センターは、市民の精神保健機構のリーダーとして
活動しています。近年、力を入れているのが依存症対策(特に
薬物依存症)です。全国的な傾向ですが、薬物乱用防止のレベルは
上がってきましたが、依存症対策はまだまだの状態です。治療機関
医師、病院クリニックが少なすぎます」

薬物の使用は、お酒やギャンブルと違って、明らかに違法行為であり
緊急性や危険度も高いので、当面これが最優先の課題だと分かります。
けれど、前にも書いた通り、その薬物でさえ
欧米ではかなり以前から、処罰よりも治療をという流れになっていたのに
日本は、半世紀以上対応が遅れていて
それが、依存症全体についての一般の人の理解の遅れや
この治療機関の決定的な不足という現状になっています。

もちろんお酒やギャンブル、薬物といった既存の依存症も
ものすごく深刻な問題なのですが、それに加えて、若年層に急速に広まっている
スマホ、ネット、ゲーム依存の問題は
国が、上の人たちが動くのを待っていたら、たぶんあと百年くらいかかります。
その頃には、PCとかスマホといった実体のあるツールなんかとっくになくなって
ホログラム(3D映像)かなんかでゲームやってるかもしれません。

というわけで、私のこのブログも、最近は
現在子どもさんのスマホ依存に悩んでいる親御さんの中で
依存症というものを理解したいという意識を持たれている方に
まずは少しでも助けになればという内容に変わってきていることを
お断りしたいと思います。

河野所長のお話の続きです。

「薬物依存症は病院治療では完結しない病気です。病院からの退院後
地域での治療が重要になります。福岡市精神保健福祉センターでは
マトリックスモデルを使っています。ベースはSMARPP(スマープ)になります。
家族支援にはCRAFT(クラフト)を採用しています」

SMARPPもCRAFTも、現在の、依存症治療の最新の方法と思われますので
どういうものなのか、ウィキペディアからですが引用します。

SMARPP(スマープ)とは、アメリカのマトリックス研究所のマトリックスモデルという
依存症の治療プログラムを参考にして、神奈川県の精神医療センター
せりがや病院で開発された、外来の治療プログラム。
2006年からは、現在依存症治療の第一人者である松本俊彦先生が中心となって
各地の精神保健福祉センターなどでの運用が始まっている。

どういう内容かというと、依存物質の使用の防止には、認知行動療法を
回復を支持する場合には、動機づけ面接の原則を取り
8週間全21回の短期間で、依存症の知識と具体的な対処スキルの習得
に重点が置かれているということです。
ただこういう治療が、ネットやスマホの依存でも行なわれている機関は
今のところほとんどないというのが現状だと思いますが、それらの依存
に関する相談は、各精神保健福祉センターや、全国のジャパンマックなどの
民間の相談機関でも、受け付けてくださるはずです。

このSMARPP(スマープ)に関しては、セルフヘルプのワークブック
(自分で読んで、依存症への理解や対処の仕方を学ぶ)も出版されています。



「薬物・アルコール依存症からの回復支援ワークブック」

        松本俊彦,小林桜児,今村扶美著

   B5判 160頁 定価(本体2,400円+税) 2011年3月刊 

ネットでも購入することが出来るようなので、年が明けたら
私も入手して目を通してみるつもりです。

かねてからしつこく書いていますが「うちはスマホ問題だから
薬物とかアルコールは関係ないよ」という話ではありません。
依存症は、脳に変化が起きて、依存する対象から離れなくなる
依存対象に対する強い欲求、衝動が起きるなどの、大きな特徴は共通しています。
「薬物」「アルコール」と書かれている部分を
「ギャンブル」とか「スマホ」とかに置き換えて読めば
該当する点はたくさんあります。

そしてこれも度々書いていますが
依存の問題に向き合うことは「急がば回れ」でもあります。
対処法が分かっても、実行に移すのには慎重になってください。
動機づけ面接の話の時に書きましたが
依存症の治療には、患者と治療者との信頼関係が大切だと分かってきています。
親子で言えば、普通に話が出来ている、コミュニケーションが取れている
ことが前提で、それができない場合は
まずはお互いの信頼関係を構築するところから始める必要があるからです。
重症化して、日常の生活が困難になっているような場合は
家族だけで対応することは難しいので
やはり依存症に対応できる専門の医療機関や相談機関に
相談をしてみるべきだと思います。

また依存の問題は本人だけではなく
家族や周辺の人たちの理解や対応が大きく関わってくる話なので
それについては次回CRAFT(クラフト)についての話に書こうと思います。

去年の今ごろは「来年は喪中欠礼がいるんじゃないかしらん。
こっそり用意しとこうかな」などと妄想していましたが
今月の定期健診の先生のお話では「今のホルモン剤の
アロマシンが、急激な悪化を防いでいるという意味では効果あり」
との判断で、まだしばらくはホルモン剤治療でいけそうです。

とりあえず60才の誕生日もクリアしたし
新年も迎えられそうなので、来年も
「今日一日、できることをやる」という感じで
地道に、地味~にやっていきたいと思っています。





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依存症治療のシステムの必要性

2015-12-13 16:32:23 | 依存症

私が最初に、箒木蓬生先生の「ギャンブル依存とたたかう」などで
ギャンブル依存症という病気について勉強を始めた頃は
「ギャンブル依存症は治らない」「治癒ではなく回復をめざす」
「そのためにはGAなどの自助グループに参加することが最善」
というのが定説でした。

なぜGAかというと、アメリカで80年以上前に設立された
アルコール依存症者の自助グループAAの活動が、一定の成果を挙げていて
後から出てきた薬物やギャンブルの依存症に対しても
AAで提唱されている12ステッププログラムの考え方や方法を踏襲する形で
NAやGAといった自助グループが設立され
様々な依存症からの回復に向けての活動を行なっているからです。

正直に書きますが、最初にGAというものに参加して
「ミーティングハンドブック」を読んだ私の頭には
「?」マークがいっぱい点滅していました。

「無力」「自分を超えた大きな力」「(自分の理解している)神」
「祈りと黙想」「ハイヤーパワー」…って、何??

これらの自助グループが、特定の宗教に所属するものでないことや
もともとAA自体が、欧米ではわりと一般的なキリスト教的思想を
ベースにしたものなのだということはすぐに理解しましたが
それでは、明けても暮れても、隙あらばパチンコに行くことばっかり考えていて
あの電飾ギラギラで、人を催眠状態にするトランス系の大音量と
充満するタバコの煙にまみれ、何かに憑かれたように
目だけギラつかせて、パチンコの台に5時間でも6時間でも座っている
脳の中はただ金のことだけという、生きたゾンビのような人間に
12ステッププログラムが示している、形而上学的な言葉の数々が
たとえ一行でも理解できるとは、とても思えなかったのです。

その時点で、ダンナにGAの話をした時も
ダンナは全く無反応でした。
現在でも、還暦を過ぎた年での、介護というハードワークでは
毎日の仕事をつつがなく終えるだけでもう手いっぱいという感じで
仕事が終わってからとか、数少ない休みの日にGAに参加することなど
まったく思ってもみないようで
私が指示をしても、本人が納得しない限りあまり意味はないので
ギャンブル依存症についての情報は話しつつも、見守るしかありません。

私は「ジャパンマック福岡を支える会」というのに参加させていただいているので
年に何回か、セミナーの案内や会の活動報告を送っていただけます。
先日送られてきた活動報告で、現在ジャパンマック福岡で行なわれている
ミーティングへの通所者が、あと少しで50名になることを知りました。
昨年までは一ケタでしたから、少しづつ増えてはきていますが
福岡のような大都市圏でも参加者がこれくらいという現状なのです。

もちろん未だ依存症というものが、社会に全然認知されていないことが
一番大きな問題です。
病気それ自体もですが、どこに相談すればいいのか分からないという人も
多いのだろうと思います。相談できる機関や施設も絶対的に不足しています。
それに加えて「依存症の回復」=「12ステッププログラム」という道筋が
もうひとつ日本人には理解しにくい、無理があるようにも思えるのです。

こんなことを書くと、プログラムによって回復されている方や
回復を目指して日々努力されている方には激怒されるかもしれません。
私は最初にプログラムを知った時から、6年近くあれやこれや見聞きして
最近ようやくプログラムの本質みたいなものが理解できました。

たとえばギャンブル依存症であれば、ギャンブルをやめたこと
やらないことが回復ではなく、ギャンブルをせずに
しかもよりよく生きることができるようになることが回復なのだということ。

そのためにミーティングを重ね
12ステップをひとつひとつ理解して実行し
最終的には、他のギャンブル依存症で苦しんでいる仲間も
そういう生き方ができるように手助けをすること。

プログラムに書かれている言葉を、頭でただ「理解」するだけではなく
ミーティングに参加をし、仲間と助け合うという「行動」によって
自分も仲間たちもともに回復し続けること
プログラムによって目指す回復とは、そういうことなのだろうと思います。

このあたりのことが、自助グループや、カウンセリングやセラピーといったものが
まったく一般的ではない日本人が
なんの予備知識もなく自助グループに参加した場合
いきなり「言いっぱなしの聞きっぱなし」というスタイルでは
「何だかよく分からない」「これで良くなるとは思えない」という印象になり
持続しない、定着しない一つの原因になっているように思えるのです。

偉そうなこと言って、お前はギャマノンにも参加してないじゃないかと
怒られそうですが、あちこちちょっとづつ顔を出して経験した印象でも
たとえば、ジャパンマックのような回復施設の施設長さんやスタッフさん
GAやギャマノンで、参加者の相談に乗ったり、運営のお世話をされているような方たちは
確実に回復のレールに乗られているのだなということが分かります。
12ステップによる行動をつづけてこられた結果としての回復です、

ジャパンマック福岡の会報によると、依存症からの回復をめざしておられる
通所者の半分くらいは、病院や福祉関係からの紹介によるもののようです。
自助グループやミーティングは
誰かが誰かに指導をしたり、教えたり、命令したりする場ではありません。
普通の人が考える「治療」というイメージとはずいぶん違います。
けれど、最初に医療機関の専門家によって
自助グループの意味や効果をていねいに説明してもらえていれば
戸惑いや拒否反応はいくらか少なくなるのではないでしょうか。

医療機関にも、自助グループを推奨されるところもあれば
「認知行動療法」などで対応されるところもあります。
ただ何回も書いていますが、自助グループにいけば
あるいは医学的な治療を受ければ
すぐに治るとかなんとかなるというものではありません。

近年依存症の種類もどんどん増えつつあり
青少年のスマホ依存、ネット依存の問題も日々深刻になっています。
個別の依存症が、それぞれバラバラに対応する次元はとっくに超えていると思います。
まずは「依存症」という大きなまとまりで
医療関係の人たちや、相談機関、自助グループなどの相互の連携や協力が
絶対必要な段階に来ていると思います。

依存症のメカニズム自体完全に解明されているわけではないので
現時点で100%効果のある治療法が確立されているわけでもありません。
ですからガンの話でもありがちな
「あれはだめ」「これしか効かない」というような批判や対立ではなく
当事者や家族に、可能な限りの有効と思える情報を提供し
それぞれが、自分たちに最善の方法を選択できるようにしていただきたいです。

自助グループや12ステッププログラムとはどういうものなのか
なぜ依存症からの回復にそれらが有効とされているのか
自助グループやプログラムで対応するのは難しいと思われる
スマホ依存などについては、どういう方法があるのか
そのあたりを本人や家族に、医療機関やカウンセラーさんを介して
もう少し分かりやすく丁寧に説明してもらえるようなシステムが
一日も早くできることを心から願っています。





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依存症と脳の話(5)健康な脳を育てるには

2015-10-31 16:13:35 | 依存症

前のブログでは、ドーパミンとノルアドレナリンという
二つの神経系について書きましたが
もう一つ、人間の脳が正常に働くためにとても大切な働きをするのが
セロトニン神経系です。

セロトニン神経系は、脳の広い範囲に神経突起が伸びていて
姿勢の維持や四肢の動き、呼吸、睡眠、食欲、自律神経の働き
性ホルモン、そして認知や記憶などの様々な機能をつかさどり
さらに前頭葉へつながって、精神的な安定をもたらすかなめの役割をします。

セロトニン神経系がうまく作られて、きちんと働いている脳では
古い脳で、不安や恐怖などの情動が起きても
そうした様々な刺激による情報が新しい脳につながります。
新しい脳では、前頭葉が、それらの情報を統合して
論理的な解釈を、言語を使って作ることができ
不安を安心に変えて、いろんなストレスを解消することが可能になります。


もちろんこのメカニズムが出来上がるためには
乳幼児期、学齢期、思春期と、幾つかの段階があります。
そこで、まずは乳幼児期。
ここがセロトニン神経系が作られる最初の段階です。
どうすれば、このセロトニン神経系がうまく働く脳になるのか。

成田先生の説によれば、それは意外と
拍子抜けするくらい簡単なことらしいのです。

「朝は明るく、夜は暗く」

つまり赤ちゃんや幼児の脳では
セロトニン神経系を含む脳内神経系は
生まれる前にはまだ作られておらず、生後五年ほどの間に
毎日規則正しく入ってくる刺激によって作られていくのです。

なので、朝は明るく、夜は暗くという刺激を
規則正しく脳に与え続けることで
脳は活発にシナプスを作り
脳全体に広がるネットワークを作るのだそうです。

そしてもう一つは
「子どもに向き合う時は、いつも楽しく笑う」

これは、大人が子どもの前でいつも笑って楽しい気分でいると
子どもの脳は不安を感じることがないので
不安のない脳ではセロトニンが大量に作られる。
そうすれば子どもはいつも楽しい気分でいられるというわけです。
そうはいっても、大人には大人の事情というものがありますから
なかなか理想通りにはいかないのですが
要するに、あまり細かいことを思い悩まず
子どもの前では「取りあえず笑っとけ」ということなのだと思います。

そんな適当なと思われるかもしれませんが
セロトニン神経系の作られ方という、科学的な根拠に基づいた話ですから
決していいかげんな話ではないわけです。

このように、人間の脳の仕組みや働きを、科学的に理解することは
今乳幼児を育てている親御さんはもちろんのこと
学齢期、思春期の子どもさんと向き合っている
たくさんの親御さんにとっても、とても大切なことだと思います。

大人の都合で、昼夜逆転、夜遅くに幼児を連れ回すような親御さんもいます、
虐待とまではいかなくても
子どもに向き合う時は、何かを指示したり命令したりという人も。
そしていつも不安や恐怖を感じ続けると
子どもの脳はセロトニンが不足して、セロトニン神経系が働かなくなり
古い脳で起きる情動から、極めて短絡的で攻撃的になる
いわゆる「キレる」ということになるのです。
私が以前のブログで、青少年が起こす残虐な事件の背景には
多くの場合、幼児期の虐待が関係していると書いたのには
こういう根拠があります。

この、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンという神経伝達物質と
その神経系の働き方は、人間のあらゆる行動に大きな影響を及ぼすものです。
生育環境などの影響で、セロトニンが不足しているから
ストレスに弱い脳になったのか
それとも各種の神経系は正常に発達しているのに
許容の範囲を超える過剰なストレスにさらされたために
ストレスに弱い脳になったのか
これはまさにケースバイケースで
ひとりひとり違っているのではないかと思います。
さらにそこには、学齢期以降に形作られていく
前頭葉の機能が、これまたひとりひとり違っていることも
大きく影響していくものと思われます。

こうしたことが理解できたからどうというわけではないかもしれませんが
乳幼児に限らず、親は子どもにどう向き合うかの
指針の一つにはなるのではないでしょうか。

前回のブログと今回のブログは
成田奈緒子先生の「脳と心の発達メカニズム」を参考にし
それを要約する形で書いています。
専門的な部分も含めて、正確な全文を読まれたい方は
ネットで検索することができますので読んでみてください。




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