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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

依存症患者の家族(1)

2008-10-20 17:16:43 | 依存症
前に作家で精神科医の帚木蓬生さんの書かれた
依存症患者の家族についての文章を
引用したことがあります。

ギャンブル依存症の患者の家族は
ほとんどの場合多重債務に追われ
何度やり直そうとしても繰り返す借金に
疲れ果てています。

しかしこの病気の特徴で患者自身は
脳に変化が起こっているので
家族に何を言われても
まるでひとごとのようにしか感じていません。
相手が激怒していたりすると
「二度とギャンブル(借金)はしない」といった
その場しのぎの嘘で取り繕いますが
心の中ではそんなことは
これっぽっちも思ってはいません。
善悪の判断とか人間らしい気持ちのありようとか
そういうものはとっくに失われているのです。

この病気の最大の特徴は「嘘と借金」で
しかも表面上はごく普通のまともな人間に見える。
なんと厄介なそして恐ろしい病気でしょう。

うちの事情を少し知っている友達に話しても
「ええっ、ご主人、全然普通に見えるのにねぇ」という
反応が返ってきます。
変化は脳のある部分でのみ起きているので
これは仕方のないことなのかもしれません。
私自身、長年今度こそわかってもらえるはずと信じて
借金を借り替えたり、こんこんと説得をしたりという
無駄な努力を延々と繰り返してきたのですから。

だから今まともなところからは
どこからもお金を借りることができなくなって
一日の生活費が千円もないという暮らしに向かい合って
「何とか自分で治そうと思っている」というダンナの言葉を
無条件に信じられるかというと
そんなことはまったくありません。
完治はしないのですから「治す」ことはできないわけで
ただ「今日一日は行かない」という毎日を
死ぬまで続けていくしかないわけです。

患者自身よりもむしろ家族にとって
なんて過酷な未来なのだろうと
たまにどうしようもなく絶望的な気持ちになるのです。


依存症の恐ろしさ

2008-10-14 18:55:29 | 依存症
先日少し触れた韓国でパチンコが禁止されたことについて

若宮健氏のリポート( 2007/07/17 韓国はパチンコを法律で禁止 )から
一部を引用します。

6月末に韓国のパチンコを取材したくて韓国へ飛んだ。驚いたことに、
昨年暮に韓国ではパチンコが法律で禁止されていた。パチンコ屋はす
べて撤去されていて看板も残っていなかった。日本のマスコミは韓国
のパチンコ禁止を何故か報道していない。不思議である。

 韓国でもパチンコの被害は大きかったと言う。それにしても、政府
の判断でパチンコを禁止したのは素晴らしい決断である。日本とは大
違いで、日本ではパチンコの被害が益々増えているのに放置されている。
(中略)

 パチンコを禁止したら、消費が伸びているという。それは、間違い
ないだろう。日本もパチンコを禁止すると消費利低迷から脱出できる
のに、政府も、経団連も分かっていながら何故かパチンコに触れたが
らない。

 消費の低迷は特に自動車に影響が大きい。車の販売は30年前の
水準まで落ち込んでいる。パチンコで浪費される30兆円は、特に
車のような高額商品に影響が大きい。年間30兆円がパチンコで消
えている。車が平均一台150万円とした場合、2000万台分が
パチンコに浪費されている。車が売れないのも無理はない。

 若者の多くは、スロットやパチンコで負けつづけて、車を買うお
金がなくなっているのである。学費をつぎ込んだり、給料を丸々つ
ぎ込んだり、スロット依存症が原因で大阪と横浜で母親殺しが2件
も発生している。

 国を壊しているパチンコ台のCMを垂れ流す日本のテレビ局。キ
ャンペーンを張り、ついにはパチンコ禁止まで政府を追い込んだ韓
国のマスコミ。そして、キッパリとパチンコを禁止した韓国政府。

 どちらの政府が良識を持っているか、どちらのマスコミが良識を
備えているかー言うまでないことである。それにしても、この国は
酷い国である。

(引用ここまで)

比較したらお叱りを受けるかもしれないが
例えばC型肝炎の薬害訴訟の原告は約400人ぐらいなのに対し
ギャンブル依存症の患者はすでに200万人とも言われている。

依存症は脳に機能の変化が起こる明確な精神病で完治はしない。
この「変化」の一つに人間性の喪失がある。
どんな説得も叱責も通用しない。
脳のどこかがそういうものをシャットアウトしている
これがダンナと向かい合った私の実感だった。
すべての人間的なものを拒否し
ただ借金をどうすれば返せるかということだけで
占められた思考はおそらく犯罪に容易に結びつく。
家族は借金だけでなく様々な不安と
常に向かい合うことを迫られる。
一人の依存者の周りに
巻き込まれた3、4人の家族がいることを思えば
一千万近い人間がこの病気のために
地獄の苦しみを味わっている。
それを終わらせるためには
原因となっているもの自体を抹消する以外にはないのだ。
なくなってしまえば取りあえず再発の心配は
ずいぶん軽減されるわけだから。

近況など

2008-10-13 21:53:48 | 依存症
ずいぶん間が空いてしまいました。
何とか五千円でも収入を増やそうと派遣の仕事をしてみましたが
7月2回、8月2回、そして9月は仕事ゼロで
やはりこれではダメだと考え
9月中旬から固定の仕事に変わりました。

実際に経験してみて
日雇い派遣という仕事の大変さを痛感しました。
若い人たちがこんな形で働かざるを得ないというのは
年金なんかよりはずっと大きな問題です。

年齢的なもの、そして掛け持ちということもあって
職探しも簡単ではありません。
債務のほうは再生の手続きに入ったので
返済はなくなりましたが
書士さんに払うお金は二人分なので
出費の総額はあまり変わらず
やはり何としても収入を増やす以外に
ないというのが現状です。

全ての債務を返し終わるまで
あと三年か四年
気の遠くなるような状況が続くのでしょう。

そうこうしている間に
世界経済が大変なことになっています。
これから三ヵ月後、半年後、あるいは一年後
日本の経済が一体どうなるのか、予測できる人は
あまりいないのではないでしょうか。

解散総選挙も近づいているようです。
前にも書きましたが
毎年パチンコ屋の機械に吸い込まれて消える
二十数兆円のお金が
限られた人間の利得を守るためにではなく
(あの業界には超党派で関わりがありますから
おそらく何党はまったく無縁ということは
ないのですがまさか全ての議員が取り込まれている
わけでもないでしょうから)
もっとまともな消費活動に回ることを
上の人はこんな状況だからこそ
今度こそ真剣に考えて貰いたいものです。