goo blog サービス終了のお知らせ 

癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

功利主義の果てにあるもの

2011-08-21 08:57:36 | 社会・生活
今日はまた東京で韓流を放送するテレビ局に対する
抗議デモが開催されるらしい。
なぜマスコミはこれほど韓流に熱心なのかについて
マスコミ側の言い分は「ドラマなどのコンテンツが安い」ということらしい。
確かに自前で俳優さんにギャラを払い制作費をかけてドラマなどを作る
ことを考えれば、すでにある韓流のドラマの使用料を払って
放送するほうが格段にコストが安いという利点はあるだろう。

そこには今の世界の経済全体が直面している大きな問題の
一端がかいま見えるような気がする。
欧米の資本主義はもともと民主主義や人権思想と一体で発展してきた。
自由主義経済のもとにより多くの人が
富の配分を享受することのできる社会の実現をめざした。

この前終戦の特集で戦後アメリカの占領政策によって
男女の平等や労働者の権利の獲得、農地の解放などが
進められたという話をしていた。
日本は終戦を境に多くの人が自由で豊かな生活を
手に入れることができるようになり
誰もが一生懸命に働いて
画期的な経済成長を遂げ「一億総中流」というような
暮らしを実現させてきた。

その欧米や日本の市場に中国が廉価な商品で攻勢をかけた。
しかし中国のありえない安さの背景にあるのは
年収1万五千円ほどで働く一億人の貧困層であり
中国はその貧困を踏み台にして低価格を実現させている。
韓国もまた長年中国の支配下にあった国で
社会の仕組み自体は中国に近いものがある。

韓流の芸能人の自殺やスキャンダルが
たびたび話題に上るのはおそらくそのためだ。
事実はすべて隠蔽されているが一部の例外を除いて
彼らは国策国益と所属する企業の利益のために
低賃金で過酷な労働を強いられているために
(先日人気の女性グループの超過密スケジュールが
ニュースになったりもしていたが)
次々にそういうトラブルが起きてくるのではないか。

ここにきて世界の経済が大きな変動、そして危機に直面しているのは
これまで欧米の諸国が主流となって確立してきた経済や社会のあり方が
そうしたまったくポリシーの異なる幾つかの別のグループの参入で
根底から揺るがされているからだと思う。
しかし私はこうした功利主義の果てにあるものは
結局のところ個人という単位の切捨てであり
国益の優先という歴史の逆行であり
その行き着く果ては人類の存亡を賭けた戦争という
愚かな負の無限ループだと思っている。
(ごめんなさい。なにしろ欝なもので思考回路自体が負の無限ループなのです)

この間「ゴールデンスランバー」という映画を見ていて
主人公の大学時代の友人が主人公に対して
「お前なぁ。考えろよ。少しは疑えよ」という場面がとても印象に残った。
「韓国は日本の地震を千載一隅の好機と捉えている」というニュースがあった。
韓国のみならず不況と震災、原発事故、さらに歴史的な円高で
苦境にあえぐ日本を尻目に
「安さ」を売り物に自動車や電気製品やあらゆる市場に攻勢をかける
新興の諸国は価格の面で柔軟に対応できない日本製品を
追い落とすことに全力を傾け、すでにそれが現実になりつつある。

このように容認するにしろ批判するにしろ
どちらにしても無条件にその流れに乗っかるのではなく
「韓流ブームの背景にあるのは何か。何が真実なのか」を知ること
そして考えることが今もっとも必要なのではないだろうか。


騙される側の責任

2011-08-15 15:49:59 | 社会・生活
ある若手の俳優さんがツイッター上で韓流ブームを批判する
発言をして大きな話題になり、所属事務所を契約解除された。
この問題はその後スポンサーの商品の不買運動などにも飛び火して
まだ収束してはいない。

私は韓流ブームそれ自体が問題だとは思わない。韓国は国策として
KーPOPや韓流ドラマなどのエンターテイメントを輸出することに
力を入れている。そのために大手の広告代理店やマスコミと
タイアップして特に日本の市場に強烈な売り込みをかけている。
その結果としての昨今の韓流ブームなのだ。
まあ天下のNHKまでががっつり取り込まれているのは驚きだけど
そっちは政界がからんでの話なのだろう。

多額の宣伝広告費が投入されているから
それは海外でトヨタや日産が車を売り、ソニーや松下が電気製品を
売るのと同じ次元の話だと思う。
いわゆる「ブーム」というものに弱く
しかも次々に新奇なものを求める日本の消費者のニーズを研究した
円を獲得するための見事な戦略だという他はない。
今日たまたまニュースでマッコリを日本人好みの味にするのに
研究に研究を重ねているという話があった。
いわゆる韓流のイケメン俳優や歌手も
ああいう風に作り上げられる過程はマッコリと同じと思っていい。

しかし私はこの騒ぎの一番大きな問題は他にあると思う。
それは韓流を批判したことでクビになったという点だ。
今の日本を覆っている空気で
一番危ういと思うのがこの「自由に物が言えない」ことだ。
少し前にも「書いたらその社は終わりだから」と高圧的にマスコミを牽制した
某復興担当大臣が辞表を出す騒ぎがあったが
実は上の人たちは日常的にああいう言い方をしているのではないか。

原発事故の直後マスコミに対してかなり厳しい統制がかかっていたことは
キャスターの人たちの微妙でぴりぴりした空気からも容易に見てとれた。
会見で「メルトダウン」という言葉を使った保安院の中村さんという方は
一瞬で消えてしまったし、おそらくキャスターの進退くらいでは済まない
大きな圧力がかかっていたのだろう。

言論の自由が憲法で保障されているはずの日本で
何だかわけのわからないタブーが多すぎる。
ブームを批判しただけで芸能界から閉め出せみたいな
圧力がかかるところまでいくとしたら
それは通常の商行為の範囲を激しく逸脱して
独裁、全体主義みたいなものでとても恐いことだ。

政治の場以外にもそういう強大な力がいくつも存在することは
ものすごく重大な問題だが
そこをさらに突き詰めていけばその強大な力を支えているのは
結局韓流に血道を上げる大勢の消費者に他ならない。
いわば自業自得の無限ループで
私たちは自分たちの首を絞めている。

前にも書いたが「騙す者も悪いが騙される側にも責任がある」
これは政治でもギャンブルでも宗教でも
はたまた韓流ブームでも同じことなのではないか。

ベントについて

2011-08-07 08:30:55 | 原発事故
前回のブログで書いた福島原発で高濃度の放射能検出
というニュースの時に東電の発表の中に「ベントの際に残留したのではないか」
というような発表があった。

「ベント」という言葉は原発事故の起こった時から頻繁に登場した。
首相の視察が原因でベントが遅れたことが事故を拡大させた
要因だったのではないかということが国会での論戦の議題にもなった。

事故後のマスコミの報道やなんかで私のような普通の人間は
何となくベントをしなければ格納容器が爆発して
チェルノブイリのような取り返しのつかない大事故になるから
ベントのことが問題なのだという程度に理解していた。

しかし今回またベントという言葉を耳にして
もう少しベントについて勉強しようと思った。
ネットで検索してかつて東芝で原子炉の設計に携わっておられた
後藤政志さんが技術者の視点から「1号機のベント失敗」について
詳しく解説をされているものを見つけた。
専門的な内容で詳しく述べられているので一読してほしい。

http://abc.pwkyoto.com/?eid=239

この中で後藤さんが問題とされているのが過酷事故対策への考え方だ。
私たちは今回のような大きな災害や事故の時の対策として
ベントをする機能が備わっているという風に理解していたが
実は「過酷事故というのは起こりえないという前提で
取りあえずつけておけばいいという程度の対策であった」
というのが現実だったということ。
後藤さんの主張はそもそもベントしなければならないということ
自体が根本的な誤りだということが大前提になっている。
つまり基本は何が起きても放射能を格納容器内に閉じ込めておける
それがあるべき姿ということだ。
しかし現実にはその基本が崩れる過酷事故が起きた。

その先の対策というのは「あり得ない」という前提で
AがダメならB,BがダメならCというような
単一故障基準すら適用されていなかった。
それは何故か。起こりえる全てのケースをシュミレーションして
対策を講じた原子炉などというものはおそらく
まったく採算が取れないようなものになるからだ。

更にどうしてもベントが必要になった場合に備えて
蒸気から放射性物質を除去するフィルターを設置するのは
現在では国際常識となっているらしいがこの点に関しても

「国内の沸騰水型原発ではベント配管にフィルターは付いておらず
東京電力福島第1原発事故では、放射性物質が広く拡散した。保安院は
「深刻な事故を想定していなかったからで、問題だった」と認めた。高
圧蒸気に耐えるフィルターは大掛かりでコストがかかり、技術的にも難
しいが、経済産業省原子力安全・保安院が、蒸気から放射性物質を除去
するフィルターの設置を義務付ける検討を始めたことが11日までの保
安院への取材で分かった」
これが6月の時点での話。このフィルターの設置に関しても過酷事故
を想定していなかったことやコスト最優先の体質がうかがえる。

「脱原発」にせよ「原発容認」にせよ自分の考え方をまとめていく上で
まずいろいろなことをちゃんと理解することが大切だと思う。
自分で選択したことに自分で責任を取るためにも
ムードに流されたり他人の意見をうのみにせず
自分の人生の残りの時間が許す限り
やはり少しずつ勉強を続けていきたいと思う。

福島原発で高濃度の放射能というニュース

2011-08-02 08:09:15 | 原発事故
昨日福島原発1号機と2号機の間の排気塔付近で
1時間あたり1万ミリシーベルト以上という極めて高い放射線量が
測定されたというニュースが流れた。1万ミリシーベルト
(10シーベルト/h)という値は、20分ほど浴び続けると
半数の人が死亡する放射線量で、これまで1号機の原子炉建屋
の中で測定された4000ミリシーベルトを超える、事故後最も
高い値だという。

このところ政府や東電は、原子炉や使用済み燃料プールの循環冷却が
ほぼ予定通りに進んでいて、事態は収束に向かっているという
ニュアンスの報道を続けていたところにこのニュース。
「東電は、事故直後に行われた1号機からのベントによって出た物質
が残っている可能性もあるとしながらも、詳しい原因についてはさ
らに調査が必要」と発表した。

事故後やがて五ヶ月になろうとしているのに、なぜ今また
こういう事態が報じられるのか。こと原子力に関係することは
一体どこまで事実が報道されているのか。
京大の小出先生は事故直後から次のような意見を述べられている。

(6月29日のインタビューから抜粋)

質問者:そもそも東電が国に(データなどを)示さないというのも
    あるのではないでしょうか?

小出さん:東京電力自身、今現在も事故の実態を把握できていないという、
     それほど困難な事故なんだ、ということもあると思います。
     いろんな情報そのものを知りえないということもあるし、
     知った上で東電が隠した、知った上で国が隠した、さまざまだ
     と思います。

私はこの小出先生の見解が正しいと思っている。このサイトでリンク
している福島原発の状態の様々なデータの中で、原子炉の水位と
燃料棒の露出度というのがあるが、1号機では27%前後、2号機と
3号機では35%前後燃料棒が露出しているという状況は、3月の
終わりくらいからずっと変わっていない。このデータは、1号機から
3号機の燃料棒がメルトスルーしているという事実と照合して一体
整合性があるのだろうか。
またこれも小出先生の意見によれば、安定冷却とか冷温停止とかいう
対処法は、燃料棒がある程度健全な形で残っている場合に可能で
あってメルトスルーしている状況では、そういう表現は適当でない
ということだ。

事故後からずっと感じていたことだが、事態をまだ正確に把握できて
いない東電は、更にそのことを政府に対しても正直に丁寧に説明
をせず、政府の指示に従ってうまく行っていることだけを報告し
マスコミも含めて、一般の人がちゃんと理解できないのをいいことに
適当なデータを発表し続けているのではないかという疑念は未だに
消えない。
日本のマスコミは中国の列車事故の経緯を揶揄的に報道していたが
実は自分の国でもまったく同じことが起こっているということを
どこまで自覚しているのだろうか。

長い間異端の研究者という立場にあった京大の今中先生と小出
先生はいまや時の人で反原発のシンボルのようになられ
そのために逆に反感を持つ人もいるのではないかと思うが
上のインタビューの中でこうも言われている。

「原子力発電だけは安全だというふうに、ほとんどの日本人は
多分信じてきた。それは政府と東電を含めた電力会社、大企業
が原子力は安全ですというウソを垂れ流してきたからです。
でも、騙された人にも責任があると私は思っていますので、
みなさんもよく考えてほしいと思っています」

これは原子力の問題だけに関わらず、怪しい利殖や投機の話でも
宗教でも、ギャンブルでも全てに共通する本質だと思う。
騙す人間たちはもとより悪いが、ここまで金が全ての拝金
主義が横行し、金になることなら何でもという世の中になれば
この「騙される側の責任」ということも本当だと思う。

例えば「脱原発になれば電気代が高騰し、企業は海外に移転。国内の
経済は低迷してしまう」という話一つにしても、それは本当のこと
なのか、回避する方法はないのか。それを主張しているのは
どういう人たちで目的は何なのか。そういうことを自分で勉強して
自分で考えて、原発に対する自分の考え方を決める。
特にこれから長い人生を生きていく若い人たちには、そういう
生き方が必要になるところにきているのだということを知って
ほしいと心から思う。