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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

漂流する主婦~貸金業法改正の波紋

2010-11-21 10:49:46 | 依存症
昨夜のNHK追跡ドキュメンタリー「A to Z」は
「漂流する主婦~改正貸業法法改正の波紋」だった。
今年の6月に完全施行された貸金業法改正については
このブログでも何回か書いた。
「年収の3分の1をこえる貸し付けは原則禁止。専業主婦への貸し出し停止」
その影響についてネットでは部分的に知ることができるが
全体像をとらえるのは難しかった。

昨日の「Ato Z」ではギャンブル依存症については触れず
主に生活のためにお金を借りていた主婦たちへの影響
特に正規のところで借りることができなくなって
闇金に手を出してしまった主婦の人たちの現実について特集していた。

セーフティネットをちゃんと整備せず
いきなりはしごをはずすようなやり方をすれば
当然こういう事態が起こるだろうということは
専門家の間でも心配されていたことだった。
特集では闇金から借りてしまって
どうしようもなくなった主婦たちが
司法書士事務所に相談してきていることを報じていた。

ダンナの個人再生の手続きをした時に
書士さんから念を押されたのが
「闇金に手を出したら助けてあげることができなくなる」
という点だった。
特にうちの場合はギャンブル依存症があったので
衝動的にそういう所でお金を借りる可能性を
念頭においての厳重注意だったのだと思う。
相手が闇金でもたとえば弁護士さんなどだったら
不可能ではないらしい。
違法金利で借りたお金は原則的には返す必要はないので
(元金5万円借りて利息を半年で十万返しているとすれば
法定金利に置き換えればすでに元金も返済している
ということになるのだろうと思う)
ちゃんと手続きを踏めば解決できないことはないが
なにしろ相手が相手だけに
簡単には解決しないし報酬として支払う手数料も
かなり高額なものになる。

一度闇金から借りてしまうと
例えば電話しただけでもすぐに口座にお金が振り込まれるとか
返せない場合は別の闇金を紹介されて
本当に短期間の間に借金が20倍近くに膨れ上がるなど
手の打ちようのない事態を招いてしまう。
「家庭を壊したくない。家族に知られたくない」という思いが
結果的にもっとも悲惨な結末になる過程を
昨日のTVは報じていた。

任意整理や個人再生、自己破産などをすると
正規のところから借金することはできず
カードも使えなくなってしまうので
「不時の出費をどうするか」ということが
特にまだこどものことで色々とお金が必要な主婦にとって
どれほど大変かということは
私自身が十年以上苦闘しつづけただけに痛いほどわかる。
それでも借金についてはできるだけ早い時期に
法的な手続きによって解決を図り
お金が必要な場合は公的な相談窓口で情報を集めて相談をする
昨日の番組では社会福祉協議会というところが
国の相談窓口として紹介されていたが
地域によっては生協で多重債務の相談を受けてくれるところが
生活資金についても受け付けてくれたりと
少しづつ受け皿ができつつあるが
いかんせんそうした情報がちゃんと発信されていない。

けれど何はともあれ最初は
家族にきちんと本当のことを打ち明けてよく話し合う
(たとえ借金の原因がギャンブルであっても)
それがその時はどんなにつらい思いをしたとしても
結局は一番の近道だしまっとうな解決の方法なのだ。
やり直しのできるラインで人生を再スタートさせる。
そういう選択をしてほしいと心から思う。



高齢者とギャンブルと犯罪

2010-11-14 09:17:08 | 依存症
先日こんな記事を目にした。少し長いが引用する。

「パチンコに熱中するお年寄りが急増している。独り暮らしの寂しさを
まぎらわせるためだったり、 定年後の毎日の退屈しのぎだったり。
3年前の規制強化でギャンブル性の高いスロット機が 禁止され、客離
れが深刻になっている業界も、高齢層からの集客に「生き残り」への
期待を寄せる。借金を重ねて大金を浪費する依存症も目立ち始めてお
り、新たな 社会問題になろうとしている。(中略) 偶数月の「15日」
には、2カ月分の国民年金と厚生年金が全国一斉に支給される。 どの店
舗でも、この日は年金を元手に遊ぶ高齢者で台の稼働率が 2~3割上が
るとされている」

一方で2010年の犯罪白書では、殺人、傷害致死、強盗、強姦(ごうかん)、
放火(いずれも未遂含む)の重大事犯で検挙される高齢者の急増を
報じている。ちなみに殺人の検挙者で65歳以上の割合が1989年に
3.6%(48人)だったのに対し、09年には13.8%(143人)
と3倍近くになっている。

もちろんこの二つの現象を単純に結びつけることはできない。だから
こそデータが必要なのだ。高齢者だけに限らず、ギャンブルと借金と
犯罪が、どういう関係にあるのかを実質的な数字をもとにして対策を
講じる必要があるのだ。
前のブログで民主党の娯楽研が作ったパチンコ法案冒頭の「国民の健
全な余暇生活を向上させるためには、国民的な大衆娯楽を有効活用す
ることが必要であるところ、ぱちんこ遊技が国民的な大衆娯楽の一翼
を担っている」という条文をこの人たちは馬鹿じゃないのかと罵倒し
たが、ほんの数分で万札が消えるような娯楽の、どこをどう言えば
健全と呼べるのか。ふた月10数万の年金で生活する高齢者が、
支給日に何万円もパチンコ屋に捨てればどうなるか。

中小企業で働く人たちは景気の悪化で給料も増えず、以前ほど簡単
にお金が借りられる状況でもなくなって、ギャンブル依存症でない
人たちはおそらくギャンブルからは撤退しているはずだ。以前
パチンコの射幸性が高かった(要するに十何万とか勝つような
常識外れの機種があった頃)友人のご主人が「もう恐ろしくな
ったからパチンコは止める」と言ったという話を聞いた。それが
病気でない普通の人の感覚だと思った覚えがある。十何万
勝つために合計すればその何倍もの金をつぎ込む。依存者が激増
したのはまさにその時期なのだ。
病気でない正常な人は、不景気で生活が苦しい時代に、パチンコ
やスロットがどこをどう考えても割りに合わない娯楽であること
を冷静に、客観的に判断できる。(毎日きつい思いをして働いた
貴重なお金を搾取されるだけの遊びは娯楽とは言わない)
だからこそ今度は判断力の低下している高齢者を取り込んで
虎の子の年金や老後の蓄えををむしり取ろうというのだろう。
その業界をこれからさらに規制緩和して優遇しようと企む現政権。
(自民党政権の終わり頃には、むしろ規制を強化する流れ
になっていて、過払い金の返還や貸金業の総量規制など金融業
も含めて正常化していこうという方向性になっていた。民主党
はベクトルの向きが全く逆なので、例えば過払いの問題なども
再び改変されてしまうなどの可能性もありえるように思う)


まあ規制緩和するだけでは、この不況のさなか売り上げの劇的
な増加にはつながらないだろうから、またあの手
この手で奇策を繰り出してくるんだろうなぁ。ここだけの話だ
けど私は実はこども手当ても本当の目的は、あの業界を救済す
る手段だったんじゃないかと密かに考えているのだ。

パチンコ法案今の情勢 1

2010-11-03 14:57:13 | 依存症

「カジノとパチンコの論理学」というサイトに新たに
民主党娯楽研の「遊技業に関する法律案」(パチンコ法案・遊技業法案)
の概要がUPされた。
2011年1月の通常国会への法案提出を目指して粛々と
準備が勧められていることがわかる。
どの議員がこの法案を通じての規制緩和に積極的に取り組んでいるか
法案の中身や進捗状況など同サイトでよくわかるので
ぜひ一度読んでみてほしい。

その中で第一条冒頭の文はこうなっている。

<国民の健全な余暇生活を向上させるためには、
国民的な大衆娯楽を有効活用することが必要
であるところ、ぱちんこ遊技が国民的な大衆
娯楽の一翼を担っており、遊技業が地域にお
ける経済の活性化及び就業機会の拡大をもた
らし、並びに遊技機の開発をとおしてICT
技術の振興に多大な役割を果たしていること
にかんがみ、その振興を図る>

ここまでくれば本当に国民もなめられたものだと言うしかない。
おりしも昨日鹿児島の高齢者夫婦を殺害した71歳の犯人が
「パチンコなどで年金を使い果たし姉に渡す生活費に困っての犯行」
というニュースが報じられていた。
すでに400万人を超す依存症患者
そしてパチンコが誘因となった数々の犯罪。
それに対して「見ざる言わざる聞かざる」どころか
「国民の健全な余暇生活を向上させる」とは。

賭博のどこが健全で、病気や犯罪の多発のどこが向上なのか
こういうことを大真面目に言えるというのは
この人たちはもしかして馬鹿なのかと言いたいところだが
そうではない。彼らは確信犯なのだ。
わかっていて自分たちの懐に入るお金のためにやっている。
去年の衆院選の前に民主党になったらこの問題は
解決に向けて前進するどころか
むしろ後退する可能性が高いと書いたが
後退どころかやはり完全に逆行する展開となった。

前のブログにも書いたが最大手のパチンコメーカーの
トップの個人資産は7000億円にも及ぶ。
こんな人間たちのためにたった一度しかない人生を
取り返しのつかないものにしないでほしい。
パチンコやスロットで多額の借金をつくり
自殺しようが一家心中しようが犯罪を起こして
親兄弟、家族親戚を地獄に落とそうが
その金で巨万の富を築いた人間たちや
彼らから多額の報酬をもらってホクホクの
政治家や役人たちは痛くも痒くもない高笑いなのだ。

治ることの無い病気をしょいこんで家族を泣かせて
一方で彼らにどんどん幸せをプレゼントするなんて
人間としてあまりにも惨めな生き方だとは思いませんか?