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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

私にとっての「今日一日」

2016-11-30 10:58:11 | 社会・生活
そろそろ来年のカレンダーを、という季節になりました。
当然猫物で、この三年ほどは「猫川柳」というシリーズにしています。
岩合さんのカレンダーと、どっちにしようかと迷いましたが
やっぱり来年も「猫川柳」でいくことにして、アマゾンに注文しました。

一昨年の春、乳がんステージⅣの告知を受けた時は
私も、おそらく家族や友人の脳裏にも「来年のお正月は無理かも」という
思いがよぎったと思います。病名と進行状況からいって
そういうイメージの病気だからです。

最初から治らないということは分かっていましたから
とにかく一日でも長く普通に暮らしたいと思って
比較的副作用が軽いといわれる
ホルモン剤での治療を選択して、今に至っています。

ホルモン剤には腫瘍を縮小させるほどの強力な効果は望めないので
自壊している患部は、少しづつ増大し続けていて
あと少しで腋のリンパ節の転移部分とくっつきそうです。
浸出液は終日出ていて、大量ではないまでも出血もあります。
患部のある左の手は、肩から手首までむくみがあって
まっすぐ手を挙げるのは無理で、あまり重いものは持てません。
そんな状況ですから、主治医の先生にも、私自身も
これから、いつごろ、どんな風になっていくかの予測は立ちません。

今でも日常生活にはほとんど支障がなく暮らせていますが
だから半年後、一年後も大丈夫というふうには考えていません。
けれどそれは、自分の病気や将来を悲観的に考えているのとは少し違います。
何回か書いていますが、治らない乳がんを告知されてから
今まで依存症の話の中で、何回も聞いた「今日一日」という言葉が
私にとって、大きな意味を持つようになりました。

もしかしたら、これが最後の一日になるかもしれない
今日一日が、何事もなく終わるだけで幸せ、なんて書いていると
「あ~あ、きれいごといっちゃって」と、頭の中で悪魔の声がします。
最近ずっと浦沢直樹さんの「ビリー・バット」を読んでいたので
もしかしたらコウモリの声かもしれませんが(笑)

自分の病気については、それほど心配をしてないのですが
ダンナのこと、子どもたちのことでは、不安がまったくないなんてことはありません。
特にダンナ。酔って煙草つけたまま居眠りしてたりするのを見ると
「私が死んだあと、この人は大丈夫なのか」と思いますが
そんなことを考えていたらきりがありません。

そのダンナ、先日一緒に行ったSIONさんのライブが
よっぽどインパクトがあったのか
ライブ後「車で聴くからCDを買いたい」と言うので
入門編として、代表曲がほとんど入っている2枚組を買いました。

乳がんを告知された頃、音楽のブログで
SIONさんの「後ろに歩くように俺はできていない」という曲を紹介しました。

「後ろに歩くように俺はできていない 今日を行くだけだ たとえ亀より遅くとも」

という歌詞が、その時の自分の気持ちにピタッとハマったからです。
その私の心の師匠であるSIONさんの歌に、ダンナの気持ちが少しでも動いたとしたら
こんなにうれしいことはありません。

そしてこの前、娘に「お母さんみたいに、60才近くなったからの乳がんっていうのは
高血圧なんかと同じで、老人病の一種だと思うよ」と言ったら
「またそんなことを。お母さんのそういう俺様理論は認めないから」と
手厳しくはねつけられましたが
私としては、こんな感じの「今日一日」を一日一日つないで
行けるところまでいくのが今の目標。
そして、できるだけ自然に、終わりに近づけていけたらといいなと
こっそり考えているわけです。



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りりィさん

2016-11-24 10:33:03 | 社会・生活
思い出話をするようになると、なんだか自分がひどく年寄りになった気がするのと
基本的に「過去」になった時間を蒸し返さないというか
振り捨てていくほうが性に合っているので、あまり昔のことは言いたくないほうです。

そんな私でも、不意に30年、40年昔にタイムスリップする瞬間があります。
SIONさんのライブに行く直前
二人の、とてもなつかしいミュージシャンの訃報が流れました。

そのうちの一人がりりィさん。
十代の頃に「タエコ」というアルバムを買いました。
「私は泣いています」という曲がヒットして、それが入ったアルバムでした。
当時、初期の中島みゆきや浅川マキ、そしてりりィ
ハスキーヴォイスの、これでもかというくらい暗い歌が好きでした。
亡くなられて知ったのですが、りりィさんは、私よりも3つ年上。
その頃20代の前半だったわけですが、すごく大人の雰囲気がありました。

その後しばらく活動されていない時期があって
再びりりィさんに出会ったのは、黒沢清監督の映画「ニンゲン合格」
それからは、ちょくちょくドラマや映画に出演されていました。

今年の春、娘に誘われて観にいった「リップヴァンウィンクルの花嫁」
AV女優をして大金を稼ぎ、そのお金で御殿のような屋敷に住み
おとぎ話のような暮らしをする真白(Cocco)という女性の母親役。
末期の乳がんを告知されていた真白は、自ら命を絶ち
遺骨を届けにいった、黒木華さんと綾野剛くんの前で
りりィさんは全裸になって「裸は恥ずかしい」と叫ぶ。
さすがの黒木華さん、綾野剛くんもかすんでしまうほどの渾身の演技でした。

現在封切られている「湯を沸かすほどの熱い愛」などにも出演されていて
音楽のほうも、中止になったものの
5月までライブをされる予定だったようです。
ミュージシャンとか俳優とかの肩書にこだわらず
自分にできることを精いっぱいやる
その揺ぎなさが、かっこいいです。心から憧れます。

浅川マキさんは、りりィさんよりももう少し年長で、8年ほど前に他界されました。
そしてこのお二人は、私が知る限り
女性ミュージシャンの中では、とにかく「紫煙の似合う女性」でした。
あれから40年が経った今でも、
煙草の煙が漂う中での、浅川マキさんとりりィさんのたたずまいは
やっぱり私には絶対届かない大人の女のイメージなのです。

りりィさんが亡くなられた原因は肺がんだったということですが
向こうの世界でも、おいしそうに煙草をくゆらせておられるのでは
なんて思っています。ご冥福を心からお祈りします。

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ジャパンマック福岡3周年記念セミナー行きました

2016-11-18 13:22:08 | 依存症
ずいぶんご無沙汰をしたので
この前の日曜日に「ジャパンマック開設3周年記念セミナー」に行ってきました。
ただしあまりハードスケジュールを強行するのはさすがに不安なので
お昼休みをはさんでの午後の部のお話を聞いてきました。

受付に「クラフト学習会」の講師をされた先生がおられて
「お久しぶりです」と声をかけてくださり
クラフトでご一緒した方ともお話しできました。

午後の部の最初は「ゆうきあきな心のクリニック」の結城先生のお話。
依存症だけに限定するのではなく
最近あらゆる年代に共通し、さまざまな心の問題を引き起こす原因となる
「生き辛さ」とどう向き合うか
どうすれば生きていきやすくなるかということを
医療者の視点から、わかりやすくお話していただきました。

その後現在マックを利用している方の家族のお話や
東京のみのわマックの職員さん(ご自身がアルコール依存症からの回復者)のお話があり
最後に利用者さん全員によるコーラス。
選曲はブルーハーツの「終わらない歌」とボウイの「only you」
最初の曲はたぶんGReeeenだと思うんですけど
私の管轄外なので分かりませんでした(笑)

施設長さんも言われてましたが、利用者さんがかなり増えて
現在50名近い方がプログラムによる回復に取り組んでおられるということで
全員が前に出てのコーラスは壮観でした。
それでも、福岡市の人口だけを考えても
潜在的に何らかの依存の問題を抱えている人や、その家族の数は
おそらくその何十倍というか、下手をすれば何百倍にもなるはずで
その中のたとえお一人でもいいから
「相談できる場所がある」という情報にたどり着いていただきたいと願っています。
セミナーでも「何かご相談がある方は遠慮なく
スタッフに声をかけてください」と呼びかけられていました。

もう一つ、私の長い間の懸案だったのが「ビッグブック」
これは、AAの創始者ビル・Wとドクター・ボブによって書かれた
「アルコホーリクス・アノニマス」の略称というか愛称で
どうすれば回復できるのかが克明に書かれている本です。

12ステップによって依存症から回復しようと努力されている方にとっては
「回復のバイブル」とも言えるような本で
「読んだほうがいいんだろうな」と思いながら、今まで未読でした。

それでセミナーが終わったあとで、会場の書籍販売のコーナーで
「あの~、ビッグブックのことを分かりやすく書かれた本はありませんか」と聞いて
「プログラムフォーユー」という本を買ってきました。
が、が、が、序文に「ビッグブックを入手し、240ページまで
注意深く読むことが必要不可欠である」と書かれていて
いきなり「ズルは駄目です!」と怒られた気分でした。
「そもそも興味本位でダイジェスト版で済ませるというその根性が」と
天国のビルさんとボブさんに、小一時間説教をされそうです。

けれど「依存症」とひと口に言っても
AAやGA,NA,あるいは家族のためのギヤマノンや抗酒会のような自助グループ
精神科や心療内科、セラピーやカウンセリングのような医療と
様々なアプローチがある中で
そこで用いられている用語のひとつひとつにしても説明も
簡単には理解できないことのほうが圧倒的に多いのです。
結城先生のお話の中にも、最近耳にする「マインドフルネス」という言葉が出て
来ましたが、ぱっと聞いただけではやはりよく分かりません。

日本は依存症治療では、欧米よりは半世紀以上遅れていて
まだ鎖国していた江戸時代くらいと、ほとんど変わりありません。
おまけに未だにこの鎖国のような状態が続いています。
ですから依存症について勉強し始めて、かれこれ8年近くなりますが
まだまだ知らないことが山のようにあって、まったく手探りの状態なのです。

なので、たとえダイジェストにしろ、さわりだけにしろ
「知らないよりは知っていたほうがいい」という
広く浅く的なな私のやり方について
ビルさんとボブさんには、あまり怒らず
温かく見守っていただきたいなと思っています。


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通院日 来週はSIONさんのライブ

2016-11-10 16:01:05 | 癌のこと
今週の火曜日は通院日でした。
あいにく小雨模様で、八百屋で働いていた頃は
他に通勤手段がないので、暴風雨でもチャリで仕事に行ってましたが
さすがにもうあの頃のような気力はなく、おとなしく電車とバスを乗り継いで病院へ。

先月の血液検査の結果
腫瘍マーカーのCA15-3 というのが50.6>25(4月が44.4 7月が49.7)
という感じで、ちょっとずつちょっとずつ増えていますが
以前の主治医の説明によれば、腫瘍マーカーが反応するがん細胞は
いっぱいあるうちの一種類だけなので、あまり気にする必要はないんだとか。

「肝臓に転移があるのですが、肝臓の数値はどうですか?」とお尋ねしたら
先生はモニターの検査結果を見て「立派なものです」
心の中で、何が立派なんだろう?と思いましたが
要するに、マーカー以外は、全部基準値をクリアしているということらしい。
あとはいつものお薬セット。ホルモン剤と軟膏2種類、胃薬と鎮痛剤2種類で
診察して、お薬をもらって、30分ほどで終わりました。
患部や腋の下の痛みも
朝ロキソニン、夜トラマールと、一日2回の痛み止めで
なんとかコントロールできているので
(たまに夜中に痛む時は、トラマールを追加)
少なくとも年内はこのペースで大丈夫のようです。
病院代と薬代を合わせて8000円くらい。お財布にもやさしい(笑)

そして11月18日は、SIONさんのアコースティックツァー聴きにいきます。
去年は12月だったので、体調を崩して家族に迷惑をかけたらいけないと
涙を呑んで自重しましたが、今年こそは行きます。
しかもなんとダンナと一緒に行くことになりました。

今年の1月のイベントで買った、去年のSIONさんの野音のライブを見せたら
まんざらでもなかったようで「ライブ行く?」と聞いたら「行く」と。
SIONさんは、私にとっては、ある意味神様ですが
私は、どこぞの宗教とは違って、強引な勧誘などはしません。
ただ「何でもいいから、とにかく音楽を好きになってほしい」という思いはあって
子どもたちも、小学校の頃からいろんな音楽を聴いてきました。
これは、映画も本も同じで、とにかくマンガでもなんでもいいから
たくさん観て、読んで、その中から自分の好きなものを見つけてほしいと思いました。

その願いだけはどうやらかなったようで
それぞれに、好きなジャンルの音楽があり、映画や本があります。
なぜか二人とも意外にまっとうで、わりと穏やかなのは
「あんなのはいやだ」と、生涯過激路線一筋の母親が半面教師なのかもしれません。

そんな中、音楽にも映画にも本にも、1ミリも反応しなかったのがダンナで
この世界には美しいものも感動できるものも山ほどあるのに
なぜハマるのがギャンブルなのか、反対に私には1ミリも分かりませんでした。
だからまあ、お互い様ではあります。
それでも私がスイッチを切り替えて、野球を見に行ったりするようになったので
きっとダンナも、歩み寄りの姿勢を見せてくれているのだと思います。

火星と土星くらい離れた夫婦ではありますが
お互いに1センチづつでも近づこうとしているのだと。
けれどお互いの顔が見えるくらい近づけるには
おそらく残りの時間では全然間に合わないような気がしますが(笑)

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Kindle廃人

2016-11-05 16:52:28 | 社会・生活
タイトルだけで内容の想像がつくような話ですが
10月の上旬に、子どもたちからKindleをもらって
最初は可愛く無料コミックなんかを読んでいたのが
じき物足りなくなって、貫井徳郎さんの「愚行録」を購入。
これも二日ほどで読み終えて「これはいかん。
やはりぐったりするような骨太の小説にしないと
すぐに終わってしまう」と「ダ・ヴィンチ・コード」(上・中・下)を購入。

「ダ・ヴィンチ・コード」は、今公開中の映画「インフェルノ」と
同じ作者さんでレオナルド・ダ・ヴィンチとかに代表される中世美術と
キリスト教や、そこに隠された暗号の謎を解くという
私には未知の分野のミステリーで、映画もまだ未見です。

予想通りなかなか面白いですが
寝る前に読むのには、結構集中力がいる内容なので
夜の読書タイム用にと、今野敏さんの、隠蔽捜査シリーズから
まだ読んでなかった「転迷」と「宰領」をダウンロード。
こちらは、一番好きなジャンルの社会派ミステリーということもあって
それぞれ3、4日で読了しました。
同時進行で「ダ・ヴィンチ・コード」は現在中巻まで終わり。
こちらは、既定の家事を終えた午後の休憩時間に少しづつ読んでいます。

そこで気づいたことがあります。
私は今でも眼鏡は使いません。
かろうじて文庫本までなら、裸眼で読むことができます。
けれど多少は老眼が入っていますから、文字の大きさとかその日の体調によって
字がぼやけることもあり、目と本の距離を調節しなければいけないこともありました。
それがなんと、Kindleだったらどの位置に置いても文字がボケない!
普段ぼろくそに言っているテクノロジーの素晴らしさを痛感しています。

で「隠蔽捜査」関係を読み終えて「さあ、どうしようか」と思っていた時に
最近ブックオフに行くたびに探していた榎本憲男という人の
「エアー2.0」という、これまた社会派ミステリー。
なんとKindle版がありました。
のっけから「東京オリンピック開催直前の、新国立競技場に爆破予告のテロが
仕掛けられる」という私のツボ中のツボな展開で、大当たりの予感です。

でも、少し冷静に考えてみると
こうして家にKindleがあるというのは、家に本屋があるのと同じです。
amazonで紙の本を買っていた時は
注文してから受け取るまで、2,3日かかりますが
Kindleだと、本当に1クリックで、一瞬で欲しい本が手に入ります。
しかもおすすめリストで「読みたい」をクリックしてみたら
なんと10冊ほど、サンプルがダウンロードされてしまいました。
ここまでくると、かつて本にもなった「ネトゲ廃人」ならぬ「Kindle廃人」という言葉が
頭をよぎりました。今の時代「依存」の落とし穴は、本当にどこに潜んでいるかわかりません。

まさか本の押し売りがあるとは夢にも思いませんでしたが
本が売れなくなったと言われて久しい現代では
これも仕方がないことなのかもしれません。

家で本ばかり読んでいると、人と話をすることもほとんどなく
まさに引きこもりの状態なので
これでは精神衛生上もよくないだろうと
昨日は娘と、mouse on the keysという
インストロックバンドのライブに行きました。

ダンナは夜勤明けでしたが
「晩ご飯の用意は、ばっちりしていくから」と言って、O.Kをもらいました。
内心は、もうそろそろ、夜のライブハウスでの2時間近いスタンディングライブは
無理なのではないかとも思いましたが
まだ起きてないことを心配する予期不安はあっさり止めて
やはり今やりたいこと、できることをやることにしました。あとは野となれ山となれです。

自分が好きなジャンルの音楽で轟音のシャワーを浴びると
細胞の一つ一つが活性化する感じがするのは相変わらずです。
(がん細胞が活性化したらマズいですけど)
夜だし、ライブハウスの中も暗いし
性別不明、年齢不明みたいな異空間ですから
何の気兼ねもなく、ただただ音に酔うことができました。
本と映画と音楽と。この世界もまだまだ捨てたものではありません。


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