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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

依存者の家族(5)

2010-02-17 12:30:16 | 依存症
前のブログで依存者の家族が抱える不安について書きました。
家族に隠れてギャンブルにはまり借金を作ってそれが発覚。
家族はまた隠れてどこからかお金をかりているのではないかという
絶え間のない不安に脅かされます。

余談ですが次のような記事をみかけました。

電話相談:ギャンブル絡む多重債務 あすなろの会、25日から /香川
 ヤミ金などの被害者救済に取り組んでいる「高松あすなろの会」
(鍋谷健一事務局長)は25~27日、「ギャンブルによる多重債務
110番」(087・897・3211)を初めて開設し電話相談に応じ
る。無料。同会によると、09年の多重債務の相談のうち、ギャンブルが
絡んでいるものの割合は36%で過去5年で最高となった。多重債務者の
全体数が減少傾向にある中、ギャンブル依存症の人は他に比べて借金をや
めることが難しいため割合が上がったとみている。ほとんどがパチンコや
スロットによるものという。鍋谷事務局長は「ギャンブルをやめるという
前提がなければ、債務整理をしても何も解決しない。相談を受けた上で、
県内の自助組織や医療機関などに紹介したい」としている。
 午前10時~午後5時。希望があれば面談も可能。【松倉佑輔】

全国で始めて借金の理由をギャンブルに特定しての多重債務問題への取り組みです。
早く全ての県で多重債務とギャンブル依存症の両方の相談ができ、アドバイスをし
てもらえるこうした窓口ができることを心から願います。

債務の問題を解決し依存者も反省し、もうしないと誓っても
依存症の特性でいつスリップ(禁を破ってギャンブルをしてしまう)するか
わからないという不安があります。
更にこれも依存症の性質で「嘘を言う」があり
うちのように「もう一年以上行ってない」と言われても
果たしてそれが本当のことなのかこちらは信じることが難しいのです。

そして極め付けが依存症は脳に変化が起こる
脳の機能障害なので生涯治らないという点です。
誰だってこんな訳のわからない病気とそこからおこるトラブルに
一生付き合っていくことなんかできるはずがありません。
患者の親であれ誰であれ肩代わりしてくれる人間がいれば
さっさと縁を切るほうが賢明だと私も思います。

ただ全ての人間がその選択をできるわけではなく
まだまだ多くの人が依存者に苦しめ続けられ
更に現状のままでは現在進行形で患者が増えていることを思えば
すでに韓国が実施したように
とにかく依存の対象となるもの、つまりパチンコやスロット
(競馬や競艇、競輪もあるが上記の記事からも分かるように
割合的には圧倒的にパチンコスロットが多いと思われる)
を法律で禁止し施設を撤去すること
それしか方法はないと私は思います。



依存者の家族(4)

2010-02-16 10:08:25 | 依存症
私と同じ、ご主人がギャンブル依存症という方が
現在離婚を真剣に考え具体的にその方向で行動されているようです。
離婚するかどうかは依存者の家族の最大の苦悩であり
どうすべきかはやはりケースバイケースという他ありません。

今借金の問題は公的な機関(法テラスなど)や
弁護士さん司法書士さんに相談すれば
たとえ債務が収入の何倍もあるというような
事実上返済が不可能な状況でも自己破産、個人再生など
債務者の状況に見合った合法的な解決の道が開かれています。
うちのように個人再生が適用されれば
返済は続けなければならないけれど
返済額は満額債務があった時に比べればかなり少なくなります。

それでもうちの場合はダンナの仕事がニュースになるほど給料が安い。
私がかけもちで働いた分を合わせて
どうにか男性の正社員一人分くらいの給料ですから
そこから家賃、光熱費などの必要経費や
以前から滞納していた車の税金、市県民税、国保の保険料
(私の微々たる収入にかかってきた分)をすべて分割で返しているので
すべてを引いた生活費は大体ひと月4~5万ほど。
ダンナの小遣いは一日500円(うち300円は煙草代)
それでも1万五千円になりますから
残りの3万前後でひと月暮らしていくことになります。
それこそ逆さに振っても何もでないので
もはやギャンブルどころではないわけです。

「ガソリン代、1000円で月末までいける?」
「うーん、1000円ではちょっと無理やろうね」
「10リットルでは?」
「うーん」
「わかった。じゃあガソリン1500円で灯油を800円分にして。ファンヒーターを
なるべく使わんようにして乗り切るしかない」
前はあまり言わなかったそういう1円単位、10円単位の
お金の話を普通にするように心がけています。
以前はキャッシングとかで無くなれば万単位でお金を借りて
しかもそれをパチンコやスロットの機械にじゃんじゃん捨てていた
その異常な金銭感覚をまともなものに戻していくプロセス。
気の遠くなるような話です。

私が離婚を選択しなかったのは
依存症が生涯治らないことが分かって
こどもとか親戚とか友人とか自分たちの周囲の人たちに迷惑をかけたくなかった
それが最大の理由です。
だから離婚しなかったことに後悔はないのですが不安は常にあります。
依存者の家族にとって何が一番大変か
それはこの得体の知れない不安なのだろうと思います。(次回に続く)











家族とは何か

2010-02-03 16:16:29 | 依存症
私はもともとテレビにあまり興味がない。
家にひとりで居る時はほとんどテレビをつけず
パソコンで音楽を流しながら家事をやる。

ダンナが帰ってきて食事をする間は
たいていスポーツ番組で
9時くらいからニュースに変わる。
前にも書いたがバラエティーやお笑い番組は
出演者の異常なテンションの高さと早口なしゃべり
絶え間のない笑い声が精神的にものすごく負荷がかかり
しばらく見ていると気分が悪くなるので
そこは状況を説明して避けてもらっている。
(スポーツ番組の歓声もそこそこ疲れるが
そこはお互い様で私が辛抱している)

この二、三日、単身者の孤独死の特集をあちこちで見た。
死んでもお骨の引取りを拒否され
無縁墓地に送られるという。
宅急便の送り状の品名は「陶器」と書かれていた。
どこかに家族や親類はいるのだろうが
死後に骨さえ引き取ってもらえない人生。
ホームレスの人の特集を見ていても思うのだが
家族のために一生懸命働いてきた人間が
仕事を失ったからといって家族の許へ帰れない
ということは考えにくい。

帰れないのには帰れないわけがある…のではないか。
しかし彼らが一人で生きていかなければならなくなった
本当の理由が語られるれることはまずない。
もちろん事業や商売に失敗して借金に追われ
家族に迷惑をかけないために
離婚してホームレスになる道を選択したという話も聞く。
しかしやはりギャンブルなど遊興で多額の借金を作り
家族の誰からも縁を切られたケースも多いのではないか。

依存者には十年後、二十年後というような未来を
シュミレーションするような能力はない。
そういうニュースを見ているダンナに
もしかしたらあれは将来の自分の姿だということが
どこまでわかっているのか。
こどもたちには「お母さんが出来る限りのことは全部やったのだから
それで駄目ならあんたたちがお父さんの面倒を見たりする必要はない」と
きっぱり言っている。
将来的にこどもに助けてもらえるような人間関係でありたければ
きちんとそれなりの努力をする、人間としてそれは当たり前のことなのだ。

血がつながっているから親子で
こどもは親の世話をして当たり前というような理屈は通らない。
お互いに相手のことを考えて行動する
そういう時間の積み重ねの中でしか
相手のことを思いやるという関係は生まれないのだと私は考える。


悲惨な事件

2010-02-01 09:44:59 | 社会・生活
また痛ましい事件が起こりました。大阪で株で500万の借金を抱えた男性が
奥さんと二人の子供を殺して無理心中を図ったという事件です。
「お願いだから家族や無関係の人間を巻き添えにしないで欲しい」
心の底からそう思います。本音を言えば借金を作った当人が自殺するなりなん
なり好きなようにすれば済む話です。

四、五年前からすれば今はかなりの借金があっても解決の道があることが、ず
いぶん認知されてきました。しかし、困ったことに借金を作った当人は、まっ
とうな手段で解決を図ろうというような思考を持ち合わせていないことが多い
のです。ここが一番の問題です。

ダンナにしてもそうですが、ギャンブルにしても何にしても、そうしたものに
ハマる人間は、存外真面目で小心で、そのくせ異常なくらいプライドが高い。
このとてもバランスの悪い性格が、そもそも依存症になる要因のひとつだと
思われます。真面目で小心だから、他人の評価を気にする。自分の弱みや恥を
人にさらけだすことができない、そして自分はこんなに頑張っているのに家庭
でも職場でも正当に評価されていないという鬱屈を抱えている、そんな人間が
唯一勝利の快感を味わえたのがギャンブルだった。すべてはそこから始まった
そんな感じがします。

 そうこうする内に借金が雪だるま式に増え、生活費にも事欠くようになると
会話や表情がいつも上の空な感じになります。本人にとって何よりも大事な
体面を取り繕うことができない状況。頭の中は借金のことで占められ、その
苦しさから逃れるためと、勝てばお金が返せるという根拠のない妄想につき
動かされて本当に泥沼にはまっていくのです。
 少し前にダンナが「借金がなくなったから、どうしてもパチンコに行きたい
と思うこともなくなった」と言ったことがありました。ギャンブル依存者を
脅迫的ギャンブラーと呼ぶ場合もあります。まさにそういうことなのでしょう。
もともと自分の気持ちを客観的に分析するといった習性や、色々な物事への
興味、関心がないので、とことん追い詰められると打開する道をどこにも見
出すことができません。そこで、最低最悪の結論を導き出してしまうわけです。

こういうタイプの人間たちは怒ったり問い詰めたりしても絶対に本当のことを
言いません。人に非難されることを何よりも恐れていますから。
最初の事件の父親も妻子を殺したあと、職場へ行って仕事をしてから自首を
したと報道されていました。こういうまったく相反する内面が存在する、そ
れは依存者に限らず、人間本来の性なのかもしれません。
自業自得とは言え、本人もどうしようもない苦しさを抱えていることも
事実だと思います。周囲の人間の誰かが事前に察知して、冷静に事態を
打開するアドバイスをできれば、袋小路に追い詰められている心の状況
から我に返り、こうした悲劇の何割かは回避できるのではないか、そんな
気がしています。