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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

ハードスケジュール

2016-09-25 10:40:01 | 社会・生活
20日は、娘から誘われていた映画「怒り」を観に行きました。
数年前に、娘に「悪人」の本を貸したら
吉田修一さんに激ハマリし「悪人」の映画も観て
二人で吉田修一さんの本を次々に読破しました。
そして一昨年の私の誕生祝いに「怒り」の上下卷を
新刊でプレゼントしてくれたので、これも回し読みしました。
珍しく娘と趣味が合う作家さんの一人なので、映画鑑賞も即決でした。

私が心酔する高村薫さんや伊藤計劃さんは
「ハーモニー」だったらいけるかなぁと貸してみましたが
「ごめん、これは無理みたい」と返品されました。
高村さんもダメでした。
それでもアニメ化された「屍者の帝国」や「ハーモニー」を
一緒に観にいってくれたのは、親孝行のつもりなんだと思います。

長男も、今野敏さんの警察小説なんかは親子で好みが合いますが
私のいち押しに関してはダメなようです。
映画や音楽も同様で、ぴったり趣味が合うということはほぼありませんが
部分的に共感できるというものはいくつかあります。
親子といい、夫婦といっても
一人ひとり違う人間ですから、それが当たり前で
それでいいのだと思います。

さらに22日から24日まで
ダンナが、一年に一度あるかないかの3連休。
実は7月にもホークス戦に行こうかという話が出ましたが
チケットが取れず「残念やけど、また今度ね」と言ってたら
いつの間にか、9月22日の日本ハム戦のチケットをゲットしていました。

ダンナは、喜怒哀楽というものをほぼ表面に出しません。
だから、何が楽しいのか、どのくらい楽しいと思ってるのか
40数年一緒に暮らしていますが、いまだにさっぱり分かりません。
でも、自分からチケットを買ったということは
ホークス戦観戦は、かなり楽しかったのでしょう。
ただ、何にしても、一人でも行くということはなく
もれなく私が一緒に行くと確信しているふしがあって
そこが、どうしても観たい映画やライブだったら
一人でひょいひょい出かけて行く私としては、不可解ではあります。

今回の日本ハム戦は、天下分け目の首位決戦ということで
負けはしましたが、かなり切迫した好試合でした。
ちなみに私は、森福投手、細川捕手、そして今年の前半大活躍だった
城所選手を応援しています。
ヒーローインタビューなどにはほとんど登場しない
縁の下の力持ちだったり、下積みの苦労人タイプが好きです。

そして、スポーツだけでなく、作家さんやミュージシャン、俳優さんなんかでも
華やかに脚光を浴びるスーパーヒーローキャラが大嫌いです。
この歪んだ感情は、一生底辺で生きてきた人間の
恵まれたポジションで生きる人間に対する妬みでありひがみです。
けれど、こうした感情が自分自身にあるから
初期の高村薫作品や、「怒り」のような小説や映画が描く人間や世界に
理解も共感もできるような気がします。
試合は負けましたが、森福投手が満塁の大ピンチを
見事切り抜けるシーンが見れたので満足でした。

さらに23日は、お盆に行けなかった
佐賀のダンナの実家にお参りに行ってきました。
今回のホークス戦は昼の試合でしたが、それでも7時間以上外出し
連チャンで大丈夫かなとも思いましたが
一気に終わらせて、あとはゆっくりできるほうが気持ち的には楽な気がしたので
私にしては過密なスケジュールを強行しました。

若干の不安はあったのですが
やっぱり今日はがん細胞がかなり活性化しています。
「よ~し、いくぞぉ~」とやる気満々な空気が漂っています。
患部のふちのしこりが鮮やかなピンク色で
パキーンと張り切っていて、浸出液の量も増えています。
「今日からまた引きこもり生活に戻るんだからね。
おとなしくしてよね。めっ!」と叱っておきましたが
ちょっと体力が落ちると、すかさず勢力拡大を企みます。
まったく油断もすきもあったものではありません。

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女子会と通院日

2016-09-14 15:34:15 | 癌のこと
私が告知をされてから
毎年1回は女子会を企画してくれるようになった子育て仲間。
今年は宮崎にいる友だちが福岡に来る予定が入ったので
それに合わせて熊本の友だちも福岡に来てくれて
この前の日曜日に、4人で天神でランチをしました。

「女3人寄れば」何とかという通り
西通りのイタリアンのお店でお昼を食べて、そのあとはスイーツ。
実は4人のうち、私ともうひとりがんになっている友だちがいて
まさに「日本人のふたりにひとりはがん」という統計どおりなのですが
それでも半世紀以上、山あり谷ありの人生を生き抜いてきた
おばちゃんたちですから、全然暗い湿っぽい雰囲気なんかにはなりません。

仕事のこと、子どものこと、介護をしている親のこと
そして病気の話と、話のタネは尽きず
みんなからたっぷりパワーをもらった一日になりました。
告知をされた最初の年に、4人で原鶴温泉に行った時は
さすがに一年後の自分がどうなっているかを想定することができませんでした。

その年の5月に福島の友だちが来てくれた時もそうでしたが
頭のどこかに「これが最後かもしれない」という思いがありました。
それから細々と命をつないで2年半
とにかく今日一日無事に終われることが幸せで
こうして優しくしてくれる友だちがいてくれることに
心から感謝することができるような、素直な性格?になりました。
病気になるのも、悪いことばかりではありません。

そして昨日は恒例の通院日でした。
今回は特に検査などもなく、お薬をもらってくるだけなのですが
この前緊急で処方してもらったトラマールという鎮痛剤がいい仕事してくれてます。
朝はロキソニンを飲んで、夕方から少し強い痛みが出るので
痛くなる前にトラマールを飲んで、もし夜中に痛んだらもう一度というペースで
ほぼ一日痛みを感じずに元通りの生活ができるようになりました。

私はリサーチ魔なので、このトラマールというお薬の作用機序
(どういう仕組みで痛みが止まるのか)をネットで調べていたら
このお薬は、脳内にあるオピオイド受容体を刺激することで
強力な鎮痛効果を得られるのだそうです。

さらに詳しく言えば、脳内にある痛みを抑圧する神経物質
セロトニンとノルアドレナリンの量を増やす作用があるので
痛みを抑圧する神経が活性化するのだそうです。
こんなところで、セロトニンとかノルアドレナリンといった言葉が出てくるとは
思ってなかったので、少々驚きました。

ずっと依存症について勉強してきて
依存症だけでなく、多くの「心の病」と言われるものの原点は
人間の脳の働き方の問題で、特に脳内の神経伝達物質
(ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン、セロトニンetc)
のバランスが重要なのだというあたりまでは、何となく理解していましたが
まさかそれが、がんの疼痛にも関係してくるとは。

何はともあれ痛みさえなければこっちのものです。
病院の帰り道に、いつものブックオフで
相場英雄という人の「震える牛」という本をゲットしました。
天神で女子会をした日に、天神のツタヤで同じ作者の「ガラパゴス」という
長編小説を買ったのですが、
これがエコカーを売りにしているハイブリット車の隠された実情を描いた
骨太の社会派ミステリーで、久々に大ヒットだったので
あと2、3冊読んでみたくなりました。
「震える牛」は食品偽装がテーマです。

相変わらず本の虫、映画の虫で、引きこもりのダメ人間ではありますが
それでも、たとえ本であれ、ネットであれ、映画であれ
知らないよりは、知ったほうがよいことはたくさんあります。
このところ、東京の豊洲市場に関する疑惑が、メディアをにぎわせていますが
こうして単発的にでてくるスキャンダルは氷山の一角で
依存症の問題も、各種の建設や流通業界も、
がん治療などが含まれる医療界も、はたまた原発行政も
それによって、どういう層が一番大きな利益を享受しているか
またどういう層が一番被害を被っているか
あるいは経済的な利益に結びつかないという理由で、誰が切り捨てられるかという
大枠のところでは、すべて共通し、つながっているように思います。
もとより小説はあくまでもフィクションですから
書かれていることがすべて現実とは言えないかもしれませんが
まあ、当たらずとも遠からずではあるように思います。


子育てをしていた頃に、子供たちに
「どんなことでも、知っていて損になるということはない。
今は何の役にも立たないようなことでも
いずれ、ああこんなところで役に立ったと思うことがあるかも知れないよ」と話していました。

ですから今でも、依存症について勉強したことや、がんやがん治療の知識なんかも
ダイジェストではありますが伝えています。
他にも最近勉強した、ゴジラ映画の変遷についてなども語りたいのですが
そのへんは「また始まった」とあまり相手にしてもらえないので寂しいです。

テストで何点を取ったとか、学年で何番とかいう話ではなく
「知識はどんなものでも、生きていくために必要で、どこかで役に立つ」
という考え方を持ってほしかったからです。
その頃は、私の言うことが受け入れられなかったとしても
長い人生のどこかで「ああ、お母さん、あんなこと言ってたな」と
思い出してもらえたら嬉しいのですが。


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なぜ子どもたちはこんなに生き辛いのか

2016-09-03 16:42:43 | 社会・生活
先日娘が猛プッシュして
芥川賞を取った「コンビニ人間」を貸してくれたと書きましたが
実はもう1冊抱き合わせで、同じ村田沙耶香さんの
「しろいろの街の、その骨の体温の」という本も置いていきました。

もはや還暦を過ぎた年で、中学生の女の子が主人公という小説に
どこまで感情移入できるか、共感できるかという不安はありましたが
あればなんでも読むという習性で、とにかく読んで見ました。

そして、今の学校における「スクールカースト」と言われる
クラス内での階級制度に悩む、子どもたちの感覚の一端が少し理解できました。
女の子の話ですから、選別の基準は主に容貌で
「上」のグループにいる子、容姿が醜いために一番「下」のグループにいる子
主人公は「下」から二番目の「大人しい女子」のグループに属していて
つねに「害のない存在」であろうとするが、「下層の人間」である彼女は
あることでクラスメートたちのいじめの標的になります。

もう十五年以上前ですが、私も子育てをしていますから
子どもたちの間にある、こうした階層や序列については多少理解はしています。
成績や運動神経、容貌や家庭環境
ありとあらゆる理由で、様々なパターンのヒエラルキー(階層)ができるのは
大人の社会も学校も同じです。
どういう階層に属することになるかは、なってみなければ分りません。
作者の村田さんは、現在30代の半ばで
実はうちの子どもたちよりも少し年長ですから
この小説に描かれた状況は、それほどかけ離れてはいないのでしょう。

現在学校に行けなくなっている子どもの数は
小学校で 約2万5千人、中学校で約10万人、高校では5~6万人
この数字は、ここ10年間ほとんど変わっていません。
もちろんその全てが、この小説で描かれた「スクールカースト」と名付けられた
学校や学級内での階層や序列が原因だとは思いません。
中学や高校に入れば、受験や進路の問題もあるし
生育環境や親子の問題もあるでしょう。
あるいはこの小説のもう一つの大きなテーマで
親には把握することが難しい性の問題もあります。
おそらく原因は、これとひとつに特定できるものではなく
いくつかの、あるいはすべての要因が複雑に関係していると思えます。

正直なところ、私のこの「しろいろの街の~」の読後感は
どうしようもないほどの息苦しさでした。
今の子どもたちの「空気が読めない」と思われることへの不安
「浮いた」存在や「ぼっち」になることへの恐怖
そうならないために神経をすり減らす日常。
一方の「コンビニ人間」では、幼い頃から人と違った言動が多く
そのために病気と思われた主人公の
社会で「普通」の人、「正常」な人と思われるようになるための戦いが
読み手の心をえぐるような、精緻な描写で描かれています。

娘は中学の終わりから不登校を経験し
その後通信制の高校を経て、その間好きだった絵を描き続けて
芸術系の大学に進学しました。
その頃の体験があるから、おそらく私の何倍も
この村田さんの小説に共感も感動もしたのだろうと思います。

私の仲のいい友達も、それぞれ子どもの不登校を経験しました。
対応の仕方はそれぞれ違いました。
カウンセリングを受けた人もいます。
現代の教育制度や不登校の問題について、勉強を続けた人もいます。
私はと言えば、ただひたすらご飯を作り続けて
子どもたちと、たくさん映画や文学、漫画や音楽の話をしました。
そこだけが思春期の子どもたちとの接点でした。
どれが正解ということではなく
みんなそれぞれに、自分にできることを試行錯誤しながら
精一杯やってきたという感じです。

もしも似ているところがあるとすれば
みんな、自分の子どもたちがなぜそうなったのかが少しわかった
つまり、親である自分たち自身にも
何かしら今の社会のあり方になじめない部分があり
だから何が何でも社会が要求する物差しに
自分の子どもを合わせなくてもよいと思えた
という点ではないかと思います。
まあそんな親だから、子どもがそうなるのだと言われてしまえば
そうなのかもしれませんが。

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