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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

家族の気持ち

2016-03-23 16:01:30 | 癌のこと
先週の火曜日は通院日でした。
乳がんステージ4の告知を受けてから丸2年になります。

告知を受けたのがおととし3月の中旬で
お彼岸を過ぎた頃に、職場の人たちに打ち明けました。
それからダンナに話し
その後長男と、珍しくお昼ごはんを食べながら
そこまでの経過を説明しました。

ダンナは、ギャンブルやら何やらありましたが
もともとは真面目で、気が小さいのだと思います。
比較的仕事のスケジュールが楽で
晩酌して、いい気分になったタイミングで
カミングアウトしましたが
予想通り「俺のせいだ」と激しく落ち込んでしまい
「いやいや、人間誰でも死ぬんやし、そら100人にひとりしか
死なんて言うんやったら、大変と思うのもわかるけど
別に私だけが特別というわけじゃないんだから」と
私のほうが、とんちんかんなフォローをするはめになってしまいました。

長男は、私の話を聞いて、言葉を失っていましたが
私が「抗がん剤とかの治療はしないよ」と言うと
「そんなことじゃないかと思った」と言ってくれました。
長男は長男なりに、私のある一面をよく理解してくれていると思いました。

ちょうどその頃、年末に結婚式を挙げた娘夫婦は
新婚旅行に行っていて
旅行から帰ってきて一息ついた頃に会いにいきました。
こちらも、もはや言葉もないという感じでしたが
精密検査の結果が近々出る話をすると
「家族も一緒に来てくださいって言われんやった?」と
厳しい口調で聞くので、しかたなく「言われたけど」とちっちゃな声で答えると
「やっぱり」と、かなり怒っていました。

告知から半年くらいは、娘からは病気に関することでは
こんな具合に結構きつい言いかたをされて
私は内心「もう少し優しく言ってくれても」と思いましたが
娘の「何かできることがあるのではないか」という苛立ちや
どうにもやり場のない気持ちが、ついそういう形で出てしまうのだというのは
十分過ぎるくらい分かりました。

緩和ケアへの転院を決めた時も
「病院変わるって言うから、よさそうなところを
探そうと思ってたら、またそうやって自分一人で
さっさと決めて!」とおかんむり。
でも私が、よほど困った顔をしていたのか
「怒ってるんやないよ。怒ってないからね」と言ってくれました。

告知から2年が過ぎて
今のところは、普通の生活ができているので
ダンナも、子どもたちも、なるべく病気のことは
考えないでおこうと思っているようなふしがあります。
私もそれでいいと思っています。
私にとっては、もう一年後、二年後の未来よりも
今日の一日が、かけがえがない、大切な時間です。

今という時間が、充実して心穏やかに過ごせることが幸せです。
娘は、機会あるたびにライブや映画に誘ってくれ
長男もですが、面白い本やマンガがあると
二人してせっせと持ってきてくれます。
家族には家族の思いがあり、不安も心配もありつつも
それでも、私の気持ちを十分理解してくれているように思います。

実は私の父は、明治36年の生まれで
終戦の直前に召集されて復員し、私は、父が50才の年に生まれました。
ですから小学校時代から、父と一緒に外出すると
よく人に「おじいちゃんですか」と聞かれました。

私は、かなり小さな頃から
「この人は、いずれ死ぬんだろうな」ということ
つまり「父親の死」というものを、なんとなく意識していたのだと思います。
相当に変わった人だったので、父のおかげで
子どもの頃から、何かと大変な思いをしたことも多かったのですが
死ぬ時に、家族が泣いたり騒いだりする愁嘆場は嫌いだと広言していて
その言葉の通り、ささいな風邪で入院し
深夜、看護婦さんも気がつかないうちに息を引き取りました。
もちろん私も死に目には会えませんでした。

最後まで、自分の信念というか、美学を貫くような生き方でしたが
亡くなったのは、私が結婚した年の冬でした。
私が22才の時ですから、それからもう38年になります。
結婚式の日は、親族の控え室に私と父の二人きりで
私は自分のことはそこそこに、父がモーニングを着るのを手伝ったりと
てんやわんやしていた記憶があります。
父一人娘一人、その娘が結婚し
自分がいなくなっても、もう娘が天涯孤独の境遇にならずにすむ
それを見届けたことで安心したのかもしれません。

その年、私は通信制で京都の大学に入学して
最初のスクーリングを兼ねて、夏に父と京都旅行をしました。
最初で最後といってもいい、ささやかな親孝行の思い出です。

一年間お世話になった優しい先生とは、今回の診察でお別れでした。
「本当にお世話になりました」と、丁寧にお礼を言いました。




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