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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

まともな国家ではない

2011-07-17 11:25:19 | 原発事故
連日のように福島産の牛肉の放射能汚染の
ニュースが報じられている。
6月には福島の酪農家の男性が「原発さえなければ」という
遺書を残して自殺するという痛ましい事件が起きた。
事実を報道することは大切だが
一方で「風評被害を起してはいけない」と言いながら
「今日はどこどこから出荷した肉牛から
何ベクレルのセシウムが検出された」というニュースを
毎日のように報道すれば他県の人たちは
「やっぱり福島産はこわい」と短絡的な受け止め方をするはずだ。

静岡のお茶にしてもそうだが
そもそもなぜ今になって次々にこういう話がでてくるのか。
少し古い話だが
4月21日に行われた政府の勉強会で原子力安全委員会は放射能の
放出量は「1日あたり、100兆べクレル」 と答えた。
それまでの発表では、一時間あたり1テラ(兆)ベクレル、つまり1日
24兆べクレルであったが、実際は約4倍ほど多かったということになる。

この勉強会のあとに、原子力安全委員会が伝えた正確な数値は、
ヨウ素131が、一時間あたり6990億べクレル。一日あたりでは16兆7760億べクレル。
セシウム137は、一時間あたり1430億べクレル。一日あたりは3兆4320億べクレル。
セシウムはヨウ素に換算すると40倍なので、一日あたりは137兆2700億べクレル。

合計すると、153兆7120億べクレル。これは4月5日時点での大気中への推定放出率
である。何が原因で、原発のどこがどうなっているからこんな想像を絶する
ような放射能が漏れ続けたのか。4ヶ月が過ぎた現在ではどういう状況なのか。
そういう事実は事細かには報道されない。
「レベル7」だけどチェルノブイリよりは全然軽いみたいな報道が
さらりと流されただけ。
牛肉の500ベクレル越えがこれほどの大問題なのなら
上の大気中に放出され続けた天文学的な放射能の数値は
一体どう解釈をすればいいのか。


前に書いたスピーディのデータは実は事故直後から出力されていた。
ただ公表されなかっただけだ。
これだけの大量の放射能が放出されればどの地域でどういう事態が
起こるか専門家であればシミュレーションが出来て当然だろう。
大体福島原発1号機で水素爆発が起きた12日からの1週間
原発からすくなくとも50キロ圏内できれば80キロ圏内の
住民の人たちに対しては屋内退避の指示が出て当然だったのではないか。

事故が起きた時風が主に海に向かって吹いていた。
それが破滅的な結果を生まなかった最大の理由だった。
それでも毎日24時間海に向かって吹いていたわけではないから
風の向きや雨の影響で放射能は散逸した。
ホットスポットもお茶の放射能も今回の肉牛の飼料も
それが断片的に出てきているということなのだろう。

前のブログに書いたように原子力を飯の種にして
税金で食っている天下りの団体は十や二十ではない。
ちゃんと仕事をしているというなら
なぜ起こりうる可能性を事前にシミュレーションして
ある程度は予防する体制なりができないのか。
補償金を1円でも少なく払うために
問題が出てきた時に場当たり的に対応すればいい
それが最優先だというのなら
それはもうまともな国家でも政治でもないのではないか。


九電玄海原発とプルサーマル発電について

2011-07-10 09:17:07 | 原発事故
九州電力の玄海原発の再稼動は
政治的な混乱から二転三転して当面早急な稼動はなくなった(と思う)

実は玄海の原発はプルサーマル発電と言う大きな問題を抱えている。
プルサーマルとは何か、何が問題なのかについては
とてもひと言で説明することはできない。
要約すれば「今発電中の原発でウラン・プルトニウム混合
酸化物燃料(=MOX燃料)を使って発電すること」ということだが
プルサーマルが抱える多くの問題点については
専門的に論じているサイトがたくさんあるのでぜひ参考にしてほしい。

今回調べていて驚いたのはプルサーマル発電が開始された時期だ。

「1995年の高速増殖炉「もんじゅ」でのナトリウム漏洩火災事故以来、
日本の原発でプルトニウムを使ってるところやプルトニウムを混ぜた
MOX燃料によるプルサーマル運転をしている所はなかった。 自公連立
政権下でも原発でのプルトニウム使用は推進していなかった。

ところが、2009年の政権交代直後に CO2の排出量を25%削減するという
「鳩山イニシアチブ」が示され、 各地の原発ではMOX燃料を使用した
プルサーマル運転を始めた。

  2009年8月 民主党、衆院選で歴史的大勝利
  2009年12月 玄海原発3号機のプルサーマル営業運転開始
  2010年3月 伊方原発3号機のプルサーマル営業運転開始
  2010年5月 高速増殖炉もんじゅ運転再開、その後、炉内中継装置落下事故
  2010年10月 福島第1原発3号機のプルサーマル営業運転開始
  2010年12月 高浜原発3号機のプルサーマル試験運転開始

実はプルサーマル発電の問題点の中でプルトニウムの毒性が指摘されている。
中でも1番の危険性は、プルトニウムが「吸い込むと1gで約50万人を肺
ガンにできる」猛毒物質であることなのだが、そういう危険はおそらく
重大事故は起こらないという前提のもとに無視されたのだろう。
そしてプルサーマル導入からわずか5ヶ月後に福島の事故は起きた。

たとえ政治の主流が脱原発に傾いたとしてもエネルギー政策を転換するには
最低でも20年くらいはかかるはずで、その間にまた大きな地震が起きない
という保障はどこにもない。
では一体どうしたらいいのか。私のようなただのおばちゃんでも
まずは特に危険性の高いものについては停止するのが順当なのではないか
と考えるのだ。

ネットで情報を集めただけでも専門家によって危険性が指摘され
停止を求められている原発がいくつかある。政府が停止を決めた浜岡原発
もその一つ。浜岡は立地と地震を起す断層の関係性が大きな理由だが
他には建設からかなりの年数が経っていて安全面に不安のある原発
玄海原発の1号機が36年、2号機は30年。敦賀の1号機、あるいは
美浜の1号機はもう既に建設から41年が経過している。
当初想定された安全の基準をどんどん引き伸ばながら稼動されている。
そしてプルサーマル発電。
「全部止めるか稼動するか」みたいな乱暴な論調ではなく、良識ある
専門家の意見をきちんと聞いて個別にきめ細かい施策を立てることは
できないものなのか。政権の変化に影響されず、長期的なスパンで
利権に左右されないプロジェクトチームを作ることは…
できないだろうなぁ、多分。そんなことができるような国なら
そもそもこんなことは起こっていないはず。
取りあえずこんなにある原子力関連の天下り法人は今回のことで
ほぼ何の役にも立たないことがわかったんだから
お得意の仕分けで全廃させて税金をもっと有意義に使おうよ。

(独)原子力安全基盤機構
(独)日本原子力研究開発機構(茨城) 原子力の基礎研究を行う
公益財団法人原子力環境整備促進・資金管理センター(東京都中央区)
(財)原子力安全研究協会
(財)原子力安全技術センター
(財)原子力国際技術センター
原子力委員会(内閣府)
原子力安全委員会(内閣府)
原子力安全 保安院(経済産業省)
認可法人原子力発電環境整備機構(港区)
(社)日本原子力産業協会
(社)日本原子力学会
(財)原子力安全技術センター
(独)原子力安全基盤機構(東京)(2010年度予算200億円※) 
(社)日本原子力技術協会
(財)原子力安全研究協会
(独)日本原子力研究開発機構(2010年度予算1800億円※)(旧原研+動燃、もんじゅ推進)
(財)原子力研究バックエンド推進センター
財団法人 日本原子力文化振興財団(2010年度予算9億円 リクナビより)
(財)原子力発電技術機構
(社)火力原子力発電技術協会
(財)原子力国際協力センター
(社)原子燃料政策研究会
(財)原子力環境整備促進・資金管理センター
電源地域振興センター(東京) 原発地域の振興策などを手掛ける
日本原子力産業協会(東京) 原子力推進を掲げる
核物質管理センター(東京) 大型混合酸化物(MOX)燃料などを研究する
(財)日本立地センター
海外電力調査会(東京) 海外のエネルギー事情を研究する


長い闘いになる

2011-07-04 08:35:23 | 原発事故
前のブログで子どもたちを放射能から守ろうと書いた。
自分が比較的安全なところにいてスローガンだけ掲げるのは簡単なことだ。
それはこのブログを書いていていつも自分に問いかけることでもある。

もともとこのブログは家族がギャンブル依存症になって
数十年にわたる経済的な苦闘の末に
毎日死を考えて過ごすようになった頃
友人に債務整理のことを教えてもらい
家庭の再生に取り組んだところから始まった。

ギャンブル依存症のことを色々な角度から勉強して
その背景にある政財官の癒着を知った。
そしてギャンブル依存症は個人や家庭だけの問題ではなく
この国の上層にいる人間たちの
利権の結果としてこれほど大量に生み出されたものだと分かった。

今回の原発の事故もまったく同じような側面を持っている。
だから3・11以降は原発の問題について書き始めた。
ギャンブル依存症については国はまだ病気であることも
認めてはおらず解決の道筋はまだ入り口さえ見えてはいない。

ギャンブル依存症が自覚症状のない重篤な脳の機能障害であること
有効な治療の方法は今のところ見つかってはおらず
一生完治することはないこと。
自分の身近でギャンブルをする人に
たったこれだけのことを理解してもらうことさえ至難の技。
何故なら一にも二にも病気らしい症状が何もないからだ。
みんな自分は大丈夫だと思っているし説明されても何が何だかよくわからない。
それは放射能の問題とよく似ている。

例え被爆してもよほど急激で高濃度な放射能でない限り
すぐに何か症状が出るというものではない。
マイクロシーベルト、ミリシーベルトという
放射線の線量については今ではかなり認知されてきたが
例えばベクレルについてはどのくらいが危険なのかよく分からない。
そんな状況で情報が小出しにしかも後出しで出てくるので
みんなが段々それに慣れていっている怖さがある。
当事者でない人たちにとっては喉もと過ぎればで
問題の深刻さが少しづつ薄れていく。
脱原発の流れには節電や停電や電気料の値上げといった圧力がかかってくる。

しかし原子力行政をめぐるたくさんの利権が複雑にからんでいる
政治家やマスコミは根本的に信用ができない。
これは民主党だけでなく長年与党で原発を推進してきた
自民党も公明党もまったく同じだ。
だから政治が何かしてくれると過度な期待を持つことはできない。
それは私がギャンブル依存症の問題を通じて学んだことでもある。
業界を厳しく規制できる、あるいは法律で禁止できる
そういう可能性がどこが政権を取ってもまったくない。
逆の可能性はあっても。

依存症からの回復をめざすには
とにかくギャンブルをやらないこと。
つまりは自衛する以外に有効な手立てがない。
放射能の問題も同様で迅速に社会の仕組みを変えることができないなら
何が危険なのかを知って自衛するほかはないのだ。

しかし被爆を避けるというのは簡単だが
人は生活のある場所を簡単に捨てることはできない。
この不況のさなか避難をして生計が成り立たなければ
家族みんなが生きていくことができない。
そのあり得ないようなシビアな状況を思うと
スローガンだけを簡単に言うことができなくなる。
それでも…5年後10年後の悲劇を一つでも減らすために
言い続けていくしかないのだと思う。
長い長い闘いになる。