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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

知らなかった~!

2016-01-19 11:01:44 | 依存症
クラフト勉強会の日は、ダンナは夜勤明け。
勉強会は夕方からで、ダンナはお昼を食べたら寝るので
起きてから晩ごはんを食べれるようにスタンバイをして、出かけました。

家に帰ったのは10時少し前。
ダンナは、昼間に録画してあった高校サッカーの決勝戦など観ながら
晩酌を楽しみつつごはん食べたようで、いい感じにできあがってました。

私の顔を見ると「どうやった?」と聞くので
「うん、面白かったよ」と答えましたが
帰ってそうそうクラフトの話をするのもアレなので
「サッカーどうやった?」「うん、東福岡が5-0で勝った」
「へえ、良かったねえ」

その後自分もご飯を食べたり
片づけものしたりした後にひと休み。
時間も遅かったので、本当はその日勉強会の話をするつもりはなかったのですが。

実は、勉強会の最初の質問、「なぜギャンブルを始めたのか」というのを見た時に
はたと「そう言えばダンナはなんでパチンコするようになったんやろう?」と思ったのです。
借金をして、その返済に追われるようになってからは
絶え間ないお金の心配とか、最後は家庭内離婚みたいな状態でしたから
家に帰っても居心地が悪いとかで、仕事が終わると、パチンコ屋に行ってたというのは分かります。
でもよく考えてみたら、なんでパチンコするようになったのかは知りません。

「あのさ。今日勉強会で、あなたがパチンコをした理由っていうのがあってね。
仕事のストレスとか、家族の問題とか、忙しすぎてとかいろいろ書いてあって
理由はなんですかっていう質問なんやけど、自分のことやないから
人の気持ちって、聞かれても分からんよね」
と言うと、ダンナが笑いながら
「最初は、大学の時よ。仕送りが少なかったから、パチンコでこづかい稼ごうと思って」

そうだったんだぁ~!!知らなかった~!!

「でもさ。それが病気になったのって
あのビギナーズラックって言われてる、十何万とか勝つっていう
大当たりが出るようになったけんやろう。そういう機種がいっぱい出てきて」
「いや、それはもっと後の話」
「ふ~ん」
「仕事終わって、ちょっと気分転換とか気晴らしとかって、そんな感じやった」

なるほど!と思いました。
まだバブルが弾ける前で、ダンナたちの世代は「企業戦士」であり
とにかく朝から夜まで働き詰め
中小零細企業の労働者はサービス残業当たり前世代でした。
もともと日本人は「真面目に働く」「真面目に勉強する」「とにかく頑張る」ことが
最大の美徳とされて、自分の趣味や楽しみを持っている人は少ないです。

人と関わることが苦にならないタイプは
仕事が終われば「ちょいと一杯」になります。
気の合う同僚と、飲み屋で仕事のグチや上司の悪口言って発散。
まあ、それも度が過ぎればアルコール依存症になりますが。

けれど、うちのダンナのように、本来人と関わるのが苦手。
自尊心は強いのに、自己主張はせず、絶対人と争わない。
常に相手に合わせていけるようなタイプは
仕事が終わってまで、人と一緒にはいたくない。
(私は、八百屋で気に食わないお客さんの帰り際に
塩まいてるとこを、そのお客さんに見つかってひと悶着とか
キレたら、すごく低レベルのいざこざを起こすタイプ。
ダンナに、つねづね「介護の仕事は絶対無理」と言われてます)

そういう内向的な人にとっては、パチンコとかスロットとかは
特別な知識や技術がなくても、ほんのちょっとの時間でもできて
相手は機械だから、ただ座ってハンドル握って、話なんかしなくていいし
勝てばそれなりに楽しいし
その上お金にもなるという、ある意味うってつけの娯楽だったわけです。
そして、そのちょっと気軽にやれるとばく場が、街じゅう至るところにあったことが
六百万人弱のギャンブル依存症者を生み出す最大の要因になったのだと思います。

ともあれ、学習会の夜は、ダンナがごきげんだったことで
思いがけずパチンコについて、今まで一度もしたことのない話ができました。
「なんでパチンコするかなんて、単純だよ。そんな難しい話じゃない」
そう言ったダンナの言葉は、私はウソではないと思います。

「ただ、そこにあったからやった。ヒマだったし
他に特にやりたいこともなかった。でも、やったら楽しかった。
病気になるなんて思ってなかった。借金も大丈夫だと思ってた」
ダンナと話していて、実はこういう人って結構多いんじゃないかと思いました。
そして今、スマホやネットの依存が問題になっている子どもたちも
案外おんなじような感じなんじゃないかと思います。

だからこそ、依存症という病気のことを知ってもらう
そしてなるべく早い段階で、本人にしろ、家族にしろ
「これは依存ではないか」と気づくことが大切なわけです。
がんなどでは、とても熱心に言われる早期発見と早期治療です。
お前にだけは言われたくないと怒られそうですが
私にしてみたら、がんとなるとあんなに熱心なのに
なんで依存症はスルーされるわけ?というところです。

もしかして依存症治療にも、一回の薬代がウン十万円とかいう
画期的な効果のある治療薬とかが出てきたら
一躍脚光を浴びるかもしれませんが。

「なるべく早い時期に、家族が依存症という病気について理解して
それ以上に状況が悪くならないように、家族がまず対応の仕方を習得する」
これが、現在の依存症の治療について
最新の、そして一定の実績をあげている方法で、クラフトもその一つなのです。
ただこうした新しい治療の方法は、先進的な考え方の、一部の医療機関や先生方が
やっとギャンブル依存症にまで適用範囲を広げてくださっているというのが現状です。

できることなら、エビデンスなんて後回しでよいので
今なら早期介入できる可能性が大きい、青少年のスマホ依存やネット依存向けに
保護者のための、ネット依存対応用のクラフト手引書を作成して配布してほしいです。
全員に理解してもらうことや、受け入れてもらうことは無理でも
たとえ一万人のうちの1%(100人)でも理解が広がれば
今よりはずっとましな状況になるのではないかと思えるのです。

アルコールやギャンブルの例でもわかるように
「規制」という方向にいくことは、全く期待できません。
ギャンブルにいたっては、すでに30年以上が経過して
患者数がふくれあがっているにもかかわらず
病気だということさえ、多くの人には分かってもらえていません。

ですから広がりつつあるスマホの依存や
これからもっと拡大する可能性がある薬物の問題に立ち向かうには
私たちひとりひとりが、いろんな知識と情報を手に入れて
より早い段階で有効な対処法を知ることが
家族を依存症から守るために、とても大切なのだと思います。

そしてダンナいわく「いや、スマホ依存症はホントに大変だと思うよ」
あなたがそれ言う?とは思いましたが
普段私がやってることや話していることを、少しづつ理解してくれているのだろうと
ここは好意的に受け止めることにしました。




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