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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

男性と女性の性に対する認識の違い

2015-09-23 15:56:05 | 社会・生活
今日はネット上で「産後クライシス」という言葉を見かけました。
2~3年前から使われるようになった
「女性が出産したあとに訪れる夫婦の危機」を意味しています。

産経新聞の記事によれば「女性は出産を経て母性のスイッチが入り
目の前の赤ちゃんに集中する。24時間ずっと緊張状態が続く生活
に疲れ、夫にまで気を配れなくなる。また、女性の母乳の出をよく
するホルモン、プロラクチンは排卵を抑制し、授乳を続けている間
は次の子供ができない仕組みとなっている。このホルモンが分泌さ
れている間、性欲がなくなるのが一般的だ」ということだそうです。

前に「性の問題は、人類のブラックボックス」だと書きましたが
私は、実は、性の問題もまた依存症と深く関わっていると考えています。
セックスで得られる快感の正体は
脳の中で放出されるβエンドルフィンやドーパミンといった神経伝達物質で
人間に「楽しい」とか「気持ちがいい」とかの快の情動を感じさせます。

私は男ではないから分かりませんが
セックスによって得られる快感は、男性の場合は、女性に比べて
瞬間的ではあるけれども、すごく直接的で強烈なのだろうと思います。
多くの男性は思春期以降、この性的な快感への渇望と衝動を抱えています。

結婚は、本来はそれを充足できるはずなのですが
母親になる女性にとって、性は「あっは~ん」とか「うっふ~ん」とか
言っておけばそれでいいというものではなく
妊娠、出産、育児という、生物としての大きなサイクルの入り口なわけです。
一方、本当かどうか知りませんが
男性の多くは「セックスできるお母さんが欲しいのだ」という説があります。

この男性と女性の、性や結婚、出産や育児に対する認識の差が
「産後クライシス」という話に現れていると思います。
「出産を機に妻が豹変した」「夫が家事や育児に協力してくれない」
こうなると、それぞれの主張は平行線で、歩み寄ることは難しいです。

男性は、仕事のストレスを、充実した夫婦生活で癒したいのに
妻は子どものことばかりで、自分をかまってくれない。
それならと浮気に走ったり
手近で似たような快感を手に入れられるお酒やギャンブルに
ストレス発散の場を求め、そのあげく依存症になってしまったり
というような例は、若い夫婦だけでなく、30代、40代、50代と、
実はものすごく多いような気がします。

うちも二十数年にわたって、クライシス(危機)どころか
夫婦関係については完全に崩壊状態でした。
そして、ターニングポイントは、やはり出産だったと思います。
産後間もない頃に起きた小さな出来事で
私は、父親としての自覚が感じられないダンナに早々と見切りをつけました。

その後ギャンブルにハマって借金を作り、女性問題を起こし
度々家族を危機にさらしたダンナに
どんな人間的な尊敬も愛情も感じることはできない私と
仕事のストレスや、家族からの疎外感といった鬱々とした思いを
うまく表現することができなかったダンナの
気持ちを理解することはできても
お互いの間にある溝を埋めることは結局できませんでした。
みんながそうというわけではないのでしょうが
少なくとも私にとっては、セックスは愛情の表現ではなかったのです。

最近ではネットの中には、エロ動画が山ほどあります。
アヤしい業界の人たちが作った、シャブ漬けのお姉さんたちの
そのものずばりの映像が氾濫しています。
思春期の子供たち(特に男の子ですが)が、最初に出会う性の世界が
ああいう異常なものであり
性=快楽というゆがんだ認識に捉えられてしまうと
その後の人生や女性との関わり方に色々な問題が生じるように思えます。

私はけして性が汚ない、恥ずかしいものだとは思っていません。
15年以上前に、岡崎京子さんの「リバーズ・エッジ」という漫画を読んで

その中にあった主人公ハルナの、セックスに対する感想
①想像していたのよりたいしたことない
②想像していたのよりへんなことだ
(あのへんなかっこう へんなうごき)
③相手に対して特殊な感情をもちやすい
④生殖を目的としないセックスというものは
 色々むじゅんとナゾがある
というのに「ああ、わかるわかる」と思いました。

岡崎京子さんが描いたような、等身大の、クールな女の子たちの感覚と比べると
我慢強くて、優しくて、まるでマリア様みたいなスポコン漫画のヒロインと
エロ本、エロ漫画、エロ動画の女性の情報を組み合わせて出来上がっているような
男子、あるいは男性たちの、理想の女性像は大丈夫なのかと思います。

情報が少なくて、世の中がそれまで伝承されてきたならわしによって
動いていた時代には、結婚も子育ても
いろいろ不都合がありつつも、親の世代のやり方で何とか動いていました。
けれど、これだけ情報が豊富になって
ひとりひとりの価値観が違ってくると
恋愛も、性も、結婚も、出産も、育児も
それぞれが描いているイメージが大きく違ってきているように思えます。
「産後クライシス」という現象は
男性と女性の、この実は大きく隔たっている認識の
一つの現れなのではないかと思えるのです。

お互いに、相手に対して求めるばかりだと
どこまでいっても、理想の形は実現しません。
けれど、相手に何も求めないのだったら
そもそも結婚する意味がありません。
前に後藤先生が「動機づけ」のお話で
「人間関係はお互い様が理想なのです」と言われていました。
本当にそうだと思います。とても難しいですけど。







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