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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

人と人との理想的な関係

2014-09-14 10:28:35 | 依存症
これまでにも何回か書いていますが
後藤恵先生の「動機づけ面接法」という
アルコール依存症のお話を中心とするセミナーの中で
こんなお話がありました。

<依存症になると性格が変わる>というテーマで

・待てない、我慢できない、待たされると怒る
・切れやすい、怒りっぽい、暴れる、殴る
・パワーゲーム、勝ち負け思考、黒白思考、完璧主義
・自己中心的、操作的、利己的、わがまま

他にもありますが、あまり話を広げると
私自身がまとめきれなくなりそうなので、これくらいで。

こうして並べてみると、乳幼児や子ども、思春期の若者とも共通するところが
たくさんあります。

依存症には、相手をコントロールしようとする面もあって
相手が思い通りにならないと不満を感じます。
子どもを思い通りにしようとする考え方は、子どもに依存していることで
配偶者に対して、自分だけ見て、自分を分かって、自分を保護してというのは
配偶者に依存しているということになります。

さらに、親子であれ夫婦であれ、片方が正論で言い負かすと
依存症者は「子ども」のままです。
そうなると、自分が病気なのは相手のせいだと考えて
自己責任から逃れてしまい、ただ相手の言うことを聞いていればよい
困ったときは相手が何とかしてくれると期待し
自分の行動にいっさい責任を取らない「コドモ」になります。

そこから回復するために、動機づけ面接で用いられるのが
相手の言葉に耳を傾ける傾聴であったり、相手を認めてほめてあげるという
手法であったりします。

この<認めるほめる>では

ほめられると良い関係になる
ほめられると自信が増して落ち着きがでる
落ち着くと、自由に考える余裕がでる
ほめてくれる人の提案は聞き入れやすい    などの効果があるのですが

聞いていた私は、何だか子育てのコツみたいだなと感じました。
相手が可愛い盛りの子どもだったらやれそうですが
60過ぎたオッサン相手に、こういう心構えで接すると思うと
正直ゲンナリしますが。
それはともかくとして、要するに依存症からの回復というのは
幼児からの生き直しのようなものなのだなと理解したわけです。

「落ち着いて自由に考える」というのはつまり「自分の頭で冷静に考える」ことです。
そこで「○○を止める」「止めたい」という答えが出るのが理想ですが
現実には「止められそうにない」という場合も多いわけです。

それでいきなり「では○○をしましょう」というのはNGで
いきなり提案しても、相手は理解できない
理解しても実行が困難なことが多いのです。
さらに相手が「嫌だ」と抵抗する場合も、抵抗に抵抗しないことが大事です。
相手は負けたくないので言い合いになり
こちらの言うことを聞くと「負けた」と感じて、よい結果にはつながりません。

そこで「どうしたら良いと思いますか?」と質問するわけです。
つまり一にも二にも自分の頭で考えるということが基本になります。
自分で提案したことなら、実行しやすいということもあります。

それでも一度でうまくいくという訳でもありません。
うまく行かなかったら、また次を考える。
依存症の人の場合は、自分で考えた方法でうまく行かなかったら
「GA(AAやNAなど)に参加してみましょうね」という風に
援助をしている専門職の人が誘導をして、回復のための機関につなげる
というのが、動機づけ面接を使った回復への流れになります。

今子どもさんのネット依存で頭を悩まされている親御さんで
こういうプロの技法、考え方の一部でも参考になると感じ
頭の隅にとどめていただけたら、こんなにうれしいことはありません。

かつて私自身が「人間とは」「親とは」的な正論でダンナを変えようとし
変えることができるはずとも信じて、ずいぶん不毛な努力を繰り返しました。
ダンナが、表向きは分かったような振りをして
実はそれらの言葉がひとつもダンナの心に届かなかったことも痛感しました。

「自分のことは自分で考えて、自分で決めて、自分で行動して、責任を取る」
お互いにそう考えることが、依存者にとっても
依存を助け続けた共依存の家族にとっても、回復への大きな一歩ですが
それでも家族として助け合い、生活していく上での理想は
依存し合わない「お互い様」の関係をどれだけうまく作れるか
ということなのだそうです。


「依存は悪いことではない。誰にでも依存はあるし
依存しない自立は孤立」という言葉も心に深く響きました。
これは依存症だけの問題ではなく、親子でも、夫婦でも
はたまた職場の同僚でも、友人でも
人と人とが関わる上で、いつも心にとめておかなければならない
大切な基本であるようにも思います。



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