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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

第1回ステップセミナーに参加して

2014-04-13 08:21:56 | 依存症
前のブログでご紹介をしたジャパンマック福岡の、第1回ステップセミナーに
参加しました。以前GA(ギャンブラーズ・アノニマス)に参加した時には年配の男性が十人ほど
で、回復者の女性がひとりという少人数で、福岡のような規模の都市でこれだけかという思いが
あったのですが、今回は100人くらい収容できる講堂が満席で、補助椅子を入れるほどの
盛況でした。参加者も、男性女性、20代の若者から上は70代、80代と幅広く、医療関係者
と思われる方の参加や、かなり遠方から来られてる方もおられるようでした。

ステップセミナーというのは、現在AA(アルコール・アノニマス)やGA、あるいはNA(ナルコテ
ィクス・アノニマス:薬物依存者の自助グループ)で回復するための原理として用いられている
12ステッププログラムを実践し、回復を続けている当事者の方たちの体験を発表するものです。
なので、アルコール依存、ギャンブル依存、薬物依存といった様々な依存に苦しみ、最終的に
ジャパンマックのような回復施設や、GA、AA,、NAといった回復者同士の自助グループにたどり
ついた色んな方のお話を聴くことができました。

ほとんどの方が、自分が依存症になった経緯や、依存した動機、依存症になったことで何が起き
たかについて話をされました。ひとりひとりの話がとても内容が濃く、聞いていて胸が痛くなる
ようなものでした。それでも、それぞれが自分の辛い過去を自分なりに振り返り、自分自身の
言葉であれほど大勢の人の前で話す、その行動そのものが、回復のひとつの形なのだという
ことは理解できたような気がします。

多くの方が、依存症に陥った精神的な理由として<生き辛さ>をあげておられました。自分を
取り巻くさまざまな人間関係(親子とか友人とか同僚など)がうまく構築できない。周囲と
コミュニケーションを取ることが苦手。ストレスをうまく解消できないなどで、こうした
ことの背景には、本人の家族関係や生育暦などのたくさんの原因があると思います。

しかしこのセミナーを通して私が感じた一番大きなことは「自分は回復することができるのだ
という希望を持つことの大切さ」でした。私は結構ひねくれた人間なので、今まで「希望」
という言葉の持つどこかあいまいな感じが好きではありませんでした。けれど「依存」という
抗いがたい欲求に逆らい、依存しないで生きるというかなり難しい生き方を実現するには
目標とか目的とかいう現実的な感覚ではなくて、もっと大きなものを心の中心にドカン
とすえることが大事で、それが「希望」かなと思ったわけです。

そしてその希望を実現するために、セミナーでは発表者の方たちから、とてもよい言葉が
たくさん提示されました。
たとえば「自分に正直になること」「自分が心から信頼できる人に自分の本当の思いを
聞いてもらうこと」「自分を好きになること」そして「仲間や友人の大切さ」などです。
しかし彼等がそうした思いを持つようになるまでの道のりは決して平坦なものではありま
せんでした。もともと自分をさらけだすことも、他人を受け入れることも苦手だからこそ
依存症になってしまったということがあるので、人に自分の考えていることを正直に
話して、同じ依存症に悩む仲間の話をどんな偏見も持たずに受け入れて、お互いの思いを
自分の思いとして分かち合う、そのひとつひとつのプロセスが、ものすごく大変だった
だろうことは想像にかたくありません。さらには回復に取り組むようになってからも、
度重なる挫折があり葛藤があって、それでもお互いに支えあうことで回復するための道
を一歩ずつ歩く。
依存するものが何であれ、依存者同士のコミュニティーとしての自助グループが
どうして回復のための大きな力になることができるのかがやっと少しだけ理解できました。

「言いっ放し」で「聞きっ放し」。特に誰かのアドバイスがあるわけでもなく、ただ何となく
皆で自分の話をするだけ。これに何の意味があるのか、これでどうすれば依存症がよくなる
というのかという違和感を感じた方は、体験者の中にも多かったようです。けれども仲間
とのそうしたミーティングを重ねる中で、自分のことを他人に相談することができなかった人が
悩みを人に話すことができるようになる。たとえスリップしてアルコールやギャンブルを
やってしまっても、それを責められるのではなく、また一から回復をやり直そうと
仲間に温かく声をかけてもらえる。自分の居場所があるというその安心感が
生き直そう、依存しない人生を生きようという思いにつながるのだろうなとも感じました。

うちのダンナは今でもGAに行ったこともないし、依存の問題に関しては目をそむけている
ように感じます。現実問題として、ギャンブルに費やすようなお金はないので6年くらい
前からギャンブルは止まっているという言葉は嘘ではないのかもしれません。しかし
依存の対象がお酒とかネットとかに移行しているのではないかという漠然とした危惧
はあります。それでも私がブログを書いたり、今回セミナーに参加したりして感じたこと
を話すと「前は自分にあてつけられているように感じていたが、今はそういう風には
思っていない」とコメントしていました。そして私や子供たちのことを気づかうといった
人間性の部分では、ギャンブルと借金を重ねていた頃からすると、全然良くなっている
普通になってきているとは思えます。けれどこれが本当の意味での回復なのかどうかは
未だ未知数ではあるのです。そして最近、私自身のことで大きな変化がありました。
このことについてはまた次回、稿を改めて書こうと思います。