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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

社会を憎むということ

2010-05-04 11:06:00 | 社会・生活
先日投稿した「out」の話題にも通じるところがあると思うが
今土曜日にNHKで放送されている
「チェイス~国税査察官~」のキャッチコピー
「あなたには社会を憎む権利がある」

先週天才脱税コンサルタントのARATAが
正義感、使命感に燃える査察官江口洋介にそう語りかけた。
真面目にこつこつやってきた人間が悲惨な目に会うことの理不尽さ。
これはその果てにあるひとつの答であり
私もそれを選択したのだと思った。

そんなのはただの八つ当たりだ、逆恨みだという批判も
怨みや憎しみにとらわれず
そういう負の感情から自由になって
自分のためにもっと有効に時間を使おうという正論も
ある程度は理解しているつもりだ。
それでもなお…
私はギャンブル依存症と言う病気を生み出した
社会の裏の構造とそこで多額の利益を得た人間たちを
ひたすら憎み続けている。

憎み続けた先にもちろん救いはない。
それでも誰かの不幸の上に誰かの幸福が築かれる
もっというなら多数の人間の不幸によって
少数の人間の幸福が支えられているような社会の有り様は
決定的に間違っていると思う。

今中国の経済発展の象徴として
華やかに開幕した上海万博。
中国では年収1000万元(約1500万円)以上の資産を持つ
富裕層が30万人以上いるが一方で年収5万円程度の貧困層が一億人を超える。
この数字の意味するものは何か。
中国製品の安さはつまりは労働者の極端な低賃金で支えられている。

中国は社会資本主義という固有の価値観を有する国であるがゆえに
明らかに個人の人権よりも国益が優先されている。
その中国製品が今世界の市場を席巻していることで
今まで自由資本主義という共通の理念の上に培われてきた
(というよりも労働者の長い労働運動の闘いの成果として獲得した)
労働者の権利をある程度は保障しながら働くという社会のありようが
根底から揺さぶられているのだと思う。

安価な中国製品と競合し生き残っていくためには
当然生産コストを同じようにさげなければ利益がでない。
それば流通の世界でも同様で
安い商品を売って利益を生むには人件費などのコストを下げるしかない。

今までのように利益が出たからといって労働者の福利厚生に充てるとか
給料を上げたりボーナスをだしたりして労働者に還元していては太刀打ちができない。
この現実が今個人の生活にダイレクトにはねかえってきているのだ。
決してリーマンショックやサブプライムローンだけの問題ではない。

しかし、それでも巨万の富を得る人間はいる。
現に数億円の相続税を追徴で払っても
痛くも痒くもない人間がこの日本という国のトップである現実こそが
それを如実に反映している。
この不条理を是正することはもはや神にだってできはしないだろう。
おそらくもうここまでくれば何が正しい、何が間違っている
というようなレベルの話でもないのだろう。
だからいいじゃないか、そういう社会を憎んだって。
誰かを傷つけたり殺したりさえしなければ。