「日本文学の革命」の日々

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電子同人雑誌の可能性 135 「同人雑誌の本質」

2018-04-11 05:07:00 | 日本文学の革命
この同人雑誌という「魂によって結びついた自由な共同体」の内部に分け入ってみよう。
まず目につくのは、この団体のメンバーには厳密な肩書や位階や序列が存在しないことである。考えられる肩書としては、雑誌を創刊して全体を運営している代表があり、その雑誌に寄稿したりして制作に関わっている同人があり、その雑誌に同人ほどではないが様々な形で参加協力しようという協力者があり、またその雑誌を購読してやって時々応援メッセージを寄こすような購読者があり(マスコミ的雑誌とは異なり、同人雑誌ではこの購読者もメンバーの一人に数えても差し支えないのである)、だいたいその程度である。
しかしそれらも絶対的なものではなく、代表は複数いてもいいし、コロコロ変わってもいいし、今までは同人だった者がいつの間にか代表になっていてもいい。同人と協力者との間も流動的で、同人として積極的に活動していた者が次第にフェードアウトしてゆき協力者だった者がどんどん能動的に参加し始める、ということがあってもいい。購読者との間も流動的で、今までは雑誌を購読して黙って読んでいただけの者が突然「オレにも参加させろ!」と言い出し、やらせてみたら見事な成果を挙げたので、同人一同満場一致で彼に代表の座を任せる、というようなことがあってもいい。

これが会社組織だとこういう訳にはいかない。そこでは通常厳格な階層組織が存在するし、明確に分割された役職や権限が存在する。どの人間がどのような役職に就いていくかという昇進システムも明確に規定されていて、キャリアやノンキャリア、高学歴やそうでない者、正規や非正規の身分的区別も厳格である。それまで部長だった者が突然ヒラになるなどということは普通起こらないし、起こるとしたらリストラ人事か報復人事だけである。また社長が突然よく分からない形で代わるなどということはやはり普通起こらないし、起こるとしたらつぶれそうな会社か外部の資本に乗っ取られた会社かだけである。
会社組織は目的合理的に編成された組織であり、一つの精密機械のように整然と動くことを理想としている。組織のメンバーが思い思いに勝手な行動をしていたら、それは不良部品満載の機械やバグだらけのプログラム同然で、まともに動くことができずにすぐに破綻してしまうのである。だからこそ会社組織には厳格な階層的秩序があるのであり、またメンバー全員を律する強大な規律が必要とされるのである。