理化学研究所のイーチェン・チャン研究員を中心とした国際共同研究グループは、アルマ望遠鏡を用いて、「とも座」の方向、距離5500光年にある天体「IRAS 07299-1651」から放たれる電波を観測することによって、この天体のガス雲の中では、生まれたての2つの重い星が連星系を成しており、アルマ望遠鏡の高い解像度を生かした観測によって、これら2つの星の間の距離とそれぞれの運動、さらにその周囲を取り巻くガスの運動を捉えることに成功した。
電波の強度から連星系の質量を求め、ガスの運動と合わせて分析した結果、同研究グループは、2つの星がそれぞれ別個に誕生したのではなく、先に生まれたより重い星の周りにあるガス円盤が分裂し、そこからもう1つの星が誕生したと結論付けた。このような状況が明らかにされたのは初めてのこと。
太陽の8倍以上の質量を持つ重い星のほとんどは、相棒の星と回り合う連星系を成しているが、こういった連星系がどのようにして作られたのかは長年の謎となっており、その形成過程は分厚いガスの雲に覆われているため、これまで観測が困難であった。
今後、他の系で同様の解析を実施することで、大質量星の連星系の形成過程が次々に明らかにされていくことが期待される。