東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) の斎藤俊特任研究員、奥村哲平特任研究員らは、理論と数値シミュレーションを詳細に比較した研究から、銀河や銀河団の内部および周囲に存在する暗黒物質がどのように分布し、お互いの重力で引き合って進化してゆくのかを計算する際、従来の計算では無視されていた、銀河団よりはるかに大きなスケールの潮汐力のような周囲の環境からの影響を考慮に入れることが重要であることを突き止めた。
今回の研究成果から、従来無視されていた項を考慮することで、宇宙の暗黒物質の分布をより正確に推定することができるようになる。
この方法は、既に、BOSSプロジェクト(銀河分光サーベイ)の銀河分布の解析で実際に使用され始めており、今後宇宙の暗黒エネルギーの性質の理解や宇宙のニュートリノの総質量の測定などを通して、宇宙の歴史の解明につながることが期待される。