●宇宙探査●月と火星を第2の地球に!―SPE―         科学技術研究者   勝 未来

                 ~各国は月と火星の探査計画を着々と実行に移している~   

●宇宙探査●JAXA、美笹深宇宙探査用地上局から「はやぶさ2」へ指令信号の送信に成功

2020-10-09 00:26:37 | 宇宙探査機
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、現在開発を進めている美笹深宇宙探査用地上局(54m大型パラボラアンテナ)において、10月5日19:30~22:30(日本時間)にかけて、小惑星探査機「はやぶさ2」へのX帯(電波の周波数帯域の一つ:7GHz帯)による指令信号の送信に成功した。

 美笹局は、臼田宇宙空間観測所にて運用中の64m大型パラボラアンテナの老朽化対策として、新たに開発中の地上局。

 今回の「はやぶさ2」への指令信号の送信成功により、美笹局の開発で掲げている目標を全て達成できた。引続き、はやぶさ2を用いた試行運用を行い、2021年4月からの本格稼働を予定している。

 X帯の指令信号を増幅する大電力増幅装置として、深宇宙用7GHz帯としては世界初 の固体電力増幅器(SSPA)を新規に開発し、美笹深宇宙探査用地上局に導入した。

 臼田64mでは、クライストロン(マイクロ波用真空管の一種)を用いた送信機を使用しているが、、供給元が米国企業1社だけであることと、動作が不安定であることから、保守性や安定性等を高める必要があった。そこで、JAXAでは、国産によるGaN(窒化ガリウム)を用いた固体電力増幅装置をNECの協力を得て開発した。

 美笹局で据付試験中の30kW級 X-SSPA(X-band Solid State Power Amplifier; 固体電力増幅装置)は、GaNデバイスを内蔵した384本のPA(Power Amplifier、1本あたり125W出力)を多段合成して最終的に30kW出力を得るもの。

 複数本が故障しても送信運用を継続することが可能となるため、探査機に対するコマンド運用の持続性と安定性が向上する。

 今後、実績を重ねつつ、小型化、省電力化を図ることでクライストロンに代わって世界の主流になることを期待している。
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