ただ今来日中のジェシー・ハリス。今回はヴィニシウス・カントゥアリア、ダヂという二人のブラジル人アーティストと共にトリオ・エストランジェイロスを結成しての日本ツアー。現在そのツアーの真最中ですが、実はジェシーはそのツアーの前後にさらにいくつかのインストア・ライヴをこなすという過密スケジュールなのです。という訳で、私もいくつかインストア・ライヴを観てまいりましたので、さっそくそのレポートをお届け致します。
5月25日 青山スパイラル
まずはインストアの中でも前半のハイライトとも言える5月25日、青山スパイラル。この日は夕方にジェシー・ハリスのソロ、夜にはヴィニシウス・カントゥアリアを向かえてのデュオという2本立て。まずはジェシーのソロから。
てっきり2階のスパイラルレコーズでのインストア・ライヴだろうと思っていたのですが、ショップ内ではなく、2階に上がる階段の踊り場のようなスペースでのライヴ。青山通りに面した大きなガラス張りのスペースで、まだ明るい時間帯なこともあり、なかなかの開放感。壁側にステージが作られているのでジェシーは青山の町並みを観ながら歌うことに。
まずは最新作「BORNE AWAY」からタイトル曲「Borne Away」で始まり、そして「Like A Wheel」へと続く。素朴且つ静かなアコースティック・ギター弾き語り。ざわついた建物内、しかも階段というおよそライヴをやるとは思えない場所ながら、ジェシーが歌い出すと、スーッとその歌世界へ引き込まれるから不思議。観客達は思い思いに階段に座り、ジェシーの歌声に聴き入る。その向かいには大通りを車がビュンビュン行き交っている。そんな空間に響くちょっぴり神秘的な曲調とアコギの音色、優しくも思慮深い風合いのジェシーの歌声が素敵。
続いて前作「SUB ROSA」から、「I Won't Wait」、「All Your Days」を披露。「All Your Days」は良い曲ですよね~。アルバム・ヴァージョンも好きですが、アコギ弾き語りもまた味わい深い。さらに最新作から「Say That You'll Never Go Away」、「Do You Really Love Him?」と続く。私はこの日のインストア・ライヴで最新作を買ったのですが、CDを聴く前にライヴで聴いて大好きになったのがこの2曲。なんとなく古き良き時代のロマンチックなジャズを感じさせるラヴリーな曲です。ジェシーの歌にもうっとりです。
そして「Towards Kafiristan」と「Tamalpais」。なんとジョン・ゾーンの曲です。ジェシーは近年、マーク・リボー、ジョン・メデスキなどと共に、ジョン・ゾーンの「SONG PROJECT」というプロジェクトに参加しているそうで、そこでこの曲などを歌っている模様。本来はインスト曲なので、歌詞はジェシーが付けたんでしょうかね?そこのところはよく分からないんです。すいません…。それにしても選曲が見事。メロウな良い曲なんですよ~これが!
ジェシーがMCで「最後の2曲」と告げ、最新作からシリアスな「Black Orchid」、さらに「Listen To Your Heart」で終了。計10曲、決して派手ではありませんが、柔らかく聴く者の心をとらえる、ジェシーのソロ・ライヴでした。
そして待つことおよそ2時間半。同じ場所で2本目のインストア・ライヴがスタート。同じ場所とは言え、すっかり日も暮れて、2階のショップも閉店時間を迎えたので雰囲気は夕方と大分違います。しかもステージ前には椅子席も用意され、より一層ライヴらしい雰囲気に。まずはジェシー・ハリスがソロで「Borne Away」をはじめ4曲披露。ここまでは夕方の部とほぼ一緒。そして5曲目からヴィニシウス・カントゥアリアが登場。曲は「Black Orchid」。ジェシーのアコギ弾き語りの横でヴィニシウスがアコギをパーカッション代わりに叩く。これが独特のリズム! このヴィニシウス・カントゥアリア、我々ルーツ・ファンにとっては近年のビル・フリーゼルとのコラボが馴染み深いですが、70年代にはカエターノ・ヴェローソのバックバンドなどで活躍していたという才人。目の前で見る彼の本物感っていうのは半端無いほど。その立ち居振る舞いからして、何か違う“血”を感じさせられましたね。
そのヴィニシウスがアコギ弾き語りで披露した2曲。歌はボサノバらしいソフトな質感で、ギターのフィンガー・ピッキングも決して力強くはない。ですが野性味に溢れている。リズムが活きている。生で聴く本物のブラジル音楽の格好良さに痺れまくりでした。主催者さんのツイートによると、その2曲はヴィニシウス自身の曲とジョビンの曲だそう。ジョビンの方はおそらく「Caminhos Cruzados」かな? スローな曲調で、ヴィニシウスのギターが美しかったです。
そしてジェシーの「Say That You'll Never Go Away」。今度はジェシーのアコギ弾き語りにギターで絡むヴィニシウスが凄い! とにかく二人の感覚がまるで違う。ジェシー・ハリスの弾き語りはいわゆるフォーキーで落ち着いていて、そのリズムは良くも悪くもイーヴンな感じなんですよ。ですがヴィニシウスはそのジェシーのリズムの裏の裏まで感じとっているような、まるでジェシーのリズムの間合いに切れ込んでくるかのように次々に躍動的な南米タッチのフレーズを繰り出してくる。これが堪らなくスリリング。トリオ・エストランジェイロス(異邦人トリオ)とはよく言ったもので、その異邦人セッション振りにワクワクさせられました。さらにジェシーの曲「Straight Line」を二人でセッションし、最後はダヂも加わり、彼がリード・ヴォーカル&エレキ・ギターでリードしてのジョルジ・ベン「Ponta de lanca Africano」。まさかのトリオ・エストランジェイロスそろい踏み!!
ニューヨークとブラジルが東京で交差した計10曲。格好良かったです!
終演後はサイン会。もちろん私もサインを頂きました~。
ジェシー・ハリスの最新作「BORNE AWAY」(これ、傑作です!!)。ブック型の表紙をめくったところにサインを頂きました。
ヴィニシウス・カントゥアリアの最新作「INDIO DE APARTAMENTO」の見開きには、ヴィニシウス、ジェシー、ダヂの3人のサインを頂きました。
5月24日 SAN BAN CHO CAFE
九段は靖国神社の近くにあるお洒落なカフェ、SAN BAN CHO CAFE。こちらの1階フロアをフリー・スペースにしてのアコギ弾き語りライヴ。通りに面した1室の窓を開け放し、いかにも街角の一画といった雰囲気。そしてこの日はスタンディングでした。と言ってもすし詰め状態になったりはしませんから、思い思いにドリンクを飲みつつ、ゆったり佇みながら鑑賞する感じ。「Borne Away」から始まり、「Like A Wheel」、「Say That You'll Never Go Away」、「Do You Really Love Him?」などを歌ってくれましたっけ? 既に記憶が曖昧ですが、ジョン・ゾーンの「Tamalpais」はやりました。「Black Orchid」もやった。最後は「Listen To Your Heart」だったかな? センスの良いカフェでのライヴは、ちょっぴりニューヨークっぽいかな?なんて思ったり。こちらも素敵なライヴでした。
この日は演奏中の写真撮影もOKだったので。
5月23日 巣巣
今回のツアーのキック・オフとなったのが5月23日、等々力にある家具/雑貨店、巣巣でのインストア・ライヴ。駅から程よく離れた家具・雑貨屋さんという独特の雰囲気が、ジェシー・ハリスのソロ・ライヴによく似合ってました。「Borne Away」から始まり、「Like A Wheel」、「I Won't Wait」、「All Your Days」、「Say That You'll Never Go Away」、「Do You Really Love Him?」と続きました。この日、初めて聴く新曲の数々に耳を奪われました。ジョン・ゾーンの「Tamalpais」と「Towards Kafiristan」に驚きつつ、ジェシー色に染まったその魅力に拍手。あとは何をやりましたっけ? 「Black Orchid」とか、「Do You Really Love Him?」とか、あともう1曲ぐらいあったかな? あとこの日のジェシーは割りと饒舌でしたね。曲についての説明を丁寧に話していました。それをじっくりと聞く観客達。椅子席は満席、大勢の立ち見客、程よい密室感と、ジェシーとの近さが親密なライヴ空間を演出し、アットホームな素晴らしいライヴになりました。
なんだかんだで3日間連続で楽しませて頂いたジェシー・ハリスのインストア・ライヴ。青山の翌日26日はジェシーがソロで「東京蚤の市」に出演し、その夜からいよいよトリオ・エストランジェイロスのツアーがスタート。そして6月に入ってからはジェシーのインストア・ライヴもまたいくつかあるようです。気になる方はTRIO ESTRANGEIROS Tour in Japan 2013のFACEBOOKをチェックしてみてください。↓
https://www.facebook.com/TrioEstrangeirosTourInJapan2013/events
5月25日 青山スパイラル
まずはインストアの中でも前半のハイライトとも言える5月25日、青山スパイラル。この日は夕方にジェシー・ハリスのソロ、夜にはヴィニシウス・カントゥアリアを向かえてのデュオという2本立て。まずはジェシーのソロから。
てっきり2階のスパイラルレコーズでのインストア・ライヴだろうと思っていたのですが、ショップ内ではなく、2階に上がる階段の踊り場のようなスペースでのライヴ。青山通りに面した大きなガラス張りのスペースで、まだ明るい時間帯なこともあり、なかなかの開放感。壁側にステージが作られているのでジェシーは青山の町並みを観ながら歌うことに。
まずは最新作「BORNE AWAY」からタイトル曲「Borne Away」で始まり、そして「Like A Wheel」へと続く。素朴且つ静かなアコースティック・ギター弾き語り。ざわついた建物内、しかも階段というおよそライヴをやるとは思えない場所ながら、ジェシーが歌い出すと、スーッとその歌世界へ引き込まれるから不思議。観客達は思い思いに階段に座り、ジェシーの歌声に聴き入る。その向かいには大通りを車がビュンビュン行き交っている。そんな空間に響くちょっぴり神秘的な曲調とアコギの音色、優しくも思慮深い風合いのジェシーの歌声が素敵。
続いて前作「SUB ROSA」から、「I Won't Wait」、「All Your Days」を披露。「All Your Days」は良い曲ですよね~。アルバム・ヴァージョンも好きですが、アコギ弾き語りもまた味わい深い。さらに最新作から「Say That You'll Never Go Away」、「Do You Really Love Him?」と続く。私はこの日のインストア・ライヴで最新作を買ったのですが、CDを聴く前にライヴで聴いて大好きになったのがこの2曲。なんとなく古き良き時代のロマンチックなジャズを感じさせるラヴリーな曲です。ジェシーの歌にもうっとりです。
そして「Towards Kafiristan」と「Tamalpais」。なんとジョン・ゾーンの曲です。ジェシーは近年、マーク・リボー、ジョン・メデスキなどと共に、ジョン・ゾーンの「SONG PROJECT」というプロジェクトに参加しているそうで、そこでこの曲などを歌っている模様。本来はインスト曲なので、歌詞はジェシーが付けたんでしょうかね?そこのところはよく分からないんです。すいません…。それにしても選曲が見事。メロウな良い曲なんですよ~これが!
ジェシーがMCで「最後の2曲」と告げ、最新作からシリアスな「Black Orchid」、さらに「Listen To Your Heart」で終了。計10曲、決して派手ではありませんが、柔らかく聴く者の心をとらえる、ジェシーのソロ・ライヴでした。
そして待つことおよそ2時間半。同じ場所で2本目のインストア・ライヴがスタート。同じ場所とは言え、すっかり日も暮れて、2階のショップも閉店時間を迎えたので雰囲気は夕方と大分違います。しかもステージ前には椅子席も用意され、より一層ライヴらしい雰囲気に。まずはジェシー・ハリスがソロで「Borne Away」をはじめ4曲披露。ここまでは夕方の部とほぼ一緒。そして5曲目からヴィニシウス・カントゥアリアが登場。曲は「Black Orchid」。ジェシーのアコギ弾き語りの横でヴィニシウスがアコギをパーカッション代わりに叩く。これが独特のリズム! このヴィニシウス・カントゥアリア、我々ルーツ・ファンにとっては近年のビル・フリーゼルとのコラボが馴染み深いですが、70年代にはカエターノ・ヴェローソのバックバンドなどで活躍していたという才人。目の前で見る彼の本物感っていうのは半端無いほど。その立ち居振る舞いからして、何か違う“血”を感じさせられましたね。
そのヴィニシウスがアコギ弾き語りで披露した2曲。歌はボサノバらしいソフトな質感で、ギターのフィンガー・ピッキングも決して力強くはない。ですが野性味に溢れている。リズムが活きている。生で聴く本物のブラジル音楽の格好良さに痺れまくりでした。主催者さんのツイートによると、その2曲はヴィニシウス自身の曲とジョビンの曲だそう。ジョビンの方はおそらく「Caminhos Cruzados」かな? スローな曲調で、ヴィニシウスのギターが美しかったです。
そしてジェシーの「Say That You'll Never Go Away」。今度はジェシーのアコギ弾き語りにギターで絡むヴィニシウスが凄い! とにかく二人の感覚がまるで違う。ジェシー・ハリスの弾き語りはいわゆるフォーキーで落ち着いていて、そのリズムは良くも悪くもイーヴンな感じなんですよ。ですがヴィニシウスはそのジェシーのリズムの裏の裏まで感じとっているような、まるでジェシーのリズムの間合いに切れ込んでくるかのように次々に躍動的な南米タッチのフレーズを繰り出してくる。これが堪らなくスリリング。トリオ・エストランジェイロス(異邦人トリオ)とはよく言ったもので、その異邦人セッション振りにワクワクさせられました。さらにジェシーの曲「Straight Line」を二人でセッションし、最後はダヂも加わり、彼がリード・ヴォーカル&エレキ・ギターでリードしてのジョルジ・ベン「Ponta de lanca Africano」。まさかのトリオ・エストランジェイロスそろい踏み!!
ニューヨークとブラジルが東京で交差した計10曲。格好良かったです!
終演後はサイン会。もちろん私もサインを頂きました~。
ジェシー・ハリスの最新作「BORNE AWAY」(これ、傑作です!!)。ブック型の表紙をめくったところにサインを頂きました。
ヴィニシウス・カントゥアリアの最新作「INDIO DE APARTAMENTO」の見開きには、ヴィニシウス、ジェシー、ダヂの3人のサインを頂きました。
5月24日 SAN BAN CHO CAFE
九段は靖国神社の近くにあるお洒落なカフェ、SAN BAN CHO CAFE。こちらの1階フロアをフリー・スペースにしてのアコギ弾き語りライヴ。通りに面した1室の窓を開け放し、いかにも街角の一画といった雰囲気。そしてこの日はスタンディングでした。と言ってもすし詰め状態になったりはしませんから、思い思いにドリンクを飲みつつ、ゆったり佇みながら鑑賞する感じ。「Borne Away」から始まり、「Like A Wheel」、「Say That You'll Never Go Away」、「Do You Really Love Him?」などを歌ってくれましたっけ? 既に記憶が曖昧ですが、ジョン・ゾーンの「Tamalpais」はやりました。「Black Orchid」もやった。最後は「Listen To Your Heart」だったかな? センスの良いカフェでのライヴは、ちょっぴりニューヨークっぽいかな?なんて思ったり。こちらも素敵なライヴでした。
この日は演奏中の写真撮影もOKだったので。
5月23日 巣巣
今回のツアーのキック・オフとなったのが5月23日、等々力にある家具/雑貨店、巣巣でのインストア・ライヴ。駅から程よく離れた家具・雑貨屋さんという独特の雰囲気が、ジェシー・ハリスのソロ・ライヴによく似合ってました。「Borne Away」から始まり、「Like A Wheel」、「I Won't Wait」、「All Your Days」、「Say That You'll Never Go Away」、「Do You Really Love Him?」と続きました。この日、初めて聴く新曲の数々に耳を奪われました。ジョン・ゾーンの「Tamalpais」と「Towards Kafiristan」に驚きつつ、ジェシー色に染まったその魅力に拍手。あとは何をやりましたっけ? 「Black Orchid」とか、「Do You Really Love Him?」とか、あともう1曲ぐらいあったかな? あとこの日のジェシーは割りと饒舌でしたね。曲についての説明を丁寧に話していました。それをじっくりと聞く観客達。椅子席は満席、大勢の立ち見客、程よい密室感と、ジェシーとの近さが親密なライヴ空間を演出し、アットホームな素晴らしいライヴになりました。
なんだかんだで3日間連続で楽しませて頂いたジェシー・ハリスのインストア・ライヴ。青山の翌日26日はジェシーがソロで「東京蚤の市」に出演し、その夜からいよいよトリオ・エストランジェイロスのツアーがスタート。そして6月に入ってからはジェシーのインストア・ライヴもまたいくつかあるようです。気になる方はTRIO ESTRANGEIROS Tour in Japan 2013のFACEBOOKをチェックしてみてください。↓
https://www.facebook.com/TrioEstrangeirosTourInJapan2013/events
こちらで曲名がわかったジョン・ゾーンの曲がインストだったとは知らなかったです。
元から歌詞ついてるのかと。
どこかで音源化されないかなと期待・・・。
ところで、
年内に今回のユニットでのミニアルバムを
出す予定とのことを
イベントで言ってました。
楽しみです。
ジョン・ゾーンのあの2曲、良い曲ですよね。インストでやってるジョン・ゾーンのヴァージョンも凄く良いんですよ!
ただ元々歌詞がついていないのか?と問われると、私もさほどジョン・ゾーンに精通しているわけではないので、はっきりとは答えられません。私が知らないだけかもしれませんし…。なので間違ってましたらごめんなさいね。
音源化については私も期待しています! 正規に録音して欲しいですね~。
今回のユニットでのミニアルバムを出す予定ですか!
それは楽しみですね。嬉しい情報をありがとうございました!