ルーツな日記

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フジロック予習:トゥーツ&ザ・メイタルズ

2012-05-25 17:58:51 | フジロック
TOOTS & THE MAYTALS / TRUE LOVE

フジロック予習、第3弾はジャマイカの伝説、トゥーツ&ザ・メイタルズです!


先日、WOWOWで映画「ハーダー・ゼイ・カム」をやってましたね。ジミー・クリフが主演した72年の映画です。レゲエ・ムービーの元祖として知られますが、そもそもジャマイカ産としては初の長編映画だったそうです。ストーリーにも引き込まれますが、それ以上にキングストンの喧噪、スラム街の風景、そこで暮らすアンダーグラウンドな生き様、マリファナ、ラスタファリアンなどなど、リアルなジャマイカに目が釘付けになります。そしてそんなリアル・ジャマイカを彩るスウィートなレゲエ・ミュージックの数々。ジミー・クリフが歌うタイトル曲「The Harder They Come」も名曲ですが、今回語りたいのはそれではないのです。

映画中で、そのジミー・クリフ演じる青年アイヴァンが、録音スタジオに赴くシーンがあるんですけど、そこでトリオのコーラス・グループがレコーディングをしているんです。彼らこそボブ・マーリーと並び賞されるレゲエのオリジネーター、トゥーツ&ザ・メイタルズ。伝説的なグループの登場は、音楽ファンにとってこの映画のなかで最も印象的なシーンとなっているのではないでしょうか。曲は「Sweet & Dandy」。ロック・ステディなゆるやかリズムと朗らかなメロディー、軽やかに身体を揺らしながら歌うメイタルズの3人、何度観てもこの場面には思わず身を乗り出してしまいます。

さて、そのトゥーツ&ザ・メイタルズ、1962年にフレデリック・トゥーツ・ ヒバートを中心に、3人組のコーラス・グループとして結成。当初は単にザ・メイタルズと名乗ってました。スカの時代からロク・ステディ、レゲエへと変遷していったジャマイカン・ミュージックのど真ん中で活躍し、数々の名曲を残してきました。時代が変わっても親しみ続けられている彼らの66年の名曲「Bam Bam」のメロディなどは、誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか? また68年に発表した「Do The Reggay」は、曲中で初めてレゲエという言葉が使われたエポック・メイキングな曲でした。

また、映画「ハーダー・ゼイ・カム」では主人公のアイヴァンがマリファナの密売に手を染めますが、トゥーツ・ ヒバート本人も66年にマリファナ売買の罪で投獄されてしまいます。しかし出所後に自身の囚人ナンバーをタイトルにその体験を歌った「54-46 That's My Number」をヒットさせるなど、転んでもただでは起きない反骨精神が痛快。73年にはレゲエとJBファンクを掛け合わせたようなリズムが強烈な名曲「Funky Kingston」を収録したアルバム「FUNKY KINGSTON」をリリース。この意欲的な作品はレゲエ史に残る傑作として知られます。レゲエ界のオーティス・レディングとも評される、野太く吠えるようなトゥーツ・ ヒバートの歌唱も印象的ですね。何てったって彼は88年に「TOOT'S IN MEMPHIS」というメンフィス・ソウルのカヴァーを中心にした作品も出してますからね。

そんなトゥーツ&ザ・メイタルズが04年にあらためてその存在感を世に問うたのが上の写真の「TRUE LOVE」。シャギー、ケン・ブース、マーシャグリフィス、スカタライツ、バニー・ウェイラーなど、ジャマイカ勢はもちろん、ウィリー・ネルソン、ボニー・レイット、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ブーツィー・コリンズ、ベン・ハーパー、そしてキース・リチャーズなどなど、信じられない程の豪華ゲストが集結し、いかにトゥーツ&ザ・メイタルズがレジェンダリーなバンドかを見せつけた快作です。

トゥーツ・ ヒバートとボニー・レイットのまろやか且つソウルフルなデュエット「True Love is Hard to Find」、野性味溢れるトゥーツに挑みかかるようなジェフ・ベックのギターが印象的な「54-46 Was My Number」、ブーツィー・コリンズとザ・ルーツの参加でよりヘヴィーにファンク度を増した「Funky Kingston」、トゥーツ&ザ・メイタルズのレゲエとベン・ハーパー節が見事に溶け合ったメロウな「Love Gonna Walk Out on Me」、レゲエ好きのキース・リチャーズも嬉々として取り組んだであろう「Careless Ethiopians」など。

他にもクラプトンが参加した「Pressure Drop」、ノー・ダウトが参加した「Monkey Man」、トレイ・アナスタシオが参加した「Sweet And Dandy」、シャギーが参加した「Bam Bam」など、往年の名曲が多数収録されているので、ベスト選曲によるセルフ・カヴァー集としても楽しめます。何よりまったく衰え知らずなトゥーツ・ ヒバートの歌声に圧倒されます。ちなみにこのアルバムは04年度のグラミー賞「Best Reggae Album」部門を受賞しています。


そて、そんなジャマイカの伝説、トゥーツ&ザ・メイタルズが今年のフジロックにやってきます。現在60歳代後半になったトゥーツ・ ヒバートですが、歴史の詰まったソウルフルなレゲエをたっぷりと楽しませてくれることでしょう。さらに今年のフジにはもう一人、アーネスト・ラングリンというジャマイカン・レジェンドがやって来ますし、彼らがUKに産み落とした子供達とも言えそうな、ザ・スペシャルズやザ・トロージャンズもいます。今年はそっち系にどっぷり浸かってみるのも良いかもしれませんね。




THE MAYTALS / MONKEY MAN
70年の作品。後にザ・スペシャルズがカヴァーする「Monkey Man」や「Pressure Drop」を含む名盤。この頃はまだコーラス・グループとしてザ・メイタルズと名乗っていました。既にレゲエ期に入った時代の作品ですが、牧歌的なヴィンテージ感とソウルからの影響が混じりあった独特の魅力を醸しています。ジョン・レノン曲「Give Peace A Chance」の大胆なレゲエ・カヴァーや、サザン・ソウルらゴスペルにしか聴こえない「The Preacher」なども収録。トゥーツ・ ヒバートの朴訥とした歌声も相まった、土っぽいサウンドが最高です!



TOOTS & THE MAYTALS / FUNKY KINGSTON/IN THE DARK
73年の傑作「FUNKY KINGSTON」とその翌年作「IN THE DARK」のカップリング盤。タイトル曲の「Funky Kingston」が超格好良いのはもちろん、「Pomp and Pride」や「Louie, Louie」あたりもかなりの名曲。またアイク&ティナ・ターナー「I Can't Believe What You Say」をトロピカルに料理した技ありカヴァーや、なんとジョン・デンバーの「Take Me Home Country Roads」までやっていて面白い。この「カントリー・ロード」はぜひフジでもやって欲しいな~。






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